東京都三鷹市で、地域子どもクラブ向けに「SNS」を用いたコミュニティ形成支援の実証実験を実施
~慶應義塾「コ・モビリティ社会の創成プロジェクト」の一環~

慶應義塾大学
日本電気株式会社
KDDI株式会社

2009年3月26日

慶應義塾大学 (注1、以下 慶應義塾) は、同大学の「コ・モビリティ社会の創成プロジェクト」(注2、担当責任者: 金子郁容 慶應義塾大学 大学院 政策・メディア研究科委員長) の一環として、日本電気株式会社 (注3、以下 NEC)、KDDI株式会社 (注4、以下 KDDI) と共同で、東京都三鷹市 (注5、以下 三鷹市) の協力のもと、「コミュニティ形成支援」の実証実験を昨年12月から開始し、2010年3月末まで実施する予定です。
本実証実験は、小学校児童の放課後の居場所事業活動を行う「三鷹市地域子どもクラブ」において、その保護者やボランティア等のメンバーのコミュニティ形成を、SNS (Social Networking Service、注6) を中心とした先進技術を活用し支援するものです。本実験は、文部科学省 科学技術振興調整費における「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成」により実施しています。

三鷹市地域子どもクラブは、保護者や地域ボランティアなど多様なメンバーによって活動が支えられているため、円滑な活動推進のための情報共有やコミュニティ形成が課題となっていました。本実験では、NECがSNSや動画管理を実現する「地域子どもクラブ情報共有支援システム」を開発し、メンバーはKDDIが提供する携帯電話や自宅のパソコンを用いて本システムにアクセスし、緊急連絡事項・行事予定・活動報告・日記・動画などを複数のクラブにまたがって手軽に入力・把握することができます。

現在、本実証実験は三鷹市の3つの地域子どもクラブにおいて、各クラブ20人程度のメンバーが参加して行っております。今後、他のクラブへの展開も視野に入れながら、メンバー間の情報共有やコミュニティ形成が、新システムの利用によりどの程度向上するかといった効果と有用性を実証していきます。

このたびの実証実験の詳細は以下のとおりです。

  • 注1) 塾長: 安西祐一郎、所在地: 東京都港区
  • 注2) 慶應義塾大学「コ・モビリティ社会の創成」
  • 注3) 代表取締役執行役員社長: 矢野 薫、本社: 東京都港区
  • 注4) 代表取締役社長兼会長: 小野寺 正 本社: 東京都千代田区
  • 注5) 東京都三鷹市 市長: 清原慶子
  • 注6) 人と人とのつながりを促進・サポートする、コミュニティ型のWebサイト

●1. 実証実験の概要

(1) 目的
三鷹市では、市立小学校児童の放課後の居場所事業活動として、市内の小学校ごとに地域子どもクラブを立上げ、保護者や地域ボランティアの運営による支援活動を合計15団体で行ってきた。しかしながら、地域子どもクラブを構成する保護者や地域ボランティア全員が顔をそろえることが困難であり、お互いの活動状況を情報交換するコミュニケーション手段が無かった。
そこで、PTAメンバー、地域ボランティアメンバー同士のコミュニティ形成をICTツール (Information and Communication Technology) を利用して促進することが、問題解決法のひとつの有効な選択肢として、今回の三鷹市での実証実験では、SNSシステムを特定の地域子どもクラブ向けに導入することで、保護者やと地域ボランティアの情報共有、コミュニティ形成支援の効果と有用性を実証する。

(2) 実証期間
2008年12月~2010年3月31日

(3) 実験地
東京都三鷹市内

(4) 実験の参加者
三鷹市にある三鷹市地域子どもクラブ (15団体) の中から希望する3クラブが対象。各子どもクラブ関係者 (PTAメンバー、地域ボランティアメンバー、教員、市職員等) の合計60名以上。

(5) 実証実験概要
NECのBIGLOBEデータセンターに設置したSNSシステムを核として、各地域子どもクラブ向けにSNSを個別に開設。各地域子どもクラブ関係者同士で、予定登録・日ごろの活動報告・緊急連絡等を、携帯電話および自宅のパソコンを用いてSNSにアクセスすることで情報共有を行う。
若い世代のメンバーの日記に対してシニア層のメンバー (地域ボランティア) がコメントする等、子育て悩み相談的な利用のしかたもできると既に好評を得ている。フォーマルな情報共有からインフォーマルなコミュニケーションまで、お互い顔の見えるメンバー同士で活発なクローズドコミュニティ形成支援をはかっている。

(6) 慶應義塾、NEC、KDDIの役割
慶應義塾: 地域子どもクラブにおける実証実験の実施、運営とりまとめ、地域子どもクラブ関係者のサポートを実施
NEC: SNSシステムに動画管理機能を加えた「地域子どもクラブ情報共有支援システム」を開発。慶應義塾の技術サポート、地域子どもクラブ関係者のサポートを実施
KDDI: 携帯電話の提供

(7) 「地域子どもクラブ情報共有支援システム」で用いる製品・技術 (NEC製)
「Social Tool Mart」(注7) : SNSをベースにした、地域子どもクラブ関係者だけが閲覧できるシステム
SNS間連携機能: 個々のSNSを連携し、SNSの枠を超えた情報共有コミュニティを実現。
動画管理機能: ビデオ動画をSNS上に登録し、関係者に限定公開する機能を新開発。

  • 注7) 「Social Tool Mart」は、NECの登録商標

図: 三鷹市地域子どもクラブ向けSNSシステムの概要

慶應義塾は今後、今回の実証実験で得た成果をもとに、本事業をはじめとして、他のいくつかの自治体等との共同研究や最先端の情報システム・移動体システムの研究を進め、子どもから高齢者までが盛んな交流ができ、自由に移動できる、安心安全で活発なコミュニティを作ることを目指した『コ・モビリティ社会の創成』のための社会基盤の構築に取り組んでいきます。
また、NEC、KDDIは、今回のプロジェクトに参加協力することにより、IT・ネットワークを中心としたソリューションとして、子育て・福祉分野に貢献してまいります。

〈参考情報〉
慶應義塾大学では、2008年11月~2009年3月1日の期間、保育園を中心とした子育てコミュニティの形成の一助となることを目的として、NEC、DNP、KDDIと共同で、SNS (ソーシャルネットワーキングサービス)「Social Tool Mart」(前述注7)、携帯電話をかざすことで手軽に情報を取得できる「サイトキッカー (DNP提供)」、位置情報が写真やコメントに連携する「情報クリッピングシステム」(DNP提供)、携帯電話 (KDDI提供)、インターネット等を組み合わせた「保育園情報共有支援システム」を新たに開発し、三鷹市内にて保育園におけるコミュニティ形成支援の実証実験も行いました。

  • ※ ニュースリリースに記載された情報は、発表日現在のものです。
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