働きやすさを、
社会のチカラに。
多様性ある
人事制度の整備
コーポレート統括本部
人事本部 人事企画部
山田 由紀子
人事で体現するKDDIの
“ダイバーシティ”
KDDIはそもそも、組織の哲学にダイバーシティが反映されています。さまざまな企業が合弁して成り立ってきた背景もあり、「KDDIフィロソフィ」に“ダイバーシティが基本”と掲げられているのです。2008年からダイバーシティ専担部門が設置され、私が所属するD&I推進室では全社のダイバーシティとインクルージョンの推進を担当しています。
具体的には、女性やエルダー、若手、障がい者、外国籍、LGBTQ+など、たとえ社会の中でマイノリティと呼ばれる立場であったとしても、あらゆる社員が活躍できる施策を企画・実行したり、仕事と育児や介護との両立支援などを行ったりしています。
なぜこうした取り組みを行うのか。それは、誰もがそれぞれの強みを活かすことで新しい価値が生まれ、結果として、社員と企業の成長につながると考えるからです。
社員の声に応えた、同性パートナーとの子育て支援制度
2020年6月から導入した「ファミリーシップ申請」は、同性パートナーとのお子さんを社内制度上“家族”として扱い、育児休職や子の看護休暇・出産祝い金などの社内制度を適用する制度です。導入のきっかけとなったのは、同性パートナーを配偶者として扱うパートナーシップ制度(2017年導入)を申請している社員から、「将来子どもを持った時、会社として支援してもらえるのか」と相談を受けたことでした。
今の日本では、法律上同性婚が認められていません。そのため、同性カップルの場合、双方が親権を持つことができないのが現状です。その社会課題に対し、会社としてできる限りの支援をしたいと思い、同性パートナーのいる社員やLGBTQ+の子育て支援を行うNPO法人の方に実情や問題点、どんな支援が必要かを伺って、運用フローやシステムの検討を行いました。
当初、社内では「まだ当事者がいないのに作る必要があるのか?」という声も挙がりましたが、KDDIがこの制度を作ることは将来当事者となる可能性がある社員の安心につながるだけではなく、ほかの社員や社会へのメッセージにもなると考えたのです。
制度を開始してみると、反響は予想以上でした。同性パートナーを持つ社員から「子どもを持つ希望の後押しとなった」と言ってもらえたり、LGBTQ+を支援する方々が拡散してくださったり、他企業からヒアリングを受けたり。中学生から研究資料として内容を教えてほしいとの問い合わせもいただきました。グループ企業のKDDIエボルバでも2020年8月に同様の制度が導入され、2021年1月からは兵庫県・明石市で自治体で初となる「パートナーシップ・ファミリーシップ制度」が始まったことで、社会への広がりも感じています。
グループ企業とチャレンジ!
男性の育休課題
KDDIグループの魅力は、通信を核に多彩なリソースを活かしてさまざまな社会課題にリーチできること。ママ向けアプリ「ママリ」を運営するコネヒト株式会社も、ともに課題に取り組むグループ企業の1つです。
同社では、男性育休の質を向上するための冊子を作り、10万部配布するプロジェクトを展開。既に70自治体に配布しています。KDDIは冊子づくりの支援や、全国の拠点が持つネットワークを用いた冊子配布の展開、夫婦で参加できる男性育休者向けワークショップの共同開催など、さまざまな形で協力体制を築いています。KDDIで推奨しているのは、女性一人ではなく、パートナーや周囲の協力者とともに子育てを行う「チーム育児」。男性の育児参加によって、子どもとのかかわり方や価値観が変化し、女性活躍の後押しにも繋がるのではないでしょうか。
男性育休は、各社制度はあるものの実態が伴っている企業は未だに少なく、社会課題の一つでもあります。コネヒトとの取り組みを経て、グループ内のリソースをそれぞれの得意分野で活用することにより相乗効果が生まれ、多くの人に対して迅速なアプローチが可能になると感じています。
“誰もが自分らしく生きられる社会”を次世代につなぎたい
私が入社以来所属してきた人事部門。以前は「社員が働きやすくなるように」との一心でしたが、最近はKDDIの動きが社会へどのように波及するかも意識するようになりました。
一人ができること、一企業ができることは小さいかもしれませんが、思いを込めて作った制度が社会の現状に苦しむ誰かの光となり、それが世の中に気づきを与え、いずれ大きなうねりに変わっていくかもしれません。SDGsの“誰一人取り残さない”という理念にも通じ、やりがいを感じています。
私自身、小学生の娘がいますが、彼女が大人になる頃には、すべての人が既存の枠にとらわれず、個性や強みをのびのびと活かし、自分らしく生きられる社会になっていてほしい。その実現に向けて、今の時代を支える私たちにできることは、まだまだありそうです。違いを楽しみ、“彩り”に変えて、ワクワクするようなバトンを次世代につないでいきたいと思っています。
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