ESG説明会 (質疑応答)
日時 | 2018年3月13日 (火) 9:30~11:30 |
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場所 | ガーデンエアタワー28階プレゼンテーションルームA |
登壇者 | 理事 総務・人事本部 (CSR・環境担当役員) 土橋本部長 総務・人事本部 総務部 田中部長 総務・人事本部 総務部 CSR・環境推進室 鳥光室長 総務・人事本部 人事部 D&I推進室 間瀬室長 ビジネスIoT推進本部 地方創生支援室 阿部室長 IR室 堀井室長 (司会) |
質問者1
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- 「女性社員の活躍と効果」(P.46) について、女性社員のライン長登用後に「なって良かった」とのマインドが74%とのことだが、逆に言うと4人に1人は「ならない方が良かった」となる。男性だと「なってよかった」と思う人がもっと多いのでは? 女性リーダーに関しては、貴社でもまだ色々な障害や風当りなどがあるのでは? そういったことへの背景や現在の取組みがあれば教えて欲しい。
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登用後のマインド調査については、男女共にアンケートを実施しているが、男女感の差はそれほどない印象。では、「なぜライン長になって良くなかったか」については、働き方において、責任者だとどうしても長時間労働になりがちな部署もあること、またグループリーダークラスでは、部下と上司との狭間で調整事も多くなり、時間のコントロールが難しいなどの要因があるのではないかと感じる。
一方で、育児をしながらライン長を務めている女性ライン長は全体の3割以上いるが、「最近周りが理解してくれるようになった」、また17年1月からの働き方改革で20時退社となり、「働きやすくなった」という声もあり、徐々に改善していくことを期待している。(間瀬室長)
定性的な話ではあるが、女性社員はライン長になる前はやっていけるのか心配になるが、なってみると責任も権限も働き甲斐もあり、「なって良かった」という社員が増えていると思う。今後も積極的に女性ライン長を登用し、社会に貢献できるよう育成していきたい。(土橋本部長)
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- コーポレート・ガバナンスについて、組織構造はしっかりしていることがよくわかったが、今回の社長交代を例として、その決定プロセスはどのようになっているのか、教えて欲しい。
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新社長の選任続きに関しては、取締役会への付議の前に指名諮問委員会での審議を得て、取締役会で決議した。現社長は長年やってきたため、次の後継者については以前から考えていたが、次の新しい中期計画を新社長で検討した方が良いと考え、このタイミングでの交代となった。(土橋本部長、田中部長)
質問者2
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- ESGのうち、E・Sの面で企業価値向上にかかる財務に貢献していくものについて、アイディアがあれば教えて欲しい。
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IoTは通信環境を整えることが必須であり、現地の産業の活性化及びIoT利用を通して、通信需要が地域でも増えていく結果となるため、長期的に取り組んでいきたい。そのためには使ってもらうための環境整備などの仕組み作りが必要。地域の課題解決にはIoTの伸び代があると考えており、具体的な利用方法をどんどん見せていくことが、利用増につながっていくと考えている。(阿部室長)
スマホ・ケータイ安全教室は、青少年が私たちの提供する商品やサービスを使うことによりトラブルに巻き込まれるという負の部分をゼロにすることを純粋に目的にしている活動であり、auシェア向上を目的とはしておらず、どの程度事業に貢献しているかのデータはない。一方で、シニアについては講座の現場で「使ってみたい」という声や、「このあとauショップに行きます」という声をよく聞く。シニアの通信リテラシー向上を目的とし、営業を目的としている活動ではないものの、auユーザー増や企業価値向上につながっていると自負している。(鳥光室長)
ESG活動の強化により、人財育成含めて会社の総合力が向上し、業績向上にも直結すると思う。ESG活動と業績の関連性の見える化については、今後の課題として取り組みたい。(土橋本部長)
質問者3
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- 多様な人財には女性やシニア、LGBTもあるが、個人のインクルージョンという意味では貴社に限らず日本全体で考えたときに、新卒入社からいる社員と、中途入社の社員のインクルージョンが重要と考えている。貴社は今後のビジネスモデルとして、従来の通信事業に加えて付加価値の事業を強化していく局面であると思う。それに伴い、今までと違う人財・能力を外から入れる機会も増えると思うが、その時に、新旧の社員が一緒になり事業を進めるにあたって何か取組みをしているか?
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現在、ライフデザイン事業拡大に向け、従来よりも中途入社社員を多く採用している。中途入社の社員に対するインクルージョンの活動は特に実施していないが、当社では全社でフィロソフィ推進をしており、全社員が年3回必ず勉強会に参加している。勉強会では様々な部署の社員が集まってフィロソフィについてディスカッションをしており、中途入社の社員も色々な社員と企業文化の違いを話し合う機会があるのも、当社の特徴だと考えている。(間瀬室長)
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- 本日漁業の話を聞いたが、特にE・Sの取組みを進めて行く中で、他社との連携はどうしているか?
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他社というよりも、現地との連携が重要だと考えている。現地との関係づくりの中で、課題特定や座組み作り、またデータ取得・分析にあたり、地域の学術機関などとの産学官でのフォーメーションがあって初めてプロジェクトは具体化できると考えている。現地にマッチングさせて我々の通信を提供できるようにしていきたいと考えている一方、現地に沿った地道で丁寧な取組みが必要だと考えている。(阿部室長)
質問者4
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- 一般的にはICT化は環境負荷を低減させる一方で、ITを使うこと自体がエネルギー消費となるので、他社のようにIT化が環境負荷を減らしているというアピールが重要だと思うが、そういった開示についてはどうしていくのか?
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現在はCO2削減が全世界的な課題になっているので、KDDIも「KDDI GREEN PLAN 2017-2030」で2030年までにCO2排出量を7%削減するという長期目標を掲げて推進している。今までは環境についてはリスク観点での取組みが中心だったが、現在はこれを機会と捉えており、我々の商品・サービスをご利用いただくことにより、自社だけでなく社会のCO2削減に貢献したいと考えている。定量的な削減効果の検証については、今後の課題と認識している。(鳥光室長)
今回説明した地方創生への取組みは、「魚がどのくらい取れるかの予想」ではあるが、船を出す燃料コストを含めた環境負荷の削減にも有効なデータである。まだ実施は一か所だが、全国展開をして予測に基づいた漁業が可能になることにより、長期的にはエネルギー負荷軽減や漁業のコストコントロール含め、環境に貢献できると考えている。(阿部室長)
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- 取締役会の実効性評価について (P.57)。本日貴社では実際の取締役会では掘り下げた議論があると伺ったが、ガバナンス報告書や統合報告書での記載内容は、企業によりさまざまである。具体的なものがあると理解が深まるが、実効性評価について我々が正当に評価するために、もう一段説明力を高めることについてはどう考えているか?
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ご指摘の点はもっともであるが、経営上のトップにある取締役会での内容は具体的な開示に支障や限界があることはご理解いただきたい。ただし、ここ (P.57) で記載している2つの点については、独立の社外取締役・社外監査役からのコメントのほぼそのままの要約であることはお伝えしたい。幅広くかつ多角的に議論といった点の例としては、BREXITに関して、通商問題や税制面といった社内ではすぐ出てこない議論が出てくる。また、社内では当然のものとして使っているシステムについて思わぬご指摘を頂いたりと、社内だけでは気づきを得られないものがある。取締役会では、様々な経験にプラスして高度な専門知識に基づいたご意見を頂けるので、非常に参考になることが多い。(田中部長)
取締役会は社外役員が参加するようになってから緊張感が増した。案件についての真剣な議論が交わされることにより理解が深まり、会が活性化していると感じる。それを株主の皆様にご理解いただく工夫をすることは今後も課題としていきたい。(土橋本部長)
質問者5
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- (P.58) 役員賞与の決まり方のマトリクスは? 株主が長期保有するときの株式価値の拡大と経営陣の報酬がきちんと連動しているかについて知りたい。また、表の業績連動部分の率は平均値だと思うが、役職が上になればなるほど、業績連動部分が大きくなるようにデザインされているのか? 取締役の中では社長でも会長でもこの比率は同じか?
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大枠として、賞与・株式報酬とも中期計画に基づき、単年度計画で重要な事項についてのKPIを設定しており (社外には非開示)、目標を達成する度合いによって賞与・株式報酬が決まっていく。P.58に記載している株式報酬の割合は社内取締役の平均だが、執行役員や管理職はこの連動報酬割合は下がる。取締役の中でも役職によって差異がある。(田中部長)
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- 優れた人材確保・リスクマネジメントの観点から、働き方改革の内容について教えて欲しい。
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当社の働き方改革は1年前の2017年1月から実施している。それまでは当社は、目標を決めたら時間を惜しまずとことん仕事をやる文化が長年根付いていたが、まずは数値目標を立て、1年かけて時間外労働の削減をしてきた。現状はかなりのレベルに削減できてきたところである。ただし削減するだけでは仕事の内容の向上につながらないので、今は生産性の向上にも取り組んでいるところである。具体的にはRPAによる業務効率化やモバイルワークの整備により外出先での仕事をやりやすくしたり、業務の見直しなどによる軽減化をしている。しかしまだ不十分のため、今後も引き続き生産性向上に取り組む。
また、今年からは働き方改革の一環として健康経営への取組みも開始した。(土橋本部長)
質問者6
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- 昨年度からの中期計画において5,000億円枠でM&Aを実施しているが、取締役会ではM&Aについてどのように活発な議論が交わされているか?
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取締役会への参加者全員のご理解を得て議論が充実したものとなるよう、[1] 社外取締役の方からみても分かりやすい資料にする、[2] 事案の背景を明確にする、[3] 社内の議論を踏まえてどこが論点かを明確にする、と改善してきた。M&Aについては、PMIの状況についても定期的にアップデートする手順を取り入れている。(田中部長)
質問者7
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- たんぱく質の供給が減っていく中で、鯖IoTは産業としては重要だと思うものの、現地産業とKDDIのつなぎ手となる人財が貴社にはいないと思うが、とりあえずやってみただけなのか?
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地域の大きな課題を把握している自治体に話を聞きに行くところからスタートした。我々も地域に拠点があるためもともと自治体のトップの方と話をする機会などを通して、徐々に現地と話をしていった。そういった中で、我々が提供する通信以外のデータ収集及び分析にかかる水産試験場や大学等との座組みができたところでやっとプロジェクトになっていった。このプロセスがノウハウとなり、また地方創生のヒントがあると思う。今回は鯖を例に挙げたが、全体のプロセスを知見として他にも応用していきたいと考えている。(阿部室長)
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- そのノウハウを蓄積して回したりモデル化していくことを整備していけば事業として成り立つのか?
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自動車や他の産業ではプラットフォーム化を進めている。今回は社会貢献度の高い一次産業を中心にご紹介しており、、我々が今できるところから取り組んでいる。また、当社はau WALLET Marketなどの販売の手段も持っているので、将来的には販路においても貢献していきたい。(阿部室長)
質問者8
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- P.46にある「研修後のマインド変化」について。「管理職の意向なし」の社員への取組みにより、ここ5年でマインドはかなり改善していると思うが、管理職志向についてはこの5年でどのような取組みをしているか (ロールモデルが増えているから、などの理由はあるか)?
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定期的にデータを取っていないが、変化という意味では2015年度 (女性ライン長90名目標時点) は管理者志向の女性社員は管理職候補者の中でも3割に満たなかった。実際に社内で話を聞くと、管理職まではなりたいという人がほぼ全員であり、管理職からライン長への登用が課題と捉えている。(間瀬室長)
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- 他社では女性をリーダーに登用した後もサポートすることによって活躍していると聞いたが、貴社も管理職登用後の女性をサポートする仕組みはあるか?
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部長候補者についてはスポンサーとして本部長もしくは副本部長がついている。それ以外のライン長候補の管理職については、会社としての制度はないが、サポートする体制が必要と考えている。具体的には、管理職候補にとってはライン長、ライン長には部長もしくはそれ以上の役職の女性同志の縦のネットワークが必要と考えており、女性社員が参加できるイベントの実施などを通して、縦のつながりを強固にしていこうと考えている。(間瀬室長)