事業説明会
SDGs説明会 (2019年10月10日)
開催日時 | 2019年10月10日 (木) 14:30~16:30 |
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開催場所 | ガーデンエアタワー会議室 (東京都千代田区) |
説明会の内容 | 中期経営計画で策定した「KDDIが目指すSDGs」およびサステナビリティ方針に基づく目指す姿を通信と地方創生、そしてガバナンスを中心に説明 |
参加者 | 投資家様、アナリスト様、メディア関係者様 約50名 |
登壇者 | 取締役執行役員専務 コーポレート統括本部 村本統括本部長 理事 総務本部 田中本部長 理事 運用本部 吉村本部長 理事 経営戦略本部 松野副本部長 堀井IR室長 (司会) |
説明会資料
KDDI SDGs説明会プレゼンテーション資料 (9.8MB)
第一部. 当社のSDGsに関する説明
村本専務から、当社の持続的な成長と発展を目指すためのサイクルについて説明。事業・企業活動を通じて解決する社会課題と、これまでの課題解決のための当社の取組みをご紹介いただきました。
その後、当社の安全で強靭な通信サービス提供の取り組み及び災害対策について吉村本部長、田中本部長から、当社の地方創生について松野副本部長から、コーポレートガバナンスについて田中本部長から解説。
当社が目指す社会の持続的な成長への貢献について、参加者にご理解いただきました。
第二部. 質疑応答
質疑応答では、登壇者を中心に参加者の質問に回答しました。
質問者1
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- 資料8ページでサステナビリティ目標を挙げているが、「グローバル」の「情報格差解消のためのICTプロジェクト累計6件」、「地方創生」の「IoT/ICTを活用した地域との課題解決の共創の取組み累計60件以上」という目標数値の根拠、及び決定の背景について教えてほしい。
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「グローバル」の「情報格差解消のためのICTプロジェクト累計6件」については、各事業部門との検討に加え、KDDI財団の取り組みについてもSDGsに貢献できる取組みとして向こう3年間分を洗い出し、定量化を行った。
「地方創生」の「IoT/ICTを活用した地域との課題解決の共創の取組み累計60件以上」については、3年間の目標として設定した。理由としては、例えば実証実験についてもパートナー様と相談しつつ試行錯誤を重ねて達成していくものであり、どうしても時間がかかる。協定を結んだもののうち、3年後にどのくらい達成できるかを個別に見ていった結果、60件という数値となっている。
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- CO2の削減について、現在の進捗と、KDDIならではの取り組みを教えてほしい。
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CO2の削減目標は、2030年度までという中長期な目標としている。
目標達成には様々な市場環境による影響があると考えており、例えば再生可能エネルギーの日本国内供給量や社会的な状況変化も関係がある。
足元では、2018年度においてCO2量が目標よりも若干上振れしている。
2019年9月に公表したサステナビリティレポートにも記載しているので、ご確認いただきたい。また当社ならではの取組みとしては、省エネルギー型の設備の使用や、再生可能エネルギーの活用がある。
通信事業の特徴としてCO2排出量、電力量ともに増える傾向にあるので、そこを抑えるためにあえて定量的な目標を掲げている。
こういった点が他社よりも一歩踏み込んで取り組みができているところではないかと考えている。
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- 5Gが普及するにつれ、どうしてもCO2排出量が増えてしまう。機器ベンダー様の努力で排出量の抑制は可能なのか。
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機器そのものの省エネ化については、ベンダー様の技術開発に依存する点はある。
また当社はデータセンター事業も行っているが、データセンター事業は電力消費が大きい。
データセンター事業の電力消費についても、効率化の指標をKPIとして設定しベンダー様と共有しており、かなり高い目標を目指している。
より効率的なデータセンターの運用という観点では、空調をモニタリングするシステム等の導入を、新しいビルから行うことを考えている。また5Gではかなりの数の基地局を構築することになり、それに伴い電力消費量も大きくなる。
ソフトバンク様との基地局シェアリング等で、より効率的な基地局の構築を行い、全体的な電力消費を抑えていこうと考えている。
電力消費量は大きな課題であるため、引き続き取り組んでいく。
質問者2
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- 資料8、9ページに記載の社会課題の位置づけを教えてほしい。
例えば目標達成を役員報酬などと紐づけていくことを考えているのか。 -
SDGs目標そのものを役員報酬には紐づけていない。ただしSDGs目標は中期のビジネスプランに紐づけるという考えのもとに設定しているため、中期経営計画のKPIとSDGsの目標がリンクするようにしている。
報酬は中期経営計画のKPIに連動する形になっているので、結果的にはSDGs目標とも連動するというとらえ方をしている。
- 資料8、9ページに記載の社会課題の位置づけを教えてほしい。
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- 資料92ページのガバナンスについて、社外役員の多様性・専門性を記載していただいているが、別の視点から見ると、筆頭株主の代表の方が社外取締役に入っている。筆頭株主との間で役員の相互派遣がされているという状況について、なぜその役員でないとだめなのかを説明する必要があると思うが、どのように考えているのか。
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まず、我々からは役員の派遣を行っていないので、相互派遣という形にはなっていない。
いろいろご指摘はいただいているものの、我々としては、取締役構成全体の多様性・専門性を考慮したうえで人選を行っており、毎年の株主総会でも当社のスタンスは丁寧にご説明させていただいている。
質問者3
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- 災害時の復旧の課題について具体的に教えてほしい。
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台風15号の際のネットワーク復旧について楽観的に想定していたが、その被害は予想以上となった。
重要なことは、危機を感知したら速やかに災害対策活動を開始すること。もし想定より被害が軽いようであればそこで止めれば良いのであって、問題がないと思い込んで災害対策を怠ると、被害が大きくなってしまう。
ただ、災害は不連続で起こり、かつ毎回違う形で発生しているため、それを事前に想定して対応することの難しさはある。
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- 資料25ページに、災害対策投資の前倒しに関する説明があったが、今回のケースにおいて役に立ったのか。
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投資の前倒しにより復旧時間が短縮できた。今回投資した機材は全国に分散されていたが、それを被災地に集めて対応できたのでかなり役に立った。
今回の台風15号による被害は千葉に集中したが、被害が1都3県に広がった場合にも迅速に対応するためシミュレーションを行い、投資を増やしていく。
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- ひとつひとつの地方創生プロジェクトは、サステナビリティの観点から、どれだけ継続的に地方創生に役立つのか。
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他社もSDGsの観点で地方創生に取り組んでいるが、これといった成功事例はまだ見出せていない状況だと思う。
過疎化や高齢化により働ける人がいなくなるような地域の課題をIT・ICTで解決するため、当社は通信を活用することを考えている。イノシシの被害対策もその事例の一つ。
ただ、このような対策が高価なサービスになってしまうと、地元で使っていただく方の経済的な負担も増えてしまう。
また、地元の方々に使っていただくためには、その技術に対する地元の方々のリテラシーを上げることや、それをしっかりサポートする体制が必要。
当社も実証実験で課題解決のケースを多数出しているが、実際、サービス化するためには、地元の方々に使っていただけるものにする必要がある。
このような取組みは短期間ですぐ成果を出せるものではなく、時間をかけて長期間で対応していく取組みだと考えている。
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- 他の地方も同じ課題を抱えていると思うが、個別の案件をつないで横展開したりネットワーク作りをしていくといった取り組みは行っているのか。
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各自治体がそれぞれ実証実験をしている中で、成功事例を横展開していかないといけないと思っている。
当社はベンチャー企業とのネットワークがあるので、プラットフォーム化していくことがこれからの課題だと考えている。
質問者4
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- 災害対策のための投資を増額したとのことだが、投資規模としてどれくらいのものだったのか。
また、どの程度の災害規模を想定しながら今後投資を増やして行くのか。 -
投資金額の規模は非開示とさせていただくが、当社が想定している災害としては、1都3県の首都圏直下型地震、及び南海トラフ地震であり、これらに対して準備を行っている。必ずしも投資が足りているわけではないため、今後も必要に応じて可搬型基地局など増強していく予定。ただし、今回ほどの大幅な増強をしなくても、ある程度は対策ができていると考えている。
また、災害対策はハード面だけではなくてオペレーションを含めて効率化できるかが重要。
例えば今回の台風15号では、千葉県南部に行くのが遅れたため、機材が余っているという状態があった。
今後もオペレーションを含めて災害対策を考えていく。
- 災害対策のための投資を増額したとのことだが、投資規模としてどれくらいのものだったのか。
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- 今回SDGs説明会を開いていただき、マネジメント・会社の取り組みを理解することができた。一方でSDGsに関する社員の意識向上やモチベーションの向上はどのようにやっているのか。
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今回中期経営計画を対外的に発表し、社内でも周知を進めているところ。
ただし、社員の意識調査では、全体像や目指す方向は理解できたものの、自分の仕事や立場において具体的にどう行動していいのかが結びついていない、という声が聞こえてきた。
そこで昨年から今年にかけて、社長含めボードメンバーで手分けをして全国、部署ごとにインタラクティブなミーティングを階層別に行うことで、中計・SDGsを腹落ちしてもらっている。
こういった取組みにより、少しずつ効果は出てきているのではないかと思っている。全社的にはトップダウン・ボトムアップ両方の側面から行う必要があると考えている。
例えばトップダウン型では役員を含めた幹部社員での勉強会、ボトムアップ型ではe-ラーニングによる全社教育を行っている。
また、SDGsは事業を通じての貢献となるため、事業部門ごとの啓発活動を始めている。
我々としては全社員が取り組むことを目指しており、3年間で中期経営計画に合わせて全社員で取り組んでいけるような環境を作っていきたい。
当日の様子
新宿ビル通信設備見学会 (2019年2月19日)
開催日時 | 2019年2月19日 (火) 14:30~16:40 |
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開催場所 | KDDI新宿ビル (東京都新宿区) |
見学会の内容 | 当社通信ネットワークを運用・監視する各センターや、光ファイバー設備などの見学、質疑応答 |
参加者 | 投資家様、アナリスト様 25名 |
登壇者 | 代表取締役執行役員副社長 技術統括本部 内田統括本部長 理事 技術統括本部 運用本部 奥山本部長 運用本部 モバイルオペレーションセンター 古畑センター長 グローバル技術・運用本部 グローバルネットワーク・オペレーションセンター 原田副センター長 ネットワーク技術本部 ネットワーク開通部 川上部長 IR室 堀井室長 (司会) |
第一部. 当社の取組み説明
奥山運用本部長より、当社の国内・海外のインフラ及び運用保守体制を説明。設備の冗長化・複線化の仕組みや人員体制など、事業基盤となる通信インフラを24時間365日途切れることなく守る運用体制について解説。また大規模災害に備えた災害復旧訓練の実施内容、過去の災害時の具体的な取組みをご紹介。有事の際にもライフラインとしていち早く通信手段を復旧・維持する当社の取組みについて参加者にご理解いただきました。
第二部. 設備の見学
auのモバイル通信の監視運用を行う「モバイルオペレーションセンター」、海外の通信の監視運用を行う「グローバルネットワーク・オペレーションセンター」、光ファイバーケーブル等を敷設する地下の「洞道」の3カ所を、設備の解説を交えて見学しました。
第三部. 質疑応答
質疑応答では、技術統括本部長の内田副社長をはじめ登壇者が参加者の質問に回答しました。
質問者1
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- 5Gでは基地局が増加すると思うが、運用体制やコストについて教えてほしい。また、楽天が導入を予定している仮想化技術をどう見ているか。
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5Gの本格化に備え、細分化している業務の標準化やプロセスの最適化を図り、自動化を推進している。基地局が増加しても、運用コストはそれに連動した形では単純に増加しないと考えている。
仮想化技術については、方向性は正しいが、快適な通信環境を提供する上での課題は多いと見ている。当社では4,000万超のお客さまにご利用いただいており、障害や突発的なトラフィックにも対応できるように慎重に取り組んでいきたいと考えている。
質問者2
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- 運用保守の国際拠点 (GNOC) にベトナムがあるが、ベトナムに拠点を設けた理由は何か?
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東南アジアには個人・法人のお客さまが多く、運用保守拠点を設置したいと考えていた。東南アジア各国での設置を総合的に検討した結果、ベトナムに設置するに至った。
質問者3
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- IoT世界基盤と現状のネットワークの運用体制の違いは何か?
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IoT世界基盤では世界各地のネットワークを複雑に組み合わせることになるため、新宿に専担の運用体制を設置し、対地毎の状況に応じて海外のパートナーとの連携強化を進めている。
質問者4
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- KDDIのネットワークを運用保守している人員の規模感を教えてほしい。また、海底ケーブル事業の足元の競争環境を教えてほしい。
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具体的な人数は申し上げられないが、当社社員のほか、業務委託先やパートナー様も業務にあたっており、業務量に応じて人員の見直しを図っている。
海底ケーブル事業については、過去にはトラフィックの爆発的な需要拡大を想定し、投資を目的として異業種も参入したが、現在は通信容量の確保の技術も進み、一部OTT事業者がトラフィック確保のために参入しているものの、競争環境は安定している。
<参加者のご感想>
世界中のネットワーク運用状況を良く理解することができた
あらためて総合通信事業者であること、インフラを守るために多くのことに取組んでいることが理解できた。
大ゾーン基地局によって、災害時に東京エリアが十分にカバーされていることを知った。
<参加者の満足度>