事業説明会
カナダ(トロント)におけるデータセンター事業の説明会
開催日 | 2024年3月25日 |
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開催場所 | カナダデータセンター(トロント) |
見学会の内容 | データセンター設備見学、説明、質疑応答 |
参加者 | 投資家様、アナリスト様 |
登壇者 |
データセンター事業の説明
KDDIグループでは、コンテンツプロバイダやクラウド事業者、通信事業者などのお客さま同士が相互接続しやすい高品質なコネクティビティデータセンター(以下、コネクティビティDC)を中心に、グローバルでデータセンター事業を展開しております。
2023年6月に「KDDI Canada, Inc.」を設立、カナダでデータセンター事業を運営するAllied Properties REITからデータセンター事業を譲り受け、2023年9月より当社による運用を開始しました。カナダのコネクティビティNo.1のデータセンター事業の取込みにより、欧州、アジアに北米を加えた3極で事業の拡大を目指します。
<カナダデータセンター>
<151 Front Street West>
<250 Front Street West>
<905 King Street West>
(参考)
カナダにおける子会社の設立について
Notice Regarding the Establishment of a New Subsidiary in Canada
設備の見学
トロントのデータセンター3棟のなかの1つで、カナダで最も多い相互接続数を誇る「151 Front Street West」を拠点責任者である足立CEO、久保COO、設備部門長のDoug Special Advisor, Mark Directorの解説を聞きながら見学いただきました。カナダでの初めての電報が疎通した歴史的な場所であること、Enwave社とのパートナーシップにより、低温のオンタリオ湖水を利用した自然冷却を優先的に利用し、空調設備(チラーなど)をバックアップとすることで通常運転時の電力消費を大幅に節減することが可能な環境配慮の空調設備をご覧いただきました。
<黄色のケーブルの束がコネクティビティ(接続)>
<コネクティビティ設置スペース>
<冷却装置>
主な質疑応答
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- 北米にはコネクティビティデータセンターはどのくらいあるのか。
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正確なデータはないが、60以上の相互接続があるデータセンターがコネクティビティデータセンターとされ、ロサンゼルス、サンフランシスコなどで運営されている。その中でも、当社のデータセンターは、すでにカナダ3大キャリアをはじめ欧米キャリアやインターネットプロバイダが多数入居しているのに加えて、AWS社やMS社などコネクティビティDCの魅力につながる企業が入居しているのが強み。コネクティビティ(ネットワーク事業者)の数ではカナダ国内では圧倒的、アメリカを含む北米でも300弱も利用できるのはトップレベル。
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- トロントのデータセンターでどのくらいのスループットがあるのか。
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帯域という観点で各入居者である事業者のみが知りえるため測定はできないが、データベースからもトロントの人口からもこのデータセンターのエコシステムによりカナダ国内インターネットトラフィックの大半が疎通していると推測できる。
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- 利用するお客さま企業との契約期間はどのくらいか。
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5年または10年の契約期間となっている。コネクティビティデータセンターの強みは、事業者同士が複数つながりあう構造上、ハイパースケーラー向けのデータセンターに比して解約率が低いことも挙げられる。
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- コネクティビティDCーとハイパースケーラーDCとで立地やお客さまの数にどのような違いがあるか。
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ハイパースケーラーDCは規模が大きいこともあり郊外に設置されるケースが多い。自社利用が主な目的となり、データセンターに入居するお客さまの数は少ない。コネクティビティDCは市街地に設置されることが多く、相互接続という特性から入居するお客さまの数は多く、加えて今後も動画需要からもデータトラフィック増だけでなく、関連事業者も増えるため数の側面も接続が増えていくと予想される。
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- さらに市場が拡大し需要が期待できるとして、今度のキャパシティ拡大の計画は。
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キャパシティの拡大にはテクノロジーに加え冷却技術も必要となっていく。サーバはお客さまのものなので、お客さまサイドで機器のアップグレードをするということでのキャパシティ拡大もある。当社でのキャパシティ拡大はお客さまの需要をみながら検討していく。
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- カナダDCのバリュエーションはどうみているか、収益力や価値評価は妥当か
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EBITDAマージンも5割を超えており、EBITDAマルチプルも試算では、データセンターの約30倍といわれている水準より低い。
<参加者のご感想>
- データセンター見学会は期待を上回るものだった。
- 足立CEOのプレゼンテーションは素晴らしかった。登壇者は投資家の質問にも丁寧に回答し、データセンターのさまざまな観点でディスカッションしてくれた。
- 私は長年にわたり、電気通信を含むいくつかのセクターのIR活動に携わってきたが、これまで参加した中で最高の見学ツアーだった。
など、理解が深まったとのお声を多くいただきました。
<資料>
金融事業説明会
説明会資料
動画配信
プレゼンテーション
オンデマンド配信
開催日時 | 2023年8月29日(火)16:00~17:15 |
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開催場所(実施形式) | オンライン配信 |
説明会の内容 | 金融事業説明会 |
参加者 | 投資家様、アナリスト様 |
登壇者 | 代表取締役執行役員副社長 パーソナル事業本部長 雨宮 俊武 執行役員常務パーソナル事業本部 マーケティング統括本部長 兼 サービス統括本部長 竹澤 浩 auフィナンシャルホールディングス株式会社 代表取締役社長 勝木 朋彦 |
質疑応答
質疑応答では、登壇者を中心に参加者の質問に回答しました。
質問者1
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- 金融グループとして単独での収益性は、ほかの新規参入の銀行グループと比較してどのような水準にあるのか。
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ROEについて、直接回答はできないものの、楽天銀行が13.8%、住信SBIネット銀行が14.3%であり、その水準にまでは達していないが、伊藤レポートで言われている日本の企業の合格ラインである8%には達している状況である。競合である楽天銀行や住信SBI銀行の水準に向けて、本日説明させていただいた今後の成長戦略の中で取り組んでいきたい。
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- KDDIグループの中で金融事業を行うことで、通信事業とのシナジーが生まれると思うが、KDDIグループにどれくらい利益寄与してるのか。例えば、解約率の低下や通信ARPU上昇の数字をご説明いただいたが、それに伴いグループとしての収益性がどれくらい発揮されてるのか教えて欲しい。
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金融サービスを重畳利用することにより、解約率が低減するということはわかっている。金融サービスを使っていないお客さまがまだおり、こうしたお客さまにauマネ活プランを使っていただくことにより、解約率が下がっていき、それが収益貢献をしていくというのがまず一点。
続いて、ARPUついて、プレゼンテーション資料P.29に記載のとおり、5G推進において、使い放題プラン比率を上げていくことで、ARPUを上昇させていくことをこれまでも説明させていただいているが、マネ活プランによって、さらに使い放題プランの比率を上げ、全体のARPUが上昇していくと考えている。
auマネ活プランにより、どの程度、ARPUが上昇するのか、解約率低下による収益の規模感に変動が出てくるので、今後のauマネ活プランの加入状況を見ながら、どの程度貢献しているのか説明していきたい。
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- 新たな価値を提供するためにはプロモーションが必要とみている。ポイントや金利優遇がその方法であるが、通信事業側と金融事業側でどれぐらいの費用を分け合っているのか。KDDIがすべて負担する場合、auマネ活プランに限定されるものなのか。
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auマネ活プランは金融サービスを活用した通信サービスであるため、プロモーションはKDDI側が実施する。auマネ活プランは家族割の対象外とし、家族割に充てられていたコストを転用して新たな価値を提供することで魅力を高めた。通信サービスに関わる場合はKDDIが負担し、auフィナンシャルグループで様々な特典を提供する場合にはauフィナンシャルグループが負担する。
質問者2
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- auじぶん銀行について、住宅ローン残高が拡大している背景と、24.3期1Qにおいても拡大が続いている理由について教えてほしい。また、住宅ローン残高がKDDI連結のバランスシートに影響を与えているかどうかについて教えてほしい。
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住宅ローンの融資実行額が急拡大している背景についてはプレゼンテーション資料P.18にあるように、キャリアを問わずに金利が年0.319%であることにあり、これはネット銀行業界では最低水準である。加えて、住宅ローンに特化した保険である団体信用生命保険が充実している点にもある。例えば、がんと診断された場合などに住宅ローンの返済残高が半分に圧縮される保障内容などが評価され、外部調査機関のランキングでは1位を獲得している。この保険手数料を含めた金利0.319%がお客さまの支持を得られたとみている。
日本銀行が調査・公表している「生活意識に関するアンケート調査」において、将来、老後への不安という調査内容があるが、非持家者と持家者では老後への不安の比率に大きな差がある。例えば、非持家者は51%が老後に不安を抱えていることに対して、持家者は34%ということでここに非常に有意な差がある。こうした調査を踏まえて、持ち家への支援、住宅ローンという暮らしの基本となる生活基盤への支援をしっかり行い、ネット銀行ならではの効率性も踏まえて、魅力的な金利と保障内容を提供していることが評価されていると思う。
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- 普通預金が拡大しているが、1口座あたり50万円程度預金している人たちの預金目的について教えてほしい。日常の決済に使うために預金しているのか、住宅ローンを組んでいる方が流動性確保のためにしているのか。あまり決済に使われていないのであれば、この普通預金が流出してしまうことはないのか。
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住宅ローンの融資残高約2兆円を平均の融資額2,000万円で単純に計算したとしても、それほどの口座数にはならない。1口座あたり平均預金額50万円で預金残高が2.3兆円あるというのは、住宅ローン以外の大半のお客さまがauじぶん銀行に預金をしているのが実態。
2021年から、auじぶん銀行ではau PAY、au PAY カードのauじぶん銀行からの口座引き落とし、auカブコム証券との連携などにより、まとめて金利優遇を提供している。
円の普通預金金利については、低金利の環境下で、年0.001%となっているが、これら3つをセットで利用した場合、普通預金金利を0.2%で提供している。資金を置くのであれば、パフォーマンスの良い口座に預金したいというお客さまの自然な動きがあり、預金量も増えているという状況。
また、トレンドを見ているが、お客さまはきちんと入出金していただいている状況もある。アクティブにしっかり口座を使用しており、急に預金が剥落することは想定していない。
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- auマネ活プランはKDDIでプロモーション負担とのことだが、auじぶん銀行が費用負担をした場合、利益は出ている状態なのか。住宅ローンは20~30年スパンあり、今後、KDDIが金融サービスはauユーザーのリテンションや獲得に向かないと判断した場合や、国の規制によりバンドルが不可となった場合に、単独でauじぶん銀行が成り立つのか説明して欲しい。
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auまとめて金利優遇の円普通預金金利の年0.2%については、オープンな施策であり、auじぶん銀行で預金金利を負担し、お客さまに利息を支払っている。
これを超えるauマネ活プランの円普通預金金利、年0.3%の上乗せ分0.1%については、金融機関の中立性、公平性の観点もあるため、一部の料金プランに優遇する金利については、KDDIが負担し、auじぶん銀行の総資産利ざやに影響はない。
また、貸出サイドの住宅ローン金利について、ベースとなるオープン向けの年0.319%の金利については、auじぶん銀行が提供している。さらに金利を引き下げる施策である、au金利優遇割、J:COM、ctcとの更なる提携による金利の引き下げによるコストは、オープンより一歩踏み込んだ施策であり、グループ通信会社とコストを分担し、実現している。これもauじぶん銀行の総資産利ざやに影響はない。安定して総資産利ざやが確保できるオペレーションや制度設計について、KDDIとの連携を行い、しっかりと組み込んでいる。
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- 住宅ローン契約者のうち、KDDIユーザーは何割か。
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具体的な数字は非公開だが、オープンで低金利で集客をしており、市場シェアと大きくかけ離れてはいないものの、auユーザー比率が高くなる傾向にある。足元では、au金利優遇割がかなり認知され、auユーザーの住宅ローン利用が増えてきている。
質問者3
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- プレゼンテーション資料P.32に金融事業の連結営業利益成長の1割水準に向けてとあるが、バランスを見て利益を逓増していくのか、銀行口座やクレジットカードの会員も相当伸ばす計画から見ると一時的な減益も許容しつつ投資を考えているのか、考え方を教えて欲しい。
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基本的には、プレゼンテーション資料P.32記載のとおり、減益などは考えておらず、しっかりと増益を継続していきたい。
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- 銀行口座数での1,500万口座とクレジットカードでの1,500万会員の目標はどのように増やしていくのか。時間軸にこだわらなければ、通信とのクロスセルで十分積み上げられる前提なのか、それとも、他社の経済圏からも獲得してくるという意味合いなのか、計画の前提を教えて欲しい。具体的なイメージはあるのか。
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KDDIグループのお客さまを中心に増やしていくと考えているが、基本的にauフィナンシャルグループが行っているビジネスはオープンであり、KDDIグループの通信ユーザー以外のお客さまも金融サービスを使う前提で想定している。楽天銀行の1,400万口座、ドコモのクレジットカードの1,700万会員という水準に向けて、具体的にいくつか施策を積み上げながら、当社の目標を立てている。
質問者4
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- プレゼンテーション資料P.30について、金融サービス複数利用において、au解約率の低減の効果があると説明されているが、逆に考えると、金融サービスを複数利用していても、auを解約してしまう理由は何か。
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au回線、クレジットカード、銀行口座を持っていても、アクティブに利用していないユーザーもいる。アクティブでないがために複数サービス利用による効果がでずに若干の解約が出る場合もあるとみている。通信の契約については、解約される方もいれば、解約せざるを得ない状態になってしまうユーザもいるため、若干の解約は出ると考えている。
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- プレゼンテーション資料P.17の貸出の拡大について、注釈に住宅ローンの流動化部分を除くと記載されているが、過去の流動化実績やどのような方針で流動化を進めていくのか、考え方を教えて欲しい。
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詳細は非開示だが、融資実行額が積み上がる中、過去の年度において累計7,000~8,000億円程度の流動化を実施。これは資金繰り、自己資本比率の規制への対応などを含め、実施したものであり、残高から控除して表示している。足元では自己資本比率や財務基盤が安定しており、24.3期においては想定していない。
質問者5
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- 連結営業利益の1割を金融事業で稼いでいくとのことだが、これが4分の1の水準に到達するのは10年以内に起こりうるのか。また、もう少し先を見た時にどんな成長ドライバーが考えられるのか。
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連結全体で1兆円を超える利益となり、その1割は1,000億円超となる。現状、24.3期で目指しているのが利益が320億円。1,000億円超に到達するのは、遠くはないが時間はかかると思う。4分の1まで到達するのは少し未来の宿題とさせていただきたい。
成長ドライバーと考えているのは銀行とクレジットカード。特にクレジットカードについては、収益性の高いゴールドカード、ショッピング利用の増加に伴うリボルビングや分割手数料などファイナンスの収益拡大が考えられる。銀行についてはバランスシートの拡大、預金と貸出をバランスして拡大することにより、総資産利ざやが増えていくというモデルを追求していきたい。
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- 楽天は個別に金融事業が上場させているが、KDDIにはその考えはあるか?
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現時点においては、上場や分社化をするようなことは考えていない。
IR説明会(2024年2月6日)
日時 | 2024年2月6日(火)18:30-19:00 |
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場所 | オンライン配信 |
説明会の内容 | 三菱商事・KDDI・ローソン、資本業務提携契約を締結にかかわる質疑応答 |
参加者 | 投資家様、アナリスト様 |
登壇者 | 代表取締役執行役員副社長 パーソナル事業本部長 雨宮 俊武 執行役員常務 パーソナル事業本部 マーケティング統括本部長 兼 サービス統括本部長 竹澤 浩 執行役員常務 CFO コーポレート統括本部長 最勝寺 奈苗 |
本説明会に先立ち開催した合同会見のプレゼンテーション資料は、こちらからご参照ください。
プレゼンテーション資料
サマリ
詳細は、ニュースリリースおよび、適時開示(1.3MB)をご参照ください。
1. 概要
「リアル・デジタル・グリーン」を融合させた新たな生活者価値創出に向けた資本業務提携契約を、当社、三菱商事、ローソンの3社で2024年2月6日に締結しました。これに伴い、当社はローソンに対して2024年4月よりTOBを開始し、9月頃(予定)の取引完了を見込んでいます。予定通りクロージングした場合には、当社のローソンへの出資比率は50.0%となり(現在:2.1%)、ローソンは上場廃止となり、会計上は当社と三菱商事による共同支配企業の扱いとなります。
なお、1株当たりの公開買付価格は10,360円、総額約4,971億円となる見込みです。
2. 目的・狙い
当社とローソンは、2019年12月締結の資本業務提携から5年近くのあいだ、店舗およびサービスの魅力化やPonta経済圏の拡大に向けての連携に取り組んでいます。当社には、約3,100万のモバイルIDと2,200店舗、ローソンには14,600店のコンビニと日当たり1,000万人の来客があり、本件実施により合計約17,000店舗と国内有数の生活者接点を構築することが可能となります。
また、当社とローソンにはそれぞれ、エンタや金融など、シナジー効果が得られるグループアセットに加え、保険やエネルギー、衛星通信のようにコンビニの機能強化に役立つ当社のアセットも多くあるため、未来のコンビニ実現への貢献を通じて、事業機会が拡大します。
このように、ローソンが描く成長戦略を支援することが、コンビニという社会のインフラ機能強化につながり、両社にとっての企業価値向上につながると考え、本件実施に本件実施に至りました。
3. 目指す姿・得られるシナジー
コンビニの機能強化や、最新テクノロジーと組み合わせたお客さま体験価値向上、店舗運営効率化の実現、グリーンでサステナブルな消費社会の実現に向けての施策を検討していきます。具体的な施策はクロージング後に検討を深めていくことになりますが、リアル・デジタル・グリーンの3領域において、それぞれ各社のアセット・強みを活かして事業連携を進めてまいります。
(参考)連携施策事例
- コンビニの利便性向上にむけ、リモート接客で通信・銀行/保険・ヘルスケアなど、新たなサービスの提供
- DXやXR、遠隔地配送など、最新のテクノロジーの活用でコンビニをよりスマートに進化
- 太陽光発電やEV充電スポット設置や、衛星通信を活用したコンビニの防災・備災拠点化
質疑応答
質疑応答では、参加者の質問に回答しました。
質問者1
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- KDDIがローソンの株式を50%に保有を増やすことで、今までと何が変わるのか。連結子会社化するのか、ローソンに対する関与がかわるのかなどのガバナンスの面と、今までもPontaを通じてシナジーを創出してきていると思うが何が変わるのか、などのビジネスの面においての両面でお聞きしたい。
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50%出資となるが、連結子会社化とはならず共同支配会社となり、当期利益の50%を取り込む。役員を派遣することも考えており、我々の意思がより伝えやすい形になることで、これまで以上の取り組みができると思っている。
ビジネス上は、まずはローソンの成長をしっかり作り上げていくことを考えたい。我々が持っているアセットをローソンに提供、連携することを通じて、ローソンを繰り返しご利用いただくための支援を行うことがローソンの成長につながり、それが我々のリターンにもなる。我々がやっている様々なソリューションビジネスも提供できると思っている。例えば、自動車会社にIoTを提供し、自動車会社がそれを使ったサービスをお客さまに提供することで、その自動車会社が成長する、そこで我々はソリューションビジネスとして大きなリターンを得るというのと同じようなこともあると思っている。
パーソナル事業で見るとローソンには14,600店舗があり、一日当たり1,000万人の来客がある。我々は2,200店舗があり、3,100万超のお客さまがいるが、もっとお客さまの接点を強くしていかなければいけない。お客さまが店舗にいらっしゃるのは機種変更のタイミングだが、それまでの間にもっと接して様々なサービスや商品を理解してもらいたい。そのよいチャンスになっていくと思っている。具体的な話は今後ローソンと業務提携契約の中でつめていきたい。
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- ビジネス上で期待しているのは、顧客との接点の頻度が次のビジネスにつながるというところか。
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そう理解いただいて結構。その接点で様々なことをやっていく。リモート接客もその一つであり、我々の商品をお見せしていくことも、デジタルの連携で広げていくことも考えたい。
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- 中期経営戦略で戦略的事業投資が7,000億円という計画があり、これまでに約2,000億円使っており、今回の約5,000億円で使い切ることになると思う。大株主の保有株売却ということも想定されるなか、キャッシュフローについての考え方について何かあれば教えていただきたい。
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中期経営戦略のキャッシュアロケーションとして、戦略的事業投資として、7,000億円をガイダンスでお示ししている。これまでに約2,000億円投資しているので、今回の件でだいたい7,000億円になるのはご理解のとおり。ただし、7,000億円はあくまでもガイダンスであり、今後、案件が出てくれば個々に判断していくことになるが、一方で足元では本件に次ぐ大型案件は今のところはない。今後の状況を勘案して検討していきたい。
大株主対応については、株主還元との関係においても、中計のガイダンスで対応していく考え方で変わりはない。株主還元は安定的な配当を実施するのが一番、その次に機動的な自己株式の取得ということを考えている。大株主とは対話できる関係にあるので、中計のキャッシュアロケーションにおける株主還元の中でできるだけ対応していきたいと考えている。
質問者2
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- 今回のディールのプレミアムの考え方と、資金調達についてご整理いただきたい。負債調達で対応するのか。格付への影響はあるのか。計算上、プレミアムが低いように見えるが、どのようなバリュエーションの計算をされたか。
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まず資金調達については来期のことになるが、基本的に銀行の借入あるいは社債での負債調達の対応となる予定。今後、金融機関と具体的に調整予定であり、来期の会社全体のキャッシュフロー計画を見て、調達の詳細を詰めていく。
価格については、ローソンの特別委員会とKDDIで複数回協議を重ね、各社が第三者機関から取得した株式会社算定書の算定結果、特別委員会による妥当性の確認、業界動向やローソンの事業性や成長性を分析も踏まえて、ローソンの市場価格から見たプレミアムを各社で多面的に検証した結果であり、妥当なものと考えている。
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- 今回のROICをどう考えたか。またベースとなる資本コストはどう考えたか。ざっと5%の計算で、連結しないのでオフバランスかもしれないが、KDDIにとってダイリュート(希釈化)になるディールとなる。シナジーをどう作るのか、特にコスト面のシナジーがなさそうに見えるが、そのあたりの考えを教えてほしい。
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ROIについて、現状の取り込み利益ベースだけでも5%ぐらいになると見ている。これにさらにシナジーによる成長効果が載ってくると考えている。一つ目は、ローソンへのシナジー。KDDIのアセット活用により成長していけると考えている。加えて、KDDI側へのシナジー。パーソナルでのシナジーと、ソリューションビジネスでのシナジーで、これらを加えると5%プラスαの十分な投資効果があるとみている。
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- コストシナジーは考えられないか。例えば、店舗の統合でコストを下げるなどは有りうるか。
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コスト面のシナジーはあまり考えていない。むしろ収益・トップライン側のシナジーである。
質問者3
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- 共同オーナーとして小売業をKDDIが取り込むことに違和感がある。インフラ会社であるKDDI、投資会社である三菱商事の小売業の経験のない2社がオーナーとなり、ローソンとの3社で事業展開をすることについて、必ずしも投資家の理解は得られないのではないか。今回の投資は成功だった、とどれくらいの時間軸で投資家に理解してもらえると想定しているか。
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小売業と通信、商社というのは違う分野に思われるが、今回の災害でも、現代のコンビニは社会インフラとして大きい存在であることを認識した。特に、地方においては必要不可欠である。そこに我々の通信を含めたデジタルの知見を掛け合わせることで、社会貢献に繋がり、その結果としてお客さまとの強い関係や新たな付加価値サービスが提供できると考えている。小売業の経験のないKDDIは連結対象とはせず、三菱商事にはこれまで小売業を行ってきた知見はある。それぞれの知見を持つ三社が集まって、社会貢献も含めた新しいサービス、付加価値が生み出せると考えている。成功の時間軸についてはこれから話し合うため具体的なことは言えないが、それほど遠くない、近いうちに御認識いただけると思う。
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- 開示されているNetDebtの2兆円弱に対し単純に今回の投資額約5,000億円を追加して約2.5兆円とした場合、約1.5兆円のKDDIのEBITDAから、NetDebt/EBITDA倍率は約1.7倍の計算となる。NetDebt/EBITDA倍率は2倍ぐらいが適性と考えており、バランスシート上の成長投資の余力が少なくなる印象。このあたりに関して、バランスシートのレバレッジの考え方を教えて欲しい。
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NetDebt/EBITDA倍率についてはこれまでが非常に低かったと認識しており、金融事業の展開により少し高くなっている状況。現在の格付け維持の方針からは、おおよそ1倍を一つの目安としているが、今回のようなM&Aでは一次的に1倍を超過することは説明可能であるため許容範囲であると認識しており、1倍を超えたら即座に不適切ということではなく、今後のキャッシュの積み上げによって再びできるだけ1倍に近づけていくという点で説明可能であると考えている。
質問者4
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- 共同支配ということだが、持分法として計上されるのか。また、三菱商事にとっても持分法になるのか。IFRSなので持分法については営業利益の中に取り込んでいると思うので、営業利益に取り込むことになるのか。
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P/L上は持分法の取り込みとなり、IFRSで営業損益の中に取り込まれる。税引後利益を取り込むので、当期純利益にきいてくる。三菱商事においても持分法となる。
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- シナジーについてもう少し詳しくお聞きしたい。ローソンの成長への寄与は何ができるのか、KDDIのパーソナルの成長への寄与はどのようなことなのか。
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本日の会見ではリアル・デジタル・グリーンという3点を挙げさせていただいた。
リアルは先ほどからお話ししているとおり、2社で約1万7,000のリアルな接点を得られる。これによってお客さまに対して様々なサービスをおすすめする機会が増え、リモートで新たな分野のものも提供できる。
デジタルの分野では我々がもつお客さまの1st Partyデータをローソンのデータとかけあわせることによって、どのような化学反応があるかということをローソンと一緒にやっていきたい。ローソンはコンビニ事業が中心だが、エンタメ、高級スーパー、金融などといった、我々のアセットと近いものもお持ちだと理解しており、そこを付加価値領域として一緒にシナジーを出していけると考えている。
グリーンについては、すでにローソンでは店舗への太陽光パネルの設置も行っている。我々もauエネルギーホールディングスで再生可能エネルギーなどの取り組みを進めており、ここでもしっかりシナジーを出していくことを検討している。
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- 50%保有することで、そうしたことができるようになるということか。ガバナンス、リソースの知見といった話があったが、50%出資の意味はどういうことか。
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50%の意味としては、当社としてもローソンの成長にコミットすることとなり、三菱商事と共同経営とすることでこれまでより踏み込んだ施策をかなりスピードアップして展開できるのではないかと考えている。今もローソンと連携しているが、各々の協業のフレームを決めていく際、50%の共同パートナーになればもっとスピードがあがりお客さまに早く新たなサービスを提供できるようになると思う。
質問者5
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- KDDIが、50%持つことによる、例えば、この部分はエクスクルーシブになるといったような契約などはあるのか。共同会見では、ローソン側は、お客さまが決めることで、特にKDDIがソフトバンクやドコモより有利になることはしたくないようにも感じられた。
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ローソンが説明していたように、お客さまが便利に使えることが優先事項であり、エクスクルーシブはないと思っている。しかし、お客さまが何を求めているのか、どういうサービスが選ばれるのか、役員や社員を当社から派遣することにより、両社のより深い理解が進むと考えている。その意味で、2.1%から50%に保有比率を上げたことは大きい。
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- 第1の効果として、ローソンの企業価値を上げていくとのことだが、利益を上げていくのか、資産価値を上げていくのか。
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基本的には、ローソンの利益向上につながることを行い、それを我々が取り込むという意味である。
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- 5,000億円の投資金額に対して利益が少ない気もするが、どのくらいの増益効果が見込まれるか、計算されていれば教えていただきたい。
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これからのことなので、現時点ではご勘弁願いたい。