2013年3月期第2四半期決算説明会 (決算ハイライト・質疑応答)
日時 | 2012年10月24日 (水) 18:00-19:35 |
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場所 | ガーデンエアタワー20階会議室 |
登壇者 | 田中社長、両角副社長、髙橋専務、嶋谷専務、石川専務、東海林事業本部長、長島事業本部長、髙木本部長 明田室長 (司会) |
決算ハイライト
決算説明会の模様
決算説明会では、前半に決算プレゼンテーションとして、主に3点「決算概要」、「新経営体制2年」の成果、「au 4G LTE の開始」について、社長の田中が説明いたしました。
後半は、当日発表いたしました「株式会社ジュピターテレコム (J:COM) へのTOB・非上場化とジャパンケーブルネット (JCN) 株式会社との統合について」説明いたしました。
決算概要
上期の連結業績は、営業収益1兆7,406億円 (前年同期比▲0.2%)、連結営業利益2,312億円 (▲13.3%)、経常利益2,270億円 (▲10.1%) 当期純利益798億円 (▲43.1%) となりました。
営業収益・営業利益は、第1四半期 (4-6月) の減収減益の影響が大きかったものの、第2四半期 (7-9月) は、増収増益 (前年同期比+8.2%増益) に転換いたしました。
また第2四半期において、旧800MHz帯の周波数再編に伴う減損損失など882億円を主要因とした特別損失889億円を計上いたしましたが、期初に公表した今期業績予想に織込んでいるため、業績予想の変更はございません。
新経営体制2年
田中社長は2010年12月の社長就任にあたり、新しいKDDIをつくるために、(1) 基盤事業の立て直し (モバイルにおけるauモメンタムの回復/固定における増収増益体制の確立) と、(2) 新しい時代に向けた新事業戦略である3M戦略の推進を掲げました。
この2年間で、KDDIは業界最低水準のau解約率、12カ月連続No.1のMNP純増、さらに9月には95,300の大幅なMNP純増を記録するなど、au純増数は好調時の2008年3月期水準まで回復、auのモメンタムは完全に回復いたしました。
また、本年3月に開始した3M戦略についても、「auスマートバリュー」が200万契約突破、「auスマートパス」が250万会員突破、「au ID」が1,000万突破と、本格展開が進んでおります。
au 4G LTE開始
KDDIは800MHz帯を基盤バンドとし、さらに1.5GHz帯、2.1GHz帯で「au 4G LTE」のサービスを開始いたしました。
800MHz帯の実人口カバー率は、10月末に84%、来年3月末に96%と、一気に全国展開を図ることで、高品質で超高速 (下り75Mbps) の通信サービスを日本全国で提供していきます。
また、9月21日からは「iPhone 5」の販売を開始いたしました。販売の40%超が新規 (うち約80%がMNP利用) 契約と好調な滑り出しとなっております。さらに、11月からはAndroid (TM) 搭載のスマートフォン全10機種を発売致します。
日本全国75Mbpsの高速化、800MHz帯のつながる電波、実人口カバー率96% (2013年3月時点予定) のNo.1エリアを誇る4G LTEの本命事業者として高品質な「au 4G LTE」を提供致します。
J:COMへのTOB・非上場化とJCNとの統合について
KDDIは、J:COMへのTOBを目的としたSPC (特別目的会社) を設立し、KDDIとSPCで共同TOBを実施、今期末を目途に持分法適用会社のJ:COM (出資比率31.1%) を連結化致します。さらに来年7-9月を目途にJ:COMを非上場化し、来年9月以降にCATV業界2位で当社連結子会社のJCNと統合致します。JCNと統合後の新J:COMに対する出資比率は50%となり、住友商事株式会社と共同経営体制で運営していきます。
新J:COMは顧客基盤の拡大・強化に留まらず、auスマートバリューをフックとしたauユーザーの拡大、データオフロードの推進など、KDDIの3M戦略とのシナジー効果の拡大が期待できます。
質問者1
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- 今回のJ:COM連結影響を除いたオーガニック成長についてどう考えているのか? 来期増収基調は続くと思われるし、今期発生した巻取りコスト180億がなくなることや、今期の減損による償却影響など目に見えるコスト減だけでもかなりあるように思うが、来期の営業利益にそれらがどの程度反映されてくるのか。来期利益イメージを教えてほしい。また、毎年大規模な減損を実施し、特別損失で純利益が目減りすることが多いように感じているが、来期以降も減損はあると考えられるのか?
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来期の計画はこれから策定するが、我々としては長年続いた旧800MHzの再編も完了したことから、J:COMの連結影響を除いても2桁の営業利益増を目指していきたい。減損についてもようやく旧800MHzが完了したというところなので、来期は何もない。従って、営業利益よりも当期純利益の伸びのほうが大きくなるだろうと考えている。
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- プレゼン資料のグラフイメージでは、来年度は今年度増益規模の2倍程度の500億円増益と見えるが、そう考えてよいか?
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明言はし難いが2桁の利益増を目指している。楽観的に見てもらいたい。
質問者2
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- 3M戦略について聞きたい。2年前のCEATEC JAPAN講演で戦略正式発表前夜の社長の考えを聴いたが、業界の競争環境がこの2年間どのように変化してきて、今後どうなっていくと考えるか?
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社長就任前に考えていたことを着実に実行できた。予想以上に競争環境が進んできたが、料金競争はそれほど激化しないと我々は見ている。今後はアッパーレイヤでいかにユーザーのウォンツを提供できるのか、という競争に移行するだろう。もう一つは、マルチデバイス。日本は海外に比べてタブレットがまだまだ普及していないが、今後はここが伸びていくだろう。米国ではベライゾンがマルチデバイスのデータ料金を始めているが、日本も同様の方向に向かっていくと思う。我々は本日iPadを扱うことになると発表しており、J:COM連結化によりTVもポートフォリオに加えられ、縦軸となるマルチユースも更に進めていかねばならないと考える。今後、ユーザーはこれらを全て含めた形で捉え、これまでのように料金だけでなく、ユースケースや世界観でキャリアを選ぶ時代になると思う。
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- J:COM・JCN統合のシナジーとしてJ:COM・JCNユーザーのau契約率50%へ拡大としているが、auスマートバリューは追加資本を入れない現状でも順調かと思うが、資本を入れ連結化することでどう変わってくるのか説明してほしい。
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現状、auスマートバリュー加入世帯当たりのau契約数は1.7台で、これを半分に持っていくのはそれ程高いハードルとは思っていない。J:COMと一緒に取り組むことは、むしろユースの面を強化できると思う。現状は「スマホを買ったら安くなる」という側面からの浸透が進んでいるが、例えばリモコンでTVをスマホ化するなどといったユース面での広がりが出て、映像コンテンツが本当に身近に感じられるようになり、ひとつのauIDがあればデバイスを選ばないという利便性が更に浸透を加速させるのではないか。J:COMとの統合効果として、Smart TV Boxを進めていく活動が更に加速できると思う。
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- J:COMは別法人であり、個人情報管理も別々かと思うが、それでも加速化は可能なのか?
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できると考えている。
質問者3
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- 今回の決算の主力セグメントを見ると、利益は伸びているが売上はほとんど伸びてない、或いは減収という状況であり、来期の増収増益が描きづらい。旧800MHz移行コストが獲得コストに移るだけではないか? 来期増収増益と楽観視しているその根拠は?
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今年度の我々経営陣の二大目標は、営業利益5,000億円とau通信ARPUの底打ち反転。獲得・加入者増が順調というところはご承知かと思うが、au通信ARPUが2Qでほぼ横ばいになっており底打ち反転の兆しが感じられるそれなりの数字が出てきているという点は、マーケットがまだ織り込んでいないのではないか。投資家の皆さまの懸案であったJ:COMの件も解消した。何が不安だとお考えなのか?
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- データARPUは通期予想の2,900円に対し、1Qが2,720円、2Qは2,790円と弱く、下期でかなりの上昇を必要とするが、それほど伸びると思えない。
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データARPUのドライバーはスマートフォンへのシフトやスマートフォンの料金。スマートフォンの新規獲得は大変好調である。そのため新規獲得増によるコスト増も考えられ、不安要素ではあるが、割引 (毎月割) については、営業サイドでコントロールできている。音声ARPUは、LTEで無料通話内包ナシの基本プランを統一しプラスアルファが期待できる。獲得を止めずに増加するコストをうまく吸収していくことが重要。減損により、当初計画に対し浮いた約200億円の範囲内でいかにマネジメントしていくかだと思う。コスト削減と純増の伸びの両立をオペレーションしていく。
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- iPhone 5の新規が好調だ。KDDIの売上・利益に良い。だが、iPhoneとAndroidのバランス販売が特色のauにも関わらず、放っておいても売れてしまうiPhone 5をどんな手綱さばきでAndroidとのバランス販売をするのか。獲得コストへの影響や端末評価減のリスクはないのか?
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マルチデバイスの推進において、iPhoneとAndroidの両立は最初から課題として認識している。そのうえで、過去1年うまくコントロールしてきた実績をしっかり見てほしい。市場調査では、iPhoneが欲しいかどうかの問いに対し、3割が欲しい、4割が欲しくないと回答したという結果を得ている。誰もがiPhoneを求めているというわけではない。先ごろ発表した秋冬モデルでは、最低でも4.3インチ、大きなものでは5インチある。iPhoneとは異なる良さを、それぞれの端末に込めた。販売店にも両方取り扱ってこその良さを理解していただいており、昨年は想定通り着地できた。今回、iPhone 5が4Sよりも更に好調なため懸念されているのかもしれないが、発売当初のところなので当然頑張って売っている。11月からは、新たに投入するAndroidについてマーケティングを強化する。
質問者4
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- J:COMの統合に伴うシナジー効果のうち設備投資について聞きたい。J:COMの同軸ネットワークとFTTHと整合性はどう取っていくのか?
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FTTHとCATVの設備については早期に統合を進めるという考えはない。ネットワークの上流部分は統合すればコストダウンできるので取り組んでいく。更に、CATVのネットワークを利用したWi-Fiサービスを開始している。CATVのドロップケーブルは電柱の低いところにある一方でFTTHは高いところにあるため、今後CATVのドロップを利用するとFTTHのドロップ工事コストの削減が可能にもなってくる。両社の設備投資の統合の具体案はまだ出ていないが、情報システム・STB部分などで統合効果を議論していきたい。両社の共通経費800億円が効率化できるのは間違いない。スピード感を持って来年夏から秋にかけて議論していく。
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- 住友商事と半々の出資だが、本当にJ:COMに対して実質支配ができるのか? KDDIの戦略を実行していくことができるのか?
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住友商事とは資本参加以来J:COMやCATV業界の将来像について腹を割って議論をしてきた。住友商事の、投資して以来17年間、ここまで育ててきたという強い思いとCATVに今後も携わっていきたいという意志を感じてきた。ただ、将来のことを考えたときに、われわれとのシナジーが大きいということを主張してきた。それらを踏まえたうえで、半々の出資比率とKDDIへの連結を実現した。今後もJ:COMの企業価値向上という点で同じ思いを共有していると考えており、共同経営の趣旨にのっとり、J:COMをより良い会社にできると確信している。
質問者5
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- J:COMについて住友商事と半々の出資となるが、契約上も完全にイコールパートナーなのか。どちらかにオプションはあるのか? 段階取得に伴う差損益と減損発生のタイミングは?
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基本的にはイコールパートナーである。当社連結を満たす事項が両社株主間協定に入っている。当社が保有するJ:COM株式の現在簿価と今回TOB価格との差分については、評価減を行う見込みで、650億円程度を想定している。当社への連結化となった際に計上される。今年度内にTOBが完了すれば、今期計上する可能性がある。
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- 先ごろ発表した秋冬のスマートフォンは+WiMAX搭載機が無かったが、ひとまずWiMAXはオフロードのバックボーンとしての取り扱いを増やしていくということか? 更に、オフロードのためにWiMAXや次の技術を使ってスマートフォンにFDとTD両方を搭載するといったことはありうるのか? ソフトバンクがイー・アクセスを買収したことで、KDDIがUQを子会社化するということが理屈上進め易い環境ができたかと思うが、どう考えるか?
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先般発表した新スマートフォンラインナップは全てLTE対応で+WiMAXを出さなかったが、LTEのローンチのタイミングで一気にだすためという点と、UQのネットワークも逼迫してきており新たなトラフィック増対応は厳しいという2点が理由。UQは、総務省に新周波数の要望を出しており、仮に割り当てられるようなことがあれば、WiMAX2をベースとして進めていく。現時点では何も決まっていない。
質問者6
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- スマートパスはiPhoneにも提供を開始し新局面に入ったと思うが、販売の動向は? 今後どのように展開していくのか? 来年度の利益への寄与はどうなるか?
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スマートパスは上期では計画未達だったが、iPhoneセット率も徐々に軌道に乗り始め30~40%程度となっているので、今後ますます高めていく。現状、iPhone対応はHTML5を意識したWebベースのアプリが主流。一方で、特徴的なアプリをiPhone向けにもいくつか申請しており、スマートパスと相乗効果が得られるような打ち出しをしていきたい。iPhoneでもauスマートパスは一定の役割を果たすと考えている。採算面では、コンテンツ調達の先行コストが出ているため、バリューセグメントは前年同期に対して僅かながら減益となったものの、スマートパスは400万加入超でブレークイーブンポイントとなるので、来年度には利益貢献がはっきり見えてくるだろう。
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- ARPU変動の要因分解と直近の変化、更に、ARPU反転タイミングの見通しを教えてほしい。
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前年同期比データARPU+310円のうち、スマートフォン影響が+240円と、そのほかに+WiMAX等がある。同様に、音声ARPUは▲280円のうち、シンプルプラン移行影響で▲100円、AC改定に伴う着信通話料値下げで▲20円などとなっている。反転時期は、4Qのどこかの時点と考えている。
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- 足元でのARPU変動状況の変化についてはどうか。
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もう少し減少してもいいように感じているが足元ではフラットになってきており、いい仕上がりだと思う。音声ARPUが少し上振れているが、これはプランZの影響かもしれない。
質問者7
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- 住友商事との関係はイコールで、KDDIに連結するとのことだが、2017年で見直しがかかるのか? 住友商事が50%持ち続けるのは考えづらい。
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基本的には永続的にイコールパートナーかつKDDI連結ということで合意している。
質問者8
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- Android端末について、競合他社の価格攻勢が強い中、どう対抗するのか?
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テザリングや、基本料について一部キャンペーンは実施しているが、基本的にはスマートバリューを軸として販売を進めていく。スマートバリューは既に120万世帯のご契約があるが、そのうち55%の世帯はまだauスマートフォン1台しか契約されていない。今後、家族内連鎖が進むことで、価格競争ではない、他社にできないようなマーケティングができる。商品的にも良いものができており、商品・施策の両面で戦っていく。
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- 競合他社の価格戦略の影響は出ていないのか?
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地域によっては影響を受けている。主に西や南だが、現場にはauスマートバリューで耐えろと言っている。耐え抜いていく。
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- J:COMへの出資比率を31.1%から50%に上げることで、何ができるようになるのか? 現状の出資比率でもできるのではないか?
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J:COMとJCNの合併によりサービスエリアが統合し、広域なエリア一面でのサービス提供ができることは明らかにプラス。また、連結化により意思決定のスピードも早くなる。これまでの懸念事項もなくなったと思う。
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