2013年3月期第3四半期決算説明会 (決算ハイライト・質疑応答)
日時 | 2013年1月28日 (月) 17:00-17:55 |
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場所 | ガーデンエアタワー20階会議室 |
登壇者 | 田中社長、両角副社長、髙橋専務、嶋谷専務、石川専務、東海林事業本部長、長島事業本部長、髙木本部長 明田室長 (司会) |
決算ハイライト
決算説明会の模様
決算説明会では、決算プレゼンテーションとして主に4点、「決算概要」、パーソナルセグメントにおける「通信料収入の増収転換」、「3M戦略の進捗と効果」、最後にこれらを踏まえた今期の「通期業績予想の見直し」について、社長の田中が説明いたしました。
決算概要
第3四半期までの連結業績は、営業収益2兆7,106億円 (前年同期比+2.5%)、連結営業利益3,956億円 (+3.0%)、経常利益3,940億円 (+8.0%)、当期純利益1,802億円 (▲7.3%) となりました。
上期までの減収減益から、この第3四半期では前年同期比で40%の大幅増益となり、第3四半期累計で増収増益に転換いたしました。
パーソナルセグメントにおける通信料収入の増収転換
過去5年間減収が続いていた「モバイル通信料収入」が、好調なau純増とau通信ARPUの改善が加速したことにより、この第3四半期には四半期ベースで前年同期比+1.2%の増収に転換しました。
また、「auスマートバリュー」効果によるFTTH新規契約増とFTTH収入の増収に伴い、「固定通信料収入」の増収幅も拡大しました。
この「モバイル通信料収入」と「固定通信料収入」を合算した通信料収入合計が第3四半期までの9ヶ月累計ベースでも増収に転換。
来期以降の事業成長ドライバとなります。
3M戦略の進捗と効果
通信ビジネスの顧客基盤拡大に向けたサービス「auスマートバリュー」は、2012年12月末でau契約数は285万、世帯数は166万となりました。
年間進捗率は、世帯数が110%と当初の期末目標を前倒しで達成し、au契約数も90%と高水準の進捗です。
「auスマートバリュー」はauスマートフォンの購入をきっかけに、家族内の連鎖獲得や、FTTH回線の新規契約にも大きく貢献しております。
付加価値創出による売上拡大に向けたサービス「auスマートパス」は12月末で398万会員となり、年間の進捗率は77%。
今年の1月2日には400万会員を突破し、期末目標の500万会員へ向け順調な進捗です。
今後、スマートフォンの浸透に伴う「auスマートパス」の会員数拡大によって、ユーザ1人あたりの付加価値売上 (付加価値ARPU) は着実に伸びていきます。
また「auスマートパス」を起点に、クラウド時代にマッチした定額制・使い放題型の映像・音楽・電子書籍のサービスを促進することで、更なる付加価値ARPUの増加を図ってまいります。
次にKDDIが保有する様々なネットワークを活用する「スマートネットワーク」は、増加するモバイルデータトラフィックに対し、多様なネットワークへのデータオフロードを促進しております。データオフロードは12月末で43%となり、通期末時点で50%をめざし着実に進展しております。
快適なデータ利用環境構築と、効率的な設備投資の両立によって、KDDIの競争力を高めていく戦略です。
通期業績予想の見直し
今期第3四半期までの好調なオペレーションデータを反映し、期初に発表した今期の通期業績予想を上方修正致しました。
- 連結営業収益 3兆6,300億円 (期初予想比 +500億円)
- 連結営業利益 5,050億円 (期初予想比 +50億円)
また、主なオペレーションデータも上方修正致しました。 - auスマートバリューのau契約数 360万 (期初予想比 +50万)、世帯数 200万世帯 (期初予想比 +45万)
- 連結のau純増数 242万人 (期初予想比 +32万人)
- パーソナルセグメントの端末販売台数 1,100万台 (期初予想比 +60万台)、うちスマートフォンの販売台数 800万台 (期初予想比 +45万台)
株式分割について
最後に当日発表しました株式分割について説明しました。
当社は、投資単位を引き下げ、当社株式の流動性向上と投資家層 (特に個人投資家層) のさらなる拡大を図るため
本年3月31日を基準日とし、当社普通株式1株につき、2株の割合をもって株式分割を行います。
質問者1
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- 念願のモバイル通信料収入増収 (対前年3Q比) を達成し素晴らしい決算だったが、来年度のモバイル通信料収入をどう見ているか。ドライバとなるARPUは、ある程度料金政策・販売政策でコントロールし見通せるかと思うが、加入者数は競合他社の動向次第のところがあると考える。どのくらいの金額規模で増収する自信があるか。
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モバイル通信料収入が対前年3Qで増収となったことは大変喜ばしいことだ。
ARPUは、今期のコミットである底打ち・反転を達成すれば、来期は右肩上がりが望める。料金政策については、過度な施策は考えていない。毎月割の割引額もできるだけ浅くするようコントロールできており、心配ない。
加入者については、競合他社がiPhoneを発売することになるかどうかの確信があるわけではなく、何とも言えない。3Qの実績では、iPhoneのMNP新規のうち4割はauスマートバリューをフックにご契約いただいている。仮に競合他社がiPhoneを発売開始したとしても、モメンタムは維持できると考える。中間決算の発表時にも述べたとおり、来期営業利益10%増を達成したい。
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- 株式分割は株主増が目的かと思うが、現状では、株式市場が満足できるレベルの株主還元が行なわれているとは言い難いと思っているが、どうか。今年はJ:COMのTOBなど不透明な事象もありなかなかできなかっただろうが、来期は期待できるのか。
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今期170円の配当は最低限実行する。
来期は減損するような設備もほとんどないため、当期純利益10% 以上の成長も当然ありうる。仮に配当性向30%とした場合でも、それなりに配当が上昇するのではないかと考える。本決算発表時に、また改めて述べさせていただく。
質問者2
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- 今回50億円だけでも営業利益を上方修正したことの意味が、中期的な成長に向けてしっかりとした見通しができているというシグナルやメッセージなのかどうか、ということを確認したい。
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ここ数年の重石になっていた旧800MHz帯の再編対応が完了し、J:COMも既に発表したとおりTOBの準備をしている。今期ここまで順調に来たので、50億円というわずかなプラスではあるけれど今期中にできることは前倒しで進めていきたいと強く思っている。中期的には、ネガティブな要因が解消したので、今後順調に右肩上がりに上がっていくと考えている。バリューセグメントの減益 (対前年同期) も一過性のもので、スマートフォンシフトが続けば上昇するのでそれほど心配するものではない。
質問者3
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- auスマートバリューの期末累計契約数目標値を上方修正したが、固定の増加がスローダウンしモバイル契約増が加速するように見える。その背景を教えてほしい。
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固定系は、これまでエリア拡張も同時に実施してきた。エリア拡張に伴う増が落ち着いただけである。3Q末の固定の契約世帯数が期初計画の110%に達していることで順調だということが分かっていただけると思う。これまで固定が良すぎただけである。モバイルは順調に連鎖獲得が進んでおり、その効果が4Qも続くだろう。
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- プレゼンテーション資料のP27で説明している3Q増益要因の「その他」が大きい。上期と3Qの異なる点を4Qの見通しと合わせて説明してほしい。
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端末販売粗利の増や業務効率化による作業委託の減少などがある。
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- iPhoneが増えたことによる影響はどうか。
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個別の端末についてはお話しできないが、iPhoneがほかの端末と比べてとりたてて粗利率が高いということではない。
質問者4
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- KPIは順調だが、来期以降の不安要素、リスク要因は何だと考えるか。
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一点目に、競合他社からiPhoneが発売されることについてはリスク要因であることは事実だと思うが、巷で噂されているほど確信的なことではない。3Mを推進している中で、守りにも獲得にも強いサービスとして効率的にオペレーションしている。
二点目には、スマートフォンシフトでトラフィックが増加していく中で、これまでのエリア拡大方向から、局所でのトラフィック増に柔軟に対応できる体制構築ができるかどうかという点だろう。
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- トラフィック増に対し、設備投資額はどうなるか。
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4,500億円近辺でコントロールしていく。
質問者5
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- さまざまな状況が良くなっており来期の好調さは確信のあるところかと思うが、再来期以降、さらにその先の成長のために来期どういう手を打っていくのか。
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3M戦略は、マルチネットワーク、マルチデバイス、マルチユースである。われわれが特に力を入れていかなければいけないのは、再来期に向けてマルチデバイスの環境をいかに作ることができるかということで、それが今後の成長の重要なポイント。
また、auスマートパスの契約率はスマートフォンの8割であるが、ARPU面から見ると、マルチユースの環境を整えさまざまなデバイスでお客さまに楽しんでいただく利用促進をしていかねばならない。ARPUをどうやってあげていくのか、チャレンジでもあり悩みでもある。
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- auスマートパス契約数好調とのことだが、「auスマートパスに入れば端末料金が安くなる」といった売り方をしている向きもあり、むしろ端末販売がauスマートパス契約を牽引しているように思える。本来、逆であるべきではないかと思うがどうか。
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ご指摘の通りで、先の回答の後半に申し上げたのは、その点を懸念してのこと。もっと、利用が通信や端末販売を牽引していかねばならないと考えている。
auスマートパスについては徐々にユーザーの利用サービスを拡張しており、iPhoneユーザーの方にも8割以上加入いただいている。ブラウザベースのサービスも200件以上のコンテンツに増えてきており、また、iOS上のサービスの拡張も近々予定している。こういった取り組みを重ねていくことで、採算にのせていきたい。今年は多くのアッパーレイヤーサービスを企画しているので、またその際に評価して欲しい。
質問者6
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- 今期末でのデータオフロード率の目標は50%とのことだが、来期以降はどうか。また、CAPEX (設備投資) への影響とCAPEX以外のOPEXへの影響は。
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来期以降LTEのトラフィックも増えていく中で、毎年50%のオフロード率を目標に運用していきたい。OPEXの影響について具体的な数値の公表は差し控えるが、1加入当たりのオペレーションコストを社内で目標管理しており、徐々に低下させることができている。
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- 増益基調になっている中において、フリーキャッシュフロー推移が安定しない状況が続いているが、いつになったら落ち着くのか。
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前年度にJ:COM中間持株会社清算に伴う1,000億円程度の法人税還付があったことが、前年度および今年度にかけての変動の主要因。
さらに、端末価格が上昇する中で割賦債権が増えていることも要因となっている。この点については、来年度秋以降は大きく増加することはないと思われ、キャッシュフローも改善してくるのではないかと考える。
質問者7
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- 中間決算発表時に、来期営業利益1割増益との発言があったが、足元の状況から鑑みると達成できそうに見えるが、1割以上の利益増があった場合に、超過部分をどう配分していくのか。
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料金を下げるなどといった価格競争に陥るようなことは極力したくない。営業利益を押し上げる効果が期待されるような施策ならばやるが、単純な減益を引き起こすことはしない。
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- J:COMのTOBについて、中国当局の状況や買い取り価格の是非についての問題はどうなっているのか。
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2月上旬からTOB開始できるよう着々と準備中である。年度内に完了できるかどうかはギリギリの線である。
TOB価格についてはセンシティブな問題なので、ここでのコメントは差し控える。
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- 沖縄セルラーの決算発表では、スマートフォンへの移行によるARPUジャンプアップ効果が大きかったとのコメントがあったが、KDDIはどうか。
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3Qにフィーチャーフォンからスマートフォンに移行したユーザーのジャンプアップが約1,900円で、2Qに対して100円の上昇となった。
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