2013年3月期決算説明会 (決算ハイライト・質疑応答)
日時 | 2013年4月30日 (火) 18:00~19:00 |
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場所 | ガーデンエアタワー20階会議室 |
登壇者 | 田中社長、両角副社長、髙橋専務、嶋谷専務、石川専務、田島事業本部長、東海林事業本部長、本田本部長 明田室長 (司会) |
決算ハイライト
決算説明会の模様
決算説明会では、決算プレゼンテーションとして主に4点、まず「2013年3月期の成果」、今期から3年間の中期的な目標を示した「新たなステージに向けて」、その初年度である「2014年3月期の業績予想」、最後に「株主還元」について、社長の田中が説明致しました。
2013年3月期決算概要
連結業績は、営業収益3兆6,623億円 (前期比+2.5%)、連結営業利益5,127億円 (同+7.3%)
経常利益5,144億円 (同+14.0%)、当期純利益2,415億円 (同+1.2%)、EBITDA9,596億円 (同+5.6%) となりました。
増収増益の決算となり、売上、営業利益、EBITDAは過去最高を更新しました。
2013年3月期は "成長起点の年"
2013年3月期のARPUは通期ベースでは、期初予想を20円上回る4,180円となりました。長らく低下傾向にあったARPUも2月に月次ベースで底を打ちました。
また、本格稼働した3M戦略により、競争優位性を確立致しました。「auスマートバリュー」は、サービス開始から1年、お客さまへの認知も広がり、2013年3月末でauスマートフォンは386万契約、世帯数は212万世帯と期初予想を大幅に上回りました。
「auスマートパス」はAndroidに加え、iOS (iPhone) でも提供することで、期末の会員数は、期初予想を大幅に上回る574万会員となりました。3月のスマートフォン購入者のうち、約9割の方が「auスマートパス」をご契約いただいております。
一方、増加するモバイルデータトラフィックに対し、自宅内と屋外両面でのデータオフロード対策を推進しており、3月時点でオフロード率は52%と期初目標の50%を上回る進捗となりました。
モバイル&FTTHのモメンタム向上
重要な指標であるモバイルの解約率は、1年で最大の商戦期である第4四半期では若干上昇したものの、0.67%と業界最低水準を保っています。
事業者間の実質的な競争力を示す指標であるMNP純増は、2011年10月から18カ月連続No.1を更新中です。
2013年3月期は、MNP制度が始まって以来、過去最高となる通期101万のMNP純増を記録しました。
FTTHも「auスマートバリュー」の効果により、2013年3月期は前期比1.7倍の60.1万と大幅な純増となりました。一方で、1ユーザあたりの獲得単価は、「auスマートバリュー」導入前に比べ、第4四半期では38%低減致しました。
新たなステージに向けて
2010年12月の社長の就任以降、まずはauモメンタムの完全回復に向け基盤事業の立て直しに注力しました。
2013年3月期には3M戦略を本格展開し、今後の成長に向けた基盤を確立しました。2014年3月期からスタートする次の3年は、更なる「3M戦略の推進・深化」による通信料収入と付加価値売上の拡大と、「グローバル戦略の推進」により、グローバル事業を国内事業に加えた成長の柱として拡大することで、本格的な利益拡大を目指します。
また、14年3月期から16年3月期にかけての目標として、「持続的な利益成長と株主還元の強化」を目指します。
- 連結営業利益は、「毎期2ケタの成長率」、EPSは「利益成長に伴う大幅成長」を目指します。
- 株主還元については、従来、配当性向を「25%~30%を目途に着実に引き上げ」てきましたが、ステージを上げ、今後は「30%超」を目指します。
自己株式取得は、引き続き経営の選択肢として検討していきます。
2014年3月期の業績予想
新たなステージの初年度として、2014年3月期は「20%超の利益成長」を目指します。また、J:COMは2013年4月から連結化します。
- 連結営業収益 4兆1,400億円 (前期比+13.0%)、うちJ:COM連結化影響 3,600億円
- 連結営業利益 6,300億円 (前期比+22.9%)、うちJ: COM連結化影響 600億円
- EBITDA 1兆1,600億円 (前期比+20.9%)
- 当期純利益 2,950億円 (前期比+22.2%)、うちJ:COM連結化影響 ▲320億円 (J:COM株の段階取得にかかる損失等▲375億円含む)
パーソナルセグメントのモバイル通信料収入が5期ぶりに増収に転換することもあり、通信料収入全体で前期比+756億円の大幅増収を目指します。
株式還元について
2014年3月期の年間配当額は120円 (前期比1.33倍)、配当性向は31.1% (前期比+2.6ポイント) の見通しです。
また、2013年3月期の年間配当は期初予想を5円引き上げ90円と、11期連続増配の予定です。
質問者1
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- 今回の大幅な増配については非常に良かったという印象だが、今後の考え方を確認したい。中期経営計画で配当性向30%超と言っているのは、配当も利益と同等に成長していくという理解でよいか。KDDIはこれまで特別損失の多額の計上で当期純利益を大きく減らすことがたびたびあったが、現状のB/Sから考えると、特別損失が仮にあってもそれを加味しない段階の利益に対して30%の配当を払うということも可能かと思うが、どうか。
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中期では営業利益2桁増益を毎年継続したいと考えており、それと併せて、当然配当も同等に伸びていくとの考えである。
特別損失はここ数年800MHz帯の再編などにより継続的に計上があり今期もかなりの特別損失を計上しているので、今後大きな特別損失が出ることは現在想定していない。
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- 今後潤沢なキャッシュフローが出てくると、株主還元とのバランスが問われてくると思うがどう考えるか。設備投資では使いきれないほどの潤沢なキャッシュフローをどう使うという意志を持っていて、今回の中期経営計画の中ではB/Sとキャッシュにはどのような関連性があるのか、お聞かせ願いたい。
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配当は先にご説明した通り上昇していくと考える。残ったキャッシュの使途は、今後の成長投資に使うなど経営の自由度を持たせるものとして、お任せいただきたい。
質問者2
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- 成長戦略をどうするのかを伺いたい。毎年10%超の営業増益というのは相当なコミットかと思う。今期の増分は、通信収入の増分のうち4割固定・6割モバイルという作りかと思うがその理解でよいか。また、来期以降の10%利益成長のドライバはどこにあるのか。今期だけ見ると、まだバリューやグローバルの利益貢献は非常に限られているが、その辺りに来期再来期のグロスを求めているのか。向こう三年間の成長戦略の全体感を教えてほしい。
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これからの3年は、auスマートバリューをフックにスマートフォンの浸透がまだ進んでいくと考えており、通信料収入での成長を狙っていく。中期的にはこれで2桁増が達成できると思う。その後のことは、これからの3年間で仕込んでいくような成長シナリオを描いているが、具体的なことは時期が来たら発表する。
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- 次の成長基盤構築と株主還元のバランスについて伺いたい。
ミャンマーのモバイル事業入札への応募やデータセンター構築、またコンテンツ領域のM&Aもやっていかなければいけないかと思うが、一方で、CBの転換を目前に控えて今後市場に出回る株数が増えてきたときに自己株買いの検討もされるのかと思う。成長投資と、ダイリューションの手当としての自己株買い、どちらも応分に行うとの理解でよいか。 -
成長投資については、ここ数年はしっかりやっていけると考える。グローバルでの基盤構築も行っていくし、付加価値売上もauスマートパスが1,000万契約を超えてくるとこれをベースに増ARPUを狙える基盤が出来つつあるので伸ばしていきたい。自己株買いについては、一つのオプションとして考えてはいるが、今日のところはご勘弁願いたい。
- 次の成長基盤構築と株主還元のバランスについて伺いたい。
質問者3
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- 今期計画にある戦略的投資の300億円という金額の根拠は? オーガニックな投資とは別枠にしているのは、どういう意味なのか解説してもらいたい。
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戦略的投資の具体的な内容は、データセンターやクラウドサービス系の投資である。これまでの流れの中ではあまりわれわれのポートフォリオに入っていなかった領域を切り出して、300億円計画している。それ以上の詳細は、今は申し上げられない。
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- 戦略的投資にM&Aは含まれているのか。
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含んでいない。
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- 中期計画の一つの柱としてグローバルを挙げているが、3年後にグローバル戦略が計画通り進捗しているのかどうかを検証できるようなKPIや数値目標を示してほしい。
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短期の計画は今期の見通し数値の中で見ていただきたい。
2年ほど前に、2015年までにグローバルの収益を倍増したいという目標を掲げていたが、それに向けて必要な投資や活動をしていく。詳細をお話しする段階にないので、毎期の目標でご理解いただきたい。
質問者4
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- 中期計画について、配当性向は30%超としているが、40%ではないということか。また、モメンタムは今後2~3年は続くという前提なのか。
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現在のところ、配当性向40%以上を意識しているということはない。これからの3年間はわれわれもさまざまなことを進めているので、営業利益10%成長という目標を大きく外すことはないと考える。
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- バリューセグメントの利益についてお伺いしたい。サービス開始当初、auスマートパスのブレークイーブンは会員数400万と言っていて、すでに年明けにその会員数を超えたかと思うが、採算の数値を見る限りでは少なくともブレークイーブンを超えたようには見受けられない。当初の計画から、コンテンツプロバイダとの間での利益配分が見直されたなど、何か当初の前提が変わったことがあるのか。
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10月からiOS向けにも提供を開始しているが、まだ無料提供期間となっている。5月から課金される予定で、その時点で黒字転換するというシナリオ。コンテンツプロバイダへの支払いを当初の予定より増やしているということではない。
iOSへの課金は来月からされるが、現在順調な歩留りとなっており、5月から黒字化できると考える。
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- 損益分岐点を超えた後、コンテンツプロバイダへの支払いが収入に比例してまだ増えるのか。
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基本的には先行して費用を払ってきた。ブレークイーブンに達した段階で、レベニューシェアについては会員数の増加に応じて適正な配分で増やしていかねばならないと考えている。最近、ドコモも同等のサービスを開始することもあり、コンテンツプロバイダの状況をみながら、Win-Winな関係を保ちつつ成長させていきたい。
質問者5
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- au通信ARPUが月次で底打ちしたとのことだが、四半期単位での前年同期比での底打ちはいつになるのか。
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今年度第4四半期で対前年同期反転を目指す。
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- 今期の純増計画は230万とのことだが、ドコモからiPhoneが発売される可能性についてはどのように織り込んでいるか。
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純増230万のうち150万がパーソナルで残りはビジネス。環境の変化を織り込んだ計画数値になっている。パーソナルは獲得数の減少を織り込んでいる一方で、法人についてはこの4月に「まとめてオフィス」社の拡充を図り、中小法人営業に力を入れて伸ばしていく計画である。
質問者6
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- auスマートバリューのサービス開始から1年が経過し、ユーザーの反応や収益への影響面で当初の想定と違ったところがあれば教えてほしい。
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想定にほぼ完璧に結果がついてきたと考える。顕著に出ているのは連鎖力。今期は1契約世帯内のauスマートフォン契約数が2契約となることを目指していくが、この連鎖力がプラスに向いてきていると感じている。まず、auスマートバリューに入っていただければ、家庭内の契約連鎖が進んで自己増殖していく。あえて当初計画と違っていたとすれば、この点が想定以上に力強いツールになったと思う。
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- auスマートバリューに対する固定提携事業者の反応は、サービス開始から一年経過してどうなっているか。
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各事業者によって若干異なっていると考える。ただ大筋で言えるのは、解約率の低下が見え始めてきており、その点は評価されている。各社の事業プランがあった上でこの提携に参加してきていただいている中で、正直なところ既存ユーザーが多すぎるという意見もあるが、総合的に見れば解約率の低下やアップセリングにより利益が出てきていると言えると思う。
質問者7
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- 従来、設備投資は4,500億円水準であったが、J:COMが連結されることによって今期5,500億円の見通しとなっている。J:COM連結で水準が引き上がったのか、それとも一過性のものなのか。
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今後5,500億円水準でコントロールしていきたい。J:COMをプラスした上にさらに戦略的投資を加えてこの水準と考えている。
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- 大型M&Aや事業領域拡大のための投資がなければ、あまりキャッシュの使途がないように思うが、その場合は自己株買いをするという理解でよいか。
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マネジメントとしては配当を上げつつ、かつ株主還元だけではなく成長投資との両立てでやっていきたいと思っている。成長投資についてはM&Aを含めた成長投資となるが、それがなければ・・・というひとつのオプションとして自己株買いについて言及したとお考えいただきたい。
質問者8
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- 今期EBITDAが1兆円レベルを超える一方で設備投資が5,500億円となると、単純計算ではフリー・キャッシュ・フローがかなり出てくると思うが、今期のフリー・キャッシュ・フローが思ったほど増えていないという印象。今期、何か特殊要因があるのか。
また、中期計画の中でフリー・キャッシュ・フローはどういう水準になるのか聞かせてほしい。 -
オーガニックで5,000億円の税引き前利益がでれば4割の法人税支払いがあり、また今回の30%超の配当となると配当だけで1,000億円近くになる。そういった支出もあると理解してほしい。また、今後については営業利益2桁増をコミットしそれに伴いキャッシュフローも増えていくことは視野に入れていただいて構わない。
今期キャッシュフローについては、J:COM連結前の13年3月期509億円と2,700億円の対比でみていただければと思う。
- 今期EBITDAが1兆円レベルを超える一方で設備投資が5,500億円となると、単純計算ではフリー・キャッシュ・フローがかなり出てくると思うが、今期のフリー・キャッシュ・フローが思ったほど増えていないという印象。今期、何か特殊要因があるのか。
質問者9
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- このところ通信トラブル続きだが、原因と対応についてコメントをいただきたい。
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この度の通信トラブルについてはご心配とご迷惑をおかけしており、大変申し訳なく思っている。
Eメールのトラブルについては、システムの機能バージョンアップ作業中の手順に配慮不足の点があったことに起因するもので、改善を図る。また、4月27日の基地局制御装置がトラブルを起こした事案は内在のソフトウエアのバグがあったことが原因で、こちらはバグに対する処置をしている。
この2件に関係性はないが、トラブルが連発したことを重く見て全社インフラ系設備の総点検を行い再発しないよう努めていく。
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- トラフィック増が原因ではなく、手順の誤りや未知のバグによるものとの理解でよいか。
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設備容量などには直接関係していない。
とはいえ、大規模障害という結果になっているので、これに対する対応は最重要課題として社長が先頭に立って再チェック・早期トラブル解消にかかる所存である。
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