2016年3月期決算説明会 (決算ハイライト・質疑応答)
日時 | 2016年5月12日 (木) 17:00-18:00 |
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場所 | ガーデンエアタワー20階会議室 |
登壇者 | 田中社長、両角副社長、髙橋専務、石川専務、田島常務、内田常務、東海林常務、本田経営管理本部長、堀井室長 (司会) |
決算ハイライト
決算説明会の模様
決算説明会では、「2016年3月期の業績」と2019年3月期に向けた「中期目標」、そして、「2017年3月期業績予想」の3点について、社長の田中より説明致しました。
1. 2016年3月期の業績
2016年3月期 (2015年4月~2016年3月) の連結売上高は、前期比で4.6%増加し、4兆4,661億円となりました。連結営業利益は、au通信ARPA収入と付加価値ARPA収入を合計した「総合ARPA収入」の増収などにより、前期比25.2%増の8,334億円となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益は、4,945億円となり、前年同期比24.9%増となりました。
2. 16.3期までの振り返り
2013年4月に発表しました中期目標 (3期連続の連結営業利益2けた成長・配当性向 30%超) を掲げ、3M戦略の推進による事業成長を目指してまいりました。3M戦略の推進を具現化したサービス「auスマートバリュー」「auスマートパス」の顧客基盤の拡大により、当社は3期連続「連結営業利益2けた成長」を達成しました。
一方、株主還元については、3期連続配当性向30%超を目標に掲げ、株主還元強化を図ってまいりました。中期目標の最終年度である2016年3月期の1株当たり配当金は、期初見通しから5円増配となる通期70円、配当性向は35%超を予定するほか、1,000億円を上限とする自己株式取得の実施を決定致しました。
3. 2019年3月期に向けた「中期目標」の発表
端末・料金・ネットワークにおける同質化が進む中、お客さまにお選びいただける企業を目指し、「お客さま体験価値を提供するビジネスへの変革」を追求することで、「国内通信事業の持続的成長」、「au経済圏の最大化」、「グローバル事業の積極展開」を図ってまいります。
具体的には、「国内通信事業の持続的成長」において、スマートデバイスのさらなる浸透やIoT (注) に対する取り組みの強化により、au通信ARPAを拡大します。「au経済圏の最大化」においては、auの顧客基盤上でオンラインでのコンテンツサービス、オフラインでの実店舗決済、さらに両方にまたがるコマース・金融サービスにいたる流通総額を拡大し、非通信領域における成長軸を確立します。
また、「グローバル事業の積極展開」においては、国内外で培った経験やノウハウを活用し、人口が多くビジネスが急速に発展している地域において事業を展開し、着実に成長してまいります。
これらを実現することで、当社は連結営業利益 年平均成長率 (CAGR) 7%を目指すほか、配当性向をこれまでの「30%超」から「35%超」へ引き上げ、ひきつづき「持続的な利益成長と株主還元強化の両立」を目指してまいります。
4. 2017年3月期の業績予想
新たな中期目標の達成に向け、1年目となる2017年3月期は、連結売上高4兆7,000億円 (前期比5.2%増)、連結営業利益8,850億円 (前期比6.2%増) を見込むほか、1株当たり配当金80円 (配当性向36.9%) を予定しています。
質問者1
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- 中期目標においては、CAGR7%を目指すということで、単純に計算すると19.3期の営業利益は1兆円を超える水準となる。営業利益1兆円超に向けてのオーガニック成長とM&Aによる成長、それぞれの成長イメージは?
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「国内通信事業の持続的成長」によって約1,000億円、「au経済圏の最大化」と「グローバル事業の積極展開」を合わせて約700億円、合計約1,700億円を今後の3年間で成長させていきたいと考えている。17.3期の業績見通しを開示しているので、それを差引けば18.3期~19.3期の営業利益成長はお分かり頂けると思う。
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- 中期目標における利益成長と株主還元の達成に向けて、FCFの創出力がポイントとなってくるが、17.3期のFCFは、3,500億円ということで利益水準から考えると低めの見通しとなっている。17.3期におけるM&Aや新規事業への投資を除いた、オーガニックベースでのFCFの水準は? また、今後3年間で創出されるFCFの水準は?
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3年間累計で実施するM&A規模5,000億円の1/3 (約1,700億円) を、17.3期見通し3,500億円に加算すると5,000億円超の水準となる。オーガニックベースでは、今後3年間にわたって、その水準で創出することが可能と考えている。
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- 設備投資は、今後減少傾向か?
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17.3期は、決算プレゼンテーションP.31に記載しているように約300億円増加する見通しとなっている。これは、auおよびUQの基地局工事や、海外データセンターの竣工時期の変更などによる影響である。
18.3期以降は若干減少していく見込みである。
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- 利益成長と設備投資の減少によって、FCFは5,000億円規模の水準から、19.3期に向かって拡大していくと考えてよいか?
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そのように考えていただいてよい。
質問者2
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- 中期目標における利益目標は、1兆円ということでよいか? また、5,000億円規模のM&Aを実施する前提で1兆円となるのか?
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営業利益がCAGR7%で3年間成長すると考えれば、1兆円を超えることとなる。なお、17.3期の見通しには、M&Aによって創出される利益を加味していない。
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- FCFの17.3期見通しは、約1,700億円規模のM&Aを加味した上で3,500億円という理解でよいか? 3年間の累計EBITDAから、設備投資やM&A、配当を差引いても1兆円超の資金的余裕があると考えてよいか?
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その通り。株主還元方針については、最低限の水準をコミットしている。
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- パーソナルセグメントにおけるau通信ARPAがあまり伸びない計画となっていたり、バリューセグメントにおいてもジュピターショップチャンネルを加味してもあまり成長しないように見えるが、実態は見通しよりも成長するのではないか?
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17.3期は控えめな計画となっている。付加価値ARPAは、17.3期で500円まで成長する見通しとなっているが、個別事情もあるため期が進むごとにもう少しお話しできるかと思う。
質問者3
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- FCFが想定よりも増加した場合、成長投資と株主還元にどういったバランスで配分するのか?
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今回の株主還元目標については、最低限の水準と考えている。バランスとは、成長投資が5,000億円未満である場合には、自社株買いを実施することも考えるというニュアンス。
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- お客さま体験価値を強調されているが、ユーザーとしてどのような新しい体験価値を期待してよいのか?
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タスクフォースの議論もあり、端末保有の長期化や端末販売台数の減少によってお客さまの来店数は減っていくという課題認識を持っている。また、通信サービスは同質化が進んでおり、お客さまはキャリアやお店を選ぶようになっているので、タッチポイントであるauショップやオンラインポータルに訪れていただくことを事業方針の骨格に据えて事業運営をしていく必要がある。具体的には、ペインポイントを1つ1つ改善し、ポジティブに訪れていただけるような取り組みを近々発表する機会があると思うので、お待ちいただきたい。
質問者4
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- 中期目標における営業利益CAGR7%成長について、3年後 (19.3期) の営業利益には今後実施するM&Aを考慮しているのか?
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中期目標の2年目以降の成長は、5,000億円規模のM&Aを織り込んだ数値と考えていただきたい。3年後の営業利益1兆円超を目指しているものの、具体的な内容については、市場環境による影響もあり、現時点では3年間のロードマップを開示できる状況ではない。
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- 前回の中期目標では、3年間の中で成長投資と株主還元のバランスを取ると発表し、約束通り今回1,000億円の自社株買いを実施するわけだが、今回の中期目標でも、3年間の中でのバランスをみて自社株買いを検討するのか? また、成長投資と株主還元のバランスは、バランスシート上何を指標とするのか? 5,000億円の成長投資をした場合、追加的な株主還元は実施しないのか?
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3年後に自社株買いをやるというわけではなく、株価の水準に鑑みながら実施していくつもりである。DEレシオが低いことは認識しているので、株主還元については最低限をコミットしているだけであると考えていただき、自社株買いについても前回の中期目標よりフレキシブルに考えていきたい。
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- 財務的なターゲットはあるのか?
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今開示できるものはない。
質問者5
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- au経済圏流通総額2兆円を目指すということだが、その内訳のイメージは? また、現状の水準と今後伸ばしていくカテゴリはどこか?
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2兆円の内訳は開示していないが、16.3期実績は7,300億円 (au WALLET: 4,300億円、かんたん決済: 2,900億円、その他: 100億円)。17.3期は、1兆2,000億円 (au WALLET: 6,900億円、かんたん決済: 2,900億円、その他: 2,200億円) を目指す。ドコモのスマートライフ領域における流通総額は3兆円であり、当社の1兆円程度と比較すると、2兆円程度の差がある。差の要因はクレジットカードの会員数であり、ドコモが800万会員、当社が150万会員程度であることにある。今後伸ばしていくカテゴリとしては、ライフデザイン戦略の中で、金融やコマースを中心に、M&Aを含めて伸ばしていく。
質問者6
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- ビジネスセグメントにおける16.3期4Qの営業利益規模が小さい要因は何か? (決算詳細資料P.3)
また、17.3期に向けての取り組みについて解説いただきたい。 -
モバイルの新規、機変を含めた販売台数が増加した影響である。昨年度の減収減益の主要因であった音声定額プランの影響も縮小してきているので、17.3期は増収増益を目指せると考えている。
- ビジネスセグメントにおける16.3期4Qの営業利益規模が小さい要因は何か? (決算詳細資料P.3)
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- 販売台数が増加した背景は?
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営業を強化したこともあるが、元々法人は4Qに駆け込み需要がある傾向である。
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- 決算プレゼンテーションP.13に記載されている「IoTの取り組みを強化」について、IoTの将来的なビジネス規模は? また、具体的にイメージできる商材があれば教えていただきたい。
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今後の3年間では、スマートメーターやコネクティッドカーが先行すると考えている。その後、家庭を中心としたホームIoTが出てくる。IoT自体が大きく利益寄与することはないと思うが、通信部分ではなくプラットフォームを含めて利益化を進めていく。今年は潮目が変わる年であり、従来のスマートフォンを中心とした通信料の増加は厳しくなり、併せて販売奨励金は減少していくので、それによって利益を確保し、IoTで支えていくイメージとなる。
質問者7
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- 付加価値ARPAの17.3期見通しは、500円とのことだが、どの分野を伸ばすことで増加させるのか?
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auスマートパスはひきつづき好調であり、それに加えて他のパス系サービスや今後進めていくau WALLETプリペイドカードとクレジットカードのセット化の促進による決済手数料の増加、au WALLET Marketの商品ラインアップの強化に着目していただきたい。
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- au WALLETクレジットカードの会員数および取扱高は、16.3期末時点でどの程度か? 販促費を使って会員数を増やすことも可能だと思うが、積極的に会員数を拡大する取り組みを行うか?
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16.3期末のau WALLETプリペイドカードとクレジットカードの累計申し込み枚数は2,000万枚、有効発行枚数は1,790万枚 (プリペイドカード: 1,650万枚、クレジットカード: 140万枚)。
質問者8
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- au通信ARPAを伸ばしつつ、au経済圏や付加価値ARPAの拡大、グローバル事業を強化するという戦略はNTTグループも同様であるように思える。現在のような市場環境においては、通信キャリアは同じような戦略に向かっていくものなのか? NTTグループとKDDIの戦略上の違いがあれば教えていただきたい。
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通信キャリアのライフサイクルというものは確かに存在し、ダムパイプ、スマートパイプの議論であると考えている。スマートパイプの中で、タッチポイントを活かして、通信以外の領域にも注力していくというのは、大きな流れであり、当然の選択である。具体的な戦略の違いは、大きな部分では同じに見えるが、細かい部分では違いがあると考えている。
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- 業績においても、売上規模や利益規模を見ると、グローバル投資家にとっては、ドコモとKDDIは短期的に同様に見える。一方株主還元については、ドコモは配当性向50%超であり、NTTから要請があれば大規模な自社株買いを実施する会社であるため、KDDIの株主還元は劣後しているように見える。今後投資家に向けて、どのようにKDDIをアピールしていきたいと考えているか?
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我々は、発表したガイダンスを必ず達成するというオペレーションをしてきたので、投資家の方々には安心感があるのではないかと思う。他のキャリアとの違いは、そのような経営スタイルの差であると認識していただきたい。
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