2017年3月期第1四半期決算説明会 (決算ハイライト・質疑応答)
日時 | 2016年8月2日 (火) 17:30-18:30 |
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場所 | ガーデンエアタワー20階会議室 |
登壇者 | 田中社長、両角副社長、髙橋副社長、石川副社長、田島専務、内田専務、東海林常務、村本常務、本田経営管理本部長、堀井IR室長 (司会) |
決算ハイライト
決算説明会の模様
決算説明会では、「2017年3月期第1四半期の業績」と「新中期目標に向けた国内外での事業戦略」の2点について、社長の田中より説明致しました。
1. 2017年3月期第1四半期の業績
2017年3月期第1四半期 (2016年4~6月) の連結売上高は1兆1,305億円となり、通期予想に対しての進捗率は24%となりました。連結営業利益は、国内モバイル事業におけるau通信ARPA収入の増収とau端末販売コストの削減、加えてバリューセグメントの増益により、2,751億円 (進捗率31%) となりました。また、EBITDAは4,153億円 (進捗率28%) となりました。今期の目標に向けて順調な進捗となっています。
2. 新中期目標に向けた国内外での事業戦略
国内通信事業においては新たな事業運営方針「お客さま体験価値を提供するビジネスへの変革」のもと、会員制プログラム「au STAR」を8月から開始。auのお客さまに長期的にご利用いただくことを目指します。
UQモバイルでは、取扱家電量販店を約1,000店舗に拡大し、オンライン販売が中心のMVNO市場の中でお客さまタッチポイントを強化するとともに、7月より料金プラン・端末ラインナップを拡大し、スマートフォン販売を推進します。
IoT分野では、コネクティッドカーやスマートメーターを推進し、中長期戦略として新たな市場開拓を目指します。
ライフデザイン戦略においては、コマースサービスの「au WALLET Market」と「au STARギフト」と連携させ、販売を強化します。加えて、4月から開始した「auでんき」においては、「au WALLETクレジットカード」での電力サービスのお支払を推進。保険・ローンサービスは、パートナー企業とともにサービスを開発し、4月からauブランドで販売開始しました。これらのサービスを、当社の強みであるオンラインとオフラインの両面でのお客さまタッチポイントを通じて販売するとともに、auIDを中心とした「ポイント還元プラットフォーム」「ビックデータ/データマネジメントプラットフォーム (DMP)」「決済プラットフォーム」の3つのプラットフォームにより、効果的なプロモーションを展開させ、au経済圏の拡大を目指します。
グローバル事業においては、2014年7月にミャンマーでトップシェアを持つミャンマー国営事業体「MPT」と共同事業契約を締結して以来、着実に契約者数を伸ばしています。また、2016年3月に連結子会社化したモンゴルでトップシェアを持つモビコムは2016年5月より4Gサービス (LTE) を開始しました。今後もミャンマー、モンゴルにおける通信事業を推進します。
質問者1
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- 今期1Qのau通信ARPAはYoY+3.8%の5,810円と、通期見通し5,730円に対して高い進捗であった。今後四半期ごとに上昇していくと思うが、2Q以降どの程度上昇する要素があるのか?
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前期本決算時に今期の通期見通しは保守的だと申し上げたが、1人当たりモバイルデバイス数の伸長に加え、「カケホとデジラ」の音声ARPU減少トレンドの改善や、データチャージ利用額が2倍超に増加したことなどもあり、1Q実績は大幅な伸びとなった。今後このトレンドに大きな変化を与える要素は考えていないため、継続的に伸びていくとは思うが、まだ1Qなので現時点では通期見通しの見直しは考えていない。
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- 解約率について、足元のMVNOへの流出や料金キャンペーンなどの影響もあったと思うが、今後au STARのサービス開始やUQmobileの店舗拡大によって、2Q以降YoYでどの程度解約率を下げることができるのか?
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解約率の今期1Q実績はYoYで若干悪化したが、月別にみると右肩下がりとなっている。2Q以降もYoYでは改善できると考えている。とはいえ、MVNOへの流出は一定数あるため、UQmobileなどを含めたKDDIグループトータルでIDを確保したい。
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- ライフデザイン戦略について、16年4月から開始した金融事業や電力事業、ジュピターショップチャンネル (以下、JSC) など、1Q3カ月間でのオペレーションの手応えはどうか?
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金融事業は、概ね計画通り順調に進捗している。生命保険については、還付型の保険サービスに切り替えて、12月の開始に向けて準備をしている。また、JSCについても、現状では高齢のお客さまが多い中で、若年層へ利用を広げるために、家電販売を用いてネットへ誘導してみたところ効果があったので、今後もネットやモバイル端末を活用したシナジーを発揮できると考えている。
電力事業については、電力自由化後市場全体が拡大しているわけではないが、我々が提供しているauでんきは、ショップでの適切な提案ができてきたこともあり、右肩上がりで計画通り推移している。今後も安定的に推移すると思う。
また、電力事業は、副次的な効果として電気料金のお支払に対するau WALLETクレジットカードのセット率を上げることで、お客さまのメインカード化を促進することもできており、我々としては満足している。
質問者2
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- 総務省の端末販売に関するガイドラインによる、今期1Qへの業績インパクトは?
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端末補助金は、IFRSでは端末販売収入からの控除という会計処理となる。ガイドラインの施行によってYoYで端末補助金が縮小したため、端末販売収入が増加し、端末粗利が増加している。今期の通期見通しにおいては、端末補助金の削減影響を560億円と考えていたが、1Qにおいては計画通りの影響が出ている。
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- UQmobileにおいて、ぴったりプラン (最大1年間 1,980円/月) を開始した背景は? MNP対策や解約率の改善のために始めたのか? また、これにより将来的なARPUなどに悪影響が出ることはあるか?
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auとUQを併せて、KDDIグループとしてIDを確保していくというのが大きな考え方である。UQmobileによって、月々の料金が安いMVNO市場のニーズに応えていく。auからUQmobileへの切り替えは、当社の解約率の計算に含まれているが、IDの確保という点で意味がある。ARPUに関しては、UQmobileの主力プランは1,980円/2,980円プランであり、それなりのARPU水準を確保できるため、UQmobileのARPUをきちんと上昇させることができ、KDDIグループとしての売上を伸ばすことができる。
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- JSC連結化による今期1Q業績への影響は? バリューセグメントにおけるJSC影響除きの増益は?
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JSC連結影響は、JSCの無形固定資産の償却やシナジー影響によって、分かりづらくなっているかと思うが、JSC自体も増益しており順調に推移している。バリューセグメントにおけるオーガニックな増益は10%以上確保できている。具体的な金額は、非開示であるためご容赦いただきたい。
質問者3
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- UQmobileで獲得したユーザー向けに、auで提供しているauスマートパスのような付加価値サービスを提供する考えは?
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auスマートバリューによる「マルチネットワーク」に加え、ARPAの増加に寄与する「マルチデバイス」、今後「マルチユース」によってau経済圏を拡大していくというシナリオがある。IDという意味ではUQも含めて考えているが、現時点ではまだUQmobileのユーザー向けに付加価値を提供する段階ではないと考えている。将来的な可能性はあるが、現状はauユーザーのためのサービスである。
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- 英国のEU離脱の影響は? 今後のデータセンター事業戦略に影響があるのか?
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現時点では、具体的な影響は出ていない。今後影響があるとすれば、個人情報保護法の観点ではないかと考えている。我々がテレハウスブランドとして提供しているデータセンター事業のお客さまは、多国籍な企業活動を行っており、英国から事業を引き上げるお客さまがいる一方で、現状英国のみに集約している事業を他国に分散する可能性もあるため、決してリスクだけではないと考えている。それよりも、足元ではポンド安による為替影響の方が影響は大きい。
質問者4
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- 1人当たりモバイルデバイス数が、将来的に収斂する水準は? また、開示レベルを現状の小数点以下2位よりも拡大してほしい。
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1人当たりモバイルデバイス数は、減少したり、なだらかになる傾向がなく、まだ伸びていくと考えている。タブレット以外にもルータの寄与も大きいため堅調に伸びている。開示するけた数の拡大については、貴重なご意見として承る。
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- コネクテッドカーの長期的なビジネスモデルは? また、市場規模は?
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今までのIoT、M2M市場は、スマートフォンなどのスマートデバイスに比べてARPUは低いが、契約数が獲得できる市場であった。今後は、通信料だけでなく、プラットフォームや回線監視機能などの運用部分も含めてビジネスモデルを作っていくことを考えている。現状サービスを提供しているトヨタ様をはじめとして、今後は国内市場からグローバルに拡大するため、コネクテッドカーだけでも市場規模は莫大であり、スマートメーター市場も、決算プレゼンテーション資料のP.12にあるように膨大である。なお、スマートメーターのARPUについての回答はご容赦いただきたい。
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- auスマートバリューのau契約数や世帯数の伸びが鈍化した要因と今後の見通しは?
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auスマートバリューのスマートフォン契約数に対する浸透率は6割程度に達しているため、従来のようなペースでは伸びないと考えている。しかし、1世帯当たりのau契約数は2台を超え、今後も着実に伸ばしていけると思う。
質問者5
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- 決済プラットフォームとしてのau WALLETクレジットカードの考え方について教えてほしい。現状の有効発行枚数は百数十万枚程度まで伸びてはいるものの、それ程積極的に取り組まれていない印象がある。
au WALLETクレジットカード以外で毎月の料金を支払ってるauユーザー分の決済手数料を、au経済圏に取り込むことも含めて、取り組みを加速する可能性はあるのか? -
今期1Qの実績は、au WALLETクレジットカード160万枚、プリペイドカード1,730万枚であり、力を入れて取り組んでいる。複数枚のクレジットカードを有するお客さまにとってのメインカード化を進めることで、利用額を増加させる。その上で、トランザクションをビックデータとして活用し、金融などの新たなサービスも開始することでステップバイステップで加速させていく。元々クレジットカード事業は、じぶん銀行の一部の事業であったが、現在は子会社のKDDIフィナンシャルサービスで行っている。通信料金にもう1つの公共料金を加えることで、auの解約率が下がり、メインカード化を促進することができる。au WALLETプリペイドカードとの親和性も高いため、今後も気合いを入れて取り組んでいく。
- 決済プラットフォームとしてのau WALLETクレジットカードの考え方について教えてほしい。現状の有効発行枚数は百数十万枚程度まで伸びてはいるものの、それ程積極的に取り組まれていない印象がある。
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- 本日 (8/2) の公正取引委員会からのリリースについて、直接的な影響は割賦販売に関する部分であると考えるが、今後の対策についてどのように考えているか?
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まだ詳細に分析できていないが、割賦販売については、MNOが1種類の販売価格を販売代理店に対して指定することが問題となっており、我々が販売代理店に対していわゆる販売価格を指定したことはなく、割賦価格についても複数選択できるようになっているため、問題はないと認識している。
質問者6
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- 1Qの営業利益は2,751億円であり、2Q以降がYoY横ばいであっても通期見通し8,850億円程度の水準となるため、通常であれば3Q決算時に上方修正をするところだが、今期はあまりにも上振れしすぎている。2Q決算時に上方修正することはあるか?
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保守的な見通しであることは認識しているが、まだ1Qであり、長期ユーザー向け優遇施策であるau STARは下期にコスト増影響が出るため、今後の進捗を見て考えていきたい。過度な期待はしないでいただきたい。
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- au通信ARPA収入の増収は、YoYで+150億円程度の巡航速度で推移しているものの、加速も減速もない印象である。今後、条件が揃えば加速するのか? もしくは、減速するリスクがあるのか?
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ID×ARPUが我々のビジネスの基本であると考えており、IDはリテンション強化やUQmobileでのリクープで確保し、ARPAも我々の予想を上回って推移している。今後は、総合ARPA (au通信ARPA+付加価値ARPA) をもっと重視していく時期が来ると考えており、ビジネスの内容は市場変化に合わせて年々変わっていく。現状はうまくオペレーションできており、心配するようなことは起きていない。
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- UQmobileにおいて、iPhone 5sの取り扱い開始と、割安な料金設定で攻勢をかけているが、なぜここまで踏み込んだのか? また、KDDIのUQへの優遇を不満に思っているMVNO事業者もいるようだが、問題はないのか?
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基本的に営業戦略についてはUQ側で決めている。ただ、従来はCDMAへの対応端末が揃っていなかったが、端末も数種類取り扱うことができるようになり、iPhoneも扱うことができるタイミングがきたので、弱みである認知の向上を含めて、垂直立ち上げをしたと聞いている。
また、UQに対しても、他のMVNO事業者と同様の卸料金を設定しており、UQmobileは赤字が先行することとなる。MVNO市場においてレイトカマーがとる戦略はまず認知向上だと考えれば、わかりやすい戦略だと思う。
質問者7
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- 今期1Qの増益要因の中で、パーソナルセグメントのau通信ARPA収入以外の要因 (+266億円) の内訳は? また、2Q以降もその増益効果は続くのか?
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端末販売粗利+119億円、固定通信収入+33億円、その他105億円という内訳である。
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- 付加価値ARPAはYoYでは伸びているが、通期500円に向けて、今後伸びる領域はどこか?
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前期4Qと今期1Qを比較すると10円減少しているが、前々期4Qと前期1Qの減少幅 (▲30円) よりも縮小している。通期見通し500円に対しては計画通り進捗している。今後の伸びしろの1つはauスマートパス。会員数が順調に伸びており、解約率が1%切る低い水準である。さらには、auWALLET、au WALLET Marketが今後の伸びしろとして考えられる。
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- 設備投資の進捗が低い要因は? いつ頃から加速していくのか? 来期、再来期についても、今期並の設備投資水準が必要であると考えているか?
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確かに、1Qの設備投資は計画比で8割程度と低い進捗となっている。今期下期から加速していき、今期見通し5,600億円に達する見込みである。今後の設備投資規模は今期の水準で推移し、大幅に増加することはないと考えている。
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