2018年3月期決算説明会 (決算ハイライト・質疑応答)
日時 | 2018年5月10日 (木) 17:30-18:30 |
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場所 | ガーデンエアタワー20階会議室 |
登壇者 | 髙橋社長、石川副社長、内田専務、東海林常務、村本常務、森常務、最勝寺経営管理本部長、堀井IR室長 (司会) |
決算ハイライト
決算説明会の模様
決算説明会では、「通信とライフデザインの融合」、「2018年3月期の実績」、「2019年3月期の業績予想」の3点について、社長の髙橋より説明しました。
1. 通信とライフデザインの融合
KDDIが目指す「通信とライフデザインの融合」とは、通信からライフデザイン企業へシフトするのではなく、「通信を事業の軸に据え、同心円状にライフデザインサービスを重ねていく」世界観を表しています。
具体的には、当社が拡充してきた、生活のあらゆるシーン・ライフステージに対応したライフデザイン商材 (コマース・金融・教育等) を、お客さまとの接点であるauショップ (実店舗)・auスマートパス (オンライン) を通じて提供するにあたり、[1] お客さまIDにあらゆるサービスで貯めたポイントを集約し、簡単にご利用いただける仕組みを構築すること、[2] IoT・5Gなどの新技術を融合し、質の高い体験価値を提供すること、[3] 分析力の高度化により、お客さまのご利用状況や嗜好に合った最適なサービスを提供することなど、KDDIグループ全体のノウハウを集結し、より快適で利便性の高いサービスを提供することにより、「お客さまに一番身近に感じてもらえる会社」を目指してまいります。
さらに、「IoT・5Gによって無限に広がっていく世界」を他社に先駆けて構築するため、5Gネットワークの構築やR&Dといった自社の取り組みに加え、「オープンイノベーション」も推進していきます。[1] オープンイノベーションを通じた事業機会の発掘、[2] 少額出資によるサービス化支援、[3] KDDI本体によるM&A、といったプロセスを経る中でパートナー企業さまとのつながりを深め、共に成長し、KDDIグループ全体の企業価値拡大につなげていきたいと考えています。
2. 2018年3月期の実績
2018年3月期の連結営業利益は、モバイル通信料収入や付加価値ARPA収入の増加に加え、ビジネス・グローバルセグメントにおける増益も寄与し、9,628億円 (前期比 5.5%増) となりました。
国内通信事業においては、昨年7月に提供開始した新料金プラン「auピタットプラン」、「auフラットプラン」の累計契約数が、4月8日に700万契約を突破しました。「auピタットプラン」は、格安スマホへの流出リスクの高い低データ利用のお客さまにも割安感を実感いただける料金設定となっていることから、au解約率の改善 (第4四半期au解約率 0.96%/前年同期比 0.11ポイント減) に貢献している一方、大容量データをご利用いただくお客さまに適した「auフラットプラン」についても、選択率 (注) が上昇 (昨年7月 24%→本年4月 41%/17ポイント増) し、au通信ARPAの増加要因として貢献するなど、新料金プランの効果が継続しています。
また、モバイル通信料収入 (au通信ARPA収入+MVNO収入) は、au通信ARPA収入における新料金プランの一時的な減収影響を好調なMVNO収入の増収で補い前期比プラスを維持するなど、堅調にオペレーションを続けています。
さらに、株主の皆さまの日頃のご支援に感謝し、一株当たり配当金90円 (前期比 5円増) を予定するほか、1,500億円の自己株式取得 (前期比 500億円増)、発行済株式総数の5%を超える自己株式の消却を実施するなど、株主還元の強化にも取り組みました。
3. 2019年3月期の業績予想
3カ年中期目標の最終年度である2019年3月期は、目標に掲げる「連結営業利益 年平均成長率7%」の達成に向け、連結営業利益1兆200億円を目指すほか、親会社の所有者に帰属する当期利益6,200億円、EPS (基本的1株当たり当期利益) 257.75円を計画しています。
国内通信事業においては、新料金プラン導入に伴う一時的な減収影響によりau通信ARPAの減少 (5,850円/前期比 60円減) が見込まれるものの、au解約率の改善によりお客さま契約期間の長期化 (ライフタイムバリューの拡大) が期待できることから、長期的にはau通信ARPA収入 (au通信ARPA x au契約者数) の増収に寄与するものと考えています。さらに、四半期ベースで見れば、au通信ARPAも下期にかけて改善が期待できます。
また、ライフデザイン事業は、「付加価値ARPA」の成長が加速 (2018年3月期 590円/前期比 15.7%増→2019年3月期 700円/前期比 18.6%増) する見込みです。加えて、中期目標において「2019年3月期2兆円超」としていたau経済圏流通総額や、この度新たに開示した「au経済圏 売上高 (ライフデザインセグメントのグループ外売上+パーソナルセグメントのエネルギー・教育等の売上)」、これら主要指標の成長を支える「auスマートパスプレミアム会員数」、「au WALLETカード発行枚数」なども合わせ、総じて順調に成長しています。
ビジネスセグメントの営業利益は、前期比 10.1%増となる930億円を見込んでいます。今後も、IoT・5Gなどの新技術を活用したデジタルトランスフォーメーションの推進や、お客さまやパートナーさまとの新たな価値共創により、ビジネスチャンスを創出していきます。
グローバルセグメントについても、アジア成長地域でのモバイル事業とデータセンター事業の推進などにより、引き続き、営業増益 (前期比6.6%増の340億円) となる見込みです。
最後に、株主還元については、1株当たり配当金100円 (配当性向38.8%、前期比 10円増) と17期連続増配を目指すとともに、1,500億円を上限とする自己株式取得、発行済株式総数の5%を超える自己株式の消却を決議いたしました。
当社は、持続的な利益成長と株主還元強化の両立により、引き続き企業価値向上を目指してまいります。
質問者1
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- 解約率の改善が鮮明となっているようであるが、ライフデザインサービスによる効果を含めて、背景について教えてほしい。
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解約率の低減については新料金プランの導入が大きいとみている。特に18.3期第四半期は前年と比較して非常によく、今期の目標値はお伝え出来ないが、引き続き改善に努めていきたい。ライフデザインとの融合は既に推進しており、au WALLET クレジットカードやauでんきを両方ご契約されたお客さまは明らかに解約率が低減している。単純に通信からライフデザインへシフトするのではなく、これらを組み合わせることにより新たな増収効果が生まれると考えており、ライフデザインとの融合を引き続き推進していきたい。
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- 増配と自己株式取得1,500億円を発表され、着実に株主還元を強化されているが、髙橋新社長の株主還元への考え方をお聞きしたい。
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自己株式取得額については、社内でもかなり議論を重ね、前期に1,500億円実施した中で、今期の還元をどのように実施していくか非常に重要であると認識した。株主さまとの向き合う姿勢を示す意味において、1,500億円と決定させていただいた。株式市場において、今回の還元が歓迎されるということであれば、それを糧として、引き続き、株主さまとの対話を推進していきたいと考えている。
質問者2
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- 新料金プランによる業績影響について、解約率の改善効果、大容量プランシフトによるau通信ARPA押し上げ効果、端末販売収支の改善などを含めた形で全体像をご説明いただきたい。
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効果としては解約率が改善の方向に向かっている点と、端末販売手数料が下がったことによる端末販売収支の改善があると考えている。au通信ARPAについては、新料金プランへの加入が想定以上の速さで進んでいることにより、減収影響が先行している。一方、フラットプランへの加入比率が徐々に上昇しているほか、全体的なデータ利用量が上昇しており、ピタットプランのお客さまのデータ利用量も上昇傾向であることから、下期に向けて回復するのでないかとみている。総合的に見て、新料金プランの導入は成功しているとみている。
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- 18.3期の戦略コストの実績と効果、および19.3期の見通しについて教えてほしい。
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18.3期の戦略コストは約400億円を実施。内訳としてはリテンション強化に約250億円、チャネル構造改革に約60億円、ライフデザイン事業拡大に約90億円。効果については、リテンション強化においては、au STARの会員数が3月25日に1,700万会員を突破しており、解約率の低減につながる傾向が検証されている。チャネル構造改革においては、au販売に係るイベントや販売店スタッフの強化やUQの販売網拡充支援などを実施することで、販売への効果が出ている。
ライフデザイン事業拡大においては、Wowma! が成長過程にあるが、加盟店の開拓を推進により、順調に販売額も拡大しており、au経済圏流通総額、およびau経済圏売上高に寄与している。以上のことから戦略コストは適正であると考えている。今期の戦略コストは非公表であるが、前期と同規模とご理解いただきたい。
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- M&A実績と効果および、19.3期の見通しについて
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現中計で掲げている3年間で5,000億円のM&Aを実施中であり、現時点で3,000億円超を実施済。今期は約2,000億円を見込んでおり、フリー・キャッシュ・フローの中にはこの約2,000億円の成長に向けた投資が含まれていると認識いただきたい。効果については、新中計において総括させていただきたい。
質問者3
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- au経済圏売上高を開示いただいたが、売上高が伸びる大きな要因や内訳、利益貢献について教えてほしい。
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au経済圏売上高の内訳は非開示。au経済圏流通総額の内訳は開示しており、「au WALLET決済」、「かんたん決済」、コマース、エネルギー、教育等が含まれる「その他」が構成要素となっている。どの要素も順調に拡大している。また、戦略コストも使い、au経済圏流通総額の拡大に寄与している。テイクレートについては他社と同様の30%水準と考えており、au経済圏流通総額の拡大とともにau経済圏売上高を拡大させていきたいと考えている。
ライフデザインについては、エネルギーや教育などのストックモデルとなる事業を大事にしていきたいと考えている。単に個別サービスの利益率追求ではなく、通信と融合することにより、副次的な効果がauスマートバリューのように発生してくるとみており、ストックモデル事業も重視していきたいと考えている。
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- 楽天のMNO参入の影響とライフデザイン事業の立場から見た競争はどのようになると考えているのか。
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楽天のMNOとしてのサービスインは2019年秋と想定されるが、迎え討つ立場としてしっかり準備をしていく。通信ネットワークというプラットフォームは、競争がより良いサービスを作り出す面もあり、前向きにも捉えているが、楽天に付与された周波数は1.7GHz帯 (20MHz x 2) であり、これだけではダウンリンク速度はMVNOとあまり変わらないのではないかとみている。また、楽天の決算資料によると設備投資額は5,000億円台であり、MNOとして参入していく限りにおいては、きっちりとエリア整備を実施していく必要性もあり、競争環境が厳しくなるとは認識しているものの、楽天にとって事業運営は厳しくなるのではないかとみている。加えて、MVNOを意識した新料金プラン施策は昨年から成果が出ているとみており、この施策の延長線上で戦略を構えれば、対抗できるのではないかと考えている。
一方で、ポジティブな点としては、社内では通信とライフデザインの融合を啓蒙することは大変であり、コマース事業が主体である楽天が通信に参入することにより、外部の刺激を受けて、これから楽天に対抗するためには通信とライフデザインの融合が不可避であることを認識し、通信とライフデザインの融合に拍車がかかることは良いと前向きにとらえているが、兜の緒を引きしめて対抗していきたい。
質問者4
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- 18.3期設備投資について、期初見通しに対して上振れ、今期見通しが前期実績よりも多くなる要因は何か。また、2020年のサービスインを目指している5Gに向けた投資計画はどうなっているのか。
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移動通信においてLTE品質向上、エリア拡大を進め、工事が順調に進捗したことから、期初見通しに対して上振れた。19.3期については移動通信の設備投資は前期とほぼ同水準であり、その他の固定通信側で設備投資の増加が見込まれる。
5G関連投資については、2020年のサービスインを目指すが、19.3期については、研究開発が主であり、20.3期から本格化すると考えている。5Gは4GLTEの技術の延長であることから、設備の共有やソフトウエア拡張で対応可能な面もあり、設備投資額が大幅に拡大することはないとみているが、今後精査していく。
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- パーソナル、ビジネスにおいて、IoTをどのように収益化していくのか。
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パーソナルにおける代表的なIoTサービスはau HOME。サービスを常に進化させ、契約者も順調に拡大している。また、auでんきについては、IoTを利用した電力量を明確に確認できる仕組みにより、他社と差別化できており、契約者が拡大している。パーソナルにおけるIoTは、ライフデザインにおいてお客さま体験価値を通じて、徐々に収益が伸びていくものと考えている。
ビジネスにおけるIoTは、以前から実績があり、コネクティッドカーとしては15年以上の実績がある。また、ホームセキュリティや電力スマートメーターにおいても大きく伸長してきた実績もある。今後のIoTマーケットは通信するデバイスが飛躍的に増加し、通信自体の売上が拡大するほかに、通信の周辺において、様々な付加価値も飛躍的に拡大するとみている。当社では、こうした付加価値サービスの提供を推進している。IoTデバイスにはセンサーが実装され、位置情報や温度・湿度などのデータが取得可能であり、こうしたセンサーをパートナー提供の含め、2,000種類以上提供している。さらに、センサーが集めたデータの蓄積・分析や複数のデータを組み合わせるなど、付加価値の提供は無限に拡大する可能性も秘めており、収益化につながると考えている。さらに、パーソナルのIoTとビジネスIoTとライフデザインがつながり、通信だけではないIoT付加価値を提供する企業を目指していきたいと考えている。IoTの売上規模は既に数百億円規模であり、数年内には一千億円規模を目指していきたい。
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