2019年3月期第2四半期決算説明会 (決算ハイライト・質疑応答)
日時 | 2018年11月1日 (木) 17:00-17:55 |
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場所 | ガーデンエアタワー会議室 |
登壇者 | 髙橋社長、石川副社長、内田副社長、東海林専務、村本専務、森常務、森田常務、最勝寺経営管理本部長、堀井IR室長 (司会) |
決算ハイライト
決算説明会の模様
決算説明会では、「上期業績ハイライト」、「国内通信事業」、「新たな成長領域」および「サステナビリティ」の4点について、社長の髙橋より説明しました。
1. 上期業績ハイライト
2019年3月期上期 (2018年4月~9月) の連結売上高は、前年同期比で1.9%増加し、2兆4,623億円となりました。
連結営業利益は、新料金プランの値下げによる影響でモバイル通信料収入は減収となったものの、付加価値ARPA収入の増収や、ビジネス・グローバルセグメントの増益で補い、前年同期比3.4%増の5,612億円となりました。
なお、通期の連結営業利益予想に対する進捗は55.0%と順調に進捗しています。
2. 国内通信事業
国内通信事業においては、これまでお客さまのニーズに合った料金プランへの見直しに取り組んでまいりました。2017年7月に導入した通信と端末の分離プランである「auピタットプラン」「auフラットプラン」の契約数は、お客さまにご好評いただきにより2018年9月に1,000万契約を突破しました。今後もお客さまのご利用状況に応じた最適なプランをご用意すると共に、基盤事業である「通信」を核とした「通信とライフデザインの融合」によってお客さまへ新たな体験価値を提供することで、持続的な成長を目指します。
3. 新たな成長領域
ライフデザイン事業について、au経済圏流通総額は2Qで6,080億円 (前年同期比37.2%増)、上期累計で1兆1,680億円となり、通期目標の2兆4,600億円に対して順調に進捗しております。またau経済圏売上高は2Qで1,670億円 (前年同期比 28.5%増)、付加価値ARPAは690円 (前年同期比 21.1%増) となり、いずれも前年同期比2桁成長となっております。このライフデザイン事業ではエネルギー、コマース、エンターテインメント、決済などの様々なサービスを提供しており、通信と非通信のサービスをあわせてお客さまにご利用いただくことで、[1] お客さま満足度の向上によるリテンション強化、[2] お客さまタッチポイントの強化、[3] 安定的な収益基盤の拡大を目指します。
また、テクノロジーの進化により市場環境やサービスが激しく変化する中、楽天様と協力しながら同時に競争するという「協争」という新たな枠組みを発表しました。主な取組みとしては「両社のアセットを相互利用」し、当社は楽天様に通信ネットワークをローミング提供、楽天様が持つ決済・物流ネットワークを当社が利用するものです。この取組みによって、各レイヤーにおいてより効率的に基盤整備を行うことができ、当社はau経済圏の拡大、付加価値ARPAの成長を加速させることが可能となります。
もう一つの成長領域となるIoTにおいては、デジタルトランスフォーメーションが加速する中、新しい体験価値の創出は当社の重要なテーマです。お客さまが新たなIoTビジネスを開始するにあたって、イノベーションで新しい体験価値を共創する開発拠点として「KDDI DIGITAL GATE」を9月に設立しました。
またモビリティの領域では幅広い分野でトヨタ自動車様をはじめとした多くのパートナー企業様と共に取組みを実施しており、自動運転やビッグデータ活用の取組みに当社が持つアセットやケイパビリティで付加価値をつけることにより、安心・安全でワクワクするサービス創出に努めてまいります。
5Gの導入に向けては、2020年の本格ローンチに向け、オリンピック・パラリンピック会場やその周辺、自治体・パートナー様のご要望に沿ってエリア化を推進し、5Gの新サービスを通じて地域課題の解決、地方創生への貢献を目指します。
4. サステナビリティ
安全で強靭な情報通信社会の構築は当社の最優先事項です。北海道胆振東部地震では被災地へ「KDDIオーシャンリンク」を派遣し、船舶型基地局によって通信インフラを維持すると共に、救援物資を運搬して災害対応に貢献いたしました。
また、10月にはキッザニアを運営するKCJグループとパートナーシップを構築し、当社の5GやIoTの技術と組み合わせて両社で「楽しみながら学ぶ=エデュテインメント」の推進に取り組みます。
さらにESGの取組みでは、前年度に引き続きESG関連株価指数の構成銘柄に選定されました。米国のMSCIでは女性活躍指数を含む複数の指数に選定、英国のFTSEでは、グローバルと日本の2つの指数に選定、9月にはグローバル環境株価指数「S&P/JPXカーボン・エフィシェント指数」にも選定されました。今後も中長期的な企業価値向上に継続的に取り組んでまいります。
質問者1
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- 今回の楽天との提携によるKDDIのプラスは何か。例えばポイントやIDの連携・統合というかたちで一体となって、ビジネスを進めたらプラスとなるのではないか?
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今回の提携は競争と協調というコンセプトに基づいたものであり、ローミングと決済・物流分野に分けて考えている。
まず、ローミングについては提供するか悩んだものの、楽天はドコモやソフトバンクにもローミングの申し入れをされていたと思っており、真摯に協議を進めた結果、合意と至った。もし当社がローミング提供を拒否したとしても、国の政策としては第4の通信事業者を、当社を含めた既存MNO3社に対しての競争軸として参入させるという基本的な考え方があることから、どこかのMNOがローミングを受け入れると思っていた。そうであれば、一定の条件でローミングを引き受けられるのであれば、メリットが有ると考えた。
加えて、混雑エリアでのローミングは提供しないため、大きな追加投資が必要なく、ローミング収入を得ることも可能と考えており、中期的な持続的成長にもプラスになると考えた。
また、これから展開しようとしている「au Pay」において、遅れている加盟店開拓やロジスティックスの面で楽天に協力いただき、相互にとって良い結果を出していきたいと考えている。
現時点においては、以上の提携内容にとどまるが、楽天との良い関係ができたため、今後、あらゆる可能性は残していきたいと考えている。
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- 来年、新中計の発表予定であるが、新中計の前提となる通信業界の環境は大きく動いている。楽天は2019年10月に低廉な料金プランで参入が予想され、NTTドコモは2019年第1四半期に新しい料金プランを出すと発表している。こうしたことを踏まえて、新中計における通信業界の競争環境の前提をどのように考えているのか?
また、料金プランにおいてどのような方向性を考えているのか教えてほしい。 -
NTTドコモが昨日の決算発表で、4,000億円規模の料金値下げを説明されたのは、基本的には分離プランの導入を説明したと思っている。
当社は以前より、端末への過度なインセンティブを禁止するガイドライン則り、既に1年半前からは分離プランの導入している。その結果として3,000億円超のお客さまへの還元は出来ていると認識している。こうした意味においては、当社はトップランナーであり、NTTドコモは最後の分離プランの導入キャリアになると見ている。
また。現在、まさに2019年からの3年間の新中計を策定中であるが、持続的成長が基本方針。持続的成長があって、はじめて5Gへの投資、地方創生、株主還元、お客さまへの還元が実現可能だと考えている。NTTドコモは料金プランについて、具体的な発表はしなかったこともあり、現時点においては料金プランの水準について回答できないが、競争環境の変化を見ながら、コスト削減を推進することで筋肉質な体型を作り、持続的な成長していきたい。
- 来年、新中計の発表予定であるが、新中計の前提となる通信業界の環境は大きく動いている。楽天は2019年10月に低廉な料金プランで参入が予想され、NTTドコモは2019年第1四半期に新しい料金プランを出すと発表している。こうしたことを踏まえて、新中計における通信業界の競争環境の前提をどのように考えているのか?
質問者2
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- ローミング提供について、楽天の開設計画を見ると、自前のエリア構築はかなり厳しいのではないかとみている。KDDIは東京23区内や名古屋・大阪市内および混雑エリアを除く全国エリア提供を表明しているが、こうしたエリアにおいても楽天からローミング提供を要請された場合、条件次第で協力するのか?
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今後の協議にもよるが、基本的な姿勢として、楽天はMNOとして参入するので、少なくとも東京23区内や名古屋・大阪市内などについては、自前でやるべきエリアであると考えている。こうしたエリアでローミングすることは、MNOとしての存在意義にも関わるので、我々としては発表した内容で協力していきたいと考えている。
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- 今回のNTTドコモの発表では、料金と端末のトータルで支払額を下げると言った踏み込んだ発表にも見えるがKDDIの現在の分離プランは政府の要請に応えたものになっているのか?
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政府の要請は2016年の過度なインセンティブを抑制するガイドラインが起点となっている。このガイドラインに則りつつ、基本的に端末代金と料金プランを分離するプランとして、当社はauピタットプラン・フラットプランを導入し、お客さまには3割程度の料金値下げを提供している。ガイドラインに基づき、端末のインセンティブを抑制しつつも、民間企業として増益を目指して努力をしてきた。実際は端末のインセンティブの抑制だけでは厳しく、それ以外にもコスト削減努力やMVNOの収入を合わせながら、利益の確保をしてきた。このプラン自体はガイドラインに則り実施しているため、政府から否定されることはないと考えている。NTTドコモの料金値下げについては現時点においては何とも言えないが、分離プランを導入するということは、これまでのような多額のインセンティブを投入することはないとみている。しかしながら、来年ドコモが新たに発表する料金プランを見据えつつ、しっかりと持続的成長を目指すのが我々、経営陣の役割と考えている。
質問者3
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- プレゼンにおいて高橋社長より、5G導入に向けて設備共用に触れられているが、コスト削減効果も踏まえて補足いただきたい。
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これまでは設備競争の時代だったが、今後はプラットフォームをしっかり構築し、いかに多くのパートナーと新しいビジネスを創出するかといえる競争のフェーズになる。そういう意味において、我々のネットワークは当社だけで構築するものではないと見ている。特に高周波数となると、多くの光ファイバーが必要となり、NTTのボトルネック設備を借りる必要もある。多方面と共用することで、効率的に設備を構築していくことができると思っている。
今回の楽天へのローミング提供は混雑エリアをローミングするわけではないので、追加投資がほとんど必要なく、ローミング収入がいただける。
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- グローバルセグメントの2Qの3ヶ月だけで見ると営業減益になっているが、補足説明をいただきたい。
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1Qはミャンマー事業の決算時期調整が特殊要因としてあった。2Qが減益に見えている理由は主に為替の影響。特にミャンマーチャットとUSドルとの為替影響によるものであり、それを除けは、実質的には前年比増益。
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- IoT世界基盤について、概略は理解できたが、3~4年で1,000億円の売上規模を目指す中での途中経過を教えてほしい。
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現時点においては、国内での売上がメインである。しかし、数年後には、IoT世界基盤を海外でのIoT機器の接続に拡大することで、1,000億円規模の売上を目指すプランである。実際に海外での成長が加速するのは、自動車業界における取組が中心となる。今後、2021年度に向けてIoT接続数の増加が、国内の増加スピードを追い越す勢いで伸びると見ている。
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- ソラコムのスタートアップ企業との連携事例と業績について教えてほしい。
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ソラコムが単独で成長できる領域と、ソラコムが当社のIoT世界基盤の中で活躍できる領域の双方で取り組んでいる。例えば、IoT世界基盤の中でソラコムが持つ世界120カ国のエリアにおいてローミング接続することも実現できる。こうした取り組みをはじめとして、ソラコム自身の基盤構築を拡大し、独自の事業成長を狙うことは面白い取り組みだと考えている。引き続き、ソラコムの事業成長と当社のネットワークを融合していきたいと考えている。
質問者4
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- NTTドコモはお客さま還元額4,000億円と表明しているが、KDDIの分離プランの還元額は?
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3,000億円超と申し上げた還元額の内訳は、分離プラン影響やau STARなどの還元額が含まれているが、auピタット・フラットプランのスタートタイミングから今期末までの差分をカウントしている。
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- 髙橋社長のコメントが値下げに積極的と言う記事もあれば、追随はしないと言う記事もあり、捉えがたいところと感じている。ドコモの約4,000億円のお客さま還元の発表に対して、料金プランの投入予定は?
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NTTドコモが料金プランを改定することと、楽天がMNOとして参入することは明確であり、当社として今後、全く動きがないとは言えない。
新中計を策定するにあたり、KDDIは民間企業であり、どんな知恵を使っても何とか増収増益を担保しながら持続的成長をしていきたい思いが強くある。2019年3月期の営業利益は1兆200億円の利益を見込んでいるが、それを世の中にいかに還元していくかが使命と思っている。
還元の手法としては様々あると認識している。5G投資は、これまで日本の素晴らしい通信品質を継続するほか、地方創生としての役割も高い。また、キッザニアのような次世代を見据えた投資や株主還元、お客さま還元もしてしかないといけないと表明している中で、報道では「お客さま還元」というワードばかりピックアップされている印象、基本的にはこうした姿勢で次期中計は取り組んでいきたい。
質問者5
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- au解約率がかなり低下しているが、競争環境に何らかの変化が出てきてるのか、例えばMVNOやサブブランドとの競争が少し緩和しつつあるのか、もしくはKDDIが取り組んでいるライフデザイン戦略を含めての効果が出ているのか教えていただきたい。
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競争環境の変化もあるが、基本的には新料金プラン効果とau STARなど長期優遇による効果が大きい言える。もう一つは通信とライフデザインの融合であり、複数サービスをご利用いただくと、満足度が向上し、お客さまとのエンゲージメントが強くなる効果もあり、それが徐々に浸透してきた効果といえる。
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- ビジネスセグメントのモメンタムが上がっている背景は何か?
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今期の営業利益見込みは930億円であり、順調に推移している。通年と比較しても大きなトレンドの変化はないが、データセンター、ソリューション、ネットワークとも順調であるほか、子会社であるCTCやKDDI まとめてオフィスが着実に利益貢献しており、トータルの業績を押し上げていると見ている。
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