2020年3月期第1四半期決算説明会 (決算ハイライト・質疑応答)
日時 | 2019年8月1日 (木) 17:00-18:00 |
---|---|
場所 | ガーデンエアタワー会議室 |
登壇者 | 内田副社長、東海林専務、村本専務、森専務、森田常務、雨宮常務、最勝寺経営管理本部長、堀井IR室長 (司会) |
決算ハイライト
決算説明会の模様
決算説明会では、「1Q業績ハイライト」、「新中期経営計画始動」の2点について、専務の村本より説明しました。
1. 1Q業績ハイライト
2020年3月期第1四半期の連結売上高は、前年同期比で2.0%増加し、1兆2,461億円となりました。連結営業利益は、ライフデザイン領域やビジネスセグメントの堅調な増益はありましたが、下期の新規事業者参入や、22年3月末の3G停波に備え3Gユーザーの4Gへの移行推進を中心にリテンションを強化したため販売コストが増加、加えて前期のミャンマー事業の会計期間変更や3G設備の加速償却、一部端末の評価減等の一時的な要因もあり、前年同期比11.4%の減益の2,558億円となりました。
その一方で、モバイルID数は分離プランの浸透やライフデザインサービスとのバンドル効果もあり着実に増加し、総合ARPA収入もau通信ARPA、付加価値ARPAの堅調な伸びにより通信・非通信分野ともに着実に成長を続けております。
2. 新中期経営計画始動
当社は本年5月に刷新したKDDIのブランドスローガン「Tomorrow, Together」、auの「おもしろいほうの未来へ。」に沿って事業運営しております。
5G時代はインフラや基盤の整備はパートナーと一緒に作っていく一方、サービスや料金はしっかりと競争していくという「競争と協調」の時代が訪れます。当社は5Gを活用して新しい体験価値を生み出すオープンイノベーションを進めるにあたり、新たなプラットフォームや地方創生に繋がる次世代のサービス開発にしっかりと取り組んでまいります。
5G時代に向けた基盤整備について、当社は来年春に5GをNSA (Non-Standalone) で展開を予定していますが、長年かけて磨き上げたピカピカの4Gに、スペシャルな5Gを組み合わせて、ハイブリッドネットワークとして展開していきます。加えて、より早期に5Gを立ち上げるため、2019年7月にソフトバンク様と地方における5Gネットワークの早期整備を共同で推進することに合意いたしました。このような取り組みを通じて早期に強靭な5Gのネットワークの構築を進めてまいります。
5G時代を彩るオープンイノベーションについて、当社はパートナーとのコラボレーションの場として、2018年9月にKDDI DIGITAL GATEを開設いたしました。一例として、JAL INNOVATION Lab様との5G、IoTを活用した次世代サービスの研究開発・実証実験を進めております。また本年秋には大阪と沖縄にも拡大し、新規事業の創出を強力にサポートしてまいります。
スマートドローンの領域ではLGU+様と国際的なドローン市場の発展に向け業務提携を行い、MaaSの領域ではNAVITIME様と連携することで、交通事業者や自治体と共に、交通のデジタルトランスフォーメーションを推進してまいります。このように我々は特化型のプラットフォームを用意し、そのプラットフォームの上で様々なパートナーと協調し、新しいビジネスを作り上げていきます。
地方創生の分野では本年5月に地方創生ファンドをスタートしたほか、63の地方自治体と協定の締結を行いました。当社はSDGsの達成に向け、事業を通じて解決する社会課題の一つとして、地方創生及び教育事業に積極的に取り組んでまいります。
一方でauの分野では、個人のお客さまにスマートフォンを起点にau PAYやau Wowma! などの決済・コマース、金融を通じ「ワクワク」する体験を提案していきます。そして、通信を核として、ライフデザイン事業の規模を拡大していく「通信とライフデザインの融合」を推進してまいります。
決済の分野では開始わずか4カ月目でau PAYの登録者数が400万人を突破いたしました。楽天様との提携もあり、スマホ決済の利用可能箇所も100万箇所を突破しております。コマースの分野では本年7月にWowma! をau Wowma! に名称変更いたしました。さらにライブコマースサービスの提供開始や、auスマートパスプレミアム会員の送料を無料にするなど、スマホを中心に、よりお客さまに身近に感じて頂けるコマースサービスを目指してまいります。
金融の分野では本年6月にカブドットコム証券のTOBを、7月にはau損害保険の子会社化を完了いたしました。この結果、auフィナンシャルホールディングスの輪の中に全ての金融商品をワンストップで提供する準備が整いました。今後もスマートマネー構想を軸とし、発行枚数2,000万枚を超えるau WALLETと、生活の中心となったスマートフォンを通じて、お客さまの日常生活における決済・金融サービスをより身近にしていきます。
SDGs関連評価について、当社は世界の代表的な社会的責任投資の指標である「FTSE4GOOD Index Series」と「MSCI ESG Leaders Indexes」の構成銘柄に3年連続で選定されました。加えてS&Pが選定するカーボン エフィシエント指数にも2年連続で選定されるなど、さまざまな機関から高い評価を獲得しております。
当社は引き続きKDDI SDGsの取り組みを通じ、社会と共に持続的な成長を目指してまいります。
質問者1
-
- 1Qは▲11.4%の営業減益となった要因として、一時的な減益要因があったとの説明だったが、改めて内容とそれぞれの金額について教えていただきたい。
-
1Qは7期ぶりの減益となったが、まず増益に貢献したのはパーソナルセグメントにおけるライフデザイン領域の増益+50億円と新ビジネスセグメント+59億円の合計109億円。
一方で、減益要因は大きく二つ。
一つ目は一時的な減益要因 約220億円。この中には、[1] ミャンマー事業の決算期変更影響 (前期1Qは6カ月分の利益を取り込んだため、利益の取り込みが前年同期比で3カ月分減少)、[2] 3G加速償却負担増 (上期を通じて減益要因となる見込み)、[3] 一部端末の評価減 (保守的に影響を織り込み)、[4] 物流在庫の評価減 (IFRSでは、市中在庫に対して将来発生する機種別奨励金等を見積もり、売上高のマイナスとして計上。四半期末毎に将来見積もりの洗い替えを実施しているが、この負担額が増加) などが含まれている。
二つ目は、端末販売コストの増加176億円。1Qはモバイル市場の競争環境が活性化しており、守りをしっかり固めるための販売コストが増加した。
1Q業績は、アナリストコンセンサスとの対比が120億円程度あったが、この辺りが差異要因となっている。
-
- 1Qの減益要因のうち、ミャンマーは1Qのみの影響であるほか、3G加速償却負担増も上期までの影響となっている。それ以外の要因が2Q以降にもそれ程大きく影響しないと考えれば、業績の方向感としては増益基調に戻っていくと考えて良いのか?
-
ご認識のとおり。一時的減益影響はほぼ計画に織り込み済みであり、ライフデザイン領域やビジネスセグメントの成長も貢献することで、通期としては十分に期初予想どおり増益を達成できると見ている。
-
- ビジネスセグメントは、通期で8%の増益計画だが、今1Qは18.9%と好調に推移している点をご説明いただきたい。特にIoTビジネスがどのように推移したのかについて知りたい。
-
全ての領域が成長している。基盤事業ではモバイル・固定ともに売上が拡大しており、これらのサブスクリプションモデルが年間を通じて安定的に収益寄与するほか、IoTをはじめとした成長領域・グローバル事業・子会社の成長など、トータルで伸ばしていく。
なお、1Qにグループ外売上が減少したのは海外の採算性の低い事業の整理による影響であり、この影響を控除すれば増収している。同事業からの撤退は前期までに完了しているものの、今期いっぱいは影響が出る見込み。
これら全ての領域が安定的に増益に寄与した結果、前年同期比+59億円の増益となった。
また、中期経営計画で22年3月期までに1,800万回線 (3年間で+1,000回線) まで拡大させるとの目標を掲げたIoT累計回線数も、足下順調な滑り出しとなっている。
質問者2
-
- コンシューマ事業の競争環境について。1Qは端末の値下げ販売が起こっていたが、その結果どの程度の加入者が取れたのか?また、この状況が9月までは続くと思うが、下期はどうなると見ているのか?
-
前期4Qに引き続き競争が活性化したため、au解約率は前年同期比で若干上振れたが、それと同時に新規獲得もかなり進んでいる。これは、au端末販売台数が増加していることなどからもお分かりいただけると思う。
また、上期の販売競争が激化している要因として、昨年11月に発表した3G停波 (22年3月末に停波予定) の影響がある。下期の新しい競争環境に備え、まだそれなりに残っている3Gユーザーのスマホへの買い換えを積極的に推進している状況。
-
- 電気通信事業法改正を受けた解約違約金の引き下げや端末補助金の上限設定などが、事業環境にどう影響すると見ているのか?
-
10月の法改正に向けて、しっかり対応していく。
まず、分離プランについては、既に17年7月から提供している「auピタットプラン」「auフラットプラン」により対応済み。お陰様で既に1,500万のお客さまにご利用いただくなど、10月に向けた備えは万全。
その一方で、端末の販売方法については、端末代金と通信料金を完全に分離した形へ見直す必要がある。
これについては新しい法律・省令基づき、しっかり対応していく。
下期のマーケットの動きについては慎重に見極めていく必要があるが、今までのところはほぼ想定どおり来ているという印象。
-
- 端末の売り方や料金体系を大きく変更しなくても好調を持続できるということか?
-
料金プランについては、本年6月から「auフラットプラン7プラス」、7月26日からは上限なしの「auデータMAXプラン」の提供を開始している。もちろん、マーケットの状況に合わせて料金プランは適宜見直していくが、基本的にはこれらの料金プランがベースとなる。
その一方で、端末の売り方については、本日アップグレードプログラムの新規受付を9月30日で終了すると発表したが、10月以降もお客さまにお求めやすい形で提供していく必要があると考えており、今後、お客さまの声や市場動向を見ながら決めていく。
質問者3
-
- ビジネスセグメントの海外事業について確認したい。音声ホールセール事業を除けば増収との説明だったが、堅調な事業は具体的にデータセンター事業になるのか?
-
データセンターと企業向けのシステムインテグレーション (SI) 事業の二つの柱で伸ばしている。
-
- 海外事業におけるSI事業の規模はどの程度あるのか? また、KDDIの強みがあれば教えていただきたい。
-
具体的な金額はお答えできないが、それなりの売上規模がある。
国内事業と同様、ライセンスを持っている地域では通信も提供しているが、それ以外にも各国の拠点間を結ぶネットワークや、お客さまの拠点内を結ぶネットワークなど、end-to-endで提供するものが主流。
-
- グローバル通信プラットフォームについて、米国や日本での先行的な開始に加え、最近中国でも取り組みが開始したと聞いた。今後のエリア展開やスケジュール感について、改めて確認したい。
-
日本や米国では既に展開が進んでおり、これから中国も含めて進めていく。今期から本格展開していき、今後世界120カ国へサービスを広げていくことで当社のグローバルビジネスの収益拡大に貢献していく。
-
- ライフデザイン領域について、エナリス・じぶん銀行の連結化に伴う売上高・営業利益への影響は?
また、二社の影響を除いても二桁の増収・増益だったようだが、どのような会社・ビジネスが牽引しているのか、そしてそれらの事業成長に持続性はあるのか? -
エナリスとじぶん銀行の連結化影響額は非開示とさせていただくものの、特に売上高に対してはそれなりの規模の寄与があった。
一方、利益については、今までどおりauスマートパスが成長のベースとなっている。auスマートパスプレミアム比率も3月末47%から6月末51%へと順調に拡大している。
- ライフデザイン領域について、エナリス・じぶん銀行の連結化に伴う売上高・営業利益への影響は?
-
- auスマートパスプレミアム会員数は? また、auスマートパスを含めた総会員数が減少していることについてどう考えているのか?
-
6月末のauスマートパスプレミアム会員数は781万会員。auスマートパスは浸透が進んできており頭打ちとなっているため、現在はauスマートパスの上位サービスであるauスマートパスプレミアムの比率を上昇させることが増益に寄与している状況。
質問者4
-
- 楽天の新規参入とKDDIとのローミング提携、そしてそれらが競争環境にもたらす影響についてコメントいただきたい。
ローミング提携発表当初、東京23区・名古屋市・大阪市はローミング提供対象外と聞いていたが、詳細がわかってくるにつれて、東名阪でも地下や商業ビルはサポートするなど徐々にサポートするエリアが広がっている印象を受けている。さらに、仮に楽天がネットワークを準備できない場合は東京23区も追加でサポートするのではないかという噂も出てきている。
そこで確認だが、KDDIと楽天のローミング契約として、厳密に決められたものはあるのか? もしくは、楽天のネットワークがトラブルを起こした場合にはローミングのサポートを積極的にする考えなのか? 建前では東京23区は貸さないことになっていても条件次第では追加で提供するような話になっているのか? 今後の競争環境に大きく影響する話でもあるため、公表できる範囲で教えていただきたい。
-
現在楽天参入に向けて最終的に契約の中身を詰めているところ。基本的に、地下鉄・主要ビルを除いた東名阪はローミングの対象外という当初からのスタンスを変えるつもりはない。
楽天がMNOとして通信事業に参入する以上、当然ながら自前でネットワークを構築すべきだと考えている。様々な場所でネットワーク仮想化技術の訴求などもやられているところを見ると、それなりにしっかり準備されているのではないか。
- 楽天の新規参入とKDDIとのローミング提携、そしてそれらが競争環境にもたらす影響についてコメントいただきたい。
-
- 技術的な質問になるが、KDDIのローミングエリアからユーザーが移動して楽天のネットワークエリアに入る際、ハンドオーバーできずに一度通信が途切れ、端末側が要求した際に初めて通信が復活する仕様になっていると聞いたが、この認識は正しいか?
-
現在、ローミングの試験をしているところであり、その結果は10月のサービス開始時には明確になると思う。
今日のコメントはここまででご勘弁いただきたい。
質問者5
-
- 競争環境の変化により解約率が上昇しているが、顧客はどこに流れているのか。ドコモが端末を値上げしていることを考えれば、ドコモ以外の事業者に流れているとの理解でよいか。
-
2年前の「auピタットプラン」「auフラットプラン」の効果によりMVNOへの流出が抑制され、前期1Qもマーケットは落ち着いていたが、前期4Qから今期1Qにかけては競争が激しくなった。新規獲得により純減幅は減少したものの、結果として前年同期比でau解約率が上がった。そのユーザーがどこの事業者へ移行したかについてはコメントを差し控えたい。
-
- 営業利益の通期計画達成に向けて、2Q-4Qで400億円程度増益にしていくことになるが、3G巻取りや販促なども手を抜けない中で、下期の販促費はどのようになるのか?
-
端末販売については、10月の法改正以降、端末の流動性が下がると見ている。3Gの巻取りに関しては引き続き促進していくが、これは計画に織り込み済み。
また、au契約者数の減少幅は縮小傾向であり、au通信ARPAを含めた総合ARPAも順調に伸びていることから、この状況を維持することで今年度の利益目標は達成できると考えている。
-
- パーソナルセグメントのau契約者数の減少見通しは50万となっているが、これよりもポジティブに推移すると考えられ、またARPAの推移も好調だと思うが、総合ARPAの内訳が非開示となっているため詳しく分析ができない。ぜひ内訳の開示や補足説明をお願いしたい。
-
総合ARPAは、au通信ARPA・付加価値ARPA・auでんきARPA・補償ARPAの4つで構成されている。補償ARPAは横ばいではあるが、それ以外はいずれも伸びており順調である。
質問者6
-
- 一時的な減益要因について、それぞれ金額を教えていただきたい。
また、端末在庫の評価減について一時的な要因と説明されたが、何をもって一時的と判断しているのか。
最後に、競争環境を考えると販売コスト増は2Q以降も継続すると思うが、それでも増益は可能なのか。 -
減益要因の個々の金額に関しては回答を控えさせていただく。
一部の限られた端末について評価減を行ったものであり、2Q以降は発生しない。一旦評価減はしたが、何らかの形で今後売上に貢献した場合は逆に利益として戻ってくる可能性がある。
物流在庫の評価減は、期末の在庫量によって増減するが、しっかりコントロールしており、影響は1Q特有のもの。176億円の端末販売コスト増に関しては、市場の状況を見ながらコントロールをしていくためご安心いただきたい。
- 一時的な減益要因について、それぞれ金額を教えていただきたい。
-
- 端末の評価減は簿価をゼロまで落としたのか、または、中古端末の価格並みまで落としたのか。
-
前者 (ゼロ) である。
-
- ソフトバンクとのインフラシェアリングをどこまで拡げるのか。最大ケース・最小ケースなどのシナリオ、また制約事項があるのかについて解説いただきたい。
-
今年の秋から北海道旭川市内・千葉県成田市内・広島県福山市内の3カ所で実証実験を開始する予定。ここでリスクや課題がどこにあるのか検証し、シナリオを検討していく。方向感については、今年度中に判断できればと考えている。
- 決算説明会
- 決算説明会2025年3月期
- 決算説明会2024年3月期
- 決算説明会2023年3月期
- 決算説明会2022年3月期
- 決算説明会2021年3月期
- 決算説明会2020年3月期
- 決算説明会2019年3月期
- 決算説明会2018年3月期
- 決算説明会2017年3月期
- 決算説明会2016年3月期
- 決算説明会2015年3月期
- 決算説明会2014年3月期
- 決算説明会2013年3月期
- 決算説明会2012年3月期
- 決算説明会2011年3月期
- 決算説明会2010年3月期
- 決算説明会2009年3月期
- 決算説明会2008年3月期
- 決算説明会2007年3月期
- 決算説明会2006年3月期
- 決算説明会2005年3月期
- 決算説明会2004年3月期
- 決算説明会2003年3月期
- 決算説明会2002年3月期
- 決算説明会2001年3月期