2020年3月期第2四半期決算説明会 (決算ハイライト・質疑応答)
日時 | 2019年11月1日 (金) 17:00-18:00 |
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場所 | KDDIホール (東京都千代田区大手町) |
登壇者 | 髙橋社長、内田副社長、東海林専務、村本専務、森専務、森田常務、雨宮常務、最勝寺経営管理本部長、堀井IR室長 (司会) |
決算ハイライト
決算説明会の模様
決算説明会では、主に「上期業績ハイライト」、「ID×ARPA×エンゲージメント」、「成長領域」の3点について、社長の髙橋より説明しました。
1. 上期業績ハイライト
2020年3月期上期 (2019年4月~9月) の連結売上高は2兆5,645億円、通期目標に対する進捗率は49.3%、同じく連結営業利益は5,534億円、進捗率は54.3%となりました。今期1Q単独では減益でしたが、2Q単独で増益に転換し、通期目標に対して順調な進捗となっております。
連結営業利益は、成長領域である「ライフデザイン領域」と「ビジネスセグメント」の増益が大きく貢献し、1Qから2Qにかけて増益幅も拡大しました。一方、競争環境の激化や3Gユーザーの4Gへの移行推進による端末販売コストの増加、前期のミャンマー事業会計期間の変更影響、3G設備の加速償却などが影響し、上期は78億円の減益となりました。
「ライフデザイン領域」は、auでんき契約者の拡大や、auスマートパスプレミアム比率の上昇などが貢献し、売上高は前年同期比38.4%増の5,840億円、営業利益は前年同期比27.9%増の870億円と、売上・利益ともに二桁成長となりました。
「ビジネスセグメント」は、モバイル・固定といった既存事業に加え、IoTなどの成長領域が拡大し、売上高は前年同期比4.3%増の4,510億円、営業利益は前年同期比29.5%増の826億円と二桁増益となりました。
2. ID×ARPA×エンゲージメント
当社は「ID×ARPA×エンゲージメント」によるライフタイムバリューの最大化を目指していきます。
IDについては、グループMVNOの契約者数が堅調に増加しており、モバイルID数は9月末で2,709万と着実に成長しております。多様な販売チャネルとお客さま層を持つグループMVNOで、低価格志向のお客さまのニーズにお応えするとともに、大容量のデータ通信をストレスなく利用したいお客さまには、auが提供する多彩な料金プランを提案することで、グループ全体でIDを拡大していきます。
ARPAについては、構成する全ての要素が前年同期で伸びたことで、2Qの総合ARPAは前年同期比で4.3%増の7,770円となりました。総合ARPA収入も前年同期比3.6%増の5,694億円となり、着実に伸長しております。
3. 成長領域
[1]「金融事業」
au PAYは開始わずか半年でご登録者数が600万を超え、クレジットカード・プリペイドカード会員を加えた当社の決済基盤は3,300万を突破しました。通信をコアにして築き上げた決済基盤とポイント残高を、スマートフォンをタッチポイントとして、お客さまのライフステージに応じた金融商品に活用いただくことで、金融事業を新たな利益創出の柱へと育てていきます。
[2]「auスマートパスプレミアム」
auスマートパスからのアップセルに注力し、会員数は9月末で851万となりました。来年3月の5Gスタートに合わせ、XRや4K映像、スマートデバイスを活用したより臨場感が味わえるデジタルコンテンツの提供を予定しており、更なる会員数の拡大と総合ARPAの成長を目指します。
[3]「IoT」
日本のIoT市場は今後6年間で1.8倍の成長が見込まれています。当社グループは、データ収集から活用まで、お客さまにIoTをワンストップで提供可能な多くのケイパビリティを有しており、グループの総合力で市場成長を上回るIoTビジネスの成長を目指します。
[4]「KDDI DIGITAL GATE」
昨年9月に5G・IoT時代のビジネス開発拠点として開設して以降、のべ250社超のお客さまにご利用いただいております。拡大するニーズを背景に、今年9月には新たに大阪、沖縄にも拠点を開設しました。今後も様々な業種・業態のお客さまのデジタルトランスフォーメーション実現に向けたコラボレーションを加速してまいります。
[5]「5G」
当社は長年かけて磨き上げたピカピカの4Gに、スペシャルな5Gを積み重ねて、来年春から5Gサービスを開始する予定です。5G基地局については2024年3月末までに国内最多となる5万局超を計画しています。また、ソフトバンク様とのインフラシェアリングに向けた実証実験を進め、効率的かつ早期に基地局を整備し、強靭なネットワークの構築を目指していきます。
5Gでは「お客さま体験価値」の向上を目指します。個人のお客さまには、日本初のデータ無制限プランを提供するとともに、お客さま体験を拡張 (=AUGMENT) させることによって、これまでにない新たな体験をお届けします。
法人のお客さまには、5Gと高精細動画像、AIなどを組み合わせた5G対応ソリューションを11月よりトライアルで提供いたします。
あらゆるモノに通信が溶け込んでいく5G時代に向けて、新たな体験価値を提供してまいります。
質問者1
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- ライフデザイン領域とビジネスセグメントで、かなり利益が出始めている。中計で成長領域に掲げているこの2分野が伸び始めているということは大変心強いサイン。ここまで利益が出始めた要因をもう少し具体的に、例えばサービス別などでご説明いただきたい。また、3Q以降も増益のトレンドが続くと思って良いか。
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ライフデザイン領域の成長を牽引したのは、auでんきの契約者増によるものが大きい。それ以外では、auスマートパスプレミアムで、こちらも851万会員まで増えており、利益率が高いサービスのため利益成長に貢献している。
今後は、中期経営計画で発表した2022年3月期ライフデザイン領域1.5兆円の売上目標に向けて、auでんき、auスマートパスプレミアム、決済・金融が牽引すると考えている。auでんきとauスマートパスプレミアムはこれまで通り成長が期待できる。決済・金融についてはこれから伸ばしていくところだが、今はアクティブユーザーを増やしていく段階であり、もう少し時間をかけて成長させたい。
ビジネスセグメントは、モバイル・固定の既存事業と、IoTに代表される成長領域の大きく2つに分けられる。既存事業ではモバイル、固定とも堅調に数字を伸ばしており、通信ARPUの向上により利益が伸びている。また法人のお客さまにはデジタル化でのアプローチによりDXを進めており、その中で、IoT回線数が伸びている。期末目標に掲げたIoT累計回線数1,000万回線は3Qで達成の見込み。今後はさらにIoTを伸ばし、その周辺サービスもさらに伸ばしていく予定。
なお、総合ARPAの内訳では、auでんきが季節変動で伸びている。でんきは季節変動が大きいので、今回から口頭で開示するようにした。1Qは減益だったが2Qで利益を戻しており、引き続き通期営業利益目標の1兆200億円の達成を目指す。
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- 旧パーソナルセグメントとして考えた場合、2Qで少し利益は減っているものの、端末販売の新しいガイドラインの導入前に競争の激化等により端末販売数と販売コストは増えた影響であり、実態としては、見た目の数字よりも利益が出るような状況になっているのではないか? 10月以降新しいガイドライン導入されている中で、今後の利益の見通しはどうなるのか?
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2Qは事業法改正や、増税前ということで、特に9月は駆け込み需要もあってマーケットの流動性が高かった。結果的に端末販売コストが膨らんだ。また、3Gから4Gへの巻き取りもかなり進んだため、この費用もかさんでいる。ただし、このような状況は、ほぼ我々の想定通り。今後はKDDIグループ全体としてしっかりとIDを確保し、総合ARPAも上げていく。
質問者2
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- 1Q決算でも説明があった一時費用などの凸凹をもう一度整理いただいて、トレンドラインがどのようになっているかご説明いただきたい。
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決算プレゼンの3ページ目に記載のとおり、一時的影響は上期で176億円ある。このうちミャンマーの決算期変更影響は1Qのみの影響となる。3G停波に伴う加速償却は、1Qに続き2Qも同じように影響は出ており、これは昨年の11月から開始しているので、YoYでは上期まで影響が出る。また資料に記載はないが、1Qに実施した一部端末の評価減に関しては、2Qでは逆に費用が戻ってくる形になっており、2Qは1Qに比べて改善されている。一つひとつの金額内訳に関してはご容赦いただきたい。
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- 10月以降の市場の動きは予想通りとのことだが、KPIや、純増、解約などについて、方向感や顧客の取り合いが10月になってどのようになっているか、掘り下げて教えてほしい。
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想定どおりと申し上げたが、10月に入って特にMNO間の流動性は確実に落ちている。一方、安さを求めるお客さまのMVNOへの動きは一定数残っているが、KDDIグループのUQやビッグローブでお客さまを獲得していく。機種変更については、あまり状況は変わっていない。
質問者3
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- 従来のように店頭で端末を売るモデルから、生活にまつわるサービスを売っていくようなビジネスモデルに転換しているが、その中で、auでんきについては利益が少ないと思っていた。どのようにして採算を改善したのか背景を教えてほしい。
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auでんきの利益率が低いという構造自体は変わっていない。しかし契約者が増えたことで売上が増加し、それに伴って利益が確実に出るようになってきている。
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- 2022年3月期までのコスト削減目標1,000億円に向けて、これから5Gも入ってくる中で、今後2年間でどのような費用削減が見込めるのか教えていただきたい。
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ネットワーク設備や、営業におけるコスト削減など、現在真剣に取り組んでいるところだが、1,000億円全てをコスト削減で実施する訳ではない。コスト削減以外に、何割かは新規事業による利益創出を検討しており、1,000億円のうち7~8割程度の見通しは立ってきた状況。
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- では、ネットワーク関連と販促費の削減と、新規事業による利益増の3つで実現すると捉えてよいか?
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そのように考えている。中計でライフデザイン領域の売上高は1.5兆円、ビジネスセグメントの売上高は1兆円という目標を掲げているが、それ以外にも新しい事業を起こすことによって、1,000億円のうち3~4割は改善をしていきたい。
質問者4
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- ビジネスセグメントは、2Qで約150億円の増収に対し約130億円の増益となっており、非常に利益率が高い。決算プレゼン5ページのビジネスセグメントの増益について、髙橋社長の説明の中でオペレーションコストの抑制というコメントがあったが、具体的な中身を教えていただきたい。反面、ビジネスセグメントの下期計画はYoYで15%減益予想になっている。これは何かリスクを織り込んでいるのか。
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ビジネスセグメントのうち6割を占めている既存事業の成長は緩やかで、コストを抑えて利益を出している。例えば、固定の調達原価を下げる取り組み。下期については、現在の利益水準が継続すると見ている一方で、成長領域のIoTに費用をかけていきたいと考えており、そのため計画は少し抑えている。
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- 決算プレゼンの15ページ、5Gの全体ロードマップに関して。スタンドアローン (SA) の開始時期が2021年3月期の半ばぐらいから始まるタイムラインで変更はないか? またそこに向けた投資が2021年3月期前半と想定すると、来期の設備投資はどうなるか教えていただきたい。またSAではどのようなビジネスを想定しているのか、概要だけでも教えていただきたい。
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5Gのサービス開始については計画どおり来年の3月ということで進めており、順調に進捗している。SAの開始時期は、コア設備側の標準化スケジュールによって決まる見通しであり、標準化が遅れなければロードマップのとおりになる。投資額については、中計で開示した6,100億円水準でフラットに実行していこうと考えている。そこに向かって、あらゆるコスト削減の実施を検討するが、ソフトバンクさんとのインフラシェアリングや、様々な提携を検討しながらコスト削減をし、目標水準に設備投資を抑えていきたい。またSAのサービス内容はこれからの検討になるが、一般的にはネットワークのスライシングや、MECという技術が実現できると考えており、それを使って何ができるか議論を進めている状況。
質問者5
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- ライフデザイン領域について、YoYで売上は1Q、2Qとも約800億円の増。それに対し利益は1QがYoYで約50億円増、2Qは約140億円増と、2Qの増益幅が大きくなっているが、その要因を教えていただきたい。
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売上は、auでんきとauスマートパスが大きいが、加えて、決済・金融の増収が大きくなった。利益については、auでんきとauスマートパスが今期はさらに伸びたため。
なお、auでんきの売上について補足すると、エナリスの売上と、KDDI側の売上が双方計上されており、その分が若干多く見えている。
質問者6
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- 総合ARPAのうち、auでんきARPAについては開示するとのコメントがあったが、金額はいくらか? また付加価値ARPAはいくらか。
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auでんきARPAは口頭開示とした。今期1Qが490円、2Qが690円。付加価値ARPAに関しては開示していない。
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- グローバル通信プラットフォーム (GCP) について、展開のスケジュール感や現在のステータスを教えていただきたい。また日立さんや東芝さんとの具体的な協業事例があれば紹介いただきたい。
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大きく分けて自動車向け、自動車以外の2つがある。自動車向けは上期に立ち上げており、数が増えるのは下期からで、海外も含めて増えていく。自動車以外は、日立さん、東芝さんと下期からサービスが始まる予定である。
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- 自動車はトヨタ車に載っていくのか。また金額規模のイメージは?
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その通り。金額については1つあたりの単価は安いのだが、国内に比べて海外はボリュームが非常に大きいのでこれから伸びていく。具体的な金額は非開示。
質問者7
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- 一時的な減益要因がなくなり、下期はトレンドがよくなるが、通期予想を上方修正しなかった背景は何か?
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まだ10月を迎えたばかり。9月まで市場の変動要素がたくさんあった。事業法改正の影響が落ち着いてきたとはいえ、今後の動きを慎重にみたうえで判断する。通期の営業利益予想1兆200億円は守っていく。状況についてはまた3Qでお話したい。
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- 「慎重に」という意味は、他にマーケティングコストを使うことを意識しているのか?
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3Gの巻取りや、5Gのプロモーション、またペイメントのプロモーションなど、これからやるべきことを加味する。
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- 足元の流動性が沈静化した時に、間接的にライフデザインのサービスに何か影響は考えられるか?
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ライフデザインで、リカーリングのサービスを合わせてご利用いただくとエンゲージメントが高まるため、解約率の低下に期待している。
質問者8
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- 通期の利益計画は達成できる見込みであると理解している。その場合、来期の楽天参入に向けた対策で、今期中に追加で費用を使うことはないのか、あるいは利益を残すことになるのか。
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状況変化が非常に激しいので、3Qまで状況を見て判断したい。
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