2020年3月期第3四半期決算説明会 (決算ハイライト・質疑応答)
日時 | 2020年1月31日 (金) 17:00-18:05 |
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場所 | ガーデンエアタワー会議室 |
登壇者 | 内田副社長、東海林専務、村本専務、森専務、森田常務、雨宮常務、最勝寺経営管理本部長、堀井IR室長 (司会) |
決算ハイライト
決算説明会の模様
決算説明会では、「1-3Q業績ハイライト」、「エンゲージメント向上にむけて」の2点について、専務の村本より説明しました。
1. 1-3Q業績ハイライト
2020年3月期第3四半期 (2019年4月~12月) の連結売上高は3兆9,026億円、通期予想に対する進捗率は75.0%、同じく連結営業利益は8,439億円、進捗率は82.7%となりました。上期では減益決算でしたが、3Q単独の増益により、1-3Q累計で増益に転換いたしました。
連結営業利益は、成長領域である「ライフデザイン領域」と「ビジネスセグメント」が引き続き業績を牽引しています。また1-3Q累計では、端末販売コストは増加しましたが、10月以降は事業法改正などの影響で大幅に縮小傾向となっております。通期予想に対する高進捗を背景に、今後の持続的成長に向けた準備を強化してまいります。
「ライフデザイン領域」と「ビジネスセグメント」はともに2桁の利益成長を堅持しております。通期予想に対する進捗率はライフデザイン領域で81%、ビジネスセグメントで90%に達しており、4Qはエンゲージメント強化に向けた施策にコストを投下することで、持続的な成長のための基盤づくりに取り組んでまいります。
au解約率は大幅に改善し、モバイルID数も増加しております。また、総合ARPAと総合ARPA収入はライフデザイン領域が成長を牽引しております。
2. エンゲージメント向上にむけて
[1]「ローソン・Pontaとの提携」
本年5月以降、当社のau WALLET ポイントとPontaポイントの統一により、会員基盤は国内最大級となる1億超に拡大いたします。また、ローソン様の来店者41億人、全国約14,600のリアル店舗と、170万箇所を超えるポイント・決済加盟店、年間2,000億超のポイント付与額を活かし、使いやすく、貯まりやすいポイントになることで、au PAY会員数の拡大・当社のサービス基盤強化を目指してまいります。
また本提携を通じ、AUGMENTEDコンビニとして、当社の5GやAI、ビッグデータなど先端テクノロジーを活用し、お客さまに寄り添った新しい消費体験を提供するとともに、コンビニを通じて社会課題を解決してまいります。
[2]「5G時代を見据えたエンタメ強化」
当社は5G時代を見据えた魅力的なコンテンツ拡充に取り組んでおります。auスマートパスプレミアムでは昨年11月より、映像・音楽・書籍のデジタルコンテンツを「エンタメ楽しみ放題」として大幅拡充いたしました。またビデオパスはテレビ朝日様と協業し、従来のコンテンツに加え、テレビ朝日様の独自コンテンツの拡充を図り、今年春には新たなビデオパスとしてサービスを開始する予定です。今後もコンテンツの質・量ともに拡大を図り、au以外のお客さまを含めた全ての方にご満足いただけるような取り組みを続けてまいります。
[3] KDDIグループ IoT累計回線数
当社が2001年より提供している法人向けIoTの累計回線数が2019年11月に1,000万回線を突破いたしました。今後は既存分野での更なる利活用を進めるとともに、IoT世界基盤を通じてIoTサービスを海外にも拡大、パートナー様とともに更なる価値提供やデジタルトランスフォーメーションの追求を行ってまいります。
[4] 5G
当社はお客さまへ新たな体験価値を提供するとともに、本年3月の5G商用サービス開始に向けて、インフラを着実に整備しております。また5Gの実現に向け、様々なパートナー様と共に、ユースケースを想定した実証実験を着実に重ねております。当社は社会とともに、持続的な成長と発展する未来に向けて、5G時代の新しい体験価値を創造してまいります。
[5] ネットワーク強靭化への取り組み
当社は南海トラフ地震などの大型震災を想定し、日本全域で基幹伝送路の3ルート化に取り組んでいます。直近では沖縄セルラー電話が、沖縄~九州間760キロの海底ケーブルの敷設を本年3月竣工予定で行っており、この竣工によって日本全域での3ルート化が実現する予定です。当社は、重要な社会インフラを担う通信事業者として、24時間365日安定した通信サービスをご提供するため、災害などに備えたネットワーク強靭化への取り組みを推進してまいります。
[6] 1株あたり配当金
中期経営計画で掲げた「より一層の株主還元強化」を推進するため、20.3期の配当について、期初予想から5円上方修正し、115円といたしました。当社は引き続き持続的成長と株主還元強化の両立を目指してまいります。
質問者1
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- 10月からの電気通信事業法改正は、KDDIにとってポジティブか、それともネガティブか?
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9月までは事業法改正、消費税増税前ということから駆け込み需要があったが、10月に入ってから、想定どおりMNO間の流動性は縮小、特に新規契約が落ちてきており、機種変更もやや弱含んでいた。
しかしその後、機種変更は3Qの計画値を上回って着地しており、この状況はもうしばらく続くと見ている。
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- 3キャリアの相対的な力関係として、10月以降の純増はどうなっているか?
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MNO間の流動性は落ち着いたが、MVNOへ顧客が移る傾向はあまり変わっていない。従って、我々はグループMVNOを含めてグループ全体でIDを確保していくことを目指しており、これは計画どおり進捗している。
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- ライフデザイン領域が引き続き好調。好調が持続している理由は何か?
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コンテンツ分野ではauスマートパスプレミアムの利益貢献が高い。会員数は903万まで増加している。
次にエネルギー分野ではauでんきユーザーが順調に拡大。利益率は低いが成長率は高い。
また金融・コマース分野は、売上が順調に伸び、決済・金融取扱高は4兆5,700億円まで伸長している。
質問者2
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- 総合ARPAは、2Q・3Qとも7,770円と横ばい。auでんきARPAは季節変動がある思うが、その他のARPAを含めた内訳の推移は?
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総合ARPAは各項目ともほぼ順調、中でも付加価値ARPAが順調に推移している。
なお、auでんきARPAは2Qが夏場の電力需要により690円だったが、3Qは40円下がり650円となっている。
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- 4Qは持続的成長に向けてコストを使うとのことだが、どの分野にコストを使っていくのか。また、事業法改正により端末値引きができない中で、どう戦っていくのか?
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4Qも引き続き事業法改正の影響が続くものと考えている。しかし足元の販売状況は回復傾向にあることから、現在の取組みを継続する。また、先日au PAYのキャンペーンを発表したが、au PAYは通信サービスのエンゲージメント向上に効果があると分析しており、このような施策を組み合わせて戦っていく。
質問者3
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- ビジネスセグメントの利益進捗が良いが、今後の成長に向けてどのような施策に取り組むのか? また今後の事業上のリスクは?
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利益進捗は順調。成長への施策としては、基本的にベースとなるお客さまの数やサービス数を増やし、そのうえでお客さまとのエンゲージメントを深める取り組みを継続していく。また今後のリスクとしては、法人のお客さまの経済活動に影響する国際情勢や新型肺炎の影響などが挙げられる。
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- お客さまのサービス数とは具体的に何を指すか。例えばPoC等を指すのか?
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まずIoT累計回線数のようなネットワークサービスの契約数を増やしていく。これに加えて、お客さまのDXを支援するクラウドやデータ分析サービスなど、新たなサービスの数を増やしていく。
また今後の成長に向けて、アジャイル開発の要員増強や海外展開の準備に向けたコストなどを投下している。
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- グローバル通信プラットフォームが今後拡大していく中で、利益貢献は期待できるのか。契約数が増えても単価が低いので、利益貢献は小さいのか?
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自動車に関しては台数の伸びが大きく見込める。これまで先行投資をしてきたが今期サービスを開始しており、今後2~3年目で利益貢献してくる。また自動車以外も含めて「つなぐ」サービスだけでなく、データ収集・活用等を通じてBtoBtoCのサービスも提供することで利益向上を図っていく。
質問者4
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- 既存周波数帯域への5G導入が可能になるという話が出ているが、どう考えているか? また5G投資減税の話も進んでいるが、減税によって5Gの設備投資ペースは加速するのか?
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まずは5G用の新規周波数を積極的に活用していくことが基本方針。そのうえで、既存周波数については帯域が狭いので、5Gの特徴の一つである低遅延を生かすため活用していく。このように新規周波数と既存周波数をうまく組み合わせて、お客さまのニーズにお応えできるように展開していきたい。
投資減税については、詳細が固まり次第、設備投資の前倒しを検討していきたい。
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- 今回5円増配が発表されたが、その決定の背景は? また、中期経営計画の配当性向目標として40%超を掲げているなかで、初年度から約43%の配当性向となるが、今後の配当性向水準をどう考えているのか?
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今回の増配の背景として、業績が高進捗であり通期予想達成の蓋然性が高まる中で、4Qは持続的成長に向けたコスト投下をしていくことを決めた。また、持続的成長と株主還元強化の両立を目指していく会社方針に基づき、株主還元についても当社として重視している増配を行うこととした。
基本的に中期経営計画の3年間は配当性向40%超を守っていくことを考えており、持続的成長と株主還元強化の両方をしっかり実行していく。
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- 配当性向を上げていきたいという考えはあるか?
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40%超という方針を、しっかりこの3年間で実行したいと考えている。
質問者5
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- 中期経営計画において、新規事業とコスト削減による1,000億円の利益創出を掲げている。そのうちコスト削減が700億円と聞いているが、この構造改革の進捗についてお伺いしたい。
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中期経営計画において、6年間でEPSを1.5倍 (年平均成長率7%) とする目標を掲げているが、現中計の3年間においても同様のEPS成長を目指しており、その前提として1,000億円の利益創出を掲げた。
進捗については1,000億円のうち9割程度が計画に織り込めている状況。前回ご説明したとおり、約700億円は構造改革を伴う全社でのコスト効率化で、残りは新規事業による利益創出で実現する。来期以降、徐々に効果が顕在化してくる見込みで、22.3期末までの達成をターゲットにしている。
内容としては、技術部門では仮想化などを含めたネットワークの効率化、営業部門ではショップのオペレーション等にDXを活用し大幅に改善していくような取り組みを、全社を挙げて進めているところ。
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- アンリミテッドプランの値下げにより他社プラン並みの料金になったが、20ギガバイトプランなどからのアップセルの状況は? またMNO間の流動化は沈静化した一方で、対MVNOでは流出が続いているというお話があったが、auブランドで何かローエンド対策は検討しないのか?
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auではアンリミテッドプランを先駆的に2種類導入しており、そのうち今回はauデータMAXプランProを月額1,500円値下げした。これは20ギガバイトプランなどからのアップセルを狙ったもので、これから学割商戦期に入る中で戦略的に値下げを実施した。これによって高容量を好まれるユーザーを中心に確実にアップセルは進んできている。
ローエンドユーザーに関しては、引き続き1,980円からご利用いただけるauピタットプランを用意しており、さらに安い料金をお求めのお客さまにはグループMVNOをご利用いただけるよう、KDDIグループ全体でお客さまに選んでいただけるようにしている。
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- au PAYのキャンペーンについて、先行投資の規模感と来期のリターンをどのように見ているか?
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毎週10億円のポイント還元を7週間行うため、単純計算でコストは約70億円となる。
お客さまとの最も重要なタッチポイントはauショップや量販店だが、店頭でお客さまに接する頻度は2~3年に1回と少ない。一方、金融や決済はお客さまの利用頻度が非常に高く、特にau PAYは毎日利用されることから重要なタッチポイントとなる。またNPSやエンゲージメント向上につながることからキャンペーンを実施することとした。また今回Pontaとの提携が決まったこともあり、ここで一気にユーザーの拡大を目指す。
またリターンとしては、決済事業としてのビジネス拡大を図ると共に、解約率の低減やエンゲージメント強化によるその他サービスの利用拡大を図ることで、総合的に回収を図っていく。
質問者6
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- ライフデザイン領域の今期営業利益見通し1,670億円から3Qまでの営業利益を差し引くと、4Qは310億円となり前期4Qに対して2割減益となる。70億円のキャンペーン以外にもコストを使うことで通期見通し並みに着地するのか、それとも通期見通しを超えることになるのか?
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3Qまでの営業利益進捗は、通期見通しに対して81%まで進捗しており、通期見通しに対しては若干上振れると考えている。基本的には増収増益を目指して進めていく。
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- ライフデザイン領域で持続的成長のために使うコストは、基本的には金融と考えていいのか。
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先ほどご説明したとおり、au PAYのキャンペーンは通信のエンゲージメントを高める施策であることから、ライフデザイン領域に限らずパーソナルセグメント全体でコストを使う。
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- IoT累計回線数の年度末目標1,000万回線を11月に達成したが、年度末までにどこまで積みあがるのか?
また1,000万回線の内訳として、BtoCのリテールのお客さまが多いのか、BtoBであれば特定の業種が多いのか? -
IoT累計回線数は期末までに1,100万~1,200万に近い数字になる見通し。純増の勢いを来期に繋げていく。またIoT回線のエンドユーザーとしてはBtoBtoCのお客さまが増えており、電力スマートメーターが最も大きい。次に多いのはホームセキュリティのお客さま。またコネクティッドカーも増加しており、車以外の分野への拡大にも取り組んでいる状況。
- IoT累計回線数の年度末目標1,000万回線を11月に達成したが、年度末までにどこまで積みあがるのか?
質問者7
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- モバイルID数が、この3Qで初めてQoQで若干減少した。MNO間の競争は緩和され、一方で引き続きMVNOとの競争は継続との説明があったが、au契約者数の減少をUQでカバーできなかったように見える。現状分析と対処策を伺いたい。
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10月の事業法改正以降、特に新規獲得が厳しかった。モバイルID数は若干減少したものの、もともと通期予想は事業法改正の影響を見込んで減少する計画としており、その計画は上回っている。またUQを含めたグループ全体で計画どおり数字は確保できたと考えており、取り切れなかったという認識ではない。
これから春商戦を迎えるため、しっかりリカバリーしていく。
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- ライフデザイン領域は、売上の観点でも期初計画より強い進捗。期初計画に対して何が上振れしているのか?
また4Qに実施する70億円のキャンペーンに関して、1-3Qでも同様の費用を使っていたのか? -
ライフデザイン領域の売上については、全体的に数字が上振れている。主なところでは、auスマートパスプレミアムや、auでんきが計画を上回って獲得できている。
キャンペーンについては、これまでは20%還元キャンペーンなど数億程度の小規模な施策は実施してきたが、今回ほどの規模で実施するのは初めて。
- ライフデザイン領域は、売上の観点でも期初計画より強い進捗。期初計画に対して何が上振れしているのか?