2021年3月期決算説明会 (決算ハイライト・質疑応答)
日時 | 2021年5月14日 (金) 17:30-18:30 |
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場所 | KDDIホール (東京都千代田区大手町) |
登壇者 | 髙橋社長、東海林副社長、村本副社長、森専務、吉村常務、最勝寺経営管理本部長、本郷IR室長 (司会) |
決算ハイライト
決算説明会の模様
決算説明会では、「21.3期 連結業績」、「成長戦略」、「パーソナルセグメント」、「企業価値向上とSDGs」、「22.3期 連結業績予想」の5点について、社長の髙橋より説明しました。
1. 21.3期 連結業績
連結の売上高は5兆3,126億円、前期比で1.4%プラスとなり、営業利益は1兆374億円、前期比で1.2%プラスとなりました。激変する環境下において成長領域が牽引し、増収増益となりました。
21.3期の連結営業利益は前期比プラス122億円の増益となりました。その要因は、au通信ARPA収入の減少が409億円であったことに対し、エネルギー事業を除くライフデザイン領域とビジネスセグメントの成長領域がプラス582億円となり、増益に大きく貢献いたしました。なお、エネルギー事業は205億円の減益となりましたが、今後電源調達の対策も実施していくため、一過性のものとなります。
2. 成長戦略
成長戦略においては、既存通信事業を基盤として、マルチブランド戦略で5G利用を積極推進し、コスト削減により安定成長を目指します。さらに、その基盤の上に伸ばしていく成長領域について、ライフデザイン領域ではお客さま接点とポイント流通によるau経済圏の拡大を推進、ビジネスセグメントでは通信・IoTを軸にした事業ドメインの拡大を目指してまいります。
ライフデザイン領域の成長戦略では、通信サービスをベースにお客さま接点を強化します。リアル店舗でのスマホ決済「au PAY」は3,200万超の会員数、オンラインの「auスマートパス」は1,500万超の会員数となりました。また、ポイント流通においては、使える場所の拡大とともに魅力化も進めてまいります。これらのお客さま接点の強化とポイント流通により、金融・エネルギー・コマースを中心にau経済圏の最大化を目指します。ライフデザイン領域のKPIはコアとなる各種サービスが順調に成長しており、auでんき等契約数は288万契約、au PAYカード会員数は650万会員、auスマートパスの会員数は1,563万会員、うちauスマートパスプレミアムの会員数は1,137万会員となり、着実に浸透しております。
ライフデザイン領域の業績は、売上高、営業利益ともに2桁成長を目指します。成長ドライバーである金融事業は、21.3期はKDDIグループベースで前期非で190億円の増益と、利益貢献が顕在化しました。その結果、21.3期、ライフデザイン領域の営業利益は前期比200億円の増益となりました。22.3期は、さらなる利益成長として520億円の増益を見込んでおります。
この成長ドライバーの金融事業について、決済・金融取扱高はau PAY決済額が拡大、コロナの巣ごもり影響もあり、auかんたん決済が好調でした。また、auじぶん銀行の住宅ローンや目的別ローン好調に加え、auカブコム証券との取組を強化したことで、auじぶん銀行決済額が大幅に伸長しました。その結果、21.3期は決済・金融取扱高が9兆円を突破し、前期比で1.4倍の伸びとなりました。決済・金融取扱高の成長とともに、営業利益も大きく伸び、KDDIグループベースで21.3期は498億円となり、前期比で1.6倍の伸びとなりました。
金融事業は、次期中期計画を見据えてさらなる成長を目指します。現在、auのお客さま、au以外のお客さまにも使っていただけるよう、au PAYを積極推進しております。これは、au PAYの利用を通じて銀行とクレジットカードの連携を強化することにより、その先の事業へ繋げるためです。さらに、通信サービスとのシナジーを活用し、足元も住宅ローンのauじぶん銀行優遇割や、au PAYゴールドカードの特典強化により、コアサービス利用者が伸長しております。今後は、銀行やクレジットカードの利用から金融サービス間の連携を推進し、証券やファイナンスなどのオンライン金融サービスを推進してまいります。
ビジネスセグメントの業績については、売上高が21.3期で9,916億円、22.3期予想は1兆200億円、営業利益は21.3期で1,667億円、22.3期予想は1,840億円で、営業利益の2桁成長を目指します。
ビジネスセグメントの成長戦略は、固定やモバイル、5Gを「コア事業」と位置づけ、強みである通信と2,100万を超えるIoT回線数 (21.3期末時点) を軸に「コーポレートDX」、「ビジネスDX」、「事業基盤サービス」から成り立つ「NEXTコア」へ事業ドメインを国内外に拡大してまいります。NEXTコア事業は、3つとも既存の通信サービスを活かす付加価値ソリューションとなっており、お客さまのビジネスをトータルでサポートいたします。22.3期にNEXTコア事業は、売上高の3割超を目指し、IDの拡大やエンゲージメントの向上といったコア事業とのシナジーも推進し、ビジネスセグメント全体の成長を目指してまいります。
「コーポレートDX」は、テレワーク、ゼロトラストが中心となります。新型コロナウイルス感染症拡大防止とともに中小企業にもテレワークが拡大しており、KDDIまとめてオフィスでは、直近1年で、クラウドアプリ、PC・タブレットが1.3倍、スマートフォンが1.7倍と各種プロダクトが伸長いたしました。今後は新たな働き方「スマートワーク」の支援に向けて、お客さまに応じてクラウドやセキュリティなどの運用管理をワンストップで提供する「マネージドゼロトラスト」を推進し、環境整備からスマートワークへの進化をサポートしてまいります。
「ビジネスDX」は、IoT、クラウドが中心となります。IoT累計回線数は1,800万回線を超えて順調に拡大しており、中期計画目標を前倒しで達成し、SORACOMの回線数を加えると、グループベースで2,100万超となりました。KDDIグループのケイパビリティでは、SORACOMなどグループ企業に加え、AIやIoTなどを活用した企業のデジタルトランスフォーメーションを支援するDXGoGo (ディーエックスゴーゴー) を設立します。加速するIoTの成長とともに、KDDIグループ全体でお客さまのビジネス創出機会をサポートしてまいります。
「事業基盤サービス」は、データセンター、コールセンターが中心になります。グローバル・国内において、お客さまとともに成長を目指します。高コネクティビティを有する欧州を中心にデータセンターを拡張しており、現在は世界10都市、40サイト超で展開しております。BPOおよびコンタクトセンターを運営するKDDIエボルバは、21.3期の売上高が1,000億円を突破し、営業利益は前期比でプラス29%と大きく成長しております。
3. パーソナルセグメント
5Gのエリア構築については、お客さまの生活動線を重視したエリア展開を進めてまいります。大阪環状線は3月末から、山手線は5月末を目途に全駅周辺で5Gが利用可能になります。今後、主要鉄道路線に順次拡大予定です。5Gの全国展開では、22年3月には約5万局に拡大し、人口カバー率も90%を予定しております。また5G用の新周波数3.7GHz、4.0GHz、28GHz帯に加え、既存周波数の5G化も展開しております。5GのSA (スタンドアローン) 時代に備え、ネットワークの5G化を推進してまいります。
スマートフォン契約数は、4G LTEと5Gの累計契約数は3月末で2,887万台と伸長としております。5Gの累計販売台数は3月末で240万台を突破し、期初目標を大きく上回って達成いたしました。
次にマルチブランド戦略では、auは安心の使い放題を提供し、シンプルでお手頃価格のUQ mobileと、トッピングで自由に選べるpovoを中心に新規契約増を目指します。マルチブランド通信ARPUは低下傾向となりますが、中期的には5Gサービスの拡充によるデータ利用増を目指します。また、ライフデザイン領域のサービス、すなわちau経済圏をプラスにすることにより、エンゲージメント向上および総合ARPU成長を目指してまいります。
povoは、オンライン専用という単純なコンセプトではなく、「トッピング」という独自の価値を新たに提供する目的でスタートいたしました。シンプルでスピーディーな手続き、お客さまの使い方に合わせてカスタマイズできるという気軽さを持っており、お客さまの使い方によって、「5分以内通話かけ放題」や「データ使い放題24時間」といったトッピングを選んでいただく事が可能です。また、共創の場として「povo Lab」を開設し、お客さまやパートナー企業とコラボレーションすることで、トッピングを順次追加していく予定です。
4. 企業価値向上とSDGs
財務面においては、中期経営計画の推進に加え、収益性や効率性等の改善に取り組んでまいります。
非財務面においては、昨年5月に発表した「KDDI Sustainable Action」に基づき、事業を通じてさまざまな社会課題解決に取り組んでまいります。当社は非財務の取り組みと企業価値との関係性をデータ実証分析いたしました。災害対策、地球環境の保全、女性活躍をはじめ、様々な取り組みが企業価値と正の相関となっており、財務・非財務両面からの企業価値向上に向けた取り組みを推進してまいります。
地球環境の保全では、KDDIグループ全体で脱炭素に向けた取り組みを推進してまいります。自社のCO2排出量削減については、技術開発含めあらゆる可能性を検討し、事業としては、新たなエネルギービジネス創出を推進してまいります。4月26日には気候関連財務情報開示タスクフォース (TCFD) の提言へ賛同表明いたしました。また当社におけるESGと企業価値の関係性をデータ分析した結果、温室効果ガス排出原単位を1割減らすと6年後のPBRが2.4%向上するというプラスの相関がありました。さらなる取り組みと積極的な情報開示を推進してまいります。
人財ファースト企業への変革の取り組みでは、時間や場所にとらわれず成果を出す働き方の実現に向けて、新しい人事制度を導入いたしました。「社内DX」、「KDDI版ジョブ型人事制度」、「KDDI新働き方宣言」を3本柱で推進しております。社内DXの一環として、ゼロトラスト対応のセキュアPCを全社員に配備したほか、さらなる生産性向上に向けて、働き方データの可視化を進めております。自らが実践することで、ビジネスセグメントのコーポレートDXにおける提案力の強化に繋がっており、事業として推進することにより社会に貢献してまいります。
5. 22.3期 連結業績予想
22.3期の連結業績のポイントとしては、通信料金の値下げや、競争環境の激化、新型コロナウイルス感染症による生活様式の大きな変化など環境変化を事業機会と捉え、持続的成長を目指してまいります。具体的には、成長領域のさらなる拡大、コスト削減の推進、安定的なキャッシュフロー創出により株主還元の強化を実施いたします。
連結業績予想は、22.3期の連結売上高が5兆3,500億円、営業利益は1兆500億円を見込んでおります。その中でも成長領域が増収増益を牽引し、ライフデザイン領域の営業利益は2,500億円で前期比26.3%のプラス、ビジネスセグメントの営業利益は1,840億円で前期比10.4%のプラスと、ライフデザイン領域、ビジネスセグメントともに営業利益の2桁成長を見込んでおります。
またコスト削減の推進について、マーケティングの効率化では、UQ mobile統合に伴う効率化やマーケティングコスト削減を目指します。ネットワークの効率化・最適化では、建設工程見直しに伴う内製化など、構造改革を推進いたします。コーポレート面でも働き方改革推進によるコスト効率化を推進し、あらゆる努力を尽くして、持続的成長を目指してまいります。
最後に、1株当たり配当金については、持続的成長を伴うDPS成長を重視しており、22年3月期配当金は125円、20期連続増配を目指します。また、1,500億円を上限とした自己株式取得を決議いたしました。
質問者1
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- 新しい料金が出た後の競争力について伺いたい。3月商戦や楽天モバイルの駆け込み需要、ahamoが始まったことによる影響などもあったと思うが、今後1年間の競争力に対してどのような見通しを持っているのか。UQ mobileの獲得がどれだけ加速するのか、povoがどれだけ効果的なのか、などを教えていただきたい。
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各社オンラインブランド発表もあったため、4Q前半はお客さまの市場の流動が少なかったが、後半は流動が活発化した。楽天モバイルに関しては4月初めまでキャンペーンがあったため若干苦戦したのが本音。ただしその後は持ち直した。UQ mobileは昨年10月に統合を行い、その後も順調。オンラインブランドのpovoもお客さまからご好評いただいており順調に推移。お客さまの関心は中容量にあり、KDDIはマルチブランドでお客さまのニーズにお答えしてUQ mobileやpovoを選んでいただけるようにしていきたい。また大容量をお求めのお客さまにもauの使い放題MAX 5G/4Gをご利用いただけるよう、マルチブランドでお客さまのご利用をいかに促進できるかが肝要。
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- 成長領域で今後大きく伸びていくとのことだが、過去1年間の成長領域の増益がどのような要因でなされたのか。また今後1年間の増益の成長ドライバーについても教えていただきたい。
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成長領域は金融・エネルギー・コマースに焦点を置いている。金融に関して、auじぶん銀行はようやく芽がでてきた。またクレジットカード・証券・保険それぞれの事業も確実に芽がでてきていると思っている。加えてエネルギー・コマースについても足元しっかり伸びてきている。auのお客さまにどのようにして利用いただくか、どのようにしてご利用を加速させていけるかが重要。またお客さまのタッチポイントについてはau PAYに力を入れている。クレジットカードをご利用いただいたりすることでPontaポイントが溜まり、それを決済として使っていただける。このような好循環をさらに回していきたい。そこからさらにauじぶん銀行の住宅ローンなどもご利用いただくことで、お客さまの生活の入り口にも深く関わっていきたい。さらにエネルギー事業も大きく伸びていく分野と考えている。
金融事業で一番期待しているのはクレジットカードの領域。au PAY ゴールドカードもご好評いただいており、この領域は伸ばしていけると考えている。さらにauじぶん銀行の住宅ローンも好調。auをご利用のお客さまだけでなく、他の携帯キャリアをご利用いただいているお客さまのご利用も多い。auをご利用であれば金利が低くなることから、au獲得効果もでてきている。さらにキャリア決済がコロナ禍の中で好調であり、これらが成長ドライバーとなっている。エネルギー事業については、今期は残念ながら205億円の減益となったが、これは日本卸電力市場の市場価格高騰が原因。ボラティリティが高い市場であることを勉強させていただいたため、反省を生かしてエネルギー事業については安定性を追求していきながら利益を確保する。21.3期のエネルギー事業の減益は一過性が原因であり、22.3期は増益していけると思っている。
質問者2
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- パーソナルセグメントのマルチブランド通信ARPUの見通しが前期比で200円減となっているが、詳細をフォローしていただきたい。売上としては700億円近い減収を見込まれていると思うが、中身を教えていただきたい。
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開示については悩んだ結果、グループID数とマルチブランド通信ARPUを開示した。21.3期が4,400円であり、22.3期予想が4,200円。単純に計算するとお客さまへの還元が600億円から700億円となる。各ブランドの内訳は開示していないが、200円の差分から、auから、UQ mobile、povoにどれくらい移行するかご想像いただけるかと思う。
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- プレゼンテーション資料16ページに記載されている、成長領域のひとつであるビジネスセグメントについて。今回からビジネスセグメントの内訳としてNEXTコア事業を開示していただいているが、どんな分野が今後伸びるのか。利益率としてはモバイルよりは低いと思うが、収益性についても教えていただきたい。
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コア事業とNEXTコア事業を今回分けさせていただいた。どちらも力を入れて伸ばしていきたい。その中でも事業ドメインを広げるNEXTコア事業については、プレゼンテーション資料16ページにも記載させていただいたように3つの領域がある。コーポレートDXは働き方のデジタル化をご支援していく。これは過去からあった事業だが、昨年からコロナ禍の中で大きくクローズアップされてきた分野。オフィス内・オフィス外など様々なところで柔軟に働くという働き方が増えており、我々自身も実践していきながら、進め方も含めて企業のお客さまにサービスを提供させていただき、テレワークのニーズを掴んでいく。ビジネスDXについては、企業のお客さまがその先のお客さまに対して、ビジネスそのものをデジタル化していくというもの。我々はIoTについて力を入れていたので、IoTの周辺のクラウドやデータの分析など、いわゆるデジタルトランスフォーメーションを進めていく分野が多く、そこに力を入れていきたい。事業基盤サービスについては、企業のお客さまがデジタル化を進めれば進めるほどデータセンターあるいはコールセンターがますます裏側で重要となってくる。その事業を我々は持っており、かつ近年底堅く伸びてきている。利益率については、まずNEXTコア事業はトップラインを伸ばすものもあり、利益が後からついていくものもある。一方でコア事業は固定・モバイルを中心にマージンをよくしていく方向にある。この二つを合わせて利益の成長を狙っていきたい。
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- NEXTコア事業に挙げられている3つはいずれも同じような形で伸びていくのか。
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コーポレートDXとビジネスDXが伸び率としては大きい。事業基盤サービスは収益率はしっかりしているが、どちらかというと着実に伸びていくという分野。
質問者3
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- コスト削減について。通信収入が減収となる中でコスト削減が重要となってくる。KDDIは中期経営計画を始めたときからコスト削減1,000億円を目指している。これが今期どれくらい顕在化するのか。
また設備投資が増えており、減価償却費も22.3期は200億円ほど増える見通しとなっている。ネットワーク効率化はまだこれからかと思うが、具体的には今期販売系など中心に、コスト削減がどれくらいあるのかを教えていただきたい。 -
中期的には利益改善を1,000億円としてお示しさせていただいた。内訳としては新規利益創出として300億円ほど上げて、コスト削減を700億円とみていた。今期はそのうちの700億円をコスト削減で実行していきたいと思う。700億円の内容は、一つはマーケティングの効率化。UQ mobileの統合もあり、店頭のDXも積極的に進めている。また設備投資については増えているが、売上の11%程度を設備投資として考えているので、その範囲内という認識。それ以外にもAIを利用したネットワークの効率化・最適化、働き方改革推進によるコスト効率化、これらで700億円と考えている。
また22.3期は通信料の値下げで600億円から700億円とお伝えしているが、成長領域の増益で700億円弱打ち返せる。さらにコスト削減で700億円というイメージだが、設備の加速償却を含めて3G巻き取りコストが発生する一方、ローミング収入の増もある。このようにして今期の利益を達成していきたい。
- コスト削減について。通信収入が減収となる中でコスト削減が重要となってくる。KDDIは中期経営計画を始めたときからコスト削減1,000億円を目指している。これが今期どれくらい顕在化するのか。
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- 加速償却については計画に織り込み済みである結果、減価償却が増えるという認識でよいのか。設備投資については売上の11%ということであるが、この水準を維持するのか、それとも減らす方向にあるのか。通信収入が減少することで設備投資を抑制することはあるのか。
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基本的にはおっしゃる通り。売上が下がれば設備投資も下げないといけない。ただ今期は通信の売上は若干下げる計画であるが、マルチブランド戦略でauからUQ mobile、povoに若干流れると想像している。一方5Gの展開に伴い付加価値ARPUは伸ばしていくので、これを伸ばすことが設備投資の継続につながるということを社内でも理解するため、売上の11%という指標は重要と考えている。
コスト削減については今期全社をあげて行っていく。コスト削減で減少した分を来期以降の成長のために使っていこうと考えており、その中で一番大きな要因は3G停波関連コスト。設備側では加速償却で減価償却費をかなり積み増している。また前年度から今期にかけて資産除去債務による減価償却費増も発生する。これらは今期中に全て計上されるので、来年度以降設備関連分が600億円ほど軽くなるという見立て。加えて営業側も3Gの巻き取りコストを今期300億円ほど使っていく。これは成長のための先行コストであり、これら成長コストの原資として他方面のコストでの削減を行っていく。
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- 金融とエネルギーは順調でありいろんな施策も進められている。一方でコマースも3本柱の一つとして掲げられているが、コマースの取り組みは遅れており、今の体制だと伸びにくくなっているように見える。コマースの戦略は今の状態で頑張るのか、それとも秘策やM&Aも考えていて、これから非連続的な戦略によって成長しようと考えているのか。
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コマースはショッピングモールの形で事業を提供しており、正直に申し上げて大きく利益に貢献するようなものではないと思っている。我々はセンターにau PAYをおき、ここにつながるネットからの行為やコト消費でau PAYにつないでPontaポイントを連携し経済圏を回そうとしており、その延長線上にコマースがある。そのPontaポイントをKDDIのコマースで使っていただければPontaポイントの付与を1.5倍にする、というようなキャンペーンも進めているが、非常に順調。コマース自体がエンゲージメントにつながると考えている。また大きくはないが利益も黒字化されている。M&Aはそれほど大きな案件があるわけではないが、流通を促進するための投資については案件を検討しているものもあるため、決まったらご連絡させていただきたい。
質問者4
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- 22.3期の利益について再確認させていただきたい。ライフデザイン領域が520億円、ビジネスセグメントが173億円増益であり、合計で693億円増益ということは、それ以外で570億円ほどの減益になるということかと思う。モバイルの通信収入が600億円から700億円の減収、それ以外に600億円くらい費用でマイナス項目があるという理解。これが加速償却と除却の引当で600億円という理解でよいか。また3G巻き取りコスト300億円は21.3期でも同額程度使っていると思うので、増減としてはニュートラルであり、以上で連結全体として130億ほどの増益と認識している。
また金融事業の利益増について、auじぶん銀行の利益はそれほど変わってないはずなので、21.3期の実績でこれだけ増益がでるということは、キャリア決済が相当の規模で増益の割合を占めていると思う。利益の増減につき確認させていただきたい。 -
ほぼその通り。整理すると成長領域としてライフデザイン領域とビジネスセグメントで700億円弱、コスト削減で700億円、通信の値下げで600億円から700億円のお客さま還元。3G関連は加速償却等で600億円ほど発生。3G巻き取りコストの300億円は、今年が巻き取りの最終年度なので去年よりも少し多く積まれている。ローミング収入は今期も若干増える予定。金融事業の内訳についてはキャリア決済の利益貢献が大きい。一方auじぶん銀行もローンを中心に成長として見えてきている。
- 22.3期の利益について再確認させていただきたい。ライフデザイン領域が520億円、ビジネスセグメントが173億円増益であり、合計で693億円増益ということは、それ以外で570億円ほどの減益になるということかと思う。モバイルの通信収入が600億円から700億円の減収、それ以外に600億円くらい費用でマイナス項目があるという理解。これが加速償却と除却の引当で600億円という理解でよいか。また3G巻き取りコスト300億円は21.3期でも同額程度使っていると思うので、増減としてはニュートラルであり、以上で連結全体として130億ほどの増益と認識している。
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- 21.3期末時点で純有利子負債が約8,400億円となっており、NETDEBT/EBITDAレシオが約0.9倍となっている。業界としてはレバレッジを2倍程度かけて何らかの成長投資か株主還元を行っているのがバランスシートの使い方と思う。今の純有利子負債水準だと投資と還元両方やっていく余地があると思うのだが、レバレッジに関する考え方をお聞かせいただきたい。
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ご存じの通り今年度は中計最終年度。コロナ禍もありM&Aでは前年度は大きな投資をできなかった。今年度は新たな中期経営計画の策定年度であり、EPS成長をしっかりと実現するためには既存事業の成長、新たな事業創造をやっていかないといけない。その中で成長投資の一環としてM&Aについてもしっかり見据えていかないといけない。一方、株主還元もいち早く自社株買いや増配を発表させていただいた。成長と株主還元の両面をしっかりやっていきたい。
質問者5
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- 決済・金融取扱高が22.3期の計画は9.3兆円であり、過去に比べるとあまり伸びていないことの背景を教えていただきたい。またIoT累計回線数についても、伸びているものの自動車販売が復調していることを考えると伸びの計画としては伸び足りない印象。
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決済・金融取扱高はご指摘の通り、特段何かあるわけではなくコンサバに見すぎたと思っており反省している。できるだけ早い段階で10兆円超えるようにしていきたい。グローバル通信プラットフォームも今期もしっかり伸ばしていく予定。一つ言えることは、大きなマーケットである中国・北米・欧州は一通り展開が終わっており、これから新興国が増えていくということ。全体としてはしっかりと伸ばしていく。一方で減っている要因もある。電力スマートメーターは大きなボリュームを占めており、まだ増えていくものの増加幅がそろそろ小さくなってくる。
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- IoT累計回線数について、スマートメーターのペースが落ちるのはわかるが、グローバル通信プラットフォームは販売台数が増えれば累計でも増えていくので見通しは保守的な印象を受ける。金融・決済取扱高についても、本当の意味での今年度の目標を教えていただきたい。
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両方とも保守的な数字と思っている。両方とも中期経営計画で以前開示した数字よりも前のめりでのばしてきた数字。次の中期経営計画でアグレッシブにお示しできるようにしたい。
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- ミャンマーの状況について。短信でも懸念ないと記載していただいているが、改めてミャンマー事業のB/S上の金額やP/Lの状況について、現状を詳細に教えていただきたい。
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ミャンマー事業についてはご心配をお掛けして申し訳なく思っている。ご存じの通り、ミャンマーの事業形態については、例えばTelenor様がミャンマーで行っている事業形態とは異なっている。Telenor様は自前でライセンスを取得し設備投資をして事業を行っているが、KDDIの場合は住友商事様とKDDI Summit Global Myanmar (以下、KSGM) をミャンマーに設立し、KSGMが現地通信事業者のMPT様とジョイントオペレーションという形式をとっている。事業主体はMPT様であり、レベニューシェアをしている。現在のミャンマーの情勢は憂慮しており、かかる情勢下においても関係者の安全確保を念頭に置きつつ、また「KDDIグループ人権方針」に基づきステートメントも出させていただいた。
財務諸表上は、設備投資したものがリース債権としてB/Sに計上されており、設備投資の支出は営業CF上マイナスとして処理している。MPT様向けのリース債権は約1,100億円程度とB/Sの大半を占めており、債権を随時回収している。リース債権は契約上MPT様に全額支払い義務がある旨契約上合意されており、直近もリース債権の回収は滞りなく進んでいる。KDDIとしては債券の貸し倒れリスクになるが、今のところ引当の必要はないと考えている。P/Lの部分は先方と非開示というお約束になっているので申し上げられないが、今期の見通しは今の状況を踏まえたリスクを織り込んでいる。パーソナル事業全体としての影響規模は少ない。
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