2023年3月期第3四半期決算説明会 (決算ハイライト・質疑応答)
日時 | 2023年2月2日 (木) 15:30-16:00 (決算プレゼン)、17:15-18:15 (アナリスト向け質疑応答) |
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場所 | KDDIホール (東京都千代田区大手町) |
登壇者 | 【決算プレゼン】髙橋社長 【質疑応答】村本副社長、森副社長、雨宮副社長、吉村専務、明田経営管理本部長 |
決算ハイライト
決算説明会の模様
「決算説明会」では、「23.3期3Q連結業績」、「マルチブランド通信ARPU収入の反転に向けて」、「サステナビリティ経営と注力領域」について、社長の髙橋より説明しました。
1. 23.3期3Q連結業績
3Q累計の連結売上高は4兆1,829億円、前年同期比プラス1,691億円となりました。連結営業利益は8,434億円、前年同期比マイナス312億円となりました。連結営業利益の増減要因は、マルチブランド通信ARPU収入のマイナス710億円やグループMVNO収入・ローミング収入でマイナス200億円となったほか、3G停波関連・コスト効率化等でプラス613億円やDX・金融事業でプラス297億円、エネルギー事業ではマイナス74億円となりました。燃料高騰影響及び通信障害影響はマイナス238億円と、3Q累計では312億円の減益となりました。燃料高騰影響等を除き、概ね想定内で推移しました。
続いて、注力領域の進捗です。注力領域の今期営業利益の期初予想はYOYプラス500億円でした。3Q累計の実績は、DXのビジネスセグメントは燃料高騰・通信障害影響を除き84億円の増益となり、さらに4Qには積み上げた案件による利益成長を見込んでおります。金融事業は213億円の増益と順調に推移しています。一方、エネルギー事業は74億円の減益と、期初予想に対して下振れしており、業績安定化を目指してまいります。
今期の通期見通しは、ローミング収入の減収幅は縮小しており好調で、またマルチブランド通信ARPU収入などは順調に推移しています。一方、エネルギー事業は期初予想対比で下振れとなるほか、期初予想外として燃料高騰でマイナス200億円、通信障害でマイナス150億円を見込んでおります。引き続き、連続増益を目指していきます。
来期以降は、燃料高騰影響等が継続するもののマイナス影響は緩和することに加え、マルチブランド通信ARPU収入のプラスやエネルギー事業の業績安定化などを見込んでおります。
2. マルチブランド通信ARPU収入の反転に向けて
3Qのマルチブランド通信ARPU収入は想定内で推移し、マルチブランド総合ARPU収入は着実に成長しています。マルチブランド通信ARPU収入やマルチブランド付加価値ARPU収入ともにQOQでプラスとなりました。
マルチブランド通信ARPU収入の反転に向けて、値下げ影響は徐々に緩和し、5G浸透に伴いデータ利用増が本格化しています。マルチブランドIDは、モメンタムは回復しており、2022年12月末で3,102万と成長しました。期初予想に対して好調に推移しています。また、UQ mobileが新規契約増となっている中、auからUQ mobileへの移行比率も低下しています。マルチブランド総合ARPUは、マルチブランド付加価値ARPUが成長を牽引し、でんきの影響も相応にありましたが、決済、補償、コンテンツなども、YOY、QOQともに順調に増加しております。また、燃料高騰影響等除きでマルチブランド通信ARPUも3,990円とQOQでプラス10円増加しました。
auの状況は、au 5G端末の販売のうち6割超が使い放題プランを選んでいただいています。ピタットプランから使い放題プランへの移行が進み、2022年12月末時点で使い放題プランはYOYプラス20%と増加するとともに、ピタットプランはYOYマイナス17%となりました。auでは、5G浸透とともに使い放題プランの契約数が増加しています。
UQ mobileでは、さらなるデータ利用量増を目指し、中・大容量プランを魅力化しました。月間データ利用量は、YOYでプラス10.9%となり、auと比べて低いながらも今後成長の兆しがあります。増量オプションⅡの提供や、中・大容量プランをご契約いただきやすいように、UQ親子応援割など実施しております。
3. サステナビリティ経営と注力領域
サステナビリティ経営では、「つなぐチカラ」を進化させ、社会に新たな価値を提供してまいります。通信を核としたイノベーション推進に向け、デジタルツイン、Starlinkの取り組みを推進しています。カーボンニュートラルの取組みに向けては、再生可能エネルギー発電の事業化を目指します。安心安全で豊かな社会の実現に向けては、IoT向け予備回線対応に加え、スマートフォン向けにも、障害や災害で通信ができない場合の緊急時に、ソフトバンク様の回線を利用できるデュアルSIMサービスを3月下旬以降に提供予定です。加えて、NW強靭化に向けた投資に関しても、計画通り実施しております。
続いて注力領域です。まず、ビジネスセグメント業績は、NEXTコア事業の売上高が順調に成長しています。営業利益においても、NEXTコア事業が牽引し、コーポレートDX、ビジネスDX、事業基盤サービスのすべてで増益となりました。また、既存通信事業も増益となり、3G停波による解約影響も3Qで緩和しました。4Qには積み上げた案件による利益成長を見込んでおります。
ビジネスDXは、IoT回線数が順調に成長しています。2022年12月にはKDDIで3,000万回線、11月にソラコムも500万回線、合算では3,500万回線を突破しました。IoTは、5GやAIと組み合わせることにより、様々なデータ収集とその分析の可能性が拡がることから、新たな価値の共創基盤と考えています。通信で培ったセキュリティと運用ノウハウ、さらに、付加価値ソリューションと掛け合わせていくことで、お客さまの事業の変革と持続的成長に貢献していきます。
次にデジタルツインです。デジタルツインでは、フィジカルの活動をデータ化し、これをサイバー空間でシミュレートし、結果をフィジカルにフィードバックします。この循環により、フィジカルの世界をより良いものに変革することを目指します。パートナーとの取組も進展しています。GEOTRAと東京建物様の取組では、八重洲エリアの人流データを、Afterコロナのまちづくりに活用しています。JR東日本様とは、都市データと連動したロボット配送サービスの検証を開始しました。建物内の映像データをAIで分析し、最適なルートを選択し、ロボットに指示を出します。
続いて、Starlinkです。2022年12月に、熱海市初島でau通信網のバックホール回線としての利用を開始しました。これにより、一般のauのお客さまに加え、法人・自治体向けにも、「どこでも・素早く・広い範囲」といった利便性の高いサービスを、衛星通信としては画期的な高速通信で提供できるようになりました。すでに500件超のお問い合わせをいただいております。秩父市の土砂崩落現場では、Starlinkにより通信環境を確保し、ドローンを利用して、車両通行が困難な地域に物資を配送するサービスを開始しました。
事業基盤サービスについては、お客さま事業のDX化とともに、コールセンターをはじめとする、共通業務のアウトソースニーズが高まっております。このような環境変化を受け、りらいあコミュニケーションズ様とKDDIエボルバの対等な精神に基づく、BPO事業の経営統合を目指します。三井物産グループ様とKDDIグループの強みを掛け合わせることで、お客さまの真の課題解決に貢献し、国内・海外に拡がるデジタルBPOサービスの展開を目指します。
金融事業については、auじぶん銀行とau PAYを中心に顧客基盤が拡大しています。auじぶん銀行の預金口座数は12月に500万を突破、住宅ローンの融資累計実行額は11月に2.5兆円をインターネット専業銀行として最速で突破しました。au PAY会員数は12月に3,990万、うち、au PAYカード会員数は830万とYOYプラス100万となり、着実に拡大しています。
最後にエネルギー事業です。カーボンニュートラルの実現に向けて、auリニューアブルエナジー企画を新設し、23年度からの再生可能エネルギー発電の事業化を目指し、環境問題への取組みを促進します。基地局やデータセンターなどの自社設備への直接供給を検討していきます。また、環境先進企業として、CDPの気候変動対応最高評価である「気候変動Aリスト」に認定されました。引き続き、着実な成果を目指します。
今期については、燃料高騰及びエネルギー事業等の影響はありますが、通期増益を目指します。また、デジタルツインをはじめ、将来的な取組みを推進してまいります。
質問者1
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- 来期以降の通信ARPU収入の増加に関して、ID、ARPUそれぞれの足元、今後の見通しについて教えて欲しい。
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IDについては、2Qは若干弱くなったモメンタムも3Qには回復している。特にUQ mobileが好調で、今後も期待している。Z世代を対象にしているpovoも順調に推移中。auは他社への流出を減らす必要があるが、auからUQ mobileへのシフトも減少傾向であり、今後もより良い方向へ向かうと思っている。ARPUについては5Gをベースに推進し、順調にトラヒックが伸びている。auについては、MAXプランの比率に向上の余地があり、そこはしっかり取り組みたい。来期の前半には通信ARPU収入を反転させたいと思っている。
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- 部材費用高騰影響や、来期のプロジェクト等も踏まえて、CAPEXの今後の見通し、考え方について教えて欲しい。
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来期以降は、障害対応も含めてこれまで同様、CAPEX to sales12%の水準を維持していきたい。
質問者2
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- 通信ARPU、及び通信ARPU収入の反転に向けた見通し、施策などあれば教えて欲しい。
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ARPUについては、お客さまが5Gをご利用いただき、MAXプランの加入が増加することでオーガニックに反転していくものと考えているが、これをいかに加速させ、早く実現するかが重要である。そのために様々な施策を実施していく予定。お客さまに気持ちよく5Gをお楽しみいただくために、5Gの品質向上も含めて取り組んでいく。
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- auの5G比率は? そして来期の目標値は?
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非開示だが、マルチブランドベースでの5G浸透率49%より、auは低い。5G新規ご契約の6割超はMAXプランとなっており、このペースで進めば来期の数字も見えてくると考える。
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- 中期のEPSの成長目標の達成に向けて、足元の想定外の事象も踏まえて、どう考えているか?
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3年計画の初年度であるが、ご指摘の通り想定外の事象により、達成が容易でないことは認識している。もともと3年間での目標として、注力領域での1,000億円の利益成長、コスト効率化1,000億円、5G推進による通信ARPU収入の反転、を掲げているが、特に注力領域の中で、エネルギー事業の利益成長が厳しいと考えている。そのリカバーを全社で検討中ではあるが、この段階では目標変更は考えておらず、成長投資の有効活用、通信ARPU収入の反転時期の前倒し等により何とか達成したい。
質問者3
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- 解約率がYOY、QOQでも高い状況だが、純増は増えてモメンタムは回復している状況であり、契約コストが高くなっているのではないか、と思われる。市場の競争環境を含め、今後の契約コストの発生見込みについて教えて欲しい。
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まず解約率については、確かに増加しているが、総務省主導によるスイッチングコストの低下が浸透した結果、流動が増えていると考えている。しかし、解約の傾向としては大きく変わっておらず、流動率が上がったこと自体は、当社にプラスとなっており、これをチャンスととらえてID増につなげたい。販売コストについても多数の規制がかかっており、無尽蔵には使用出来ない状況。計画の範囲内にコントロールしながら、IDを伸ばすようなマネジメントをしていきたい。契約コストについても、残高が積み上がっていくが、ある程度のタイミングで資産化と償却をバランスさせることを考えおり、全体収益を見ながらコントロールしていく。
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- ビジネスセグメントの増収増益の要因を教えてほしい。
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NEXTコア事業の「コーポレートDX」「ビジネスDX」「事業基盤サービス」がいずれも売上・利益ともに成長。「コーポレートDX」は、コロナ禍から始まった「スマートワーク」、「セキュリティ」、リモート環境提供などの「マネージメントサービス」が好調。「ビジネスDX」は、IoTをはじめとする新事業であり、今後も期待頂きたい。一方、コア事業のモバイル通信事業も、ID増の他、スマートフォン上のサービスなど、NEXTコアほどではないが、伸びている。また固定通信のニーズも減少しておらず、堅調に推移。
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- ビジネスセグメントの好調は、一時的な要因ではなく、成長は継続すると考えてよいか。
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現在は継続的な成長である。
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- 中期計画目標の達成に向けて金融事業も重要だと思うが、収益構造が見えにくい。銀行事業、その他事業のそれぞれの全体感を教えて欲しい。
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3Qの利益減は、主に金利の影響による。住宅ローンの固定金利の将来価値の見直しが若干のマイナスに効いている。ただし、固定金利ローンのご契約は全体の5%程度であり、大きな影響はないとみている。金利上昇は今後、全体ではプラスに効いてくる。金融事業は銀行事業、クレジット事業が主な業態となっているが、いずれもまだ業容拡大の段階であり、まだコストがかかっており、利益の伸びはまだ小さく見えるが、数年後の利益拡大に寄与させたい。
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- 金融事業の来期以降、まだ利益は上がらないのか。
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来期以降も利益は上げていくが、伸び幅は2,3年後の方が大きくなる。
質問者4
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- 今期の増益に向け、注力領域のうち、DXの4Qに大幅な利益成長が見込まれているように思うが、理解はあっているか?
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ご理解の通り。そのために案件管理を行っており、確実な案件の積み上げによる計画達成に向けてしっかり頑張りたい。
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- 4Qには特別な大型案件が見込まれているのか?
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もともと期末に計上される案件が多く予定されていた。来期以降は、これらの継続利用が積み上がっていく構造となっている。
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- 再エネ発電の事業化の取り組みによる、中長期的なコスト影響は?
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4月から事業を立ち上げる計画。一番の目的はカーボンニュートラルへの貢献である。当社は、単体での2030年度のカーボンニュートラル達成を計画しており、社内で消費する電力も多く、まずはこちらの再エネ化を加速させていく。コストについても、エネルギーの市況次第ではあるが、比較的に安く調達可能と考えており、中長期的にはコストメリットも出していきたい。
質問者5
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- ビジネスセグメントの営業利益は順調とのことだが、3Q単体での増益率は4%程度であり、マージンが悪化しているように見受けられる。その要因は? 4Qの利益成長は案件の積み上げだけでは厳しいのではないか?
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燃料高騰影響、通信障害影響除きでは、QOQでも成長し、3Q単体のYOYで営業利益は+8.4%となっている。4Qもこれを継続していきたい。確かに4Qのハードルは高いが、月額収入の獲得をKPIとして管理しており、案件の積み上げ状況として、これが計画を上回って推移している。この状況を継続することで、計画達成したい。特にNEXTコアの新領域で伸びている。
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- 単純計算の4%と8.4%の差分は、燃料高騰影響、通信障害影響、という理解でよいか?
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その理解であっている。
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- 燃料費高騰 200億円、とのことだが、ビジネスセグメントの内訳は? そのうち、3Qの金額はいくらか。
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今期3Q累計では、燃料高騰影響、通信障害影響を除き、ビジネスセグメントの営業利益は1,509億円でYOY+5.9%、となっており、利益率は18.7%、とほぼ昨年同様の状況である。
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- 付加価値ARPUのYOY+370円の内訳を教えて欲しい。
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付加価値ARPUは、コマースの若干の減少以外は、全体的に伸びている。補償ARPUはApple社の手数料収入や店頭設定サポート等で増収、金融は金融決済売上が増加、スマパスプレミアム会員も増加している。これらは今後も順調に伸ばしていくことを考えている。
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- その中でも、モメンタム的には金融決済の伸びが大きいのか?
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どれがというより、全体的に伸びている状況。
質問者6
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- 今期について、増益を目指すとのことだが、燃料高騰影響や通信障害影響といった想定外の事象を踏まえ、会社計画の達成は厳しいのか?
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燃料高騰影響200億円のインパクトが大きく、リカバリーが難しい状況。また、2Qの段階では、エネルギー事業は3,4Qでのリカバリーを想定していたが、足元で下振れており厳しい状況。しかしながらこれまで継続してきた増益については、なんとしても達成したい。
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- 5Gのネットワークスライシングの法人提供開始時期は?
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5Gのネットワークスライシングを活用するSAサービスはすでに提供開始中。提供可能エリアを拡大する必要があり、サービスを大きく展開できるのは、来年度の途中からの予定で準備を進めている。
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- ネットワークスライシングの実現について、一般ユーザへの影響が出ないよう、総務省と調整しているという話を聞いているが、そのあたりは法人利用に影響はないか?
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現時点では問題ない。今後も、個人利用への影響が出ないよう、エリア整備をしっかり行いたい。
質問者7
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- 期初想定外の要因として、エネルギー事業は影響額の記載がないが、どれくらいか?
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非開示ではあるが、燃料高騰や通信障害影響ほどは大きくはない。
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- 1Q,2Qに比べ、ローミング収入の減少幅が大きくなっているが、今後も大きくなるのか?
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当初500億円の減少を想定していたが、3Q累計で200億円の減少に留まっている。4Qも同傾向と想定しており、ローミング提供エリアの減少に伴い、今後も減少はしていくと思われる。
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- 市場の流動化の状況を踏まえて、マルチブランドID増、かつUQ mobileのauからの移行率は低下している状況の背景をどう考えればよいか教えて欲しい。
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本来、他社へ流出しようとしたユーザをUQ mobileでとれたのか、他社へ流出予定のなかったユーザがUQ mobileに流れたのか、については、どう考えるか、分析が難しいところである。全体から見ると、auの他社流出はそれほど増えておらず、UQ mobileへの移行も減少している状況であり、解約を抑えつつ、UQ mobileへの移行も減らせていると考えている。
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- 解約が増えているのは、auとUQ mobileのどちらか。
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非開示ではあるが、大きな差異はない。
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- UQ mobileからauへの移行の状況は?
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かなり増えている。auからUQ mobileへの移行とUQ mobileからauへの移行との差分がだんだんと減少している状況。
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