2004年3月 社長会見
移動通信
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- 国際データローミングサービスについて、韓国以外のサービス開始予定は。
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Eメールはできても、EZwebのようなサービスに非対応であったり、パケットを導入していなかったりと、国により事情が異なるので、準備が整い次第、対地を拡張する予定だが、国名などはお話できない。
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- CDMA 1X WINの契約状況は。
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年度末に契約数を公表する予定なので、それまでお待ちいただきたい。ただ、2月中旬以降広告を増やしたこともあり、徐々に契約数が伸びている。
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- NTTドコモが3,900円でデータ通信の定額制を導入するとの一部報道があったが、対抗策などあるか。
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NTTドコモから正式に発表があったわけではないのでコメントは差し控えたい。もしも導入するとしても、定額制の適用条件などが分からないので、今のところ対抗策も考えていない。
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- NTTドコモでも定額制が導入されれば、また値下げ合戦になると思うが、auのビジネスモデルは変わるのか。
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各社とも値下げ合戦で痛い目にあっているので、携帯各社が定額制を導入しても、値引き合戦にはならないと思う。ビジネスモデルについてだが、auが定額制を導入したのは、データ通信専用のEV-DO方式を導入したことと、コンテンツプロバイダーにパケット代を気にせずリッチなコンテンツを提供してもらうことが背景にある。今後、携帯電話は、SUICAの機能や、クレジット機能の実現など、パーソナルゲートウェイ化が進むと予想するが、自分の残高などを確認するためにその都度パケット代がかかるのでは普及しないので、定額制が必須となる。また、EV-DOのエンハンスメントによる回線の高速化や、プレミアムサービスなどのコンテンツの代行手数料などで収益源は多様化が進む。
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- WINのプレミアムサービスは今後どのようなものがでてくるのか。また今の端末でも利用できるのか。
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例えばEZチャンネルもプレミアムサービスの1つだが、今後もさまざまな新サービスを提供する。この中には、現在発売済みの端末で利用できるサービスとそうでないものがある。
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- TD-CDMAの導入による影響をどう見ているか。
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大きな影響はないと思っている。TD-CDMAでも音声を取り扱う場合、W-CDMAと同じ数の基地局が必要となる。短期間でどれだけエリアを拡大できるかという問題を解決しなければならないし、莫大な設備投資も必要となる。またデータ通信に特化するのならば、auとはビジネスモデルが違うので心配はしてない。
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- auは好調が続いているが自己評価してほしい。
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今が良いのではなくて、過去がひどすぎた。3社以上の事業者が競争する中で1社が50%以上を占める国は、世界的に日本と韓国ぐらいである。我々は早くその異常な状態を解消し、30%のシェアを獲得することで、本当の競争状態にしていかなくてはいけないと思っている。
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- 周波数帯の有効利用について。2GHz帯についてどう考えるか。
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現在2GHz帯を本格的に利用していないのは事実だが、あまり短期的に評価されては困る。現在800MHz帯で契約数が増加しており、今後、800MHz帯が不足することも考えると、これまで以上に2GHz帯を必要としている。
固定通信
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- アクセス番号を利用した固定発携帯着サービスに参入するのか。また、それによる減収の見込みや、auの固定発携帯着の値下げ予定について教えて欲しい。
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他社と同じく4月1日をめどに参入する準備は進めている。なお、本サービスはマイラインの対象外でアクセス番号をダイアルする手順が追加されることもあり、収益面での影響はあまりないだろう。また、au側で設定する固定発携帯着料金の値下げについては今のところ考えていない。
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- 事業法改定により法人への相対契約が認められ、価格競争が激化するのでは。
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競争環境が厳しくなることは認識しているが、すでに各社とも値下げ競争を続けているので相対契約が導入されたことで急激な値下げ競争にはならないと思う。当社の公共性を考慮すると一部の顧客への著しい値下げは出来ないので、相対契約時のサービス提供ルールを社内で策定中である。
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- アクセスチャージの算出方式としてLRIC (長期増分費用方式) には限界があるとの見解が研究会でもされていたが、どう考えるか。
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LRICはパラメータがあれば誰でも計算できるので透明性が高い。LRIC以外で透明性が確保でき、もっと良い算定式があれば良いが、残念ながら見つかってない。特にヒストリカル方式に戻ると、NTTしか本当のことが分からないパラメータが多すぎるので、NTTの恣意性が高くなり、問題が大きい。
制度、そのほか
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- 昨日、増配の発表はしたものの、目標とする配当性向20%には届いてない。20%に届くのはいつごろか。
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TCSの観点から株主への還元も重視しているが、安定的配当と配当性向の両面から考える必要がある。単体での20%については今後の状況を見ないと何ともいえない。現在1兆円以上の有利子負債をかかえているので、1兆円レベルに減らした上で考えていきたい。
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- 株主還元には増配のほかに自社株買いという選択肢があると思うが、どう考えるか。
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当社は今のところ、自社株買いより増配の方が株主メリットがあると考えている。自社株買いは株数の減少とともに持ち合い解消の受け皿の意味合いがあり、NTTも政府保有株の放出を自社株買いで消却しているが、当社の株主構成を考えると特に自社株買いを急ぐ必要はない。
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- 一部報道で固定通信事業の分社化が報じられたが、具体的な進捗状況は。また組合との話し合いは進んでいるのか。
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誤解を招いた面があるが、ネットワーク事業の分社化ではなく、ネットワーク事業の法人営業部門について分社化を検討している。相対契約の導入などにより、法人向けサービスの収益性がますます低下することが予想される中で、採算を確保することが目的だが、まだ検討しているという段階だ。組合への提示は行ったが合意しているわけではない。
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- 現在のソリューション営業は固定通信と移動体通信の一体化が強みだったが、どう考えるか。
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法人のソリューション営業は固定通信の方が売りやすいので、モバイルソリューションの営業活動がおろそかになっているのが現状であり、モバイルソリューションに特化した部隊を新設し、要員も手厚く配置する。
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- 個人情報保護、情報漏洩について。
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当社でも合併直後、代理店経由の情報漏洩が発覚したのを受け、個人情報保護委員会を設立し、私が委員長に就いている。個人情報保護はいくらやっても足りない面があるので、現在、全面的に見直し作業を行っている。その結果、必要があれば手を加える。個人情報漏洩には外部からの侵入と内部からの持ち出しがあり、前者については、ほぼ大丈夫だと言えるが、後者についてはモラルの問題に帰着する。当社ではすでに「KDDIフィロソフィ」を作成しているのでこれに基づく研修も進めていく。また、渋谷データセンターでは情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格である「BS7799:PART2」および国内規格である「ISMS適合性評価制度」の認証をそれぞれ取得しており、これを全社に広めているところだ。