2004年6月 社長会見
移動通信
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- 「ダブル定額」導入の目的は。
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より多くのお客さまに定額制を使っていただけるよう、入り口のバリアを低くするために導入する。定額の上限金額4,200円を変更するつもりはない。
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- 「ダブル定額」導入により予想される減収額は。また、5月に発表した通期見通しには折り込み済みか。
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短期的には減収となるが、新規も入るので中長期的には、増収に向かう。これまでの1XからWINの定額制に移行したお客さまのデータをみると「ダブル定額」を導入しても通期見通しは達成できると考えている。
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- 「ダブル定額」を導入することによるARPUへの影響は。
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パケット数はある程度増加するだろう。短期的には減収となるだろうが、安心して使えるということを理解してもらえれば、中長期的にARPUは上がると見ている。
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- フェリカ対応携帯電話の導入時期は。
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我々としては、JR東日本のモバイルSuica導入スケジュールにあわせて提供していきたい。
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- 携帯電話事業が好調だが、NTTドコモに対する強みはなにか。
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通信事業はインフラ産業からサービス産業へ変わりつつある。auが好調な理由は、お客さまが望む部分をつかめたのではないだろうか。auショップに来てもらうには、端末に魅力がなくてはならない。また、他社との差別化は音声だけでなくEZwebのコンテンツを使ってもらわなければならない。最後に、楽しんでもらっても料金が高くては喜んでもらえない。今のauは端末・コンテンツ・料金の3つの調和がとれていると考える。
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- 携帯電話市場が飽和する中で、既存顧客に対する囲い込みとして、機種変更を促進させるような施策はとっていくのか。
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長く使っていただいているお客さまには、料金などいろいろと優遇する策をとっている。また、以前は新規のお客さまを重視していたので、新規価格のほうが安い状態だったが、最近では新規価格と機種変更価格をほぼ同じ値段にしている。
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- DDIポケットのPHSのように、携帯電話へのフルブラウザ搭載はあるのか。
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Operaに続きACCESSなど、すでに数社が開発しているが、かなり良いところまで行っていると思う。ビジネスモデルとして考えると、パソコンを利用したインターネットにおいては、有料コンテンツでは成功しているものが多いとは言い難いのではないか。そう考えるとEZwebのほうが良いのではないか。また、トラフィックの予想も難しく、特定の機種に搭載する可能性はあるかもしれないが、全機種搭載にはならないだろう。
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- auの2004年の純増数目標は。
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約220万を見込んでいる。
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- 総務省が行っている競争評価についてどう考えるか。
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競争評価はやるべきと考えている。携帯電話は競争があったからこそ、8千万を超える普及となったし、料金面でも競争は進展していると思う。
固定通信
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- 日本テレコム・ソフトバンクへの対抗戦略は。
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現時点で彼らがどういった戦略をとるかはっきりしておらず、彼らの戦略を見守りたい。ただし、手をこまねいているつもりは、一切ない。
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- KDDI光プラスの契約数は。
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四半期ごとに公表するので、それまでお待ち願いたい。
制度
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- 公開ヒアリングで「競争政策」より「産業政策」が必要だと言っていたがどういうことか。
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国に対し産業政策を講じて欲しいと言ったわけではなく、事業者自らが将来のことを考えなければならないと言ったつもりだ。ブリティッシュテレコムがオールIP化を行うと発表したが、日本の事業者も、固定通信のトラフィックが減少している中で今のままの料金でサービスを提供するのか、などのテーマを話し合う場が必要なのではないか。これからもアナログの電話を残しておく方が良いのか、などを事業者間で話し合わなければならないだろう。
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- NTTグループと総務省の動きをどう見ているか。
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常に総務省に言いつづけていることは公正競争条件の整備をしてくださいということだ。公正競争条件とは、各事業での競争条件がそろっていることが重要となる。NTT東西とNTTコムに分離したことは一定の評価ができると思うが、マイライン営業の際、NTT東西が営業した場合、県間通話の部分でもNTTコムを選択するといったようなことがあるので、営業的には条件が充分整備されたとは言えない。
そもそも、どうして分割させたのかということを再度考えなければならない。NTT東日本とNTT西日本が競争し、NTT東日本の地域にNTT西日本が入ってきてシェアをとるといったようなこともかまわない、といったものだったはずだ。中継系ではNTTコムの請求書をNTT東西が発行しているといったこともあり完全ではないだろうが、ある意味では我々と同じ立場で戦っているといえるだろう。
本来ならば米国型の競争が良いのだろう。言い変えると、NTT東西、NTTコム、NTTドコモ、そしてNTTデータも含めて資本分離をしなければ公正な競争はできない。例えばJRの場合、激しい競争をしているのは、資本が完全に分離されているからだ。東京駅でもJR東日本とJR東海の売り場は別になっている。資本が分離されていれば、当然それぞれの株主のために利益を上げるといった経営になる。それが、JRが分割されて非常にうまくいっている理由だと思う。
ところがNTTの場合はNTTの持ち株会社のもとに分割されたが、アクセスチャージですら競争になっていない。アクセスチャージ問題とエンドユーザー料金問題は違う。アクセスチャージに差がつくと、エンドユーザーの料金が地域によって差が生じると考えるが、間違いである。コストからルールに基づいてアクセスチャージを算出した場合、NTT東西でアクセスチャージに差が出るのは当然のことだ。それをもとにどういった料金でエンドユーザーに提供するのか、同じ料金にするのか経営上の判断である。NTT東西の料金に差があれば、それをもとに東が西へ進出するといったようなこともありうる。これこそがヤードスティック競争である。電力は各地域で料金が違っている。
電気通信事業は競争政策の優等生だと考えている。NTTが独占を続けていたらこれほどまでに料金が下がっただろうか。今のNTTの動きというのは、持ち株会社の下、昔のNTT独占に戻そうとしており、グループ内での競争を排除したいと考えている。この状況が日本経済のためになるのだろうか。NTTだけがADSLを提供していたら、ADSLは現在のように普及していなかっただろう。光ファイバーが非指定設備になったら、あっという間に昔の独占状態に戻ってしまうだろう。
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- 平成17年度以降の接続料算定についての要望は。
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先月総務省のヒアリングでも述べたが、事後精算を無くすこと、アクセスチャージの算定方法をLRIC (長期増分費用方式) でやるということだ。LRICがベストとは思っていないが、全てがオープンで、誰が計算しても同じになる方式は今のところこれしかない。NTTはヒストリカル方式に戻せば、アクセスチャージを下げられると言っているが、そのアクセスチャージが正しいコストを反映しているかどうかは、NTT以外には分からない。
そのほか
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- DDIポケットを手放す理由は。
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売却の交渉を行っているのは事実だが、現在のところ発表できる段階にないので、お話できない。
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- 中国ではPHS事業の普及が進んでいるが日本との違いは。
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中国と日本のPHSの市場は違うものだ。中国ではPHSを固定電話の延長上のサービスとして提供しており、固定電話の普及率が低い地域で、代替として使われている。提供している事業者も固定系事業者であり、日本とは市場が違うと見ている。