2004年12月 社長会見
日時 | 2004年12月15日 (水) 13:30~14:35 |
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場所 | 経団連会館 |
発表案件 |
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災害用伝言板サービスの提供開始
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- 「災害用伝言板サービス」について、ドコモと相互リンクするとあるが、具体的にはどのようにリンクするのか。
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EZwebとiモードの「災害用伝言板サービス」は独立したものである。リンクというのは、実際にEZwebで検索した際に、該当の電話番号がない場合ドコモのURLを表示するので、ドコモの「災害用伝言板サービス」を見に行くことができる、というものである。
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- 災害が発生したときの伝言板の立ち上げなど、実際の運用についてはドコモとタイミングを合わせるのか。
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両社同時に提供したいと考えているが、今後充分に協議していきたい。
KDDIデザイニングスタジオ
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- どんな人が来館するのか。また、お客さまの声を商品化に反映することはあるのか。
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一般の方が自由に出入りできる施設で、スタッフがお客さまから直接ご意見をお伺いする。イベントも開催していく予定なので、そこでお客さまの反応も見たい。最終的には、お客さまの声を取り入れて商品化なども考えている。具体的なことは、現在検討中である。
周波数帯再編
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- 携帯電話用周波数の利用拡大に関する検討会において、800MHz帯の新規参入に関してソフトバンクの主張と平行線を辿っているが、最大の問題点は何か。
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携帯電話事業への新規参入は、ルールに基づく必要がある。第一世代の800MHz帯のアナログ方式、第二世代の1.5GHz帯のPDC方式、第三世代のIMT2000方式と、新しい方式や技術が出るたびに新しい周波数帯が割り当てられてきた。現在は、2GHz帯のTDD方式について、国は新規参入を検討している。国は、新方式や新技術を利用して、新産業を興し、サービス間・方式間の競争を促進させ、その成果を利用者に還元している。ソフトバンクは、そのルールに則り参入するのであれば何の問題もない。しかし、当初2GHz帯のTDD方式に参入表明していたが、いつの間にか800MHz帯のFDD方式で参入したいと言っている。周波数は有限であり有効利用するのは当然であるが、ルールや予定表があるにもかかわらず、それを壊して既存の周波数に参入したいと言うのはエゴだと思う。
携帯電話事業は、準備期間を設けてサービスを開始し、5~10年というスパンで事業計画を策定するものである。当社もCDMA方式を立ち上げたとき散々苦労した。ソフトバンクは、IMT2000の周波数割当時に手を挙げず、今、既存の技術で既存の周波数に参入したいというのはおかしいと思う。後から他社の周波数を奪って新規参入ができるのであれば、誰も安定した事業運営ができなくなる。当社が周波数の有効利用に努力しているのだから、ソフトバンクはTDD方式で参入していただきたい。
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- ほかにも新規参入を希望している事業者があるが、なぜソフトバンクだけが800MHzにこだわっているのか。
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理由が全く分からない。国内外の事業者は全て、デュアルバンドではコストがかかるので、シングルバンドで提供したいと考えている。新旧の周波数の問題などからデュアルバンドで提供せざるを得ない場合もあるが、自らデュアルバンドで提供したいと考えているわけではない。
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- その検討会において、ボーダフォンの津田社長が、検討会の話題が脱線していると指摘していたがどうなのか。
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津田社長の言う通りである。1.7GHz帯、2GHz帯のTDD方式などをどう利用するのかという検討会であり、元々800MHz帯は全く関係ない。話を本筋に戻すべきである。
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- 検討会なので、最終的なとりまとめはどうなるのか。
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検討会で議論した内容は総務省に報告され、国の考え方などを総合的に勘案され政策に反映されるのだろう。検討会で、多くの議論をしたことは重要である。
移動通信
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- EZ「着うたフル (TM)」の手ごたえは。また、来年度のブレイクポイントはどこにあると見ているか。
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サービス開始後3週間で30万弱のダウンロードがあり、直近の12月13日で36万1千ダウンロードとなった。一人2曲以上ダウンロードしていることとなり、好調である。また、ブレイクする時期としては、EZ「着うた (R)」もEZ「着うたフル (TM)」も同じような仕組みであり、既にEZ「着うた (R)」を使っている人への浸透は早く、相当早い時期にブレイクすると見ている。
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- 12月の動向は。
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auは、 EZ「着うたフル (TM)」が伸びていることで明らかなように、端末の販売も好調である。TU-KAはツーカーSが売れており、11月は純増になるなど、この勢いは続くとみている。KDDIグループとしては、12月は好調であるが、シェアについては他社のこともあるので分からない。
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- 来年度、ドコモがHSDPAの導入を予定している。KDDIの新技術は。
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当社も次の技術を検討しているが、EV-DOの次はもう少し先であり、来年度ということで特に今申し上げるものはない。
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- ボーダフォンやドコモのように、海外メーカーの3G対応端末を出す予定はあるのか。
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海外メーカーでいいものがあれば取り入れたいが、800MHz帯は日本独自の周波数帯であり、端末を日本専用に作らねばならず難しい。また、日本の国民性や文化が影響してくるので、海外用の端末を今の時点では取り入れる予定はない。
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- 携帯のIP電話の予定は。
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今の仕組みでは、品質保証ができないので、IP電話は困難であり、次の世代で研究開発していくことになるだろう。
固定
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- 固定通信の来期の見通しは。
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光プラス、光ダイレクト、メタルプラスの3つのサービスが、BB (ブロードバンド) 時代の主要サービスになると考えている。ただし、来年度はまずメタルプラスの販売が中心となる。いずれBB化が進めば、光プラスが主流になっていくと考えている。メタルプラスが他社と違うのは、既存の電話を安くするサービスではなく、IP電話にしてコストを下げて料金を下げている点である。メタルプラスで利用するCDN (コンテンツ・デリバリー・ネットワーク) は光プラスでも利用するため、トータルコストを下げることができる。それをお客さまに還元していく。
奈良県女児誘拐殺人事件
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- 奈良県女児誘拐殺人事件で、auのGPS携帯が使われていたと報道されている。携帯電話が便利になるにつれ、マイナス面の指摘もせざるをえない。このようなモバイル社会をどうとらえているか。
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このような悲惨な事件で携帯電話が悪用されて誠に残念である。事件の詳細は分からないし、犯人逮捕の前に何も言えないが、一般論として、携帯電話が普及し便利になれば思いもよらない使い方が出てくる。次のサービス開発のとき、負の側面も考慮して対策を検討する必要があるが、想定できないことも出てくるし、メールの内容をチェックすると表現の自由に抵触するなどの問題があり、通信事業者ができることは限られると思う。
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- 今回の事件において、警察との連携などに問題点や課題はあったのか。
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今は何も申し上げる段階ではない。一般論として、24時間中特定の誰かを追うことはしておらず、警察からの協力の要請があってはじめて、ルールにのっとり対応する。
そのほか
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- 好業績にかかわらず株価が下落したが、2005年の対策は考えているのか。
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海外投資家から見ると、「世界のポートフォリオ」の中で「日本の企業」があって、その中に「通信業界」がある、そしてその中の「KDDI」という立場で見ているので、KDDIだけ株価を上げるのは難しい面がある。株主への還元は、本来、株価対策ではなく、業績に基づいて実施されるべきものと考えている。