2005年3月 社長会見
日時 | 2005年3月16日 (水) 13:30~14:30 |
---|---|
場所 | 東海大学校友会館 富士の間 |
発表案件 |
資料配布 |
配当予想の修正
-
- 前期に比べ1,100円増の年額6,900円とした理由は。
-
配当については、従来からお話しているとおり、KDDI単体で配当性向20%を目標としており、配当性向を見ながら決めた。
-
- 増配決定の一因として、有利子負債の削減が進んだことを挙げているが、どの程度進んだのか。
-
期末の有利子負債残高の予定は、第3四半期決算でご説明したとおり、8,710億円で変わっていないが、目標としていた1兆円を十分に切ったということで決めた。
-
- 配当性向20%を目標としてきたが、来期も継続するのか。
-
目標としては単体で20%を継続したいが、来期の配当額については、来期の設備投資を少し増やすなどフリーキャッシュフローの使い方を検討しており、そのあたりの兼ね合いを考えて決めていきたい。
-
- 設備投資はどの程度増えるのか、また、どのような内容が重点となるのか。
-
来期の具体的な内容は決算発表時の来期見通しでご説明することになるが、設備投資が増えるのは、いろいろな要素が考えられる。例えば、携帯電話の800MHz帯の周波数再編が始まるので、新たな投資が必要であり、また、「KDDIメタルプラス」でも相応な投資をしていく。
音声定額サービス
-
- 昨日、ウイルコム社がPHSにおける音声定額について発表したが、どう見ているか。また、以前のグループ企業が攻勢をかけてくることへの感想は。
-
ウイルコム社の音声定額サービスは、同社が提供しているPHS同士でのサービスであり、当社には大きな影響はない。また、以前のDDIポケットがウイルコム社としてKDDIグループから離れたことで、KDDIグループ内での主にauとのコンフリクトはなくなり、ウイルコム社も成長性が担保されるので、結構なことだと思う。
ツーカー
-
- グループ企業のツーカーについては、ツーカーSの成功で契約数の純増が続いたが、2月は純減となった。ツーカーの今後をどう考えているのか。
-
2月は純減となったが、内容はむしろ良くなったと考えている。プリペイド型端末が、本人確認の強化により減少しているのに対して、ポストペイド型端末は増加しており、経営上いい方向にあると考えている。ツーカーは、すぐに売却などの判断をするような状況ではなく、発表したとおり、今月末には100%子会社化をし、その後考えていく。
-
- 判断をする時期は。
-
1.7GHz帯に新規携帯事業者が参入することを検討しており、その動向次第でツーカーの価値も変わる可能性がある。早い時期には判断できないと考えている。
米国通信業界再編
-
- 米国で長距離通信のAT&Tを地域通信のSBCが買収するなどの大規模な業界再編が起こっているが、どう見ているか。
-
日米の違いは、AT&T分割の際に、資本分離をきっちり行なったことである。AT&Tと旧ベビーベルは親子関係になく、ベビーベル同士も兄弟関係ではない。このため、地域系会社が合併してもかまわないという経営の自由が与えられ、ダイナミックな業界再編そのものといってよい状況が生まれた。
一方、NTTグループはNTT持株会社のもとにNTT東西、NTTコム、そして資本は一部外部も入るが、NTTドコモ、NTTデータまでを含んでいる。本来、NTT東西には、別会社としてヤードスティック競争をさせようという目的だったにも関わらず、NTT東からNTT西への利益の補填を行なうなど、NTT東西は1つといった状況だ。NTT東西が競争することはなく、このままでは独占に戻るだけだ。
また、米国と日本では地域系の市場がまったく異なる。米国ではブロードバンド事業の相当の市場をCATVが持っている。したがって、米国と同じことが日本でも起こるかと言えば、これは起こらない。一方で、NTTの動向をみると、NTTグループを一本化する主張が強くでており、これは強く危惧している。独占に戻れば、以前のようにユーザーを無視したサービス、高い料金があたり前の状態に戻ってしまう。
携帯電話事業 (au) の動向
-
- 毎月の純増数で、ドコモが3カ月勝っている。また、ボーダフォンの状況が厳しいなど、3社の構図に変化が出てきていると思うが、この変化をどのように分析し、また、対策を考えているのか。
-
純増数については、昨年、一昨年とシェアでトップに立ったが、他社の第3世代携帯電話の展開が遅れたなどの要因も大きいと思う。2月は純増シェアで2位となったが、純増数が大きく開くなら問題だが、現状程度ならば、今までの戦略を大きく方向転換する必要はなく、深化させるだけでよいと考えている。
ボーダフォンも今は厳しいが、3社ともそれなりのバックグラウンドをもった企業であり、中長期的には拮抗するシェアになるのではないか。以前から言っているが、国内市場で3社がサービスを提供している国では、1社のみが50%以上のシェアを持つ場合は少なく、日本と韓国ぐらいである。他国は累積シェアで複数事業者が拮抗しており、そういう状況に早くなることがお客さま満足度を上げていくことになる。
-
- NTTドコモの無線LAN搭載の携帯電話端末が相当数出ているようだが、auの対応は。
-
技術的検討も進めているが、むしろ、お客さまにどのような条件でサービスを提供するかを鋭意検討している。当社の法人向け携帯電話サービス「OFFICE WISE」の良いところは、屋内でも品質保証ができるところであり、無線LANを利用した場合の提供形態をどうするかよく考える必要がある。
-
- auのフェリカ対応の進捗は。また、UIM (SIM) カード搭載端末は、今後の携帯電話のナンバーポータビリティでも有効だと思うが。
-
auのフェリカ対応については、以前から申し上げているように今年秋を目途に準備を進めている。また、UIMカードは日本では法令上の提供義務はないが、お客さまの利便性の向上の面から検討している。提供時期については回答を控えさせていただく。
-
- 1.7GHz帯へのソフトバンク参入をどう考えるか。
-
新規参入による競争促進を否定する考えは持っていない。むしろ、新規参入する企業が何を目指しているかを勉強させていただき、先手をうっていくことが企業としてのあり方だと思う。
固定通信の動向
-
- 固定電話の平成17年度以降のNTT接続料についてかなり上昇したと思うが、KDDIの固定通信へのインパクトについて教えてほしい。
-
接続料については行政訴訟など起こしていることもあり、詳細については回答を控えさせていただくが、今の計算方法では上がってしまわざるを得ないため、今後、どのような方法を考えていくかが問題だ。今回の接続料については予想されていた範囲であり、このためにKDDIとしても「KDDIメタルプラス」や「KDDI光プラス」といった直収型サービスの展開を進めている。接続料だけの議論ではなく、直収サービスなども含めて議論が必要である。
来年度の接続料コストについては、既存のマイラインのお客さまと直収サービスのお客さまの比率を想定することが必要なので、今は回答を控えさせていただく。
-
- 「KDDIメタルプラス」の開通数について教えてほしい。トラブルなどはあるのか。また、来期の目標数は。
-
開通数は競争対応上控えさせていただくが、比較的順調に推移している。トラブルについて、皆無かというとそうではないが、大きなトラブルは出ていない。
-
- 「KDDI光プラス」の状況と「光プラスTV」の感触は。
-
KDDI光プラスについては、感触としてはあまり順調ではないが、ADSLと比較して開通に時間がかかるなどの問題があり、改善していきたい。
-
- NTTが光ファイバーを指定設備とする規制の撤廃を求めており、最近では光ファイバーの顧客宅への引き込み部分の開放を主張しているようだが、どう考えるか。
-
現状のアクセス系回線全体については、NTT東西が圧倒的なシェアを持っており、ここを開放しなければ、ドラスティックな競争はあり得ないと思う。独占に戻れば、光ファイバーを使用した新しいサービスは出てこないので、NTT東西の光ファイバーの開放義務は当然課していくべきだと考える。引き込み線部分の開放については、まだ、正式な話としては伺っていないのでコメントは差し控える。
ライブドアのニッポン放送株取得
-
- ライブドアのニッポン放送株取得について、どう考えるか。
-
ルール違反ではないが、あのような株の取得でニッポン放送の従業員やほかの株主とうまくいくのか分からない。資本の論理で片付かないところを今後どうしていくのかが、課題だと思う。