2005年9月 社長会見
日時 | 2005年9月21日 (水) 13:30~14:30 |
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場所 | 虎ノ門パストラル「ローレル」 |
発表案件 | 小・中学生および60歳以上のお客さまが月額1,500円 (税込1,575円) でau携帯電話をご利用いただける「家族割 ワイドサポート」の導入などについて |
家族割ワイドサポート、下期の料金施策
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- 子どもには携帯を持たせたくないという意見も少なくないが、今回のようなサービスを導入するにあたり、どう考えるか。
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子どもに携帯を持たせたくないという親御さんは、迷惑メールや有害サイトの悪影響を懸念していることが多いが、当社はすでに防止策を講じている。その上で小中学生を優遇する料金を導入することで、お子さまの安全を確実にするために安心してご利用いただきたいと考えている。
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- 携帯電話各社がさまざまな料金プランを導入してきているが、他社とどのように差別化するつもりか。
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料金プラン自体は、いずれ他社に追随されうるものであり、当社は単純な料金値下げ競争を行うつもりはない。例えば、EV-DOシステムを導入して、データ通信料金のコストを低減した上で定額制を導入した。今後も収益性を確保した上で、料金の施策を検討していく。
携帯電話事業
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- auは音声定額制を導入する予定はあるか。
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回線交換で音声サービスを提供している現状では、全面的な音声定額制の導入は難しい。部分的にでも音声定額制が可能かどうか、また、お客さまにメリットがあるのかどうかは検討しているところである。
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- 地上デジタルTVの携帯向け放送が開始されるが、auではどのようなサービスを予定しているのか。
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auは、FMラジオやアナログTVチューナーを搭載したとき、単に放送を受信するのみではなく、EZ「着うたフル (R)」のダウンロードやCDの購入につなげるなど、通信サービスと連携して提供してきた。地上デジタルTV放送についても、この延長で考えているが、さらに、放送局との協力関係に基づき、放送される番組やCMと連動したコンテンツを提供することも可能になると考えている。
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- 携帯電話におけるゲームの今後の展開はどのようなものになるか。
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あらゆるものが携帯電話に搭載されていく動きがあるが、携帯電話には「時間つぶし」の道具としてのニーズがあり、特にゲームは携帯電話に乗りやすいコンテンツだと考える。ゲームのダウンロードに加え、今後オンライン対戦が普及すれば通信収入にも直結するので、コンテンツとしてのゲームに期待している。
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- 米国ではPTT (Push to Talk) サービスが成長しているが、日本ではどのようなサービスが考えられるか。
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米国では、NEXTEL社が法人向けにPTTサービスを提供し、受け入れられていると聞いているが、日本ではすでに類似サービスが存在しており、これを携帯電話に組み込んだときにどれだけニーズがあるかがポイントになるだろう。当社としてもPTTに興味は持っているが、米国と同様の単なる音声同報サービスが、どこまで受け入れられるか調査している。
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- 韓国のパンテック社製携帯電話を導入する理由は。
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当社は世界標準のCDMA方式を採用したときから、海外の携帯電話メーカから提案を受けてきたが、これまでは、日本のお客さまに受け入れられるものはなかった。今回は、当社がパンテック社と共同開発する要素もあり、お客さまに満足していただけると確信したので発売に踏み切った。今後も、海外メーカには広く門戸を開き、お客さまにメリットがある提案であれば採用していきたい。
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- 800MHz/2GHz帯デュアルバンド携帯電話の包括免許を申請したが、どのような背景があるのか。
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今回の包括免許は800MHzの周波数再編を視野に入れたものであり、当社のお客さまが増加する中、いずれお客さまには2GHzをご利用いただく必要がある。お客さまにご迷惑をかけないように移行を進めていくためには、デュアルバンド携帯電話が必要であり、今回、包括免許を申請した。
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- ツーカーと合併することで、KDDIの通信網が第二種指定電気通信設備とされる旨が諮問されたが、どのような影響があるか。
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接続約款などの総務省への届け出の義務が生じることが最大の変更点だが、今のところ、経営への大きな影響はないと考えている。
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- また、シェアが25%を超えることで規制されることについてはどう考えるか。
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現在は諮問の段階なので、今後、パブリックコメントなどの機会があれば、いろいろ検討の上、意見を申し上げる予定である。
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- 携帯電話事業者の新規参入についてあらためて意見を聞きたい。
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新規参入自体は歓迎するが、お客さまのためにも、業界全体が発展していくことが必要である。例えば、米国の航空業界は、新規参入による価格破壊などで、破産法を申請する事業者が増え、その後、料金が値上げされてお客さまに影響が生じた。通信は重要なインフラ事業なので、安定して提供されることが最低条件である。その上で競争が進み、お客さまにメリットを還元していくような形が望ましい。
NTT問題
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- NTTの和田社長が、NTT東西の無線LANの提携など、法が許す限りにおいて、グループ力を強化したいと発言しているが、どう考えるか。
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NTTは未だに圧倒的な市場シェアを持っており、法の下で許される限り自由に活動できると考えるのは通信業界の発展のためには適当ではない。これまで通信業界で料金の低廉化が進み、新たなサービスが登場したのは、新電電が新規参入し、競争が進展したからであり、NTTがグループ力強化の名の下に、独占性を強化するのは問題である。例えば、NTT分割時には、NTT東西がヤードスティックの考え方に基づき相互に競争することが期待されたが、昨今の動きは、こうしたNTT分割時の趣旨に逆行している。現在、NTT法には見直しの時期が明記されておらず、今後、NTTと新電電の公正な競争が進展するためには、マスコミの皆さまにも、しっかり監視してもらいたい。
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- 和田社長は、技術の進化に伴うお客さまのニーズに対応するために、KDDIと東電が提携するのは理解できるとし、同じ理由でNTTがグループ力を強化する必要性を主張しているが、どう考えるか。
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NTTは、「お客さまのニーズ」を理由にグループ力の強化を主張しているが、マイライン開始時に、当社が「お客さまのニーズ」に基づき、基本料を含む請求書を一括して扱えるよう、NTTにお願いしたが、システム回収にかかる多額の費用を提示され、事実上、対応して貰えなかった。
完全資本分離しなかったNTTに規制が残るのは当然であり、現時点では、まだ公正競争条件は整備されていない。そのことが、NTTと新電電のシェアの差に表れていると考える。KDDが独占していた国際通話における当社の現在のシェアは40%を割っている。また、長距離通信においても新電電のシェアが高くなるなど競争が進んできたが、NTTがボトルネック設備を独占する市内通信では競争が進んでいない。米国では、旧AT&Tが完全資本分離され、RBOC同士は、お互いのサービスエリアに進出して競争し、結果として合従連衡が進んだ。また、長距離通信のAT&Tは立ち行かなくなり、地域通信事業者と合併した。NTTは、こうした米国の合従連衡の動きを都合よく解釈し、NTTグループ各社が関係強化する必要性を主張しているが、米国の場合、一度、完全な資本分離が行われているのが大きな違いである。日本においても、NTTが完全資本分離すれば、KDDIがNTT東西のどちらかと合併し、NTTコムがもう片方と合併するような業界再編が起きても良いと考える。
メタルプラス、光プラス
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- 日本テレコムは直収型固定電話サービスの営業戦略を変更し、法人市場に特化するようだが、KDDIはどうか。
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公共性の高い通信事業者は、便利で料金が低廉なサービスをなるべく多くのお客さまに提供するのが責務であると考えており、例えば、利益率が低いからといってメタルプラスの個人への販売を手控えることは考えていない。
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- まずはメタルプラスを展開し、その後、光プラスに移行していくシナリオがあったと思うが、下期に向けて、光プラスの拡販の計画はあるか。
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メタルプラス、光プラスの販売方針は従来と変わっていない。メタルプラスの提供について、当社ではCDNを構築する目的があった。CDNが整備されれば、光ファイバーの足回りをつなぎこんでいつでも光のサービスを展開できる。しかし、光サービスを本格展開する時期がいつになるかは市場次第ということもあるが、それが今年の下期ということもないだろう。
そのほか
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- 東電との話し合いの進捗状況を教えてほしい。
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話し合いは続けているが、現時点ではお話しできることはない。
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- 東電以外の電力会社にも関心を持っているのか。
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まず東電との関係を作ることが先決だと考える。東電以外の電力会社と現時点で話し合いを行っているという事実はない。