2006年7月 決算社長会見
移動通信事業
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- 第1四半期決算について、当初想定と異なった点は何か。また、第2四半期以降はどのように見込んでいるのか。
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第1四半期は、解約率が1.04%と予想より下がり経費を抑えることができたこと、機種変更率が想定より下がったことから、利益が増えた。第2四半期もほぼ同じ傾向が続くと見ている。
第3四半期以降は、MNPの開始によってこの傾向が変わってくると考えている。ただし、競争状況にもよるが、コミッション単価を上げるつもりはない。
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- 今後、端末の調達コストが上がっていくと、コミッション単価も上がっていくのではないか。
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端末コストは、従来進めてきたBREW (R) + KCPによって下がってきている。先日発表した携帯電話統合プラットフォームの構築によって、これから一層端末のコスト競争力がついてくる。
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- 携帯電話統合プラットフォームの構築の狙いは何か。
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BREW (R) + KCPからさらに一歩進むことによって、コスト競争力が上がるとともに、コミッションも削減され、利益も出るようになる。導入時期は来年を予定している。
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- 解約率が予想より下がった要因は。
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家族割やMY割などの施策を進めた効果と、詳細には把握できていないが、マーケットの中でMNPに関する認知度が上がって、その導入を待つお客さまが増えつつあるのではないかと想定している。
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- データARPUは増加傾向にあるものの、トータルのARPUが減少傾向にあることでの収益に対する影響をどのようにみているのか。
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WINにおいて、ダブル定額の上限までご利用いただけるような良いコンテンツをそろえているので、データARPUは増加していくだろう。また、ツーカーからauに移行したお客さまもWINをご利用いただくなど、環境を整えればデータ通信のご利用も伸びていく。
一方、音声はMOUが減少しており、これはご利用の少ないツーカーのお客さまがauに移行したことなどが影響しているとみている。
今後、トータルのARPUは、大きく落ち込むことはないが、音声が漸減する傾向は続くだろう。
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- MNPを控えたコンテンツ戦略は。
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音楽を中心に、電子書籍やゲームの利用も伸びている。MNPに向けては、どこでもつながるネットワークはもちろん、端末・コンテンツメディア・料金のハーモナイズが大切なので、今後もコンテンツメディアを充実させていく。
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- ワールドカップなどを契機にワンセグの注目度が高まっているが、普及によるARPUなど収益への影響をどう見ているのか。
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ワンセグが始まってまだ間もないので、十分なデータがなく、もう少し状況を見る必要がある。ワンセグは、将来、カメラのように携帯電話に標準搭載されていくのではないだろうか。そのとき、どのように収益につなげるかが課題であり、現在、テレビ局との提携などを進めその検討を行っている。
また、災害時、お客さまがワンセグで情報を把握する手段としても有益である。お客さまがワンセグで災害情報を把握できれば、携帯電話のトラヒック輻輳緩和にもなるので期待している。
固定通信事業
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- メタルプラスの通期見込みに対する第1四半期での進捗率が高いが、今期はひかりoneも含めてどのように販売していくのか。
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メタルプラスは、上期を中心に販売していく。ひかりoneは、現在は、まだ準備段階ではあるが、下期以降は販売の中心をひかりoneにシフトしていく。
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- 下期にひかりoneの販売を本格化した場合に、通期見込みを修正するのか。
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すでに織り込み済みである。
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- FTTH事業については、最初のステップでは東電地域で行い、その他地域は次のステップということだが、具体的な進捗はあるのか。
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東電とのビジネスモデルをきちんと示すことが大切である。今の時点で、ほかの電力会社と直接お会いして、交渉はしていない。
NTT関連
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- IP懇談会では、NTTのNGNは課金プラットフォームも含めて開放すべきとの議論があるようだが、KDDIはどのように考えているのか。
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NTTが固定においてドミナント性とボトルネック性を有している以上、当然オープン化すべきであり、その中で、競争促進を進めるべきである。
MVNO
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- 「IP化の進展に対応した競争ルールの在り方に関する懇談会」で総務省がMVNOを推進する考えのようだが、KDDIとしてはMVNOについてどう考えるか。
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当社は、すでに、当社が通信回線を提供し、端末開発や料金設定・回収を他社が行う形で、ココセコム、G-BOOKや、「みまもり君」のように、ビジネスベースでMVNOに取り組んでおり、ビジネスとして成立するのであれば対応する考えで、MVNOを否定するつもりはない。
これまでのMVNOは、データ通信のみで、そのトラヒックピークが当社のトラヒックピークと異なっていたので対応できた。例えば、音声を提供するMVNOは、千台程度であれば対応可能ではあるが、数万~10万台規模となると対応するためには設備投資が必要になり、そうした投資の扱いがビジネスマターの問題となる。
競争促進政策としてMVNOを導入することは良いが、ビジネスとして成立しないものは問題であろう。
そのほか
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- 今後、メーカーと連携してIPテレビなどを提供するならば、NGNは必須なのか。現状の固定網や携帯網をIP化することで対応できるのではないか。
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当社は、ウルトラ3Gと呼んでいるが、ネットワークコストを削減し、お客さまのプロファイルを同一DBに保有してFMCを本格的に実現するためには、NGNは必要である。現行網の部分的なIP化では、ネットワークコストも削減されないし、次世代の新しいサービスも導入できない。