2007年6月 社長会見
日時 | 2007年6月13日 (水) 13:30~14:30 |
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場所 | 虎ノ門パストラル |
2.5GHz帯免許割当方針、モバイルWiMAXについて
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- 総務省が2.5GHz帯の電波免許は、第3世代携帯電話事業者およびそのグループ会社には付与しない方針を出したが、感想や対応策は。
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15日にパブリックコメントを提出する予定。KDDIとしては単独での事業申請がベストであり、そのための準備もしてきたので残念。単独での事業申請にまだわずかな希望は持っているが、単独が不可の場合でもKDDI主体で免許申請をしたいと思っている。
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- 1/3以下の出資であってもKDDIが主導権をとるということにこだわるのか。
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どのような形で免許申請をするのか決定していないが、当社がまとめていかなくてはいけないと考えている。議決権は1/3であっても、技術開発力、また、今までの経験などで主導権をとれると思っている。
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- 今回の方針は新規参入を促したい、競争を促進したい、という総務省の考えによるものだと思うが、社長の考えは。
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競争促進そのものについては異論ない。ただ、安定的なサービス提供が継続的に図れるのかどうか、きちんとした事業計画をもっているのかどうか、といった点も含め、総合的に判断してもらいたい。
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- WiMAXのサービスイメージはどういったものか。現行3Gサービスとのすみ分けは。
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Wi‐Fiと3Gケータイの違いとイメージしてほしい。データ通信が主体となり、現在の3Gサービスとのすみ分けは十分可能。
NTTのIP網障害について
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- NTTでIP網障害が発生したが、KDDIのウルトラ3Gではどのような対策がとられるのか。
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社内体制を見直したいと思っている。言われているとおり、IPは成熟した技術ではない。そのため技術的観点、運用保守の観点からも問題点がどこにあるのか検討していく。
移動通信事業
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- 5月の純増数の結果をどのように受け止めているか。
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ソフトバンクモバイルが活躍しているというのは間違いない。要因はひとつではなく色々あると思う。auとしては昨年同月と同等の契約を獲得できている。当社は単純な料金競争をやるつもりはなく、当社の特長を出せる分野で戦っていく。
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- MNPの動きが鎮静化しているように思うが、通年での利用はどの程度になると見込んでいるか。また、このような状況でKDDIとしてどういったビジネスに力を入れていくのか。
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多くのお客さまはそれぞれの買い替えタイミングでMNPの利用を検討する。MNP利用は年契約の更新タイミングが最も増えるので、3月が1年で最も利用が多いのは当然のことだ。MNPの開始を待っていた層は1年の間に一巡するので、9月以降、MNP利用は減っていくとみている。
今後、強化していく分野としては法人市場がある。モジュールは、ARPUは低いが販売奨励金が発生しない。また、コンシューマトラフィックとピーク時間がずれており、事業者からみてコストパフォーマンスの高い事業といえる。例えばいすゞの「みまもりくん」のような新しいビジネスが生まれれば、成長率は鈍化するかもしれないが、今後も伸びる。
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- 新しい販売方式を考えているとのことだが、いつごろから開始するのか。
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モバイルビジネス研究会の報告書の内容にもよるが、研究会の望んでいる方向性と当社の考えとの整合性を図りながら、どのようなモデルが望ましいのか考えていく。時期についてはまだ考えていない。
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- 割賦販売について、KDDIは導入を検討しているのか。
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さまざまな料金体系を考える中で検討には入っている。割賦がいいのかどうか、お客さまに分かりやすい体系なのか、見極めが大事だ。慎重に検討していく。
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- モバイルビジネス研究会での議論について、結果として移動機メーカーが一番影響を受けるといわれている。今後のメーカーと事業者の関係についてどのように考えるか。
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モバイルビジネス研究会発足当初からニュアンスは変わってきている。発足当初のトーンだと、確かにメーカーは大きな打撃を受けたと思うが、今は軟着陸トーンに落ち着いてきている。メーカーと事業者の関係について、協業モデルでないと新しいサービスが生まれてこない。ヨーロッパのW-CDMAオペレーターもオペレーターブランドや販売奨励金モデルでないと、いいサービスが出てこないことに気づき始めている
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- 今、販売奨励金がなくなると、ドコモは収益があがり、KDDIはダメージを受けるというアナリストがいるが、どのように考えるか。
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移動機コストを安くできているので、当社が一番有利。販売奨励金がなくなれば、シェアを動かしにくくなり、新規参入ほど戦いにくくなる。長期的に見ると、シェアを持っているドコモが有利になりえる。
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- ドコモがゼンリン子会社のゼンリンデータコムに出資する。ナビサービスを無料で提供していくとの一部報道があったが、KDDIの今後のGPSサービスの方向性は。
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当社はGPSサービスに関しては協業という形でやっている。今後もこの協力関係を維持していく。
固定通信事業
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- チャレンジ2010の中で、「固定通信事業の黒字化」をあげていたが、黒字化する時点での契約数の規模はどの程度を想定しているのか。
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ひかりoneの黒字化をどう図るかだが、関東の提供エリアでシェア30%をとれれば黒字化が可能。シェア30%を達成する時期については、どういう売り方をしていくのか、またコミッションやドロップケーブルといったコストコントロールにより大きく変わってくる。ドロップケーブルの工事費については削減の余地があると考えている。
お客さまに魅力あるサービスを提供することと、コスト削減努力の両輪でもって取り組んでいく。
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- ウルトラ3Gの進捗状況は。
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順調だ。ただ、固定網のオールIP化については2008年3月と案内していたが、固定系サービスには古い端末が色々あり、IP化した際に問題が生じることが分かってきたため、それを解決するために遅れる可能性はゼロではない。一般の電話機、FAXについては問題ないが、例えば20年以上前に製造された端末を使用されているお客さまには影響がありえる。
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- NTTのNGNトライアルについて、相互接続試験などは行っているのか。
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トライアルに参加することで申し入れをしている。相互接続試験についても行っていく。
景気
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- 金利が上昇傾向にあるが、産業界への影響をどう見るか。
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当社の借り入れは約9割以上が固定金利であり、また有利子負債の返済が進んでいることから、現状の金利では影響ない。大手企業についてはさほど影響はないと思うが、中小企業については影響度合いが分からない。
ゼロ金利より、金利がつく方が消費者にとっていい面もある。今後、退職者数が増えていけば、退職金の運用にあたり、金利の上昇が個人消費にとってプラスに働くだろう。
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- 有利子負債について、水準の考え方や、今後の見通しを教えてほしい。
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合併後5年間は有利子負債の返済を経営の最優先課題としていたが、今は成長への投資が第一順位。成長性が担保できる事業分野があれば、有利子負債を増やしてでも投資に向ける。ただし、まだ具体的な案件はない。起債については現時点で検討していない。
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- 景気回復を実感しているビジネス分野は。
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コンシューマ向けは景気に左右されにくい。法人向けにおいては昔のフレームリレーからより良いサービスに移ってきているが、景気の影響というよりも社内ネットワークをより強化するという観点の動きだと思う。