2007年7月 決算社長会見
日時 | 2007年7月23日 (月) 15:00~16:20 |
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場所 | 経団連会館1001号室 |
発表案件 | 2008年3月期第1四半期決算について |
業績の進捗、株価
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- 営業利益の通期業績見通しに対する進捗率が高いが、今後の見通しはどうか。
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第1四半期は例年利益が出やすい構造にあるが、第2四半期以降は、計画レベルに落ち着いてくると見ている。「誰でも割」の浸透や他社の状況を見ないと今後のことは判断できない。
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- 今年度も昨年度と同様、第3四半期あたりで業績の上方修正を検討するのか。
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通期の業績見通しは根拠のある数字であり、現時点では将来の上方修正を前提としていることはない。
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- 移動通信事業の利益マージンが改善している理由は何か。
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携帯電話の調達価格が下落し、それに伴い、販売奨励金の単価が下がったのが大きな理由である。
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- ひかりoneの契約獲得が進捗していないように見えるが通期の目標を達成できるのか。
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第1四半期はメタルプラスの契約獲得が好調で、300万契約を達成した。下期は販売の主力をひかりoneに移行させていく予定であり、通期の目標は達成できると考える。
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- 業績は好調なのに、株価が下落基調にある理由をどう考えているか。
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当社の「誰でも割」や通信各社の料金値下げの動きを懸念するアナリストもいるようだ。当社は第1四半期を見る限り、業績は好調であると考えているが、株価はさまざまな要素で決まるので、コメントは控えたい。
「誰でも割」の影響など
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- 「誰でも割」に加え、今後、さまざまな施策を検討しているとのことだが、業績への影響はあるのか。
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「誰でも割」導入による今期減収見込み額200億円については、業績見通しに織り込み済みである。現時点では「誰でも割」以外の料金施策についての発表は未定なので、業績への影響についてはコメントできない。
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- 「誰でも割」の導入により、メリットがなくなる長期利用者への施策について、具体的に検討しているのか。
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いろいろ検討しているが結論は出ていない。いずれにせよ、現時点で業績見通しを変更する要素はない。
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- 「誰でも割」はソフトバンクモバイルに純増数で抜かれたことなどを考慮し、対抗策として導入するのか。
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当社の純増数、MNPのポートイン・アウトの動向、解約率などは、当社自身の計画に対して順調に進捗しており、慌てて対策を打ち出す必要はないと考えている。
「誰でも割」は、NTTドコモの新料金プランに対応するとともに、わかりやすい料金体系の導入を目指したものである。
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- 「誰でも割」の導入は単純な料金競争を仕掛けるものではないとのことだが、改めて、狙いを教えてほしい。
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携帯各社がお互い特長のある料金体系を打ち出し、単純な料金競争を避けて、サービス競争に力を入れていく必要があると考えており、「誰でも割」も、この考えに則ったものである。
携帯電話の販売奨励金
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- モバイルビジネス研究会の報告では、販売奨励金のコストを会計上分離して計上することが提言されているが、どのような影響があるか。
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販売奨励金のコストを分計しても、企業全体の収益性が変わるわけではなく、奨励金の動向への直接の影響はないと考える。
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- 販売奨励金をなくすことになるとどのような影響が考えられるか。
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当社は販売奨励金をなくすと言ったことはない。また、モバイルビジネス研究会も、お客さまに対し、販売奨励金回収コストを明らかにするよう提言しているだけで、奨励金をなくすように提言していないと理解している。
販売奨励金の問題は、携帯電話業界全体を考えた場合、端末メーカーと販売代理店への影響が大きい。この影響を抑えることが重要であり、いろいろ考えているが、現時点では、コメントできる段階ではない。
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- モバイルビジネス研究会の報告に対応した料金体系を導入するとしたらいつ頃になるのか。また、新たな料金体系はこれまでの料金と併存させるのか。
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モバイルビジネス研究会の報告では、新たな料金体系の導入のタイムリミットが設けられているわけではない。端末メーカーや販売代理店などへの影響を見極める必要があり、既存の料金と併存させるかどうかも含め、検討には時間がかかる。
そのほか
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- モバイルWiMAX事業への参入に向けた準備は進んでいるか。
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総務省から、周波数割当方針に関する最終結論が出ておらず、当社は、単独参入の望みを捨ててはいないが、単独参入が認められない場合についてもいろいろ考えている。ただし、現時点では発表できる段階にはない。
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- ソフトバンクモバイルが好調だが、どう見ているか。
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他社の動向についてはコメントを控えたい。ただし、当社がこれまでターゲットとしてこなかった中小法人への販売に注力するなど、マーケットをよく見ているという印象を持っている。
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- NTTドコモが国際進出を検討しているが、KDDIはどうするのか。
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移動通信事業については、国際的にネットワークを接続する必要はあるが、そのためには必ずしも外国事業者を買収する必要はない。通信事業は国によってサービスの質が異なるため、当社単独での海外進出は難しく、その地域のパートナーと組まないと成功しないだろう。その場合、少数株主として海外展開する価値があるかどうかは議論の余地がある。
一方、固定通信事業では、当社のお客さまのグローバル展開が進んでいるので、サポート体制を強化するための方策をいろいろ検討・実施している。
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- NTTドコモの「2in1」サービスの契約数が、TCAの純増数にカウントされないことになったが、どう考えるか。
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「2in1」により端末数が増えるわけではないので、純増数にカウントされないことになったと理解している。TCAの発表においては、事業者によっては、プリペイドの契約数を開示しないなど、統計の条件が整備されていない点があったので、今回の整理は良いきっかけになったと思う。
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- ワイヤレスジャパンの展示を見ると、法人向けのICTソリューションに注力する方針のようだが、先行する企業も多く、競争環境は厳しいのではないか。
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お客さまにとっては、LAN/WANを一括構築し、運用保守する事業者を求めており、当社が通信サービスのみを提供するのではこのニーズに応えられない。また、今後は中小企業のIT化が日本の課題であり市場は拡大する。当社はSaaSを提供することなどで、この分野に参入し、収益を上げる余地は十分あると考える。
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- NTTドコモやソフトバンクモバイルが、家庭内の小型基地局の開発を検討しているようだが、KDDIの検討状況は。
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当社もフェムトセル方式などを検討し、小型基地局の開発を進めているが、こうした技術を活用するための制度の整備やコスト面の課題をクリアする必要があると考えている。
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- NTTのNGNについてどう考えているか。
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NTTがNTTの技術条件を開示し、ネットワークのオープン化をどのように進めるかに注目している。また、NTTは、NGN導入によりレガシー設備をどう扱うのかの方針を明らかにする必要がある。例えば、現在、ユニバーサルサービス基金の算定などはレガシー設備のみを対象にして行なっているが、NGNの導入により前提が変わってきてしまう。