2007年10月 決算社長会見
中間決算
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- 「誰でも割」や「買い方セレクト」の導入が今後のARPUや販売コミッションに与える影響は。
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通期のARPU見通しには、これらの要素は織り込み済みである。販売コミッションについても、大きな影響はないと考える。
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- 通期業績を見直していないが、上期の進捗率を考慮すると、業績上振れの可能性が高いのではないか。ARPU、販売コミッションの動向に変化がない中、通期業績を見直すために必要な要素は何か。
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他社との競争状況によっては、ARPU、販売コミッションが変動することがありうる。通期業績については、第3四半期を見た上で、必要があれば見直す。
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- ARPUの減少傾向について対応策はあるか。
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音声ARPUは「誰でも割」が浸透すれば下がっていく。また、一人あたりのMOUについても、電話からメールに移行するトレンドとお客さま層の広がりを考慮すると減少傾向が続くと考えられる。これ以上の値下げを行なっても、MOUが上昇する価格弾性は期待できない。一方、データARPUはWINの比率が上がることで、上昇の余地がある。
今後は、データARPUの上昇に貢献する新サービスなどを強化するとともに、コンテンツ収入など、通信料以外の収入拡大に努めていく。
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- 上期は純増数でソフトバンクモバイルに首位を譲ったが、下期は巻き返しを図るのか。あるいは、通期の純増目標181万の達成に集中するのか。
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当社のMNPによる純増数はソフトバンクモバイルを上回っており、販売店頭においても、順調な販売状況だと報告を受けている。また、ソフトバンクモバイルは、個人のお客さまの2台目需要に対応して伸びているという意見もあるが、その割には当社のARPUは減少していない。こうしたことからソフトバンクモバイルは当社が見逃してきたマーケットにおいて契約を伸ばしていると見ている。
下期の純増1位は狙いたいが、代理店のコミッション増額など利益を圧迫する形で獲得するつもりはない。
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- ソフトバンクモバイルとの競争が激化しているが、下期は販促費を積み増すのか。
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今後の競争状況を見ながら検討する。
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- ひかりoneの契約が伸びていないが、現状を説明してほしい。利益重視のため、あえて無理な販売を控えているのか。
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マンション向けはそこそこ売れているが、戸建て向けが苦戦しており、今後の拡販のためには、ひかりoneでなければ利用できない、お客さまのニーズにあったサービスの開発が必要だと考えている。契約が伸びないのは、販売コミッションの問題ではない。
株主還元
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- 配当について、配当性向と成長のための投資とのバランスを考えるとのことだったが、業績が上振れした場合は増配するのか。
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連結配当性向20%は株主へのコミットメントだと考えている。
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- 本年6月の株主総会で、株式分割を検討するとの発言があったが、検討は進んでいるのか。
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株価が100万円をコンスタントに超える状況であれば株式分割を考える必要があるが、現在の株価水準であれば、急いで分割することはないと考える。ただし、将来的には、東証の意向も踏まえ、トータルに考えていく。
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- 自社株買いや株主優待への考え方を教えてほしい。
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今年度は自社株買いを考えていない。中長期的には、キャッシュフローに余裕があれば、検討事項の一つになる。株主優待については、個人・法人・外国人などさまざまな株主のニーズに対応するのは難しく、実施の予定はない。
買い方セレクト
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- 買い方セレクトの「シンプルコース」はどのようなユーザにメリットがあるのか。
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機種変更のニーズがないお客さまや着信専門のお客さまにメリットが大きいプランである。今回の秋冬ラインナップにおいても、「シンプルコース」のお客さま向きの低価格端末を発表している。こうした低価格の端末を購入の上で「シンプルコース」をご利用いただければメリットがより大きくなる。
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- 今回の料金体系は、2010年までの経過措置なのか、あるいは、今後、永続的に提供していく決定版と考えてよいか。
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「シンプルコース」は、携帯電話サービス開始当初の料金体系と同様であり、これ以上シンプルでわかりやすい体系はなく、当社としては、決定版だと考えている。
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- 「フルサポートコース」と「シンプルコース」のどちらを販売の主力とするのか。
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当社はお客さまに新たな選択肢を提供する立場にあり、どちらかの販売に特化する予定はない。
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- 「フルサポートコース」において、2年以上契約するユーザへの特典を検討しないのか。
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「フルサポートコース」はお客さまが端末を機種変更しやすいようにサポートするプランであり、機種変更しないお客さまは、「シンプルコース」に移行していただくことがメリットになると考える。
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- 「シンプルコース」の導入で端末の買い替えサイクルが鈍り、端末メーカーへの影響が出るのではないか。
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「シンプルコース」を選択するお客さまは元々端末を頻繁に買い替えなかったお客さまが中心になる。一方、「フルサポートコース」においては、ご利用額の大きいお客さまの端末買い替えをこれまで以上に手厚くサポートしている。従って、当面、極端に端末販売台数に影響が出るとは考えていない。今後、「フルサポートコース」向けの高機能端末と「シンプルコース」用の低価格端末の販売価格に明確な差がつくことが予想され、それが販売台数にどのような影響を及ぼすのかはわからない。一般論として、将来的に端末の販売台数は減少に向かうことが予想されるが、そうしないための努力をするのが、メーカーと通信事業者の責任である。端末の機能が必要な魅力的な新サービスを開発できるかどうかが鍵になると考える。
MNP
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- MNPが始まって1年が経過した。当初の想定より利用が少なかったが、今後の課題は何か。
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電話番号が変わることについて抵抗のないお客さまが、当社の想定より多いことがわかった。また、メールアドレスが変わってしまうことが問題点とされているが、3事業者でドメインを共通化するのは難しい。こうした点を考慮すると、MNPの動向は今後も変わらないのではないかと考える。
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- MNPの利用が想定を下回っていることが業績に与える影響は。
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MNPのご利用は少なかったが、MNP以外のチャーンインも一定数あり、当社のトータルの純増数は堅調に推移している。MNPもそれ以外のチャーンインも販売コミッションは変わらないので、業績への影響はない。
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- MNPの今後の動向をどう予想しているか。
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昨年度下期に比べて今年度上期はMNPのご利用が少なくなっている。各社が2年契約型の料金体系を導入したことで、2年後に盛り上がることがあるかもしれないが、当面は落ち着いた状況が続くと考える。
モバイルWiMAX
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- モバイルWiMAXの免許申請について、他社の陣営が明らかになったが、コメントは。
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他社の動向についてコメントする立場にはない。当社としては、1%以下の出資者を多数集めることにメリットはないと考え、当社が主導権を握ることで、信頼して出資していただける株主と組んで新会社を設立した。
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- 他社陣営は、免許申請に際して事業計画を明らかにした。KDDI陣営の計画も教えてほしい。
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ワイヤレスブロードバンド企画株式会社は、総務省が求める基準を十二分にクリアする事業計画を提出している。当社の提出した内容は、これまでの実験結果などに裏付けられたものであるが、開示は控えたい。
そのほか
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- 先日発表した秋冬モデルへの評価は。
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ソニーとの連携、映像の強化、薄さの追及など、お客さまの多様なニーズにお応えする幅広いラインナップであると考える。
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- NTTドコモは905シリーズにおいて動画サービス強化を検討している。KDDIはどう対抗するのか。
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当社としても、音楽の次は映像サービスが成長すると想定している。一方、映像サービスについては、データ量をどう管理するかが重要であり、現在のインフラでは、無制限に映像を流通するようなサービスは実現できない。今後、メディアフローのような映像サービスに適したインフラが実現する時点で、本格的に取り組みたい。
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- 周波数再編への対応が進んでいるが、今後は、1X端末も2GHz帯に対応するのか。
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現在、1XとWINではチップセットのコストが異なるため、1X端末も発売しているが、今後、WINのみに集約するかどうかは、チップセットのロードマップを見ながら考える。1Xの発売を継続する場合は、2GHz帯にも対応することになる。
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- auとDIONのブランド統合を行なったが、今後、どのようなサービスを提供し、プロモーションを行なうのか。
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auブランドの認知度が高いので、固定でもauブランドで展開することにした。今後の具体的なサービス展開などについては、コメントを控えたい。
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- 新規参入事業者から、携帯電話の接続料金制度化を求める声があるが、どう考えるか。
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固定電話の接続料金は、NTTのアクセス網のボトルネック性を考慮して制度化した経緯がある。一方、携帯電話は3社が競争する中で、接続料金が決まっており、固定電話とは仕組みが異なる。
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- NTTの光ファイバーをほかの事業者が8分岐単位で借用する方式を見直す動きがあるが、KDDIの考えは。
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NTTが本気で光ファイバーサービスを普及させたいのであれば、より効率的な貸し出し形態を実現すべきであり、当社としても自前で足回りを提供できる関東地区以外においては、NTTに対し、より効率的な光ファイバーの貸し出しを求めていく。