2007年12月 社長会見
auの販売状況など
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- 「au買い方セレクト」が開始され、11月はauの純増数が減少したが、現状の販売状況をどのように考えているか。
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お客さまには、フルサポートコースが支持されており、安心ケータイサポートにご契約いただけるお客さまも多く、「au買い方セレクト」には問題がない。
純増数が伸び悩んだのは、KCP+を搭載した端末の出荷が遅れ、商戦期に魅力的な端末がそろわなかったことにある。
マスコミ報道を見て、端末価格が上がると誤解したお客さまの来店が減少したこともあるが、フルサポートコースでの端末価格は従来と変わっていないとのお客さまの理解も進みつつあるので、1月に新端末がそろえば、徐々に戻るだろう。
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- 新端末がそろうのが1月ということでは、12月の商戦は厳しいと見ているのか。
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厳しいと見ているが、有機ELの美しさなど、商品の魅力の訴求や、端末価格に対するお客さまの誤解を解くなど、お客さまに来店していただけるよう営業も努力している。
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- 今回のKCP+の開発の遅れのように、端末の高機能化に伴う出荷遅延トラブルに対して、今後、どのような対策をとるのか。
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今回は、KCP+というプラットフォーム開発の遅れに伴うもので、今回限りの問題だ。
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- ドコモも割賦を導入して、市場に割賦が浸透しつつあるが、auでは導入しないのか。
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割賦を導入した他社でも割賦を利用していないお客さまが一定数いるので、割賦のメリット、毎月の請求に端末代金が上乗せとなるデメリットを含めて、検討は進めているが、時期などは未定だ。
モバイルWiMAX
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- ワイヤレスブロードバンド企画株式会社 (WBB) が認定されるとの報道があるが、認定されなかった陣営から回線貸し出しの申し入れがあった場合には、どう対応するのか。
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MVNOについては、WBBの事業計画にあるように、積極的に対応していくので、申し入れがあれば応じる考えだ。事業開始当初のエリアを拡大する時期には、MVNOだけで事業運営するのではなく、自らも事業を牽引していく考えだ。
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- モバイルWiMAXは、データ通信に優れた技術ということだが、スカイプのようなIP電話が提供されるようになった場合、携帯電話サービスとのバッティングは起きないのか。
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モバイルWiMAXでIP電話をご利用いただいても良いが、モバイルWiMAXでは、データ通信に適した基地局配備を行なっていくので、音声の品質については保証できない。
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- 米国で、スプリントネクステルの取り組み状況が不透明になっているが、影響は。
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スプリントネクステルが、他社と共同でネットワークを構築する計画を撤回したようだが、スプリント自身の計画は、ほぼ予定どおりに提供される見込みだ。
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- WiMAX事業のKDDIにとっての位置付けは。
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auとはビジネスモデルが異なる別の事業として、auを補完する事業である。
ノートPCに「Embedded (内蔵化)」されるようになり、ノートPCからのデータ通信が使いやすくなるだろう。
新技術
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- 米国のベライゾンが3.9GでLTEを採用するとのことだが、KDDIの3.9Gの検討状況は。
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3.9Gについては、どの方式もOFDMという変調方式で、W-CDMA、CDMA2000のどちらとも技術的な連続性はないため、どの方式でも選択可能である。現状、マーケット動向も見ながら、慎重に検討している。
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- フェムトセルに対する検討状況は。
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技術的な検討は進めている。
フェムトセルについては、技術力があれば、電波の干渉問題を解決する難しさが理解できるはずだ。また、不法電波対策について、機器の製造・販売についても違法とするような制度的な対応も必要であり、そうした問題を解決しなければ、導入することによって、悪影響が生じる恐れがある。
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- グーグルとの新しい携帯電話プラットフォーム開発についての取り組みは。
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グーグルとは、検索サービスで提携して、KDDIとしても色々な刺激を受けた。その中で、アンドロイドの話につながっていった。今後は、通信事業者による垂直統合モデルと、グーグルのようなオープンモデルが並存していく形になるだろう。
広告モデルや情報系サービスは、オープンモデルが適しているが、ショッピングやオークション、有料コンテンツなどのお客さまからの料金収納が伴うサービスについては、事業者の垂直統合モデルによって回収スキームが提供されるほうが、コンテンツプロバイダーがコンテンツを提供しやすいため、垂直統合モデルは将来的にも継続する。
フィルタリング
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- 青少年保護のために、携帯電話インターネット有害サイトのフィルタリングについては、具体的に、いつから、どのような対応をするのか。
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フィルタリングサービスの提供および店頭での利用勧奨は以前から実施している。
できるだけ早期に、新規契約時にフィルタリングをデフォルト化する準備を進めているが、親御さん名義の契約についての確認方法が課題だ。 フィルタリングの強化に加えて、これまで小学生を対象として実施していたケータイ教室の範囲を中高生にも1月から拡大する検討を進めており、来年度からは大幅に規模を拡大する準備を進めている。
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- KDDIは、ブラックリスト方式を導入しないのか。
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青少年保護の観点から、まずはホワイトリスト方式をデフォルトとして提供する。次に、ブラックリスト方式をご選択いただけるよう、準備している。
フィルタリングについては、表現の自由との関連、グレーゾーンの扱い、規制の管理主体、コンテンツプロバイダーの事業の制限など、課題は多いが、青少年保護の観点から速やかに検討を進める。
固定通信事業
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- KDDIにとって、08年固定通信事業の展望は。
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中継電話事業と比較して、IP時代の電話事業は、アクセスの重要性が一層大きい。
KDDIがアクセス事業を行なわないと、NTTのみがアクセス部分を提供することとなり、NTTの独占性が強まって、国民・経済・電気通信産業にとって望ましくないこととなる。
KDDIが、東京電力と提携してパワードコムを統合し、PNJに参加したことによって、法人に対して、NTTのネットワークにまったく依存しないサービス提供が可能となり、法人のお客さまにとって信頼性が大きく向上した。このように、法人市場については、効果が出ている。一方、コンシューマ市場については、お客さまがADSLからFTTHに切り替えたくなるような魅力的なサービスの開発が課題だ。アクセス事業は厳しい市場であるが、KDDIの存在意義として継続していく。
法人事業
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- 移動通信事業の法人ビジネスに対する2007年の評価および来年の見通しは。
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事業規模の大きい企業向けでは、ソリューションを組み合わせて成功しており、いくつかの業界では、auが圧倒的なシェアを獲得している。来年は、事業規模の小さい企業への対応を強化する。
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- モジュールビジネスの取り組み状況は。
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すでに、いすゞのみまもりくんなどの、大きな市場を獲得しているが、工作機械など、マシナリーの利用も広がりつつあり、引き続き開拓していく。
経営状況
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- 12月の商戦期は厳しいとの見方だが、通期見通しへの影響は。
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第3四半期、第4四半期の状況を総合的に判断する必要があるので、現時点では明言できない。
そのほか
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- iPhoneへのKDDIの対応は。
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iPhoneは魅力的な端末で、ユーザーインターフェースには特長があるが、米国の状況から見ると、ビジネスモデルが日本で成立するかどうかがキーポイントだ。