2008年10月 決算社長会見
日時 | 2008年10月22日 (水) 15:00~16:00 |
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場所 | 経団連会館 1001号室 |
発表案件 |
移動体通信事業
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- 端末販売台数の落ち込みが顕著だが、今後の見通しを教えてほしい。
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端末販売の不振は、当社だけではなく業界全体の問題だ。主な原因は、携帯電話の販売方法を変更したことにある。下期は販売台数を増やす必要があると考えているが、販売台数が通期で前年を下回るのは避けられないだろう。営業戦略上、具体的な施策については、コメントを差し控えたい。
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- 上期の販売不振を受けて、年間の端末販売台数を見直す予定は。
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通期見通しの目標値に向け、下期は販売台数を増やしていきたいと考えており、現時点では通期目標は変更しない。
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- 販売台数を増やすために、端末価格の値付けをどうするのか。数を追っていくのか。
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当社の購入単価の安い端末については、フルサポートコースでお客さまに安価で提供したいと考えている。販売台数はできるだけ増やしたいが、値付けについては、競争相手との関係や収益性など全体のバランスを見ながら行うので、具体的な施策については、コメントを差し控えたい。
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- 「アンドロイド」搭載端末の発売は検討しているのか。
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現在、「アンドロイド」搭載端末には積極的に取り組んでおり、いずれ発売する予定である。携帯電話市場において、通信事業者のプラットフォーム上でサービスを提供する従来のEZweb型モデルとオープン型モデルは並存すると考えており、「アンドロイド」はオープン型モデルとしてとらえている。
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- KDDIはシンプルコースへの移行が穏やかだが、販売手数料減少の効果による利益貢献が来期も続くのか。
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来期も貢献すると考える。
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- 移動通信事業が減収になったが、要因は何か。また、来期の増収に向けた施策は考えているか。
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割引サービス浸透などによりARPUが低減するのを、純増数で補えなかったことが要因の一つである。これに加え、端末販売台数が伸びなかったことにより、減収となった。来期以降は、各社の割引サービス導入はほぼ一巡したと見ており、携帯電話市場を拡大することで増収につなげていきたい。
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- 携帯電話市場の拡大とは具体的にはどのような分野か。
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法人向け市場やモジュールの市場は有望だと考えている。
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- MNP開始から2年が経過したが、どのように総括しているか。
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MNPは市場の活性化に一定の効果があったと考えるが、電話番号にこだわらないお客さまも多いことが分かっており、今後、MNPの利用が増えるとは考えにくい。
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- MNP開始に伴い他社が導入した2年契約の期間終了時期が近づいているが、顧客奪回に向けて、何か施策を考えているのか。
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他社のお客さまの契約終了時期は、当社としてチャンスであることは確かだが、その時期を特に意識するのではなく、お客さまに対し、継続的に魅力ある端末とサービスを提供していく。
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- auのデータカードは今後も本格的に販売するのか。あるいはUQコミュニケーションズのサービス開始までのつなぎの位置づけなのか。
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データカードには一定の需要があり、auとしては今後も積極的に販売していく。UQでは、あらかじめ通信機能が組み込まれている端末によるビジネスモデルを志向しており、将来的にはPCのデータ通信はUQの方が適していると考えるが、サービスエリアの拡大に時間がかかることから、auのデータカードと並存する期間があるだろう。
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- NTTドコモの山田社長は、コスト削減施策として、端末の開発サイクルの見直しに言及しているが、auでは今後どのようなコスト削減施策を考えているのか。
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お客さまに関心を持っていただくため、年に2、3回、新たなモデルを導入する商品サイクルは維持したい。多様化するお客さまのニーズに対応するためには、むしろ端末の種類は増やす必要があると考えているが、そのすべてが新開発である必要はない。すでに導入したフルチェンケータイなど、auとメーカーで協力し、さまざまな工夫を行っていきたい。
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- メーカーや販売代理店の再編が進んでいるが、通信事業者として、今後、どのように関係を維持していくのか。
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当社の一存で動くことはせず、メーカーや代理店の意向を確認しながら、関係を築いていきたい。EZweb型モデルについてはメーカーからも支持されているモデルなので、今後も緊密な関係で続けていく。メーカーブランドの商品も出てきたら、協力していきたい。
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- 総務省による3.9Gコンファレンス (3.9世代移動通信システム及び3GHz帯TDD移動通信システムの導入に係る公開ヒアリング) で、新たな周波数割り当てなどが議論されるが、KDDIはどのような方針で臨むのか。1.5G帯周波数の取得を主張するのか。
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3.9世代として、LTE方式を採用することが事実上決まっているが、導入時期は未定である。総務省での議論には積極的に参加するが、具体的な主張などについては、現時点では、コメントを差し控えたい。
固定通信事業
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- ギガ得プランの手応えは。
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高速であることに加え、料金の安さがお客さまに好評で、手応えを感じている。
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- 2010年に向け、FTTHの赤字幅を減らしたいとのことだが、具体的にはどのような施策を考えているのか。
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FTTHはいかにお客さまを増やしてブレークイーブンポイントに到達するかが課題である。当社としては、徐々に収益性を改善していく。
景気の影響
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- 携帯電話のトラフィックに景気後退の影響は出ているか。
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携帯電話サービスの開始以来、これまでの景気後退局面では、影響は受けてこなかった。
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- 景気後退で、個人消費が鈍っている影響が端末販売台数の不振にも表れているのではないか。
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端末販売台数についても、これまで景気との相関性はなかったが、今回は、携帯電話の普及が進んだ中で景気後退を迎えたので、ある程度の影響が出ることは考えられる。
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- 法人の固定通信市場において、景気後退の影響は出ているか。
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通信は企業の神経網にあたり、景気の影響を受けにくい。出張が抑制される代わりに電話が利用されることもあるし、海外のデータセンターは、企業のコスト削減によるアウトソーシングの需要が、不景気になって、むしろ伸びている。
そのほか
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- UQコミュニケーションズへの支援はどのような形で行うのか。
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出資については3分の1に制限されているが、要員派遣をはじめとして、全面的に支援していきたい。
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- 証券化された新宿ビルなどの買い戻しについて、今期業績への影響は。
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金額の精査が終わっておらず、現時点では、コメントを差し控えたい。
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- 株価が下落しているが、自社株買いは検討しているのか。
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証券化されたビルの買い戻しにより、フリーキャッシュフローがネガティブとなっており、現時点では、自社株買いを行う予定はない。
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- 今後の資金調達の予定は。
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下期も借り入れを行う予定だが、上期末時点で現金を相当保有しており、具体的な方法については決まっていない。