2009年1月 決算社長会見
決算関連
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- 第3四半期決算についての感想を聞きたい。
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ARPUの減少により、本業である電気通信事業での営業収益が減少したことが問題と考えている。
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- 端末販売の減少によって減収増益となったが、今後、増収基調に戻ると考えているのか。
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機種変更が大幅に減少し、お客さまが端末を利用する期間が現在は30カ月程度と長くなってきている。仮に36カ月に延びるとすると、このサイクルが一巡するまで、しばらく減っていくと考えており、業績への影響はあるだろう。
しかし、携帯電話は、個人にはある程度普及したが、法人市場や、個人の2台目需要を開拓していくことで、増収増益を実現できる可能性はあると考えている。
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- 今期の営業収益を3兆5,000億円に見直したことにより、チャレンジ2010で掲げる2010年度営業収益4兆円の達成が難しくなったのではないか。
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状況は厳しくはなったが、2010年度の目標として変更はしない。
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- 第4四半期においても携帯電話端末の評価減を予定しているのか。
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今後の販売状況によるが、現時点では決定していない。
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- 設備投資については、現状の水準を今後も継続するのか。
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設備投資は、2GHz帯と新800MHz帯への対応があるため、今期と来期がピークとなるが、それ以降はLTE (Long Term Evolution) を除けば減少していく。
LTEについては、詳細の検討が終了していないが、今ある基地局を有効利用して大きな設備投資は必要としない方法にしたい。
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- 第4四半期に予定している特別損失は、4ビル買い戻しによる匿名組合契約終了に伴う配当金などの特別利益で吸収するとのことだが、具体的に予定している特別損失の額はいくらか。
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現時点では確定していないものの、4ビル買い戻しによる匿名組合契約終了に伴う配当金などの特別利益が、損失を吸収すると見込まれるため、当期純利益の通期見通しは変更していない。
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- 端末の販売台数が減少し、営業収益も減少した中で、配当性向20%以上を維持していくことが難しいように思えるが、見直すことは考えているのか。
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配当性向20%以上を目指していく方針に変わりはない。配当性向の見直しについては、今後の設備投資、すなわちLTEの導入方法を見極めて、検討したい。
移動体通信事業
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- 67%のお客さまがシンプルコースを選択しているとのことだが、今後もシンプルコースを選択する比率は増加するのか。
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シンプルコースの対象端末機種数は増加していくが、お客さまが選択する比率については大きく変わらないと見ている。
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- MNP導入から2年が経過するが、今後、他社を解約しauと契約したお客さまのつなぎとめや、他社からの獲得の拡大をどのように行なっていくのか。
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auらしさを取り戻して、お客さまに魅力ある端末や料金を提供し、営業をきちんとやっていくことにつきる。
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- 春商戦の戦略は。
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お客さまに魅力的な端末を投入する。商品・サービスをそろえてauらしさを取り戻し、販売手数料をコントロールしながら、正攻法で取り組んでいく。
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- 2008年後半からNTTドコモのMNP転出が減少している。KDDIは純増の拡大が難しくなってきたのではないか。
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NTTドコモの解約率は驚異的に低い。当社は、auの魅力を高めることで対抗していく。
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- 市場では、旧モデルを安価で購入するお客さまが増えていると聞くが、そうした購入方法が拡大することの影響をどう考えているのか。
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各社で旧モデルの在庫が増加しており、春商戦までは旧モデルを従来通りの方法で販売することになるだろう。
業界全体を考慮すると、今後も新しい端末を一定数は投入していく必要があるので、他社の動向も踏まえながら検討していく。
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- 総務省が、携帯電話の接続料値下げを検討するが、KDDIではどう考えているのか。
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携帯電話の接続料は民間会社間での問題と考えており、自らの問題として当社は毎年、携帯電話の接続料を値下げしている。なお、接続料が値下げとなっても、お客さまの料金についてはすでに値下げの余地は小さいと考えている。
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- 秋冬モデルから端末調達方法を変更したと聞いたが、具体的な変更内容は。
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メーカー提案から、当社が仕様を要求する範囲を拡大し、お客さまに一層魅力的な端末を提供できる方法とした。
固定通信事業
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- 法人市場に対しては、個別プロダクトの販売により取り組むのか、コンサルティングによる複数サービスのワンストップショッピングで取り組んでいくのか。
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単純なプロダクト販売では利益率が低いので、付加価値をつけたワンストップでの販売を拡大していく。
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- NTTグループにおけるNTTデータのように、KDDI社内に新たなSI部門などを整備する計画はあるのか。
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SIerやベンダーなどのパートナー企業とのアライアンスによって対応することが基本方針である。
景気の影響
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- 法人携帯市場への景気悪化の影響をどう見ているのか。
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ソリューションも含めた販売への影響は大きくないが、音声のみをご利用いただいている法人には影響があるだろう。具体的な見通しは難しいが、一方で、ビジネスコールダイレクトなど、当社が新たに導入した法人向けサービスについてはご評価いただいているので、こうしたサービスをご提案して、法人市場でも販売を伸ばしていく。
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- 景気後退によって、通信会社の時価総額や株価が相対的に高くなっていることをどう考えているか。
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日本の経済が成長して、当社がそれ以上成長していく中で、時価総額や株価が高くなることを目指したい。
営業収益が減少している状況で、相対的に時価総額や株価が上がることはハッピーではない。
そのほか
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- 文部科学省が、近く小中学校への携帯電話持ち込み禁止の通達を出す模様だが、これに対してどのような見解を持っており、春商戦への影響をどのように考えているのか。
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春商戦への影響は大きくないと見ている。
携帯電話の小中学校への持ち込み禁止は、親御さんが判断することであり、事業者は携帯電話を安心・安全にご利用いただけるように努めていく。当社では、フィルタリング、通話、位置情報に機能を限定した端末の導入、ケータイ教室の開催による啓蒙活動や、「安心ネットづくり」促進協議会に参画して、携帯電話を安心・安全にご利用いただけるよう取り組んでいる。
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- 2009年春の新規採用は前年並みとのことだが、2010年春の新規採用は減らすのか。
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年齢構成をフラットにしていく必要があるため、2010年の新規採用についても2009年並を予定している。
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- 株価が下落しているが、自社株買いは検討しているのか。
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証券化していた4ビルの買い戻しにより、フリー・キャッシュ・フローがネガティブとなっており、現時点では、自社株買いを行う予定はない。