2009年7月 決算社長会見
日時 | 2009年7月23日 (木) 15:00~16:00 |
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場所 | 経団連会館 ダイアモンドルーム南 (402号室) |
発表案件 | 2010年3月期第1四半期決算について |
決算
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- 現在の経済状況の中でも増益を確保したが、端末の販売が減少傾向にある中、今後、利益がピークアウトするのではないか。
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一般の携帯電話タイプの販売は他社と同程度となっているが、データカードとMVNOでの契約獲得数において出遅れている部分がある。しかしながら、データカードの販売には、販売奨励金をかけていないので、利益面では大きな影響はない。MVNOについては、今後、拡大していく見込みだ。
また、現在、携帯電話で800MHz周波数帯の再編対応に投資しているが、2012年度には旧800MHzの減価償却費がなくなることから、利益がピークアウトすることはない。
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- 決算の内容は、社内の計画と比較した場合、計画どおりだったのか。販売手数料についてもどうか。
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通期の見通しに対する進捗率をご覧いただければお分かりになるとおり、社内の計画とほぼ一致している。
販売手数料についても、春夏モデルではハイエンド端末の投入を予定していたので、多少の上ブレはあるが、ほぼ計画どおりといえる。
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- 販売手数料は、年度後半でミドルエンド、ローエンドの携帯電話端末の投入により減少するとのことだが、そうした端末を投入する目的は。
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例えば、夏モデルのHi-Vision CAM Woooなどハイエンドとして搭載した機能も、搭載機種を増やせば単価が減少してミドルエンドの位置付けとなる。端末の調達コスト削減を図るという考えだ。
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- 携帯電話端末の在庫水準は適正なのか。
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在庫水準も適正と見ているが、市場全体の販売数が減少傾向にあるので、引き続き注視する必要がある。
在庫の構成が重要であり、2008年の秋冬モデルが減少し、2009年の夏モデルが中心の在庫となっているため、適正と見ている。
競争政策
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- 接続ルールの報告書案が審議されているが、携帯電話の接続ルールが事業者間の競争にどのような影響を与えると考えているのか。
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ルールは事業者間の競争の中で決まっていくべきものであり、事業者間で競争が行なわれているのであれば、行政がルールを定めるべきではないというのが、KDDIの基本的な考えである。
接続料金については、各社の考えにもよるが、KDDIは接続料金で利益を得る考えはなく、発着双方向の接続があるので、直接的に競争に影響しないと考えている。
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- NTTとISP間のIPV6接続問題に関するKDDIの見解を聞きたい。
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IPV6接続問題は、NGNの問題そのものである。NGNをクローズドネットワークとしてしまったことが問題で、ネットワークのオープン/クローズドの問題を議論することなく、現状のNGNの在り方ありきで、IPV6問題を議論していること自体が問題であると考えている。
アクセス部分は、電話系・データ系・IP系のすべてのサービスで使用するものであり、かつ、お客さまが専有する部分である。しかし、NGNではアクセス部分まで一体でクローズにしている。したがって、IPV6の問題というより、NGNそのものの在り方を議論する必要がある。
NGNについて、本質的な問題が議論されないまま、既成事実として進んでしまっていることが問題である。NTTは日本の情報通信のリーディングカンパニーであり、日本や業界の発展に資するような今後のネットワークの在り方を自ら示すべきである。
その一例がユニバーサルサービスであり、NTTは、ユニバーサルサービスのコストを出すだけではなく、ユニバーサルサービスを今後どうしていくのかを示すべきである。1985年の通信自由化以来、競争によって、通信料金は下がり、携帯電話も普及したため、国民の皆さまは現状に問題点を感じていない可能性があるが、その現状は、競争の結果にもたらされたものであることに理解を得る必要がある。
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- 選挙が予定されているが、次の政権に望む通信政策は。
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今年はNTTの再編10年、来年は通信の自由化25年にあたる。これを契機に、これまでの通信政策によって何が起こり、何が問題として残っているのかを検証してほしい。
通信政策をPDCAのサイクルにのっとって検証し、その上で、今後の通信政策を検討していただき、それによってNTTの在り方を考えるべきである。
au関連
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- 390円の定額料金が8月1日から開始されるが、トラヒックが増えた場合に、ネットワークの容量に影響はないのか。
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新旧800MHzと2GHzの3つの周波数帯の基地局を設置しており、容量を確保しているので、トラヒックが増加してもネットワークには問題ない。今後のトラヒックにより、必要に応じた基地局増設を行なっていく。
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- 今後、LTEなどで設備投資が増加するのに、MVNOにネットワークを開放していかなくてはならない。通信事業者としては、どのように投資インセンティブを確保するのか。
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利益が確保できる料金体系で、お客さまやMVNOにネットワークを提供していく。
LTE導入の主目的は、データ通信速度の向上ではなく、データのビット単価を下げて、コストを引き下げることだ。したがって、LTEの導入によって料金を値上げすることはない。
そのほか
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- 新聞に今後の携帯電話の基地局増設に関する広告が掲載されたが、今後の増設計画の内訳と、広告を行った目的を教えてほしい。
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携帯電話の基地局は、これまでも年間1万局程度設置してきており、2008年から2010年までの3年間でもこれまで同様に設置していく。投資を抑制することなく通話品質を充実させ続けることをお客さまに説明するために広告を行った。
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- 政府がブロードバンド普及の予算を措置しているが、KDDIは地方自治体が予算を活用して敷設する光ファイバをIRUなどで積極利用していくのか。
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本件については、個別に対応していく考えだ。地方自治体毎に考え方を聞いて、具体的な内容に応じて、個別に対応する必要がある。