2010年4月 決算社長会見
日時 | 2010年4月23日 (金) 15:00~16:15 |
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場所 | 東海大学校友会館 阿蘇の間 |
発表案件 |
決算
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- 2011年3月期の課題としている移動通信事業の抜本的な収益性改善を、具体的にはどのように取り組むのか。
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移動通信事業の収益性の改善にはあらゆる分野で取り組むが、当面は、販売手数料の削減により携帯電話端末の販売事業、つまり附帯事業での収益構造の改善が必要だ。
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- 2010年3月期第4Qにおいて、携帯電話サービスの解約率が上昇している理由は。
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例年、3Qから4Qで解約率が上昇する傾向がある。需要期には、お客さまの流動が活発になり、新端末の発売によってある程度、解約して改めて新規契約するお客さまが増えることが要因だ。
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- コンテンツ・メディア事業の売上高において、増加している協業ビジネスの具体的な内容は。
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KDDIと他社がリスクとレベニューを分け合って、新しい事業を立ち上げる分野である。KDDIと他社が共に投資して事業を立ち上げるもので、ナビタイム社とのEZナビウォークや、朝日新聞とのEZニュースEXなどである。今後も、さまざまな事業を拡大していく。
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- 2011年3月期は販売手数料を削減する見通しだが、それによって携帯電話端末の販売価格は上昇するのか。
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資料には販売手数料の平均単価を掲載しているが、ハイエンド機種とミドルエンド機種、ローエンド機種で、単価は変わってくる。機種のバランスによる影響が大きくなるので、直接的に端末価格の上昇には結びつかない。
販売店の販売意欲に結びつくようにコントロールしていく。
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- 固定通信事業での長期的な利益目標は。
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今後も利益は増加可能と見込んでいるが、将来的な見込みをお話することは時期尚早である。固定通信事業は、レガシー系サービスの在り方で大きく変わってくる。4月20日の総務省ヒアリングでNTTが今年秋までに示すと宣言した、メタル回線の扱いについて、見極める必要がある。
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- FTTH回線契約増加の具体的な方策は。
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2008年に開始したギガ得プランのエリア拡大と営業努力によって、実現可能と考えている。
人事
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- 取締役数を増やした目的は。
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事業領域が拡大し、事業構造が変化していることから、経営陣を強化して、迅速な経営判断を行なえるようにするためである。
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- 副会長人事の目的は。
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独立系の取締役として、経営に参画してもらうことを目的としている。
ジュピターテレコムへの資本参加
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- ジュピターテレコム (以下J:COM) への資本参加による、KDDIの経営に対する押し上げ効果をどのように見込んでいるのか。
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連結持分法損益を取り込むことだけでなく、J:COMの企業価値が向上することで、KDDIの企業価値も向上する相乗効果が期待できる。具体的な内容は、アライアンス検討委員会で検討するが、例えば、移動通信サービスと固定通信サービスに、映像サービスを加えることで、お客さまの解約率を一層下げることができる。
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- 筆頭株主でなくなったことに対する経営的な評価について伺いたい。
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リバティーが保有する株式のすべてを譲り受けることが目的であり、議決権のシェアはその結果に過ぎないため、経営的な評価に影響はない。
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- 今後、J:COM株式を買い増す予定は。
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現時点で、その予定はない。
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- アライアンス検討委員会は、いつから、どのくらいの人数規模で設置するのか。
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J:COMとKDDIの両社から、メンバーとなるワーキンググループのトップも決まっており、実質的にはすでに検討が開始されている。ワーキンググループを構成する担当者の数は、かなりの規模となる。
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- アライアンス検討委員会への参加や、検討内容について、住友商事とも相談したのか。
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これまでは、J:COMと検討を進めてきたが、4月22日に住友商事の加藤社長にお会いした際に、住友商事の委員会への参加についても話している。
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- J:COMのネットワークを、固定アクセス回線としてどう活用するのか。
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わかりやすい例としては、フェムトセル設置への活用であり、当然検討している。
SIMロック
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- SIMロック解除に対するKDDIの考えは。
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現時点でSIMロックを解除しても、お客さまの使い勝手が大きく変わるものではなく、KDDIにも大きな影響はないことを理解していただきたいが、SIMロック解除に反対してはいない。
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- SIMロックを解除した場合、携帯電話端末の販売にどのような影響があるのか。
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海外メーカーが日本独自の周波数に対応した携帯電話端末を製造するのであれば、端末の販売の在り方に影響があるだろう。
現在は、携帯電話事業者がリスクを負って、メーカーに依頼し、日本の周波数に対応した端末を製造してもらっている。日本では、事業者毎に割り当てられている周波数帯が異なり、また、エリアをカバーするために使用している周波数帯にも違いがある。通信方式と周波数の双方の違いに起因する問題で、メーカーがリスクを負って、すべての通信方式や周波数帯を網羅する端末を製造するのであれば、SIMロックを解除する利便性は出てくるだろう。
GSM陣営は、LTEも含めて、可能な限り周波数などを合わせるようにしているため、メーカーがSIMロックを解除した端末を製造しやすいが、昨今では、事業者独自の機能を搭載したオペレータブランドの端末も増えつつある。
SIMロック解除の在り方は、基本的にお客さまの選択によるものであり、ビジネスの問題として民間に委ねる方が適当である。
NTTアクセス分離
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- NTTのアクセスを分離して共有することとなった場合、そのほかの事業者が投資して構築した自前インフラの価値は減少してしまうのか。
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ボトルネック設備に基づく支配力だけではなく、総合的な事業能力などに起因する市場支配力に対する規制ルールを整備する必要がある。そのルール整備によって、アクセス分離のやり方が決まってくる。
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- 設備を保有しているからこそ支配力を有するのだから、アクセスを分離すれば支配力はなくなるのではないか。
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独占禁止法においては、市場支配力を、ブランド力や販売力など設備ではないものを、規制の対象にしていることを理解するべきだ。
そのほか
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- 小野寺社長は、Twitterは利用しないのか。
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Twitterは便利ではあるが、責任の管理が難しいので、利用する考えはない。
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- 本日、NTTドコモがライフログへの取り組みを公表したが、KDDIの取り組みは。
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KDDIは、「ライフログ」という言葉を使用していないだけであり、すでに携帯電話のサービスの中に取り込んで提供している。ただし、スマートフォンの方が、よりお客さまにとっては使いやすいので、今後は、スマートフォンの強化を通じて、取り組みを進める。
また、ライフログをサービスとしてより高めていくためには、携帯電話と固定通信と合わせたトータルの形で、FMCサービスとして提供することが必要だ。