2010年7月 決算社長会見
決算
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- KDDI単体の固定通信事業の収益未達に備えたコストコントロール強化とはどのように行うのか。懸念材料は?
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われわれの想定以上に音声売り上げが落ちているため、コストコントロールは全社的にやっている。どの部分というより、不要なものは減らすということ。
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- 固定通信事業の音声収入減が想定以上とは、どのように分析されているのか?
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固定通信事業の音声収入は全体的に少し減っている。要因として、携帯電話に音声トラフィックが移っている傾向が止まらないことと、低料金なIP電話へ移行していることである。
これらについて、どこまで減少するのかが読めないが、ある程度のところでなだらかになると見ている。しかしまだ想定どおりになっていない。
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- 固定通信事業について、音声系収入が下がる一方、データ収入も上がらず減収になっているが、この対策は?
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固定通信事業はデータ収入が上がると期待していたが、わずかに減収となった。大きな理由は、レイヤー3サービスからレイヤー2サービスに行くと、レイヤー2サービスの方がスピードは速いが単価が下がる。本来はここでもっと顧客をとらないといけない。基本はお客さまの数を増やしていくことが重要。リーマンショック以降、企業のコスト削減意識が強く、この影響で期待していたほどの顧客増になっていないと見ている。しかしながら、景気全般が少しずつ良くなってきており、止めていた回線増設が再開されるケースも足元では出てきている。
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- 移動通信事業での顧客獲得は順調か?
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通常端末では他社に劣っていない。PHOTO-UやISシリーズは発売したばかりで実績として十分にまだ積み上がっていない。
J:COM
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- J:COMとの事業提携において、関西でクロスセルプロモーションを実施する理由は?
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当社とCTCは、主には関東と中部圏を中心にサービスを展開をしており、関西ではFTTHマンションのみ。むしろケイオプティコムとJ:COMとの競争が激しい関西地区で、KDDIとJ:COMが連携してクロスセルプロモーションをかけてどの程度成果が上げられるかを見極めたい。
クロスセルプロモーションとは、J:COMの販路でauを販売し、auの販売店でJ:COMのサービスを販売するというもの。
ARPU
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- ARPUを見ると、データARPUが反転してきたという理解でいいのか?
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データARPUをさらに伸ばしていきたいというのは当然のこと。いろいろな施策をとっているが、ハイエンドユーザーのデータARPUをさらに上げるというよりも、ローエンド、ミドルエンドのお客さまに、より多くご利用いただき、ARPUの底上げをはかっていく取り組みが重要とみている。au Smart Sportsなどは、今まで使っていなかった方に利用されている。そういったサービスを提供していくことが大事。
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- 他社はスマートフォンでデータARPUを上げているが。
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スマートフォンはEZwebより料金が高いので、比率が増えれば上がっていくのは事実。ただし、普及率ではまだ少ない。それよりもローエンドとミドルエンドのお客さまの数の方が断然多く、今の時点では重要である。
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- ARPU反転時期はどのくらいと見ているか?
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音声ARPUが落ちてきている最大の理由はシンプルコースの加入率の問題。シンプルコースに加入すればARPUは下がる。シンプルコースの加入比率は現在50%弱だが、これが80%や90%にいつなるのか。あるシーリングにいくまでは音声ARPUはどうしても下がっていく。いつの時点でシーリングにいくのかがまだ見極められない。このペースでいけば来年度も反転は見えない。
音声ARPUが下がる分、より大きなデータARPUの伸びが重要。われわれも検討している。データARPUは通期で2,320円。前年同期比で音声ARPUは420円下がり、データARPUは50円上がったのみ。この状況で推測すると、反転は2年後ぐらいではないかとみている。
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- データARPUと音声ARPUの逆転について、今後2年以内は難しいということだが、ドコモは今年度逆転を見込んでいる。ソフトバンクもすでに逆転しているが?
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これは、シンプルコースと同様の料金コースを導入した時期の違いである。
当社の場合、コンテンツ・メディア事業の収入は年率で20%以上伸びている。トラフィックに依存しない収入は伸ばしていくべきと考えている。
行政/競争政策
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- 7月6日にドコモが、SIMロック解除に関する方針を打ち出したことへのKDDIとしての考えを聞かせてほしい。
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SIMロック解除をどのような方法で導入していくかは検討段階である。SIMロック解除に関して、当社の場合は当社以外のネットワークでは端末を利用できないのですぐにお客さまへのメリットにつながらない。今後お客さまにどのようなメリットを提供できるかという点を含めて検討していきたい。
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- 総務省での「光の道」議論が再開したが、改めて大臣が年内に結論を出すといっているスピード感や、NTT再編についてはどう思うか?
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「光の道」には2つ要素がある。現在全国90%の地域で利用可能な状況だが、使用率は30%にとどまる。これをどう上げていくかということと、エリアを100%にするにはどうしたらいいのかということ。
具体的な検討は明確でないが、当社だけで全国展開をし、エリアを100%カバーすることは不可能。ある一定の条件をつけてわれわれがやるならどうしたらいいかという点を検討している。NTT再編についての議論が残っている中、当社なりの意見を表明したいと思っているが、現時点でまだ具体的に話せる状況ではない。
「年内」という時期の問題は、NTTの経営形態を考えて、来年には国会に出したいと大臣が発言していることから考えても当然である。ただし、まだ検討が必要な要素は残っている。どのように整理していくのか、推移を見ていかないと意見を言うのは難しい。
NTTの問題については国民的な合意が必要であり、これを含めてどうしていくのかがキーポイントではないか。
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- NTT経営形態の件で検討すべき項目がいろいろあるということだが、特にどのような点か?
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アクセス系のエリアを100%にもっていくには、方法論がはっきりしないと難しい。必要な措置としてやるのか、別の理由でやるのかによって異なる。この辺はまだ議論されていない。NTTは全国拡大のために期間とお金が必要と言っていっているが、それに対して、当社は何をすべきか、やってみないとわからないというのが本音。そういう意味で検討項目が多々あるということ。
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- それはタクスフォースのワーキンググループの中で発言していくべきと思うが、議論しているのか?
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今後ヒアリングは予定されている。
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- 固定通信事業の音声については、トラフィックが減ると接続料が高くなる問題があるが、どのように考えているのか?
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長期増分コスト方式でやればアクセスチャージは高くなる。今後どうすべきかの議論は挙がっていない。NTT自体がドライカッパーをどうするのか表明していない中、いつから「光の道」構想を実現していくのかが明確でないとアクセスチャージが将来どうなるのか計算ができない。
NTTがヒアリングの場で、秋には方針を出すといっていたので、それを見た上で検討したいと思っている。
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- 「光の道」エリア100%に向けて、KDDIでできることを検討しているということだが、具体的にはどういうことか?
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コストとしてどれくらいかかるのかをきちんと示したいということ。光でエリアを100%カバーするというのは、いったん旗を降ろしたと聞いている。WiMAXではどうかとも考えている。UQコミュニケーションズ以外の固定系WiMAXなど、さまざまな方法の中でどれが良いのか検討していくことが必要。
やるかやらないかは別として、われわれでできることを検討していきたい。
そのほか
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- 年内に電子書籍端末を発売し、ソニーと事業を立ち上げるということだったが進捗状況は? 先日SHARPが独自で電子書籍事業に参入するとの発表をしたが、協力体制はとっていく予定なのか?
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電子書籍配信の新会社を設立して、いろいろな検討をしている。今一番やるべきことは事業会社への移行が先決。事業会社移行後、それに対応する端末を出す。年度内には出したい。SHARPとの件は、今の時点では何とも言えない。
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- 800MHz帯の周波数再編について、非トライバンド端末 (新800MHz帯、現行800MHz帯、2GHz帯のうち、新800MHz帯に対応していない端末) 巻き取りの進捗は?
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もくろみとしては、2012年7月にすべてトライバンドにする必要がある。現在769万台残っている。四半期ベースで見ると、このペースはさらに上げていく必要がある。
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- DMの発送や店頭での機種変更促進以外で、取り組みの予定はあるのか?
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これまでもアナログ、PDC、Tu-Kaなどにおいて、移行促進を行ってきた。これらと同様に、経験を生かしていきたい。
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- 米国のクリアワイヤがTD-LTEに興味を示すなど、モバイルWiMAX離れが起き始めているのでは? モバイルWiMAXの今後について懸念はないのか?
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心配はしていない。台湾、インドでWiMAXのライセンスを導入しようとしている。WiMAXは拡大していくと思っている。
TD-LTEのような技術は、一つの技術要素としてはある。TD-LTEは携帯の発展形として考えられているもの。さまざまな方式があり、競争していくということは良いことだと思う。
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- IS01、02について、スマートフォン戦略の今後の展開は?
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今年の秋冬に次のスマートフォンを計画通り発売する。それ以降も順次発売する予定。現時点で以前の発表から大きく変わっていることはない。