2010年9月 社長会見
日時 | 2010年9月10日 (金) 15:15~16:00 |
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場所 | KDDIホール (KDDI大手町ビル 2階) |
発表案件 | 役員の異動について |
あいさつ
小野寺社長
本日、開催されました当社の取締役会において、12月1日をもって、代表取締役社長に、現代表取締役執行役員専務の田中孝司が就任することを決定致しました。私は、兼務する会長職に専念することになります。
新社長に就任します田中は、資料にもありますように、現在、ソリューション事業本部、コンシューマ事業本部、商品開発統括本部を担当し、当社の現業部門全体を見ております。
また、UQコミュニケーションズ株式会社の社長を、設立時からこの春まで務めておりまして、新会社の立ち上げをゼロから経験しております。
KDDIは、これまでトラヒックで売り上げの大部分を得てきましたけれども、今後の成長には、トラヒック以外の売り上げを増やしていく必要がございます。田中は、入社以来、ソリューションビジネスの経験が長く、これからのKDDIをリードしていく豊富な経験を持っております。
次に、この時期に社長交代を決めた理由について、ご説明致します。
私は、2001年に社長に就任しまして、2006年からは会長職を兼務し、今に至っており、社長在任が10年目となります。
これを1つの節目として、社長を交代することに致しました。
また、KDDIは、本年10月1日で発足10周年を迎えますが、その前に次期社長を決定しておくべきと思っておりまして、この時期に発表させていただきました。就任時期を12月1日としたのは、来年度のKDDIグループ経営方針を新社長のもとで決定し、新社長が実行することが望ましいと考えたからです。
私からの説明は以上でございます。
田中専務
社長を拝命しました田中でございます。
最初に、私の自己プロフィールからお話しさせていただきます。
資料にもございますが、昭和56年に国際電信電話、旧KDDに入社しまして、どちらかといいますと、エンジニアとして若いときを過ごしました。
2000年に3社が合併し、それ以降は、主に事業部門を担当してまいりました。日夜、現業に励んでいたので、この7月末に、小野寺社長からお話を伺ったときは、正直、驚きました。
私の所信表明は12月の就任以降にさせていただき、まずは、私の思いをお話しさせていただきます。
2000年から、今、2010年でございますので、3社合併から10年が経ちますが、これまでは、どちらかというと、通信事業者間の競争であったと認識しております。昨今は、新しいプレイヤーが参入し、競争の形というものが大きく変化していると認識しております。私は、そうした競争の変化に対応できるよう、新たなKDDIをつくっていきたいと思います。
新たなKDDIをつくり、また、お客さまに応える新しいサービスを提供することで、KDDIおよびKDDIグループの持続的発展に尽くしていきたい所存です。
これからも皆さまのご指導、ご鞭撻を頂戴できればと、このように思っております。
以上でございます。
質疑応答
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- 田中新社長にお聞ききしたい。あいさつの中で「新たなKDDIを作りたい」という言葉があったが、現在KDDIが抱える課題は何か。また、それをどのように変えていきたいと考えているのか。
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(田中) 過去10年は、通信事業者間における競争、携帯電話事業で言えば純増数の競争といった時代であった。最近は、スマートフォンをはじめ、新たなプレイヤーが登場し、これからはどんなレイヤーの方々ともアライアンスを組んで、新たな競争環境に対応できる体制、会社の中の仕組みを作っていかなければならない。KDDIは16社が合併した会社で多彩な人材がおり、そういった社員のベクトルを合わせ、新たな体制で、新たな戦略をもって、事業を進めていきたい。
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- 小野寺社長にお聞きしたい。後任を田中専務に決めたタイミングと理由は。また、どのようなリーダーになると見ているのか。
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(小野寺) 本人には7月下旬に話をした。田中に決めた理由は幾つかあるが、その中でも一番大きな理由は、本人のこれまでの経験である。これが今後の会社の発展に必要不可欠と見ている。本人のあいさつにもあったが、昨今、競争環境が大きく変わってきており、その中で彼がソリューション事業の中で築いてきた多くのパートナーとの関係や、UQコミュニケーションズを立ち上げるときに多くの株主さまをとりまとめてきた力量など、そういった力を発揮してくれれば、私がやり残したことをやってくれると思っており、それが、田中を後任に決めた最大の理由である。
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- 小野寺社長にお聞きしたい。田中専務の人物像や性格は。
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(小野寺) 非常に明るい性格であり、会社をリードしていくのに非常に適していると見ている。
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- 田中新社長にお聞きしたい。KDDIにとって、今何が一番必要と考えているか。何を変える必要があると考えているか。
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(田中) KDDIには多様な人物がいる。私自身がやらなければならないことは、まずは戦略を明確化し、その戦略を実行する上で会社のベクトルを合わせ、スピードを上げていかなければならない。われわれにはその力があると信じている。
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- 小野寺社長にお聞きしたい。会長と社長の役割分担は。
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(小野寺) 会長は、対外的な活動と、取締役会議長として、コーポレートガバナンスの観点からの業務を担う。事業については、社長がすべてを統括する。
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- 田中新社長にお聞きしたい。KDDIが市場環境に即応できなかった点として、どのようなものがあると見ているのか。
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(田中) 一つは、スマートフォンに対して着手が遅れた、という点。もう一つは、KDDIは固定、移動、ケーブルTVなど多様なネットワークを持っているが、その優位性を活用しきれていない点である。
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- 田中新社長にお聞きしたい。KDDIの今後の成長にとって鍵となるものは何か。
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(田中) 多種多様なデバイスが大量のトラヒックを消費する時代がやってくる。KDDIがもっているリソース、ネットワークもその一つだが、これらをうまく組み合わせることで、まだまだ持続的な成長は可能と見ている。詳細は12月の就任以降、改めてお話させていただく。
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- 小野寺社長にお聞きしたい。これまでの在任期間中、社長交代を考えたことはほかにもあったのか。また、最終的に任期が10年続いた理由は。
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(小野寺) 社長交代の時期についてはいろいろと考えてきた。結果として、次の後継者が育つまで、かつ、社内の人間がついていけると思えるような人間が育つまでに10年かかることになった。田中にはUQコミュニケーションズを立ち上げてもらい、また、この4月からは現業すべてを担当してもらい、多くの役員、社員が彼の人柄を知る機会が、かなり増えた。そういう観点から、今回の社長交代を、この時期に決めた。
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- 小野寺社長にお聞きしたい。これまでの在任期間を振り返って、自身の評価は何点をつけるか。
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(小野寺) 私に課された最大の課題は、2000年の合併後、会社の方向性をきちんと定めるところにあった。KDDIは16の会社が合併した会社ではあるが、一体化という点は実現できたと思う。また、社長就任当時、「Mobile&IP」を掲げたが、Mobile&IP事業を拡大することについては、一定の成果を出すことができた。
他方、ここ最近の状況を見ると、自分が対応しきれていない点があることも事実である。
採点については勘弁してもらいたい。
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- 田中新社長にお聞きしたい。若い時にエンジニアとして過ごしていた時期と、合併後、事業部門に携わった時期それぞれにおいて、一番思い出に残っている仕事を聞かせてほしい。
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(田中) 旧KDDの情報システムは、当時、メインフレームと呼ばれる大型コンピューターで構築されていたが、ちょうど会社合併の直前、これをフルオープン、UNIXのシステムで再構築したことが非常に思い出深い。自身の中でも、今必要となっている、Linuxをはじめとするいろいろなオープン系のデバイス、システムを理解する上で、本当に勉強になった。事業部門に携わった期間については、まずはUQコミュニケーションズの立ち上げ。これは、免許取得からある程度事業が大きくなるまで、すべてを担当したことで、これまでに経験したことのなかった分野のさまざまなことが自分自身の資産になっている。もう一つは、合併直後、モバイルの世界にソリューションという概念を導入し、法人市場においてモバイル事業を立ち上げたことを挙げたい。
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- 田中新社長にお聞きしたい。自身の長所はどのようなところだと考えているのか。
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(田中) どちらかと言うと粘り強いほうだと思っており、一度決めたことは情熱を持ってとことんやる、という点だ。
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- 小野寺社長にお聞きしたい。これまでソリューションを中心に携わってきた人物が、事業の主力であるコンシューマ向け携帯電話事業において、どのようなよい影響を与えると見ているのか。あるいはその逆に、不安な点があれば教えてほしい。
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(小野寺) スマートフォン市場において出遅れたことは事実であり、これは一般の携帯電話に少し固執してしまったことが一つの原因である。田中は、オープン系のシステムをずっとやってきており、IT技術者としての性格をかなり持っている。そのことは、今からの携帯電話事業にも大きく生きてくる。また、モバイルソリューション事業の立ち上げという実績も、端末や携帯電話事業そのものに、必ずや良い影響を与えてくれると思う。
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- 小野寺社長にお聞きしたい。これまで取り組んできたFMBC、および固定ネットワークのオールIP化についての総括は。
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(小野寺) 固定ネットワークのオールIP化については、当社は業界内で先行している。FMCについては、モバイルソリューションがまさにそれに当たり、法人市場においては成果が上がっている。一方、コンシューマ市場においてはまだ不十分な点があると認識しており、この点は新社長の手腕に期待したい。なお、FMBCの"B" (放送) については、まさしくこれからだと思うが、やはり新社長のもっている経験、ノウハウは大きく役立つであろう。
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- 田中新社長にお聞きしたい。KDDIは、これまでの通信事業にこだわらず、ほかのレイヤーにも進出していくのか。
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(田中) KDDIは、すでに通信レイヤー以外の事業分野やレイヤーへの進出を実施しているが、これからはもっと力を入れていく。通信レイヤーはもちろん、さまざまなレイヤー同士のシナジー効果を高めることで、新たなFMBC事業を立ち上げていきたい。
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- 田中新社長にお聞きしたい。新体制下におけるパートナー戦略は。
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(田中) すべてが自分たちでできるわけではない。「こういうことをやっていきたい」という思いを共有できるパートナーと、新たな時代を作っていきたい。
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- 田中新社長にお聞きしたい。「チャレンジ2010」に続く、次の中長期計画は、どのような方向にしたいと考えているか。
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(田中) 「2020年ビジョン」を現在作成中であり、10周年のタイミングで発表したいと考えているが、現段階でその内容について触れることは控えたい。
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- 小野寺社長にお聞きしたい。社長交代の発表をこの時期とした理由は。
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(小野寺) 7月下旬に本人に伝えた後、決定する取締役会の開催が、本日になったためである。
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- 小野寺社長にお聞きしたい。次期社長として田中新社長に見出した可能性について、もう少し詳しく教えてほしい。
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(小野寺) モバイルソリューションやWVS (KDDI Wide Area Virtual Switch) といったサービスの立ち上げ、つまり、リスクを恐れず新しいことに挑戦すること、この点が大きな理由の一つである。もう一点挙げると、やはり、UQコミュニケーションズをゼロから立ち上げた経験、実績である。
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- 小野寺社長にお聞きしたい。会長職を退く、という考えはなかったのか。
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(小野寺) 自身の経験に照らしても、自分が会長となることで、新社長の負担軽減、サポートになると考える。