2011年4月 社長会見
日時 | 2011年4月8日 (金) 11:00~12:10 |
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場所 | 東海大学校友会館 富士の間 |
発表案件 | 東日本大震災への対応状況と今後の見通しについて |
質疑応答
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- 今回の震災を受けて、今後の課題は何か。
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通信インフラには、基幹網とアクセス網がある。基幹網は確保していた3ルートのうち、2ルートが損傷したことを憂慮しており、さまざまなリスクに対する見直しを行う。また、アクセス網は電力の重要性が高く、停電による影響が大きい。携帯電話基地局の蓄電池も対応時間に制限がある上、今回の被災は非常に広域にわたったため、移動電源車のみではカバーしきれなかった。BCP (Business Continuity Plan) にその点を織り込み、見直しを図りたい。
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- 電力不足の問題が持ち上がっているが、今夏に向けどう対応していくのか。
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電力消費の削減について、社内で検討を進めているほか、万が一停電になった時、業務を分散して事業運営を継続する組織作りも考えている。今回の震災では、BCPとして最低限の社員で業務を遂行したが、今後はリモートアクセスによる自宅勤務などの体制も検討する。
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- データセンターへの影響は。今夏に向けてどう対応するのか。
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自家発電でサポートし、燃料補給もスムーズで問題はなかった。夏に向けては、データセンターだけではなく、オールKDDIとして省電力対策を考える。
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- 今回の通信障害で、一番影響を与えた要因は何か。
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障害の76%は停電によるものであった。今後は、津波の影響を受けた部分の対応が残る。
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- 最大で携帯電話のトラヒックを95%規制したとのことだが、パケット通信も含まれるのか。
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無線区間の規制値なので、パケット通信も対象となるが、今回のピーク時のトラヒックは音声で通常の8倍、パケット通信で通常の5倍程度であったことから、パケット通信においては比較的つながった。
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- 固定通信サービスがほぼ復旧している中で、VPN・専用線の433回線が依然り障中なのは何故か。
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復旧の確認には、お客さま宅内設備からのエンド・ツー・エンドでの疎通確認が必要であるが、お客さまのオフィス自体が被害を受けている場合や、宅内設備が故障していることから、確認ができない状況が大半である。
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- 被害総額はどの程度を見込み、決算でどう処理するのか。
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被害総額は現在集計中であり、決算にどう盛り込むか検討している。4月25日の決算発表時にご説明したい。
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- 被害総額は阪神大震災の時と比較してどうか。
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3社合併前の地震なので比較できないが、当時は携帯電話の基地局も少なかったため、今回程のインパクトはなかったものと認識している。
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- 震災後の事業環境をどう見るか。
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通信はライフラインとして必要不可欠であり、大きな影響は想定していない。
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- 災害時の通信規制により、首都圏では通信手段がなく帰宅難民が非常に苦労したが、有効な対策はあるのか。
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音声はつながりづらい状態だったが、データ通信はそれなりにつながったと認識している。今後は、データ通信によるバックアップを強化したいと思っている。
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- 未曾有の災害と言われているが、何が最も想定外だったか。
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BCPにのっとって、おおむね想定どおりの対応ができたが、ともかく震災の規模が大き過ぎた。中でも、移動電源車などの車両に必要なガソリンなどの物資調達に苦労した。
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- 携帯電話の基地局の修理方法だが、旧800MHzの基地局はどうするのか。
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旧800MHzの基地局が被災した場合、修理可能であれば旧800MHz対応で修理する。全壊の場合は、新800MHzと2GHz対応の基地局を新たに建設する。
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- KDDIはソーラーパネルの基地局を所有しているが、今後こうした基地局を増やす予定はあるのか。
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現在全国11箇所でトライブリッド基地局 (太陽光発電、深夜電力、蓄電池の3つの電力で制御する基地局) を試行運用しているが、復興に向けてスピードを優先する必要があるので、まずは早期に建設できる既存の基地局展開を図る。
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- 東京電力が主要株主だが、KDDIの事業運営に影響はあるか。
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現時点では特に相談を受けておらず、特段の影響は想定していない。
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- 復旧にあたり、何名体制で臨んだのか。
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協力会社も含め、ピーク時で750名程度であった。
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- ご利用料金の支払い期限の延長をしているが、今後も延長するのか。
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状況を見て追加延長も考える。
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- 非常時の燃料調達は、どうしているのか。
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基地局用の重軽油は、優先調達の体制があり、今回はスムーズに動けたが、車両用のガソリンの調達は困難で、入手するのに苦労した。