2010年3月期第2四半期決算説明会 (質疑応答)
質問者1
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- 移動通信事業の販売手数料は、9月には下がってきているものの第2四半期は高水準にあり、通期の見通しを変更しないとなると下期は相当抑えていくことになると思う。一方、先日発表された端末についてはかなり良くなった印象があり、またIP接続ベースでの純増も1位を取っている中で、下期に販売手数料を抑制することにより、せっかく出てきた販売モメンタムを失うことにはならないか?
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44,000円レベルの販売手数料を使い続けるつもりはなく、今後適性水準の範囲に引き下げていく中で販売数を増やしていきたい。販売手数料単価を抑えた上で販売数量が増えるのであれば、短期的には収益が悪化することもありうるが、8月並みに販売奨励金を上げる必要性はないと認識している。これは、端末競争力がついてきている点と、「指定通話定額」「ダブル定額スーパーライト」の2つの割引に加え、ガンガンメールを投入し、リテンションに加え他社からのチャーンインを期待しているため。端末競争力回復や料金施策を考えると44,000円という水準は高すぎると認識している。販売のモメンタムを落とすつもりはないが、それが販売手数料だけで決まるような状況はすでに脱している。
第2四半期に販売手数料が上ブレしたのは、2つの定額プランにあわせた拡販に伴い新規の比率が上がったのが理由。09年3月期下期に端末調達コストは43,000円になっているが、これは昨年の秋冬端末や今年の春端末で高機能端末を販売が理由であり、これを8~9月で一気に売り切ろうとしたが、8月でほぼ売り切ってしまった。その結果9月は一気に販売手数料が下がってきた。今後はもっと下げていけると考えている。
そのほかのコスト低減施策として、売れ筋端末を追加調達して調達単価を安くする取り組みを夏モデルでも行っている。その結果、売れ筋ベストテンに常にauが3機種はいるようになった。
在庫については中身が回転しているかどうかが重要だと考えているが、回転の悪かった端末も売り切ったので、今後は秋冬端末中心の攻めの在庫で、販売手数料を抑えても売っていけると思う。期初の目標に向けて、きっちりと下げていく。
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- 固定ネットワークのスリム化について、今期への影響額は約400億円とのことだが、11年3月期以降も同様に数百億円規模で減損処理が出てくるのか?
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今期の影響400億円のうち300億円は減損だが、残りの100億については特損になるのか営業費用になるかを現在会計士と詰めている所なので、今回通期の見通しは変えなかった。今後減損が大きく出るかについては、まだ十分精査ができていない。局舎を減らしたり伝送路を閉じたりするので、ある程度減損は出るが、規模についてはまだ分からない。
今年度なるべく低稼働率設備を整理し、除却や撤去をしたほうが来期以降メリットの出るものについて、一番効果的なものから順次進めていく。減損については、例えば複数ルートをまとめて稼働率を上げるようなことをするが、その手法で行えば新たな減損はあまり出ず、撤去費や除却費といったものが出てくると思う。
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- 減損の額は今期の300億円が最大になるのか?
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確定的には言えないが、そのようにとらえている。
質問者2
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- 減損が出ることで当期利益が下方修正になることは予想できるが、今期営業利益予想の4,700億円についてはどう考えているか? 下期に販売手数料水準を含め移動通信事業の利益を守るのか、また固定通信事業は営業費用が最大で100億円出る可能性があるとのことだが、それをコスト削減でカバーして4,700億円を必達するのか?
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固定ネットワークのスリム化のために最大で100億円の営業損失がでる可能性があるが、その営業損失を除いたベースでは4,700億円を達成できると考えている。上期実績については社内の目標数値とほぼ同じであり、下期についても予定どおりに着地できるだろうと見ている。
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- 固定通信事業について、来期黒字化を達成した後の持続的な成長について、以降の年度の黒字のレベルはどの程度になっていくのか?
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レガシー系の減少がどの程度のスピードかという点と、FTTHを中心とするアクセス回線をどこまで増やせるかのバランスで決まると考えている。
レガシー系の落ち込みはわれわれが当初予想したよりも大きくなっており、また昨年度の数値を見る限りでは他社と比べて当社のほうが落ち込み具合が大きい。この落ち込みを抑えないと、今期も来期も厳しいと見ており、現在レガシー系の手当てをしている。
FTTHについては予定より大きく伸びており、現状では通期見通しを十分達成できると見ている。FTTHのお客さまが増えれば赤字額は縮小していくので、その縮小スピードとレガシー系の減収のバランスだと考えている。従って来期黒字化の後は、急速にということにはならないが、それなりのスピードで黒字額を増やせると思う。
質問者3
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- 固定通信事業の収入ベースではレガシー系が計画より下振れていて、マーケット全体としても音声通話が9%くらい下がっている中で、減収がなかなか止まらない面があるが、音声通話がマーケットと同じくらい下げ続けるとすれば、ブロードバンド側でトップライン (売上) が補えないと思うが、どのように考えているのか?
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固定系のトップラインの問題としては、レガシー系とアクセス系の2つだけで考えれば、ご指摘のような傾向が出ないという保障はない。
ただ、ギガ得プランを導入してからFTTHは順調に伸びており、関東だけではなく札幌でも伸びている。現時点では、今後当社が自前のファイバー網を作ってFTTH事業をやろうと考えているエリアはなく、むしろNTTのダークファイバーを借りた方法でいくつのエリアでの検討を進めている。
札幌の経験から言って、われわれのネットワークコストの大きな問題点は、アクセス系の単価の問題ではなく、メトロアクセスやコアネットワークのコスト高の部分。よって設備投資が少なくて済み、比較的利益を確保しやすいNTTダークのお客さまが増えれば、トータルのお客さま数が増えて、メトロ・コアネットワークの利用効率が上がるので、コストを下げられる要因は大きいと見ている。
レガシー系のトップラインについては慎重な検討が必要だが、FTTHの収益改善は、急速ではないが想定以上にできるだろうと考えている。
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- ウィルコムについては、UQコミュニケーションズが同じTDD (Time Division Duplex:時分割複信) のオペレーションをしているが、今後、条件さえ良ければウィルコムの買い取りは考えているのか?
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非常にお答えしにくいが、周波数がもらえるのであれば考えなくもないが、総務省としてウィルコムが使っている周波数をWiMAXで使わせるのであれば、審議会にもう一回かけなければいけないと聞いている。従ってWiMAXで使える保障がない以上、リスクを冒してまでウィルコムを買い取ることは考えていない。
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- 制度面・財務面の条件がそろえばノーではないのか?
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報道にもあるとおり、総務省としてはPHSを国産技術として残したい意向だと思うので、その意向が変わらない限り、ありえないのではないか。
質問者4
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- CTCは昨年度70億円程度の赤字だったと思うが、上期の実績と四半期別の進捗を教えてほしい。
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CTCの上期の営業損失は約5億円、通期見通しは一桁億のプラス、第2四半期は1億円の黒字。
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- 販売手数料の上昇要因として新規の販売割合が増えていることが背景にあるが、上期の新規・機変の比率・台数について期初想定値と実績を教えてほしい。
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過去は新規対機種変更が1:3程度だったが、機種変更はかなり減ってきている。
第2四半期の実績としては新規85万台、機種変更171万台、合計で256万台。
期初想定値は四半期単位のものはお話していない。
質問者5
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- 在庫水準の適正化や端末原価の好転などがあり、販売手数料は今後改善モードに入ってくると思うが、将来的な適正水準はどうなるのか? 今回の数字で逆算すると下期は3万円程度で、端末の粗利を除くと実質のインセンティブとしては2万円を切る水準だとは思うが……?
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販売手数料の適正水準については回答が難しい。
販売代理店は手数料によって店を維持していかなければならない。総販台数が落ちてきたときは、販売代理店に対するマージンを増やすか、別の形で維持費用を出すのか、どちらかをしないと維持はできない。従って、今後販売台数がどの程度の水準にになって、1店舗あたりの販売状況がどうなるかを見ないと、現時点で適正水準を判断するのは難しい。
また、他社との競争環境の問題で、店頭の実売価格を引き下げるためにどの程度のインセンティブを出すかという点もある。
今後、端末購入価格も機能も大きく変わるので、具体的な金額については申し上げられない。
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- 端末調達コストについて通期で4万円の想定だが、下半期の端末ラインナップを見ると原価が2万円程度の端末もあり、全体として4万円を下回る気もするが、KCP+が軌道に乗ってきて、今後どの程度コストの改善ができると考えているか?
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今期の平均調達単価4万円については守っていくつもりである。端末開発には1年半から2年かかっているので、下期のラインナップなどを考慮すれば、今期はちょうどこの開示値に合った形で進められると思う。
今期からターゲットセグメントを明確にし、それに合った端末構成を考えているので、現在は来期4万円以下の単価を実現できるように、ラインナップの検討を行っている。ラインナップの考え方として、安価なフォトブックのような端末も出すし、iPhoneのような端末も出していくので、それらの構成比を考えながら、引き続き調達単価を下げていきたい。
質問者6
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- 来週金曜から売り出す秋冬モデルに注目しているが、販売現場の感触は?
また端末がしっかりしてくると、今度はデータARPUを伸ばしていくことが課題になる。今期2,250円の見通しは弱気な予想だが、どこまで上げるつもりか? -
秋冬モデルについては非常に評判がいい。夏端末のときもそうだったが、単に端末だけを訴求するのではなく、端末・コンテンツ・料金を組み合わせて訴求している。
端末については魅力のある選びやすいラインナップになっているし、料金についてはガンガンメールを出しており、またコンテンツ面ではLISMOの改善などを行っていて、総合力を出すことで店頭でも売りやすい形になっている。
音声利用中心のお客さまには指定通話定額、メール利用中心のお客さまにはガンガンメールをお勧めできるということで、お客さまのニーズにも対応できる体制になった。今週から全国の代理店コンベンションを進めていくが、その場で意見を聞きながら、販売を盛り上げていきたい。
データARPUについては少し保守的である。どの程度まで上げられるかという点については申し上げられない。
- 来週金曜から売り出す秋冬モデルに注目しているが、販売現場の感触は?
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- 固定通信事業は、年間で1,400億程度の設備投資がかかっている。今回のスリム化により来期以降の投資が圧縮できるようだが、全体としてどのくらい投資圧縮ができるのか?
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固定通信事業の設備投資で一番重くなるのはFTTHのドロップケーブル。自前でやっているドロップケーブルは設備投資になるが、NTT利用のところは経費になる。その比率としてはNTT利用型が増えていく可能性があるので、その意味では近い将来には単体ベースで設備投資が減価償却の範囲内に収まると考えている。
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- 今後どのような形でデータARPUを上げていくのか?
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LISMOやSmart Sportsへの取り組みなど、ユーザーの生活スタイルを意識して、データ利用の向上に力を入れている。今回LISMOにおいて、音楽・映像に加えて書籍まで取り込むことで利用者層を上げていこうと考えている。ダブル定額の上限に到達していないお客さまはまだかなりいらっしゃるので、そこにターゲットを絞っていく。
また、現在空前のランニングブームの中で、Smart Sportsはいいところと突いているが、まだ利用者は150万人にとどまっている。朝日新聞、テレビ朝日と共同で進めているEZニュースEXについても短期間で10万加入を達成したが、これは月額基本料金をいただいているサービスであり、こういった所に強弱をつけて取り組むことによって、データARPUの向上は十分に狙っていけると思う。
質問者7
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- 配当について、5年後には連結配当性向25%から30%ということだが、設備投資についてはピークアウトし、割賦についても今年相当上がっていることを考えると、今後はあまり割賦債権が増えない中で、配当についてより積極的な姿勢が欲しかったが、保守的な表現になっている理由は?
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配当性向については今回積極的にコメントしたつもりだが、3割程度が適正水準だと考えている。今後、キャッシュフローとして大きなものが出ることは具体的には予想していない。ただし、今年度も100億円単位のM&A案件が出ており、こういったものを必要に応じてやっていくので、無理にキャッシュをため込むつもりはないが、当面の間はこの配当性向水準でやらせていただきたい。将来的に設備投資が減少し、フリーキャッシュフローの規模が大きくなれば、もう少し増やすということも考えるが、現時点ではこの程度で考えている。
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- 政権交代以降、総務省からいろいろコメントが出ているが、規制環境の変化を受けて戦略に変化が出てくるのか? 何か追加の対応は必要か?
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今回のタスクフォースのメンバーについては、それなりの有識者として選ばれているのであれば、国のため、国民のためになる議論をしてくれると思う。われわれとしても積極的な議論をしていくつもりだ。
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- 配当性向について日本企業の平均水準としては理解はできるが、先進国のテレコム産業として見ると30%というのは低いという認識を一般の投資家は持っている。さらに上げる努力をしていただきたい。
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海外を含めて見れば配当性向30%が低いことは理解している。ただ、配当さえ上げればいいということではないと考えている。もし成長性が明らかにないということであれば新規投資も不要で、当然配当性向は上がると思っているが、現時点で当社がそういった時期であるとは考えていない。
質問者8
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- 下期からデータカードを増やすということだが、どのくらい力をいれていくのか? 来期のイメージは?
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データカードについては法人と個人の両方を目指している。
今回のデータカードはUSBタイプとExpressカードタイプの2種類あり、料金が定額制か従量制かで分かれているためおのおの2種類のタイプになっている。トップスピードとしてはドコモやソフトバンクのHSDPAに対して劣位になっているので、法人についてはWiMAXとのハイブリッドカードで力を入れていきたい。
個人市場については、基本的にはイーモバイルやソフトバンク、ドコモなどがネットブックとUSB端末のセット販売をしているが、われわれには通常のカードとExpressカード端末しかないということで出遅れている面がある。今後はWiMAXとのハイブリッド端末で巻き返しを図っていきたい。
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- 固定通信事業の中で、レガシー系の売り上げが非常に落ちており、そろそろゼロで見ていく必要があると思う。そういった意味で来年度の黒字化以降も継続的に費用削減を考えなければならないのではないかと思うが、中期的に見てどれだけ費用削減を図るのか? また、NTTの設備部門の切り出しについて可能性をどう見ているか?
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音声系・レガシー系収入はご指摘のとおり下げているが、問題はそれに対してFTTHを中心としてどれだけ伸ばせているかという点。上期を見るとFTTHの収入増をレガシー系が食っているというのが実態。ただし、その規模は昔のように桁違いではなくなっているので、FTTHの増収をきっちりやることで、ある程度増収は狙えると思っている。
コスト構造としては、レガシー系の専用設備の減価償却はほとんど終わっていて、例えばマイラインで言えば交換機の償却はほとんど終わっているので、収入減を抑えられればその分楽になる。従って、レガシー系のコスト構造を変えるのではなく、IP系のコスト構造を変えていかなければならないと考えている。
今期トータルで400億円かけて来期150億のコスト削減になるが、今後ともコスト削減に対する手綱を緩めるつもりはない。今後のコスト構造改革の中で具体的な数字を出していくので、現時点でどこまで下げるかは言えないが、まだまだコストを下げていく必要があると考えている。
今までは大容量化すれば自動的にビット単価が下がってきたが、今後はそれではすまないと考えており、抜本的なコスト構造改革をやらない限り、おそらく耐えられない。法人系では景気影響もあり値引き要請が厳しくなってきているので、ネットワークコストをより下げなければならないと考えている。
質問者9
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- 固定だけでなくモバイルも含めて、設備投資額が減価償却費の範囲内に収まるようになるのはいつ頃になるのか?
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移動通信事業については、LTEの問題より2012年の現行800MHz帯の停止以降どうなるかを精査している。個人的見解として、2012年以降LTEが入ったとしても設備投資がそう大きく増えるとは思っていない。LTEの設備投資についてはメーカーも決まりつつあり、ご提示した範囲内で間違いなく達成できると考えている。減価償却費の範囲内で収まる時期については何とも言えないが、5年、10年も先とは言わないし、来年は無理なので、その間ぐらいとご理解いただきたい。
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- 来年は新会社になって10年になるが、中期経営計画のようなものをマーケットに示していく予定は?
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数値面での中長期計画については現時点で積極的に作るつもりはない。会社の方向性については何らかの計画を立てるつもりでいる。10年目以降会社がどういう方向に進むのかということは社員にとっても重要な問題なので、方向性の明示はしたい。
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