2010年3月期決算説明会 (質疑応答)
質問者1
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- 前期2010年3月期から今期2011年3月期の業績見通しを見ると、固定通信事業の赤字、移動通信事業の競争力低下といった懸念が解消され、実質的な改善が進んでいると思われる一方で、移動通信事業の音声ARPU下落が大きく影響し、業績面 (営業利益ベース) はほぼ横ばいとなっている。2007年秋に導入された端末販売と通信料金の分離プランの当初想定していた部分に違いが出ているのか?
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分離プランの問題に関して、販売手数料については削減を図ってきている。
今期は大きく2つの要因があると考えている。1つは、800MHz帯再編に伴い、トライバンド端末へ切り替えのための追加コストとして約800億円を見込んでいるため、販売奨励金を削減しても利益が出てこないこと。
もう1つの要素は、現時点では新800MHz、旧800MHz、2GHzという重複設備を運用しているため、減価償却費や回線利用料などのコストが増えていることである。
従って、2012年に現行800MHzを止めるまでの間は、販売手数料の削減を行っても移動通信事業で減益になる。2012年以降は現行800MHzの負担がなくなることで、利益が見込める。
質問者2
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- 来期2012年3月期のトライバンド対応端末への移行促進に関するコスト負担規模は? また今後、800MHz帯周波数再編に関する減損損失の発生有無やその規模感は?
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トライバンド対応端末の比率は2011年3月末時点で86%となるので、残りは400万台強となる。この部分については、なかなか動いていただけないお客さまがいらっしゃるかと思うが、ダイレクトメールやテレマなどを行って移行を促進する。1件あたりの単価は今期より大きくならない予定。
また、現行800MHz設備にかかわるコストについては、特損として計上することは考えおらず、通常の償却費ベースで減っていく。通信設備使用料なども減っていく予定なので、来期以降の減益要因にはならない。一部撤去費などが残る可能性があるが、基本的には2012年7月までにコストは減っていく。
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- 株式会社ジュピターテレコム (以下「J:COM」) への資本参加が、KDDI業績へ利益として貢献してくるのはどのくらいの時期になるのか?
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今期は、のれんの償却が-110億円、利益の取り込みが80億円で、差し引き-30億円。110億円ののれん償却以上の利益が出れば利益貢献することになるが、利益貢献よりも、相乗効果を期待している。この相乗効果を出すために、ワーキンググループを作って動き始めている。短期的・中長期的にできることを分けて検討しており、できるだけ早い時期に発表したいと考えている。
また住友商事株式会社 (以下「住友商事」) 加藤社長とも話をして、住友商事の事業とのシナジー効果についても検討を開始することについて両者で了解をしている。今後、中身を明確にした上で発表したい。
質問者3
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- 2011年3月期のARPU低下の要因内訳と2012年3月期のARPU見通しは?
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2011年3月期の音声ARPU前期比-460円のうち、シンプルコースへの移行が約6割、アクセスチャージの遡及精算として約1割、残りはそのほかと見ている。2012年3月期は、引き続き音声ARPUの下落は続く見通しであるため、データ利用者の裾野拡大、スマートフォン導入、ターゲット別取り組みなどによるデータARPU引き上げを図っていく。
質問者4
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- 今期2011年3月期の固定通信事業の売り上げが前期比1,000億円超で増加する内訳は? また、新興国への取り組みなど、今後の海外事業は会社全体の軸に成長していくのか?
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今期の固定通信事業の増収約1,000億円のうち、海外における連結対象会社の範囲拡大により約500億円、単体のauひかり、ケーブルプラスなどの増収により189億円、JCNで52億円、CTCで75億円の増収。売り上げ貢献という意味では、米国内移民向け携帯電話事業 (MVNO) 2社の取り込みが大きい。一方、バングラディッシュのbracNetは現状では売り上げはあまり大きくない。海外事業の売り上げ規模は2009年度で約1,000億円、2012年度では倍の約2,000億円を見込む。
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- J:COMとのシナジー効果の見通しは?
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J:COMへの出資比率については当初からこだわっていない。
また、ケーブルテレビに入っている世帯は日本の全世帯数の約半分、ホームパスが通っているのが全世帯数の88%となっており、そのシェアの半分をJ:COMとJCNで持っている。
質問者5
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- プレゼン資料24頁に、ターゲット別ポータルによるデータ利用向上施策が掲載されているが、実際にどのようにお客さまへアプローチしていくのか?
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ターゲット別ポータルについてはすでに実現しており、店頭でお客さまにお薦めしたり、シニア層向け端末にはシンプル版ポータルをプリセットするなどの施策を進めており、十分成果が出せると考えている。
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- 固定通信事業は今期542億円改善し、黒字化達成の見通しとのことだが、2012年3月期以降の利益イメージは?
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2010年から2015年にかけて、グランドデザインに沿ってスリム化を進めていく。コストインパクトとして2010年度はほとんど発生せず、2011年から2015年にかけて毎年数十億の下のほうのレベルで発生し、合計で180億円程度のコストとなる。
売り上げ面では、子会社は増収傾向であり、単体の音声系の減収も落ち着きつつある。またauひかりなどの音声収入も上がってきているので、全体として利益は改善方向に向かうと考えている。
NTTが今年秋までにメタルのマイグレーション計画について何らかの発表を行うらしいが、この計画が音声系の売り上げ動向にリンクしてくると考えているので、NTTの計画を見て判断せざるを得ない。今後、レガシー系の減収とFTTHなどの増収によって、売り上げの方向は見えてくる。われわれとしては来期以降も継続的に増収させていく。
質問者6
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- 今期2011年3月期のトライバンド対応端末への移行促進に係る追加施策費約800億円の算出根拠と四半期毎の発生イメージは?
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もし移行促進を行わなかった場合に機種変更するお客さま数に対して、増加する台数と、上乗せされるコストによって算出している。また、移行を促進するためのダイレクトメールやテレマーケティングなどのコストを含んでいる。
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- 2011年3月期のフリー・キャッシュ・フロー (以下「FCF」) は + 2,300億円と4期ぶりに黒字化しているが、今後のFCFの見通しは? またM&A、配当、有利子負債返済など、FCFの使途は?
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営業キャッシュフローが7,000億円を超え、設備投資が5,000億円を下回る水準になり、今後FCFは増えていくと見ている。使途については、まず配当面で、配当性向25~30%を達成する。M&Aについては現時点でJ:COMのような大型案件は考えられない。件数はそれなりにあるが、1,000億円までいかないので、かなりの部分が負債の返済に回されると思う。
成長を担保するための海外でのM&Aは今後もある。MVNO事業など、成長分野には今後も投資をしていく。
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- 本日、役員の異動が発表されているが、新しい経営陣、特に代表取締役に昇格された3名 (両角専務、田中常務、高橋常務) の役割は?
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両角専務には会社の守りを固めてもらう点、田中常務には、固定と移動のFMCについて事業間の調整を行うとともに、端末の商品開発部分を強化する点、高橋常務は新規事業を担当してもらう点と、それぞれの役割を果たしてほしいと考えている。
質問者7
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- 2011年3月期の設備投資が5,000億円を下回る水準になっているが、今後の設備投資水準の見通しは?
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設備投資はピークアウトしたことは確かで、単体ベースでは間違いなく減っていく。連結では、例えばCTCでFTTHの獲得が伸びているため設備投資が増える傾向があり、連結全体として4,000億円台になるのは間違いない。LTEの設備投資は問題ないが、MediaFLOの免許取得を前提とするならば、1,000億円程度の設備投資が見込まれる点は増加要因と見ている。いずれにしても新規事業のための投資であり、既存事業の部分では設備投資は下がっていく。
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- 800MHz帯周波数再編が完了する2013年3月期まで業績面では厳しい状況なのは理解したが、2014年3月期以降の売り上げ・営業利益の成長ドライバーを教えてほしい。投資家は何を見ていけばよいのか? また、今後中期経営計画的なものは出さないのか?
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今後はUQがトップラインを伸ばし、2013年には単年度黒字化するが、これまでの移動通信事業のような2桁の伸びは難しいだろう。また、コンテンツメディア系を含む新規事業や海外事業などでもトップラインを伸ばせると考えており、2012年以降、トップライン、ボトムラインとも伸ばせると考えている。
中期計画については、今年の10月でKDDI発足10周年となるので、社内的に今後10年間の方針を発表する予定。対外的には第2四半期決算以降に方針のエッセンスはお話できると思うが、数値目標は出さない予定。
質問者8
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- 移動通信事業が2011年3月期見通しを含めると2期連続減益と厳しい状況となるが、社員への意識改革はどのように行っているのか?
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移動通信事業については、分離プラン導入時は端末販売利益で通信料の減収をカバーすると考えていたが、現状で端末販売利益が十分取れていない点が課題であり、社内には厳しい状況だという意識付けを行っている。
固定通信事業についてはFTTHの拡販成果が実ってきた。全社的には今までのやり方をどう変えていくのか、構造改革が一番の課題だと考えている。
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- 2011年3月期の固定通信事業におけるKDDI単体の音声系収入がこれまでの下落傾向から一転して増収になっているが、今後の見通しについて教えてほしい。
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レガシー系からIP系への移行により、コストは小さくなる。
一顧客あたりの売り上げは落ちるものの、トップラインを大きく伸ばすのは難しいが、映像系、インターネット、法人系でトップラインを伸ばせる可能性がある。固定通信事業は利益を出せる体制に持っていくことが課題。
質問者9
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- J:COMとのシナジー効果など、中長期的な方向性や業績面を説明できる時期はいつごろになるのか?
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2つのステップに分けて考えていく必要があると見ている。まず短期的に実施可能な案件は、できる限り早く発表したいと考えており、可能ならば6月の株主総会前に行いたい。次に中長期的な案件はJ:COMの経営陣と十分に協議する時間が必要である。
質問者10
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- UQコミュニケーションズとauのデュアルモードのデータカードやスマートフォンなど、プロダクトの対応が他社比で遅い印象があるが、会社としての見解は?
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商品開発について、他社に対して遅れているという指摘は事実であり、できない理由を外付けにしている担当者の考え方を変えるように言っている。また、今後は田中常務に徹底的に見てもらう。
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- 先日の総務省ICTタスクフォースの中で、他社がFTTHを月額1,400円で提供できるという話をしていたが、FTTHを実際に展開しているKDDIから見たらどうなのか?
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もし1,400円でFTTHを提供できるのであれば、われわれも自前で設備投資をせずにNTTから借りるだろう。
FTTHのコストで最も大きいのはドロップケーブルのコストであり、かなり削減は進んでいるものの、CATVと比べると高い。これは主に人件費であり、質を下げればもっと安くできるが、そこまで踏み切るのは問題があると考えている。
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