2011年3月期第2四半期決算説明会 (質疑応答)
質問者1
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- 回線交換を利用してSkype (TM)サービスを提供できるのは、国内ではKDDIだけという理解でよいか? またSkype (TM)を導入する狙いは何か? アナウンス効果や、PCベースのSkype (TM)ユーザの取り込みを狙ったものなのか?
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国内のサービス提供キャリアについては、いつまでかは言えないが、当面はKDDIだけだと聞いている。
今回導入するSkype (TM)サービスは、プレゼンス機能、IM (インスタントメッセージ) 機能、通話機能から構成されていているが、通話機能部分について品質を上げるために回線交換を利用している。
料金は基本的に無料になるが、プレゼンス機能などのデータ通信部分についてはパケット料金としてカウントされる仕組みになっている。
Skype (TM)ユーザは電話好きな方が多く、海外の事例では平均的なユーザと比較してSkype (TM)ユーザはARPUが1.6倍も高いというデータもある。そういったユーザを新規で獲得できれば増収につなげることができると考えている。
また、一般的に長時間通話する相手としては主に家族や友人になるが、そういった通話についてはすでに割引サービスが適用されている割合が高い。また、データARPUを上げる効果もあるので、既存のお客さまのSkype (TM)利用によるARPUへの影響は軽微だと考えている。
Skype (TM)ユーザは1,900万人いるが、こういった高ARPUユーザを獲得することで十分増収効果は見込める。また、米国のVerizonを例に取ると、結果として増収となっていることから、われわれも増収を狙えると考えている。
Skype (TM)の事業戦略上の位置づけとしては、LTE時代以降、音声はアプリの一つとして提供されていくと考えている。どの段階でそういった考え方にスイッチするかというのが問題だが、他社に先んじて導入することで結果として良い効果を生むと考えている。また、FMCサービスの展開において、音声通話のプラットフォームや付加価値を生むアプリとして期待できる。結果的にSkype (TM)の導入は中長期的にはポジティブに働くのではないか。
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- 端末販売が好調な半面コミッションが増加し、シンプルコースへの移行が進むことで音声ARPUの低下が進んでいる。ただ、一方では契約増によって来期に向けてプラスに働くと考えることもできるが、どのように考えているのか?
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端末販売は上振れしていて、内訳では新規より機種変更が増えている。特に2年契約明けのお客さまと、非トライバンド端末巻き取りのお客さまが中心となっている。非トライバンド端末巻き取りによる機種変更は今後も続くが、総販売台数については、10月18日に発表させていただいたスマートフォンの販売状況を見ながら、必要であれば3Qに見通し数値の修正を行う。ただ、われわれは常に販売状況を見ていて、上振れした場合はコストの低い端末を販売したり、手数料の適正化を図ることによって費用全体をコントロールしており、今期の利益見通しは堅持する。
質問者2
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- 2QのARPUについて、想定より音声ARPUが下がっており、データARPUは上がっていないが、どう分析しているのか? また来年度は、シンプルコースへの移行がさらに進むことで、トータルARPUは200円~300円程度下がると見てよいか?
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シンプルコースへの移行によるARPUの減少は想定通り。音声ARPUの前年同期比540円の下落のうち、シンプルコース浸透による影響が5割、「指定通話定額」による影響が2割、アクセスチャージ改定に伴う着信通話料単価減少による影響が1割、課金MOU下落などによる影響が2割となっている。データARPUについては、フィーチャーフォンのデータARPU向上施策の効果が出ている。
データARPUの向上が課題だが、ISシリーズやDATA01のデータARPUはかなり高く、これらを拡販していくことが有効である。また、非トライバンド端末巻き取りのお客さまがダブル定額にご契約いただく環境を作っていくとともに、au Smart Sportsなどのコンテンツの訴求を進め、店頭で申し込みしやすい体制を作っていく。ただ、シンプルコースの契約比率は今期末見通しでまだ68%であり、来年度も音声ARPUの下落トレンドは継続する。従って、データARPUの上昇でしっかりカバーしていく。
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- 固定通信売上について、1Qから2Qにかけて増収となっている。減収が底打ちしたように見えるが、特殊要因によるものか? もしくはトレンドが変わったと見ているのか?
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確かに音声系サービスの下げ止まり傾向はある。ただし、このまま増収が続くとは見ていない。データ系の回線数は伸びているが値下げ圧力も強く、急激な伸びは期待できない。ただし、ある程度下げ止まってきているので、ここをしのげば増収に持っていけると考えている。
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- シンプルコース比率について、今年度平均で約50%から来年度平均で約70%に上昇すると考えると、音声ARPUはどの程度下がるのか?
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社内でいろいろとシミュレーションしているが、数値についてはご容赦いただきたい。
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- 固定通信の音声系サービスが1Q対2Qで増収している理由は?
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音声系サービス売上の下げ止まりとケーブルプラス電話などの増収に加え、季節変動の影響などもあり増収になった。固定系のトラフィックは全体として下がっているので、今後収入を上げていくのは難しい。
質問者3
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- 新商品発表会の際に、来年度のスマートフォンの販売台数が全体の20~30%、200~300万台になると言っていたが、来年度スマートフォンの販売比率が上がることによって、手数料を含めた全体のコストはどうなるのか?
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携帯電話市場に占めるスマートフォンの販売比率は20%前後に上がってきており、来年度もこの傾向は続くと見ている。ただし、スマートフォンもフィーチャーフォンも端末のコスト自体はあまり変わらないので、販売比率の変化によってコストが上がるとは考えていない。
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- スマートフォンに手数料をつけて、安く販売することはしないのか?
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われわれはスマートフォンで出遅れており、いままで待っていただいたお客さまに喜んでいただけるような工夫はしていきたいと考えている。
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- スマートフォン時代の料金の考え方について聞きたい。CEATECで田中専務が「今後はパッケージ型料金、帯域型料金で行く」と言っていたが、どう考えているのか?
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CEATECでは中長期的な観点で申し上げたが、FMCを進める会社として、将来的にはネットワークの種類を区別しないようなサービスを提供していくことになると考えている。
質問者4
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- MNPでマイナスの状況が続いているが、ハイエンドユーザの流出によってデータARPUへの下落影響はどの程度あったのか? また、今回のスマートフォンはハイエンドユーザ向けに見えるが、一般ユーザへ裾野を広げるようなマーケティングは行わないのか?
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iPhoneによる流出でARPUが減少しているのは事実。特に今年度iPhone4が出てからの影響は大きい。MNPにおける流出の半分はiPhoneであり、データ通信を好むお客さまを中心として流出が続いている。ただ、ARPUを大きく下げる要因にはなっていない。数値についてはご容赦いただきたい。
裾野を広げる点については、IS01、IS02は2台目需要に対応したものだったのでマーケットは小さかったが、今後販売するスマートフォンは尖った層以外にも広げていきたい。
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- CMは「尖った層向け」に見えるが、今後はやわらかなイメージのCMも出していくのか?
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われわれはスマートフォンで出遅れたので、まずはインパクトを出したいという思いがある。「Androidはau」というイメージを広げていきたいと思っている。
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- JCNケータイの取り組みと関連して、J:COMとの間においても、もう一歩踏み込んだマーケティングを行う可能性は?
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JCNケータイは2009年2月から展開しているが、J:COMにも同様の提案をしていく。加えて、今回の端末発表会でも発表したが、スマートフォンの着せ替えアプリケーションを、企業向けに提案していきたい。また、技術・インフラの連携においては次世代セットトップボックスも開発しており、ケーブルとの連携としてスマートフォンをリモコンとして使うこともイメージできる。FMCに向けた新しいソリューションをできるだけ早く出していきたい。
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- これらの展開には時間がかかるのか? 今年度下期には展開できるのか?
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スマートフォンのアプリケーション上の展開はそれほど難しくないので、J:COM側に積極的に提案していきたい。次世代セットトップボックスについても、Androidベースのセットトップボックスはすでに世の中に出始めているので、J:COMと話をしながら、そう遠くない将来に展開していきたい。
質問者5
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- 小野寺社長が就任された時と今回社長交代される時とを比較して、事業環境がどのように変わったと見ているか? また、「KDDIは最近元気がない」と言われているが、原因と対策があれば教えてほしい。
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この10年間ですべての環境が変わってきている。移動通信事業においては急速な進歩があったが、ここにきて、少なくとも数の面では大きな成長はなくなった。一方でMachine to Machineの分野などの開拓は遅れているので、こういった分野はまだ伸びると見ている。
また、モバイルという定義が過去と現在で違ってきている。お客さまにとってはWi-Fiでもau回線でもどちらでも良いわけで、そういった意味でアクセス系ネットワークの重要性が増してきている。この点ではわれわれは今までいろいろと手を打ってきたが、まさにこれから花が開くときだと考えている。
最近元気がない一番の理由は、スマートフォン投入の遅れ。今回発表した端末は良いものがそろっているのでリカバーできると思うが、一時期は他社に比べて良いものが出せていなかったのは事実。iidaについてもデザインに特化はしたものの、お客さまに受けるものが出せない時期があった。そういう意味では、成功体験によって変化に対応できなくなっていたのではないか。この点については田中新社長が払拭してくれると考えているので、期待していただきたい。
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- ネットワークについて、競合2社に対して2GHzの基地局展開が弱いのではないか? 増加するネットワーク負荷への対策として、独自のソリューションを考えているのか?
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スマートフォンの普及に伴ってトラフィックはどんどん増大していく。現状では2GHzはトラフィックが混んでいるところをカバーしていて、800MHzは全体をカバーしているが、今後は3G、WiMAX、LTE、FTTH、CATVを有機的に結合させてトラフィックをさばいていく。
質問者6
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- コンテンツ売上の来期以降の見通しについて目標値があればお伺いしたい。また、それに対応する具体策は?
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スマートフォン時代に向けていろいろと整備を進めている。中でも課金プラットフォームが非常に重要になるが、この点では他社に引けを取っているとは思わない。Android向けのコンテンツ整備として、サービス開始までに1,100、年度末には1,800のアプリを取りそろえるつもりである。フィーチャーフォン時代はわれわれでポータルを一元管理していたので、われわれの中にコンテンツを集めていけばよかった。しかし、オープン化の時代にはユーザの価値観が多様化していくので、ポータルも多様化していくと見ている。従って、IT業界ベンチャーとの協業を進めていくことが重要だと考えている。そういった意味で、今年度は頓知.やRekoo、ウェザーニューズとの協業により、さまざまな趣味趣向に応じたコンテンツの確保を進めている。
今年度のコンテンツ売上見通しは721億だが、できるだけ早いタイミングで1,000億を達成したい。
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- CATV事業について、J:COMだけでなく全国的にCATV業界との連携を強めるニュアンスを感じた。今後J:COMだけでなく全国的に関与を進めるのか? また追加的な出資の可能性や、それに伴うファイナンスの可能性はあるのか?
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今までのCATV業界は地域独占に守られてきたが、通信分野における競争相手として、NTTにどう対抗していくのかということが、やっと認識されてきた。また、NTTグループがフレッツ光で展開しているIPテレビやスカパー!との競争が厳しくなるだろうということを、やっと認識し始めている。そうした中でKDDIは「いままでのやり方で良いのか」という問題提起をしている。
例えばセットトップボックスについて、各CATV会社が独自仕様でバラバラにメーカーに発注している点などは、通信業界との大きな差異になっているが、こういった点をできるだけ統一しようと話しかけている。また、お客さまが転居される場合、転居先でのCATV会社がどこだか分からないと思うが、これではNTTに取られてしまう。そこで転居の際、コールセンターで転居先のCATV会社を紹介するといった取り組みを提案している。
CATVの最大の強みは、地域密着で自治体との関係が非常に強い点であり、通信会社が持ってないこの強みを生かしていきたい。われわれはCATV業界全体を発展させていくという視点で取り組んでいくつもりであり、それがKDDIのためでもありCATV業界のためでもある。
資本参加については、要請があれば検討するが、当社側から仕掛けることはまったく考えていない。むしろ独立性を保ちながら全国展開するほうが現実的だと考えている。また、現時点で大型買収は考えていない。
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- 設備投資について、非J:COM側はFTTHの自前化を進めている一方で、J:COMは同軸ケーブルが前提となっている。J:COMへの関与を深めていくなかで、将来的な設備投資は同軸ケーブルでよいと考えているか?
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同軸ケーブルでよいかどうかの判断は、インターネット系のサービスでどれだけスピードが出せるかという点だと考えている。同軸ケーブルでもかなりのスピードが出ると聞いているので、スピードに対する需要次第だと考えている。仮に新規でネットワークを構築するならFTTHでの展開が良いのだろうが、既存ネットワークを活用するという意味では、今の同軸ケーブルのままでも当面の間は十分であろう。将来的には今のPONの仕組みも変わり、多様な技術が組み合わされてFTTHが成り立っていくと思うので、家庭に光ファイバーさえつながっていれば、装置を入れ替えることで新技術に移行できると考えている。そういう意味でアクセス系を持っている強みが、将来ますます良い効果を生むと思うし、多様な展開が期待できる。
質問者7
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- このタイミングで自社株買いを決めた理由は? 今後継続的に行う予定なのか?
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社長交代によって次の時代を迎えるにあたり、今の当社株価水準は不十分だと思っている。今まで当社はバリュー株として考えられていたが、今後は田中新社長が成長戦略を展開していくので、このタイミングで自社株買いを決断した。
今回はあくまでテンポラリの実施であり、現時点では継続していくことは考えていない。
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- KDDI発足10周年でのビジョンの発表がなかったが、どのタイミングで行うのか?
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社内に向けた発表は10周年のタイミングで行ったが、社外向けについては田中新社長から来年4月の決算時に発表させていただきたいと考えている。
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