2006年9月 社長会見
日時 | 2006年9月20日 (水) 13:30~ |
---|---|
場所 | 経団連会館1001号室 |
発表案件 | 「法人市場におけるMNP戦略」 |
MNP
-
- MNPに向け、auは仮予約サービスの受け付けを開始したが、予約の状況を教えてほしい。
-
今のところ順調に推移しており、また、9月15日に新CMの放映を開始したので、今後、大幅に増えていくと考える。具体的な予約数については、営業上、コメントを控えたい。
ユニバーサルサービス基金
-
- ユニバーサルサービス基金について、電話番号あたりの負担が月額7円で認可申請されたが、KDDIはユーザーに、その負担を求めるのか。
-
ユニバーサルサービス基金の主旨は、NTT東西が提供するローカル地域の赤字をサービスの受益者である国民の皆さまに幅広く負担してもらうことにある。
ユニバーサルサービス基金制度については、NTT東西がトータルでは黒字であるにもかかわらず、赤字地域だけを切り出すのが妥当かどうか、また、NTTが開示する赤字額が適切なものかどうか、などさまざまな問題があり、議論を重ねてきた結果、現行制度が発足した。制度が発足した以上は、この主旨に従い、当社はお客さまにご負担をお願いしたいと考えている。
-
- ユーザーからの反発は想定していないのか。
-
お客さまには、ユニバーサルサービス基金が設立された経緯を説明して納得していただく必要がある。ユニバーサルサービス基金がなぜ存在するのか、お客さまは何を負担しているのかをご理解いただいた上で、NTT東西の経営をチェックしていただきたいと考える。
-
- ユーザーに転嫁しない事業者が出てきて足並みが乱れる可能性はないのか。
-
転嫁しない事業者が出てくる可能性はあるが、当社の方針は変わらない。
-
- ユニバーサルサービス基金をユーザーに課金する方法は。
-
通信料金の請求書の中で、わかりやすいように別掲する。具体的な項目名は決まっていない。
-
- ユニバーサルサービス基金導入の議論の中で、当初は通信事業者の売上高に応じて負担することも検討されたが、最終的に電話番号ごとに負担することになった経緯は。
-
議論の中で、携帯電話やPHSが成長したことをはじめ、さまざまな要因があり、電話番号ごとに負担することになった。
-
- 総務省が公表した「新競争促進プログラム2010」の中で、ユニバーサルサービス基金の見直しが議論されることになっているが、KDDIの意見は。
-
現行のユニバーサルサービスは、レガシーな固定電話の基本料、公衆電話などが対象になっている。今後の議論として、携帯電話の方がローコストで提供できるローカル地域に固定電話をどうしても提供する必要があるのか、また、メタルプラスのようなIP電話で代用することができないのか、など、コストの観点も踏まえてユニバーサルサービスを再定義する必要があると考える。ローカル地域に固定電話が必要とされ、NTT東西が開示する赤字額が認められる現行の制度では、NTT東西にネットワークを進化させ、コストを下げるインセンティブが働かず、レガシーなサービスを国民負担で維持する方向に進んでしまう懸念がある。見直しの際はこの点についてきちんと議論したい。
東京電力との光ファイバー事業統合
-
- 東京電力と光ファイバー事業の統合について交渉中だが、結論が出るのはいつか。
-
これまでもお話ししたとおり、本年9月末までに結論を出すことを目途に、交渉中である。
-
- NTTに光回線の開放を求める一方で、東電の光ファイバー事業を共同展開するねらいは何か。
-
通信事業者は設備競争を行い、お互いにコストを下げることが重要だと考えている。携帯電話にはボトルネック設備がなく設備競争が有効に機能し、各社がさまざまなサービスを展開してきた。一方、固定通信には、電柱・管路などの線路設備というアクセスラインがボトルネック設備として存在しているため、当社はNTTに対し、ボトルネック部門を分離し、設備を開放することを求めている。東京電力とともに自前でも光ファイバーの敷設を行い、アクセスラインでの設備競争を展開していくが、全国規模でNTTと設備競争を行うのは事実上不可能だと考える。
MVNO
-
- 総務省の「新競争促進プログラム2010」の中で、MVNOの義務化についても検討されているが、どう考えるか。
-
当社はMVNO自体には反対しておらず、MNOとMVNOがWIN-WINの関係が構築できるのであれば、前向きに対応していきたい。すでに、ココセコムやG-BOOKは、MVNOに近い仕組みで提供されている。海外でも、MVNO導入に成功した国とそうでない国があるが、制度導入を強制した国はうまくいっていない。
-
- MVNOの義務化には反対ということか。
-
その通りである。また、MVNO導入の背景として携帯電話周波数の有限性が触れられているが、ソフトバンクが返上した1.7GHzが存在し、2012年以降には新たな周波数の割り当ても検討されている。携帯電話にはボトルネックも存在せず、MVNO義務化を検討する以前に、設備競争を促進すべきだと考える。
携帯電話のコミッション
-
- 総務省の「新競争促進プログラム2010」では、コミッション制度の見直しも検討されているが、どう考えるか。
-
これまで携帯電話事業者は、携帯端末の価格と通信料金をバンドルしないよう総務省から指導を受けてきた。現在の携帯電話ビジネスはコミッションの存在を前提としたビジネスモデルが定着しており、コミッションを廃止した場合、通信事業者や端末メーカーなど周辺産業への影響が大きい。廃止を考えるのであれば、問題のない方法を考えていただきたい。また、携帯電話事業者は、公正取引委員会から、端末の販売価格を拘束しないように指導もうけている。コミッションの廃止に当たっては、公取との調整も必要なのではないか。
そのほか
-
- CATV会社との提携を進めているが、ねらいは何か。
-
CATV会社側には、映像サービスだけでなく電話サービスも提供したいというニーズがあるが、追加設備投資などの問題があるので、当社のケーブルプラス電話を提供していただく関係を構築している。できるだけ多くのCATV会社と、このスキームをまとめていきたいと考えている。