2009年10月 決算社長会見
日時 | 2009年10月23日 (金) 15:00~16:00 |
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場所 | KDDIホール (KDDI大手町ビル) |
発表案件 | 2010年3月期第2四半期決算について |
決算
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- 上期は減収・減益であることに加え、営業利益率も下がっている。下期以降に実施する来期の固定通信事業黒字化に向けた取り組みなどを踏まえ、来期以降の利益率の目標水準は?
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利益率の目標は特に定めていない。あくまでも売り上げの最大化、経費の最小化を図り、その中で利益率を上げていくというのが、基本的な考えである。
この上期は減収・減益となったが、これはほぼ計画通りである。今期の通期見通しは減収・増益であり、現在の経営を継続していくことで、通期見通しで示した増益になるよう努力していきたい。
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- 今期の携帯電話における端末販売台数の通期見通しに変更はないのか?
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端末販売台数は通期見通しである1,000万台の修正はしていない。この水準は、努力すれば実現可能な数字と見ている。
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- 移動通信事業の販売手数料平均単価について、通期見通しの36,000円を達成するには下期に向けてかなり絞り込む必要があると思うが、それが下期の商戦に与える影響について、どのように見ているのか?
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上期における販売手数料平均単価の上昇については、前期末に膨らんでいた在庫を適正水準に引き下げることと、2つの新しい定額サービス導入に合わせて短期集中的に販売手数料を投入し、一般端末を拡販したことが実態である。今後、販売手数料の平均単価を引き下げていく必要があるが、端末の調達コストの低減に加え、販売に占める新規と機種変更の比率がどうなるか、さらには実際に販売される端末の構成比によって販売手数料の平均単価は大きく変わってくる。販売手数料の平均単価は、通期見通しの36,000円を目指し低減を図っていく。
なお、競争力については、09秋冬・10春の新端末や、「ガンガンメール」などの料金サービスで、十分確保できている。
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- NWスリム化について、現段階で約400億円のコスト増、うち約300億円は減損損失と見ているとのことだが、残りの100億円はどのような費用項目と見ているのか?
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現段階ではどこまでが減損の対象となるのか、詰めきれていない。したがって、現段階では約300億円の減損と、そのほか約100億円がある、とだけ申し上げている。これらは、今後精査していくので、時間をいただきたい
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- 記念配当について、業績に関係なく、今後も5年毎に実施していくのか。
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5年毎に実施することを、決めているわけではない。今期、記念配当を実施した理由は2つある。1つ目は、今期が設立25周年であること、2つ目は、株主還元を高めるべく5年後には、連結配当性向を25~30%まで着実に引き上げていきたいと考えており、その一環として今期、記念配当を実施したというものである。
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- 5年後には、連結配当性向を25~30%まで引き上げていくとのことだが、これは段階的に引き上げていくのか?
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基本的にはそのように考えている。ただし、毎年上げるのか、何年か毎に上げるのかなど、具体的な方法については、経営状況を見ながら決めていきたい。
行政
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- 小野寺社長は総務省のICT政策に関するタスクフォースのメンバーに参加するようだが、どのような主張をしていくのか。また、原口総務大臣が就任当初から一部NTT寄りと言われる発言をされたり、副大臣にNTT出身の内藤氏を起用するなどしているが、その点についてどのように考えるているのか? 2010年に予定されていたNTTの組織問題を前倒しで議論する、とも報じられているが、その点についてはどのような主張をしていくのか?
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就任された方は、国家・国民のために政策を決めていただけると思っている。
タスクフォースについては、分科会である「国際競争力強化検討部会」に参加することになっており、ここでは国際競争力について検討する予定である。国際競争力強化については、これまで申し上げてきたことを、改めて述べていきたいと思う。
分科会とは別に、事業者に対するヒアリングの場が設けられると聞いているが、そのような場においては、KDDIとしての主張を述べていきたい。
移動通信事業
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- 先日発表された09秋冬・10春の新端末を見ると、いわゆるミドルクラスのモデルが増えている。このことは、新機能や新サービスの浸透スピードの鈍化、ひいてはARPUの低下につながるなどの影響が予想されるが、この点についてどのように対応していくのか?
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09秋冬・10春の新端末だが、例えば12メガカメラを搭載するなど新しい機能を盛り込んでおり、今後も端末スペックの向上については継続的に取り組んでいく。なお、お客さまのニーズは、ハイエンド端末から機能を簡略化し使いやすくした端末まで多様化しており、加えてハイエンド端末よりも、ミドルクラスの端末を望まれるお客さまの数が圧倒的に多いことから、新端末のラインナップにおいてミドルクラスの端末モデルが多くなっている。しかしながら、このことが新機能を搭載していかないということにはならない。さまざまな商品、サービスをそろえ、お客さまのご要望に応えていく、というのが基本的な考えである。
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- MNP (モバイル・ナンバー・ポータビリティ) 導入後、3年が経過したが、その総括は?
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MNPが始まった時、MNPの利用率がどの程度になるのかは読みづらい、と申し上げた。また、意外と電話番号にこだわるお客さまは少ないのではないか、とも申し上げた。その結果が、今回のMNPの数字に表れていると見ている。今後については、MNPの利用率が上がるということまでは想定しづらい。なお、競争環境によって大きく変わる可能性はあるので、KDDIとしては、商品力、料金、インフラなどを総合的に向上させることで、お客さまの満足度向上に取り組み、MNPを利用して当社のお客さまになっていただくよう努めていく。
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- 本年8月にLiMo Foundationへの加盟を発表したが、将来のプラットフォームの考え方について、聞かせてほしい。
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現状は、KCP + をプラットフォームとしている。LTEを導入する時点で、プラットフォームをどうすべきか、ということを検討している。LiMo Foundationもひとつの選択肢であるが、現時点でまだ明確に決まっているものは何もない。アンドロイド端末についても、来年の導入に向けて検討中であり、今後、携帯電話のプラットフォームが何か一つに集約されるということはないと見ている。主流のプラットフォームを何にするかについては、現在慎重に検討している。
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- 公正取引委員会が出したクアルコムに対する排除命令について、その帰趨如何では、KDDIの事業へ何らかの影響があると思われるが、本件に対しどのような見方をしているのか?
また、クアルコムのライセンス料の料率は桁外れに高いというのが一般的な認識だと思うが、この点についてはどのように見ているのか? -
排除命令について、直接の当事者ではないのでコメントはしかねる。
ライセンス料の料率については難しい問題である。CDMA2000陣営は、一部例外はあるものの、基本的にクアルコムが基本特許を有している。したがって、クアルコムに対するライセンス料支払は発生するが、それ以外のところへの支払は比較的小さい。一方、W-CDMA陣営は、ライセンスのオーナー数が非常に多く、これらすべてのライセンスの料率を合算すると、必ずしもクアルコムのライセンス料率が高いとは言い切れない、とも言える。従って、何をもってライセンス料率が高い、というのかは難しい問題である。無論、クアルコムに対しては、ライセンス料率を下げるよう、常に要求はしている。
- 公正取引委員会が出したクアルコムに対する排除命令について、その帰趨如何では、KDDIの事業へ何らかの影響があると思われるが、本件に対しどのような見方をしているのか?
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- 携帯電話における純増数の統計方法について、どのような方法が望ましいと考えるか。
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TCA会長として申し上げるならば、基本的には、統計を利用されている皆さまがどのようなものを望まれているのか、という視点が重要と考える。皆さまから、どのような統計、数値が望ましいのかご提案いただければ、TCAにて検討したい。
そのほか
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- UQコミュニケーションズが、サービス開始後3カ月経った9月末の契約者数を約2万件と発表したが、この結果をどうとらえているか? また、今後UQに対して、どのような形で支援をしていくのか?
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UQコミュニケーションズの契約者数については、エリア整備が当初計画より遅れている影響が大きいと見ている。お客さまにとって、使いたい場所で使えない、という点が最大の問題である。早期にこの問題を解決し、お客さまがサービスに十分ご満足いただけるようにすることが、喫緊の課題である。これら課題解消に向けての支援は、人的支援も含め、これからも継続していく。