2016年8月 決算社長会見
日時 | 2016年8月2日 (火) 15:30~16:30 |
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場所 | KDDIホール |
発表案件 | 2017年3月期第1四半期決算発表について |
質疑応答
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- 第1四半期の増益要因として販売コストの減少とあるが、主に顧客獲得のための販売奨励金の減少だと思われる。これはタスクフォース影響によるユーザーの固着化が顕在した以上に、他キャリアや格安SIMサービスに顧客が流出したという理解でよいか。
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機種別奨励金の減少が、結果として増益に寄与している。足元の流出状況として、MNO3社間の流動は昔に比べてほとんどない状態。一方で、MVNOやワイモバイルのようなLCCに対しての流出が見られる。われわれのお客さまがMVNOに流出していく時に自社キャンプ内のUQモバイルなど、au回線を使うMVNOに流出していくほうがまだいい。本日説明した通り、端末ラインアップの拡大や積極的なキャンペーン等を展開したいと考えている。
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- 営業利益の通期予想に対する進捗率が31%というのは、ペースとしては早いように思うが、第2四半期以降の見通しはどうか。
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第1四半期の進捗としては非常に良い進捗となっている。ただ、長期契約のお客さまに特典を付与する「au STAR」が本格的に始まる今秋以降に減益影響が出てくる。現時点で通期予想の上方修正は考えていない。
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- 本日固まる政府の経済政策について、特に働き方改革が骨子になると思われる。ITやスマートフォンの活用など労働生産性の向上という点ではKDDIのビジネスが関係すると思われるが、どう評価しているのか。
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政府の経済政策についてはまだ詳しく見ていないのでコメントできない。日本の経済が元気になっていく結果として、働き方改革において通信の世界でもフルサポートできれば、当社の業績等にプラスの効果がでてくるのではないか、という程度のコメントしかできない。
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- au通信ARPAの上昇についてマルチデバイスで伸びているとのことだが、主にタブレット販売が貢献していると思う。例えば、サービスに力を入れているなどの要因があるのか。
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au通信ARPA上昇には、タブレット、ルーターが寄与している。以前、3M戦略と申し上げていたが、第一フェーズはバンドルサービスであった。今、ちょうど第二フェーズに入ってきた。スマートフォン浸透率は59%程度でまだ伸びており、70%くらいまで伸びると考えている。
次のウェーブとしてお客さまが複数のデバイスを持ち、特に都心部を中心に固定回線からルーターに置換する家庭も増加しており、マルチデバイスの流れができている。その次に、au経済圏のような通信ネットワークの上で新たなビジネスが開花するマルチユースの世界が広がってくる。お客さまの利用に対する「慣れ」に合わせて、マルチデバイス・マルチユースは広がってきていると感じている。我々が無理にお客さまに買ってくださいと言っても限度がある。お客さま自身がマルチデバイス・マルチユースの世界を実感されてご購入が進んでいるのではないかと見ている。
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- au経済圏の拡大を牽引していく特徴的なサービスはあるのか。
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食品、日用品は「au WALLET Market」で昨年から開始し、どんどん伸びてきた。今年秋からの「au STAR」の開始により、もう少し伸びてくるのではないか。「auでんき」は今年4月から開始し、計画とほぼ同じ流れで右肩上がりに伸びてきている。一方、生命保険は世間をお騒がせするようなこともあり、販売活動を少し抑え気味にしているため、今は計画ほど伸びていない。今年12月から還付金付生命保険にリニューアルするので、今秋以降伸ばしていきたい。損害保険、住宅ローンは低金利の時代の追い風もあり、かなり伸びてきている。通信を中心としたイネイブラーを活用することで、ラインナップを増やしていき、マルチユースの成長戦略を描いていきたい。
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- 決算会見の場でUQモバイルをここまで取り上げたのは初めてだと思う。auとしては、au回線を使うMVNO事業者を並列に扱うのか、それとも、ソフトバンクとワイモバイルのようにUQモバイル1社推しにしていくのか。
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KDDIの決算でここまで取り上げたのは初めて。何故取り上げたかというと、我々のビジネスは「ID×ARPA」が会社の成長に直結しているが、MNOとしてのIDの成長はタスクフォースの影響もあり厳しくなってきている。IDはauのお客さまができるだけ流出しないよう解約率を下げる行動をしなくてはならない。そのために、「auでよかったな」と実感していただくことや、サポートプログラムの充実が必要なので「au STAR」のような長期優待プログラムを始めるが、それだけではIDは増えない。IDの流出先はMVNOである。これまでのUQモバイルは端末ラインナップが十分とはいえなかったし、戦略的な料金やキャンペーンもできていなかった。少し誤解を与える言い方かもしれないが、他キャンプにいるMVNOよりは、au回線を使用するMVNOがリクープしてくれれば、回線利用料がわれわれの収入になるという意味でUQモバイルにも頑張ってほしいという話をした。ワイモバイルは大きな流出先であり、先方のいいところはキャッチアップし、プラスアルファでUQモバイルが考えたSNS使用分のデータ量は非課金にするなど、そういう戦略を連結会社として描いている。
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- 公正取引委員会で端末販売価格のことが言われているようだが。
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まだ詳細を見ていないのでコメントを控えたい。端末販売価格は当然強制できるものではないし、我々がそこまでやることはないのでご理解いただきたい。
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- ソフトバンクがARMの買収を発表した際、孫社長が「10年後の本業はIoTだと思う」という発言をしていた。KDDIとしては、今後本業はどのようなものになっていくと考えているか。
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孫社長の発言は詳しく把握していないが、少なくとも今後は、IoTのグローバル化、通信ネットワークの標準化について非常に議論されており、大きく花開くことには変わりない。IoT市場にどう対応していくかについては、通信事業者として最適な通信ネットワークを準備するのは当然だが、それだけではなく、お客さま視点から通信ネットワークとデバイスを組み合わせた価値を提供しなければならない。個人向けサービスとしては、保険とIoTを組み合わせ新たなサービスなどが考えられるが、お客さまのことをもっと見ていかなくてはいけない。直近のIoTでは世界的にも見ても、まず自動車、二つ目はスマートメーター。目先の需要については着手し、具現化している。今後は、市場の変化に合わせてどう使うかというところに焦点を当てて準備していきたい。