CEOメッセージ

「つなぐチカラ」を進化させ、
誰もが思いを実現できる社会をつくる。
KDDI VISION 2030

平素より格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。

当社は、発足以来、豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献することを企業理念として掲げてまいりました。当社の事業は極めて公共性が高く、お客さまの生活そのものに直結しています。「命」「暮らし」「心」をつなぐことを使命に、社会的に重要な役割を果たすとともに、お客さまの期待を超える感動をお届けしてまいります。

当社は、「ありたい未来社会」を実現するため、2022年5月に「KDDI VISION 2030」を策定し、事業の核である5G通信をさらに磨き、「つなぐチカラ」を進化させてきました。また同時に、「中期経営戦略(2022-24年度)」ではサステナビリティ経営を根幹に、事業戦略であるサテライトグロース戦略と、それを支える経営基盤の強化を通じて、パートナーの皆さまと共に、社会の持続的成長と企業価値の向上を目指してきました。

現代社会において、通信はあらゆるものに溶け込んでおり、通信の社会的役割がより一層重要になる中、AI技術の進化により、生活や産業など社会全般において新たな価値創造の時代が到来しつつあります。また、日本国内では、生産性向上や脱炭素化など、サステナブルな社会の実現に向け、産業構造の変革が期待されています。

こうした中、当社は、データおよび生成AIによるデジタル社会インフラの進展など、社会全体を取り巻く急速な環境変化に対応するため、中期経営戦略期間を1年延長(2022-25年度)するとともに、事業戦略を「新サテライトグロース戦略」としてアップデートしました。

「新サテライトグロース戦略」では、高品質・高信頼の「5G通信」をベースとし、「データドリブン」の実践と「生成AI」の社会実装を進めるコア事業を中心に、パートナーの皆さまと共に新たな価値を創造し、「つなぐチカラ」の進化を加速してまいります。生成AIの社会実装については、国内トップクラスのLLM(大規模言語モデル)の研究開発力を有するスタートアップ企業との提携や、KDDIグループの計算基盤、ネットワーク資源を活用し、付加価値の創出を目指してまいります。

また、コア事業と連携し、当社の成長を牽引する事業領域(Orbit1)として、「DX」「金融」「エネルギー」の3領域に注力し、パートナーの皆さまとの連携や通信事業とのシナジー最大化などに取り組み、成長を加速してまいります。特に「DX」においては、2024年5月より、AIが溶け込む時代の新たなビジネスプラットフォームとして「WAKONX」(ワコンクロス)を始動しました。
「WAKONX」では、社会のDX加速に不可欠な、AI・データ基盤・ネットワーク・運用保守をワンストップで提供することで、社会課題・業界課題の解決や日本企業の事業成長を加速してまいります。

加えて、新たな成長に挑戦する事業領域(Orbit2)には、「モビリティ」「宇宙」「ヘルスケア」「スポーツ・エンタメ」「Web3・メタバース」の5領域を設定しています。当社の強みである通信や新技術を活用するとともにパートナリングによってお客さまのライフスタイルの変革に挑戦し、さらなる事業拡大を目指してまいります。

また、当社は、「新サテライトグロース戦略」をリアルな消費生活シーンにおいて強力に推進するため、2024年2月に株式会社ローソン(以下、ローソン)と資本業務提携契約を締結しました。ローソンとの共創においては地域に密着した「リアルテックコンビニエンス」の実現にむけて、AIとDXを活用した「リテールテック」を加速するとともに、データを活用したマーケティング高度化やPontaポイント経済圏の拡大などを推進し、社会の持続的成長と両社の企業価値の向上を目指してまいります。

当社は新サテライトグロース戦略の推進とあわせて、「To Global」「With Life」「For Future」をテーマに未来への取り組みも進めることで、「お客さまに一番身近に感じてもらえる会社」、「誰もが思いを実現できる社会をつくる」ことを目指しています。

地球規模で大きな課題となっているカーボンニュートラルをはじめとするサステナビリティ課題についても積極的に取り組みます。「カーボンニュートラルの実現」については、目標を見直し、2040年度までにScope3を含むサプライチェーン全体からのCO2排出量を実質ゼロにする「ネットゼロ」を目指します。そして、この達成に向けて、当社グループ全体で2030年度のCO2排出量実質ゼロの実現を目指し、基地局・通信設備などでの省電力化や再生可能エネルギーへのシフトを強力に推し進めます。

変化の激しい事業環境の中で持続的成長を実現するには、「イノベーションの推進」および社員や組織の高度な自律性と成長を促す「人財ファースト企業への変革」が不可欠です。「イノベーションの推進」においては、Beyond 5G/6Gを見据えた先端技術の研究開発に挑み続けるとともに、産学官連携によるオープンイノベーションや外部パートナーとのコラボレーションを推進していきます。ソフトバンク株式会社とのインフラシェアリングなど、競合他社との協調にも積極的に取り組んでいます。
「人財ファースト企業への変革」については、「新人事制度の浸透」「KDDI版ジョブ型人事制度によるプロ人財育成」「社員エンゲージメント向上」の三位一体改革に取り組んでいます。「KDDI DX University」の活用による全社員のDXスキル向上とプロフェッショナル人財の育成により、注力領域への要員シフトも実行します。

最後に、KDDIは「KDDIフィロソフィ」を経営層と従業員の共通の考え方・行動規範として掲げています。人権を尊重し、透明性・公正性を担保したコーポレート・ガバナンス体制との相乗効果により、リスクマネジメント・情報セキュリティ体制の強化を進め、グループ一体経営の推進に努めてまいります。

今後とも、KDDIグループへの変わらぬご支援とご指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

2024年5月
代表取締役社長 CEO 髙橋 誠