株式会社ウェブマネー株券等に対する公開買付けの開始について

No. 2011-184

KDDI株式会社

2011年6月10日

KDDI株式会社 (以下「当社」といいます) は、平成23年6月10日開催の取締役会において、株式会社ウェブマネー (JASDAQ: コード番号2167、以下「対象者」といいます) を当社の完全子会社とすることを目的として、対象者の発行済普通株式 (平成16年3月15日開催の対象者臨時株主総会及び同日開催の対象者取締役会の決議に基づき発行された新株予約権 (以下「本新株予約権」といいます) の行使により交付される対象者の普通株式を含みます。ただし、対象者が所有する自己株式を除きます) 及び本新株予約権の全てを対象として、公開買付け (以下「本公開買付け」といいます) を実施することを決定いたしました。

●1. 公開買付けの概要

本公開買付けに関連して、当社は、対象者の親会社である株式会社フェイス (本日現在の所有株式数26,899株、対象者が平成23年2月14日に提出した第24期第3四半期報告書に記載された平成22年12月31日現在の対象者の発行済株式総数62,330株に対する所有株式数の割合43.16% (小数点以下第三位を四捨五入) 以下「フェイス」といいます) との間で、その所有する対象者の普通株式の全てについて本公開買付けに応募する旨の公開買付応募契約 (以下「本応募契約」といいます) を平成23年6月10日付で締結しております。
本公開買付けにおいては、買付予定数の下限を40,068株 (対象者が平成23年2月14日に提出した第24期第3四半期報告書に記載された平成22年12月31日現在の対象者の発行済株式総数62,330株に、同四半期報告書に記載された平成22年12月31日現在の本新株予約権の目的となる対象者の普通株式の数の最大数 (1,900株) を加えた数 (64,230株) から、同四半期報告書に記載された平成22年12月31日現在の対象者が所有する自己株式数 (4,129株) を控除した株式数 (60,101株) に、3分の2を乗じた株式数) に設定しており、本公開買付けに応じて売付け等がなされた株券等 (以下「応募株券等」といいます) の数の合計が買付予定数の下限に満たない場合には、当社は応募株券等の全部の買付けを行いません。一方、当社は、本公開買付けにおいては、買付予定数の上限を設けておりませんので、応募株券等の数の合計が買付予定数の下限以上の場合には、当社は、応募株券等の全部の買付けを行います。
なお、対象者によれば、平成23年6月10日開催の対象者取締役会において、本日東京証券取引所におきまして開示した「株式会社ウェブマネー株券等に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」にある「1.買付等の目的等 (6) 本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「2) 対象者における独立した第三者算定機関からの株価算定書の取得」に記載の株価算定書、同「3) 独立した法律事務所からの助言」に記載の法的助言、同「4) 対象者における独立した第三者委員会の設置」に記載の第三者委員会の意見書その他の関連資料を踏まえ、当社による対象者の完全子会社化を目的とした本公開買付けに関する諸条件について慎重に協議、検討を行った結果、成長戦略遂行をより確かなものとするため、戦略的事業パートナーとの強固な関係を構築し、短期的な業績にとらわれることなく中長期的な視野に立ちスピード感をもって事業展開していくことが最善の策であるとの判断に至り、当社を戦略的事業パートナーとし、その完全子会社として事業展開していくことが中長期的に対象者の企業価値の向上を実現していくために有効であると判断するとともに、本公開買付けにおける普通株式の買付け等の価格及び本公開買付けのその他の諸条件は対象者の株主にとって妥当であり、本公開買付けは、少数株主を含む対象者の株主に対して合理的な株式売却の機会を提供するものであると判断し、また、本新株予約権については、当社が取得してもこれを行使できないおそれがあることに鑑み、第三者算定機関から価値算定に関する意見を取得しておらず、本新株予約権にかかる公開買付価格の妥当性についての検証を行っていないことから、平成23年6月10日開催の対象者取締役会において、本公開買付けについて賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主に対し本公開買付けに応募することを推奨する旨、及び本新株予約権に関して本公開買付けに応募するか否かについては、新株予約権者の判断に委ねる旨の決議をしたとのことです。
なお、対象者の取締役のうち、本応募契約を締結しているフェイスの持分法適用関連会社である日本コロムビア株式会社 (以下「コロムビア」といいます) の取締役を兼任している吉田眞市氏及び阿部敏則氏は、利益相反の疑い回避の観点から、対象者取締役会の上記決議に関する審議及び決議には参加していないとのことです。また、監査役のうち、フェイスの取締役を兼任している佐伯浩二氏は、同様の観点から、対象者取締役会の上記決議に関する審議には参加していないとのことです。
上記対象者取締役会においては、コロムビアの取締役を兼任している上記取締役2名を除く取締役の全員が出席し、出席取締役3名の全員一致で上記決議を行っているとのことです。また、フェイスの取締役を兼任している上記監査役1名を除く監査役3名 (うち社外監査役3名) の全員が、上記対象者取締役会に出席し、上記決議に異議はない旨の意見を述べているとのことです。
本公開買付けによって対象者の発行済普通株式の全てを取得できなかった場合には、当社は、本公開買付け後に、当社が対象者の発行済株式の全てを取得することとなるように完全子会社化のための手続を実施する予定です。

●2. 本公開買付けを実施するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針

当社は、平成12年10月に第二電電株式会社、KDD株式会社及び日本移動通信株式会社の合併により、発足いたしました。発足以来、国内で唯一、固定通信と移動通信を総合的に提供する通信事業者として、au携帯電話サービス等を提供する「移動通信事業」、国内・国際通信サービス、インターネットサービス等を提供する「固定通信事業」を主な事業内容として展開しております。
現在、移動通信市場においては、低廉な料金サービスの提供、スマートフォンを中心とした多種・多様な携帯電話端末、タブレット端末や電子書籍端末、音楽・映像・電子書籍等のコンテンツやサービスの提供等を通じ、お客さま獲得に向けた競争が一段と激しさを増しております。また、固定通信市場におけるFTTHサービスを中心としたブロードバンドサービス等の展開に加え、固定通信と移動通信、あるいは通信と放送の融合が進展しつつあり、更なるサービス利便性の向上、トラフィック急増、オープンなインターネットを前提としたビジネスモデルの多様化やグローバルプレイヤーとの競合等、当社を取り巻く事業環境は大きな変化を迎えております。
当社はこの変化を事業機会と捉え、更なる成長を目指し、新しいビジネスモデルへ移行するために、「もっと身近に!」「もっといろんな価値を!」「もっとグローバルへ!」という3つの事業ビジョンのもと、国内事業の成長戦略として「3M戦略」、海外事業の拡張に向けた「グローバル戦略」を策定しております。
3M戦略とは、「マルチユース (Multi-use)」「マルチネットワーク (Multi-network)」「マルチデバイス (Multi-device)」の頭文字であり、お客さまに、音楽・映像・電子書籍・ゲームなどの色々なコンテンツやサービスを、お客さまが求める利用シーン (マルチユース) で、当社グループが有する携帯電話 (3G/LTE)、FTTH、CATV、WiMAXやWi-Fi等を有機的に結んだネットワーク (マルチネットワーク) により、スマートフォン、タブレット端末、電子書籍端末やPC等あらゆるデバイス (マルチデバイス) をいつでもどこでも快適にご利用頂ける世界を実現していく事業戦略です。
また、3M戦略が創り出す世界において、あらゆるデバイス、ネットワーク及び利用シーンに対応し、オープンな環境で利用可能なプラットフォームの重要性が高まってまいります。その共通利用可能なプラットフォームの中でも、お客さまに便利で安心な魅力ある決済サービスが提供されることは、重要であると考えております。
これまで当社は、au携帯電話を契約しているお客さま向けの決済サービスとして、コンテンツやサービスなどの購入代金をauの通話料金と合算して支払うことができるキャリア決済サービス (auかんたん決済等) を提供してまいりました。しかしながら、お客さまの決済手段に対するニーズは電子マネー、クレジットカードなど多様化しております。また、マルチネットワーク、マルチデバイスの拡大により、お客さまが様々なサービスをご利用頂く機会も想定されます。当社は、お客さまの更なる利便性の向上のために、決済サービスを拡充することが、不可欠であると考えております。
一方、対象者は昭和63年に設立され、平成11年に電子マネー事業を開始し、サーバー管理型電子マネー「WebMoney」の発行・販売及び電子決済サービスを主たる事業として展開しております。
「WebMoney」はインターネット上で提供されるオンラインゲームサービス、音楽・映像等デジタルコンテンツ配信サービスなどの電子商取引における決済機能を有しております。顧客は、コンビニエンスストアやインターネット上で「WebMoney」を購入し、対象者加盟店の各種サービスを利用する際に16桁の英数字から成る固有のプリペイド番号を入力するだけで決済が完了します。個人情報を入力する必要がないため、「かんたん、安全、便利」を特徴としています。対象者の「WebMoney」決済システムの主な提供先はオンラインゲーム市場及びソーシャルゲーム市場の事業者であり、市場の拡大に伴い対象者決済額は増加を続けており、対象者を取り巻く事業環境は今後も成長が期待できるものと考えております。
このような状況の中、当社は、本年1月、対象者の親会社であるフェイスが、対象者の新たなパートナーを検討するために、保有する対象者株式の譲渡を複数の買付候補者に打診したことに始まる入札プロセスに参加し、フェイス及び対象者から提出された対象者の事業・財務・法務等に関する資料の精査、対象者の経営陣との面談等のデュー・ディリジェンスを実施し、対象者株式の取得について分析、検討を進めてまいりました。
当社はフェイスに、かかる分析、検討を経た買付価格を含む本公開買付けに関する条件を提示し、フェイスの選考の結果、本年4月、最終買付者候補者として選定され、その後の交渉を経て諸条件の合意に至ったことから平成23年6月10日に本応募契約を締結いたしました。また、当社と対象者は、同日付で、公開買付賛同契約 (以下「本賛同契約」といいます) を締結しております。
本応募契約及び本賛同契約の概要につきましては、本日東京証券取引所におきまして開示した「株式会社ウェブマネー株券等に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」をご参照ください。

対象者のサーバー管理型電子マネーは、特定のデバイスに依存せず、オープンなインターネット環境で利用され、また、プリペイドにて決済を提供するものであることから、当社のキャリア決済サービスのマーケットや商流、あるいは、顧客セグメントやニーズを補完する位置付けにあります。当社は、対象者をグループ会社化することにより、両社の決済サービスを統合的な決済プラットフォームとして提供することで、インターネットサービスのマーケット全体において、お客さまにとって極めて利便性の高いサービスを実現することができるものと考えております。

(1) 対象者のサーバー管理型電子マネーとキャリア決済サービスの一体化
対象者のサーバー管理型電子マネーとキャリア決済サービスを一体的に提供することにより、対象者のサーバー管理型電子マネーの認知度の更なる向上と利用シーンの拡大を図り、インターネットサービスのマーケットにおける地位確立とシェア向上が期待できます。

(2) auショップでの対象者の電子マネーの販売
当社は、顧客とのタッチポイントとして、全国に約2,500店舗のauショップを運営しております。auショップでの対象者の電子マネーの販売、及びauショップでの販売促進キャンペーンとしての対象者の電子マネーの利用により、対象者の売上の拡大を図ることが期待できます。

(3) 送金事業との連携の可能性
当社は、グローバル送金・決済プラットフォーム事業を推進しており、このプラットフォームと対象者の電子マネーシステムを連携することで、電子マネーで入金し、世界各国に対し現金で送金する事業を構築できる可能性があります。

(4) アジア市場等海外市場への進出
アジア市場では、オンラインゲームの提供事業者等が各々で独自の電子マネーを発行しており、対象者の運営する電子マネーのように、特定の事業者に利用を限定されない、汎用性の高い電子マネーのニーズが今後高まることが想定されます。当社コンテンツ事業のアジアへの展開に併せ、当社決済プラットフォームに対象者の電子マネーを組み込むことで、対象者の更なる事業機会の拡大が期待できます。

以上、当社は対象者を次世代の統合的な決済プラットフォーム構築のために重要な機能を担うことができる存在であると認識しております。対象者を当社の完全子会社とすることにより、統一的かつ迅速な意思決定及び戦略実行を速やかに行うことが可能となります。これにより当社と対象者による相乗効果の最大化を図ることができると考えるに至り、対象者を完全子会社化する方針を決定いたしました。
当社は、対象者を完全子会社化した後は、両社で将来ビジョンを共有しながら積極的な事業展開を図り、利便性の高い決済プラットフォームを構築することで、成長戦略の柱の一つである3M戦略を一層推進する一方、両社協業による相乗効果の極大化を図ってまいりたいと考えております。
なお、今後の対象者の経営体制につきましては、本公開買付けの成立後、当社の指定する者が対象者の役員に選任されるまでの期間においては、対象者の取締役会及び経営会議に対して当社が指定する者2名をオブザーバーとして参加等させることを予定しております。
なお、当社は、本公開買付け成立後、対象者に対して取締役等の役員を派遣することを検討しておりますが、その他本公開買付け成立後の対象者の経営体制の詳細については、対象者の役員の留任可能性を含め、今後対象者と協議・検討の上、慎重に決定する予定です。

詳細につきましては、東京証券取引所におきまして開示を行なっておりますので、ご参照願います。

  • ※ ニュースリリースに記載された情報は、発表日現在のものです。
    商品・サービスの料金、サービス内容・仕様、お問い合わせ先などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

このページの先頭へ