DE&I(ダイバーシティ エクイティ&インクルージョン)
D&IからDE&Iの推進へ
KDDIではこれまで、多様な経験や発想が新たな価値の創出や多様なお客さまのニーズにお応えすることに繋がり、事業の拡大と持続的な成長に貢献すると考えてきました。そこで、2005年から多様性の尊重、推進、活用に取り組み、性別、年齢やバックグラウンドの多様性を高めてきました。その後も、高まった多様な人財のベクトルを統合するようD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)を推進し続けてきました。
昨今は事業領域の拡大に伴い、お客さまのニーズが多様化・複雑化し、激しく変化するようになってきています。そのため、これまで以上に社員一人ひとりの特徴や能力などをお互いに認識し合い、最大限に活躍していくことを促し、お客さまのニーズに応え続けていかなければなりません。そこで、D&Iに公平性(エクイティ)を加えたDE&Iにフェーズアップし、誰もが思いを実現できる環境・風土を構築し、「個々の社員に合わせた支援を行って、公平な土台を作ること」を明文化し、社長が全社員に向けて宣言しました。
様々な属性の社員のスタート地点を合わせ、DE&Iの意識醸成に取り組むことで、多様な人財の活躍に向けた様々な支援を強化していきます。
KDDIのDE&Iの意義・効果
DE&I推進体制
KDDIは、社長を推進の最高意思決定者として、女性活躍、多様な働き方、障がいのある従業員やLGBTQ+※1などの従業員の活躍など全社的に取り組んでいます。
また、「KDDIフィロソフィ」や「KDDI行動指針」にダイバーシティの推進、人権の尊重を明記しており、DE&I推進を経営課題と明確に位置づけています。
- ※1LGBTQ+:L=レズビアン、G=ゲイ、B=バイセクシャル、T=トランスジェンダー、Q=クエスチョニング(自分の性のあり方が自分でもよくわからず、迷っている人や特に決めたくない人)、+=プラス(ほかにもさまざまなセクシュアリティがあるということを示す)など、性的少数者の方を表す総称のひとつ
KDDIのDE&I推進体制
多様な人財の活躍推進
障がい者雇用および活躍推進
KDDIでは、各職場で障がいのある従業員が多数活躍しており、企業で活躍する障がい者のロールモデルとして、ACEアワード参加企業最多の3名の従業員がグランプリを受賞しています。
2008年に設立したKDDIの特例子会社「株式会社KDDIチャレンジド」では、多くの方々が働ける環境を提供できるよう、全3店舗のカフェの運営など、業務や職域の拡大・創出を目指し、障がいのある方の自律と活躍を促進しています。2018年度に雇用が義務付けられた精神障がい者の雇用拡充に向けては、採用前の実習などを通して特性を理解し、それぞれの得意分野で能力を発揮し活躍できるよう、多様な業務の開発に注力し職域の拡大を続けています。なお、KDDIの障がい者雇用率は2.54%※2(2023年6月1日時点)であり、法定雇用率(2.30%)を上回っています。
- ※2KDDIチャレンジド(特例子会社)、KDDIエンジニアリングを含む
障がいのある従業員の就業状況
就業場所 | 業務内容 |
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KDDIチャレンジド | KDDIグループから受託した携帯電話端末の手分解作業、業務用携帯電話の保守業務、経理業務、PCキッティング業務※3、施設管理業務、リフレッシュルームの運営、カフェチャレンジドの運営業務など |
KDDIチャレンジド 大阪事業所 |
清掃作業(午前)、携帯電話端末の手分解作業(午後)、リフレッシュルームの運営、カフェチャレンジドの運営業務など |
- ※3PCのOSセットアップやアプリケーションのインストール作業などを行うこと
障がいのある従業員の支援体制
2016年に施行された「障害者差別解消法」は、事業者に対し、障がいのある方の生活の障壁となる事象をできるだけ取り除く「合理的配慮」を求めています。
KDDIは、障がいのある従業員が、障がい特性に合わせて安定的な職業生活を送れるよう、アンケートに基づく本人への支援に加えて、上司を対象としたガイドブックを提供するなど、就業環境の整備を進めています。
障がいのある従業員への支援事例
施策 | 内容 |
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アンケート調査の実施 | 障がいのある全従業員を対象に、会社生活で不便を感じていることや障がいの状況の変化などについて調査し、意見を反映 |
上司向け対応ガイドブックの提供 | 障がいのある従業員を理解、受容し、個を見たそれぞれの対応や配慮をすることを目的として、上司向けガイドブックを提供 |
「聴覚に障がいのある従業員とのコミュニケーションガイド」の提供 | 聴覚に障がいのある従業員も参加し、手話通訳などの利用ルールや職場での要約筆記のサポート方法などをわかりやすく解説したガイドブックを制作し、社内のイントラネットに掲載 |
ネットワーク形成支援 | 当事者同士による社外セミナーへの参加を通じ、他社障がい者とのネットワーク形成、自己成長の機会を提供 |
聴覚障がいのある従業員向けアプリの導入 | 聴覚に障がいのある従業員への情報保障を充実させる音声翻訳アプリ「UDトーク」を導入 |
LGBTQ+に関する取り組み
日本国内では性同一性障がい者の性別変更に関する法律が施行され、また海外では同性婚が認められる国や地域が増加するなどの動きが見られる一方、人権に対する企業内での理解浸透や対応はまだ十分とはいえません。
こうした実態を受け、KDDIは2013年度からLGBTQ+に関わる社内啓発を行い、従業員の理解と社内への浸透を促してきました。
ALLY(アライ)の増加
KDDIでは、「ALLY」(以下、アライ)を増やす取り組みを進めています。
アライとは、LGBTQ+の理解者・支援者の名称です。LGBTQ+当事者にとってアライの存在は心強く、職場のコミュニケーション活性化にもつながります。アライになることを表明した社員には「KDDI ALLY」ステッカーが配布され、目につく場所に貼ることで、アライであることの意思表示をしています。2023年7月現在、約3,100名の社員がアライの宣言をしており、当事者が安心して働ける職場環境づくりに努めています。また、当事者の想いを知り、より理解を深める場として2020年10月よりアライコミュニティを立ち上げ、約60名の有志社員で活動しています。
その他の取り組み
取り組み | 内容 |
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KDDI行動指針 (基本原則)への規定 |
性別、年齢、国籍などと併せて性的指向、性自認、性表現による理由で不当な差別をしたり個人の尊厳を傷つけたりしない旨を定め、広く社内外に周知 |
理解促進のための 啓発活動の実施 |
LGBTQ+に関する理解向上を目的としたセミナーやeラーニングを2013年度から継続実施 |
配偶者・子の定義の 変更と社内規程の適用 |
同性パートナーを持つと会社が認めた場合、
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就業環境における配慮 | トランスジェンダーの従業員に対し、ワーキングネームの使用、健康診断の個別実施、ユニバーサルトイレの利用を推奨 |
社会における LGBTQ+の理解浸透 |
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au「家族割」などの適用 | 同性とのパートナーシップ関係が公的な証明書により証明される場合に、au「家族割」をはじめとする「家族であること」を利用条件とするサービスを同性パートナーにも適用 |
エルダー人財の活躍推進
KDDIは、人生100年時代に備え、エルダー社員(50歳以上)がイキイキと活躍する仕組みを取り入れています。定年後も働く意欲のある人財に一層活躍してもらえるよう、60歳で定年を迎える社員のうち一定の基準を満たした社員全員が、最長65歳まで嘱託社員として働ける「定年再雇用」制度を設けています。この制度では、職種・業務を本人の意思で選択できるよう公募形式を採用しており、OB・OGがさまざまな職場で自身の経験や能力を活かせる仕組みを取り入れています。
また、50代の社員を対象に、定年後の生き方・働き方について考えるきっかけとなるセミナーも開催(22年度は233名が参加)しています。
さらに、2019年度からは50歳以上の社員を対象とした社内人財公募(2019~22年度の4か年で計228名の異動実績)やキャリア開発支援を開始するなど、エルダー社員の活躍フィールドを一層拡充するための環境整備に取り組んでいます。
外国籍社員の活躍推進
KDDIは、国籍などにとらわれず、個の実力に基づいた評価・報酬で社員の成長を加速させるKDDI版ジョブ型人事制度を導入しています。
また、外国籍社員が日本での就業にあたり必要な手続を行うための支援や、宗教に配慮した礼拝スペースの設置など、個にそった取り組みを行っています。
就業が困難な方々の雇用の促進
KDDIと日本電信電話株式会社(以下、NTT)は、両社で推進する「つなぐ×かえる」プロジェクトの「就職氷河期世代などへの就労・就業支援」に2021年3月から約1年間取り組み、200名超がNTTグループ、KDDIグループ、および受講者自らに適した企業の採用試験に合格しました。
取り組み実績
- 1リモートワークスキル研修の支援:5,800名超(希望者全員)
- 2ICTスキル研修の支援:
[1] スキルカウンセリング:リモートワークスキル研修受講者のうち、希望した3,400名超
[2] オンライン研修によるICTスキル、および資格取得の支援:ICT・通信業界やICTを活用した職種への就業希望者500名(うち321名(2022年3月23日時点)がIT資格を取得) - 3キャリアに関わる支援:ICT活用に関わる業種・職種の採用試験合格 248名