人権尊重への取り組み
KDDIのアプローチ
KDDIグループは、すべての事業活動が人権尊重を前提に成り立つものと認識し、「KDDIグループ人権方針」を定めています。従業員やお取引先さまをはじめ、事業活動にかかわるすべてのステークホルダーの人権を尊重し、人権侵害を防止、軽減する責任があると考えています。
2022年7月にはKDDIとして国連グローバル・コンパクトに加入しました。トップコミットメントのもと、事業活動における人権尊重に取り組みます。
人種・信条・性別・社会的身分・宗教・国籍・年齢・性的指向・性自認・心身の障がい、妊娠・出産などに基づく差別をしないことや、強制労働、児童労働、人身売買など人権を侵害する労働慣行の是正や根絶に取り組んでいます。取り組みにあたってはゼロ・トレランスを基本とし、「国際人権章典」および国際労働機関(ILO)の定める労働に関する国際的な基準※1を人権に関する基本的な方針として理解し、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」や経済協力開発機構「OECD多国籍企業行動指針」などに基づいて方針を策定し取り組みを進めています。役員・従業員の行動の規範となる「KDDI行動指針」では、すべての事業活動における人権と個性の尊重を基本原則として定めています。また、イノベーションの実現など、企業の持続的な成長に不可欠なダイバーシティ エクイティ&インクルージョンについては、「KDDIフィロソフィ」の中に「ダイバーシティが基本」を掲げ、社内理解の浸透を図っています。さらに、情報通信業界特有の人権リスクである「プライバシーの保護」「テクノロジー発展による人権侵害」などについても認識し、リスク特定のためにステークホルダーとの協議を継続的に実施するなど、業界全体を巻き込んだ課題解決に向け、企業の社会的責務を果たしています。
- ※1「労働の基本原則および権利に関するILO宣言」「ILO基本条約」「多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言」を指します。
KDDIグループ人権方針
人権尊重の責任を果たすため、さらに取り組みを加速させるべく、KDDIグループは2022年10月に「KDDIグループ人権方針」を改定しました。本方針は、経営会議および取締役会において付議・承認されたものです。
同改定では、企業に対して人権尊重の責任を求める動きが近年急速に強まっていることも踏まえ、国際規範への準拠や人権デューデリジェンスの継続的な実施、ステークホルダーとの対話などについて明文化しています。
グループ全従業員が本方針にのっとり、「世界人権宣言」などの国際的な基準を尊重し、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいて人権尊重に取り組みます。
従業員・お客さま・ビジネスパートナーなどすべてのステークホルダーの人権の保護に努め、豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献します。
マネジメント体制
KDDIは代表取締役社長が委員長を務めるサステナビリティ委員会(年2回開催)において人権に関する活動方針の策定、推進体制の整備・見直し、目標に対する進捗の確認などを行っています。経営層のトップコミットメントのもと人権尊重に取り組みます。
また、サステナビリティ委員会配下には人権部会(年2回開催)を設置しています。KDDIグループ全体の人権課題を議論し提言する機関として、サステナビリティ経営推進本部長をトップとし、総務本部・人事本部・購買本部・関連事業部門で構成されています。「KDDIグループ人権方針」に基づき、人権尊重の推進に関する協議を行い、人権デューデリジェンスの実施、人権課題に対する施策検討などを通じ、グループ全体にわたる人権尊重に関する取り組みを推進していきます。
体制図
人権デューデリジェンス
KDDIグループは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」にのっとり、人権デューデリジェンスの取り組みにおいて、グローバル企業に求められる人権課題を明確にし、施策の検討に反映させています。
KDDIグループでは、自社の事業活動およびバリューチェーンにおいて継続的に人権デューデリジェンスを実施しています。また新規出資検討時にも人権デューデリジェンスを実施しています。
今後も人権方針に従い、関係部門と連携を行いながら人権デューデリジェンスの仕組みを通じて、対応施策を検討・実施していきます。
人権影響評価
2022年度は自社の事業活動およびバリューチェーンにおける自社従業員、女性、子ども、地域コミュニティなどを対象に外部専門家の助言のもと人権影響評価を実施しました。その結果をもとに当社における人権リスクマッピングを作成し、さらにKDDIグループにおける重要な人権課題の特定を行いました。「KDDIグループ人権方針」にも重要な人権課題を明示しています。人権リスクマッピングは定期的な見直しを実施する予定です。
また事業活動およびバリューチェーンの人権影響評価に加え、新規出資検討時にも企業調査の中で人権に関わる各種方針・管理体制などの整備状況の調査を行い人権影響評価を実施しています。対象範囲は新規ビジネス関係にも拡大されており、この人権影響評価の通過が当社出資基準の一つになっています。
■人権リスクマッピング
■重要人権課題
1 | 従業員の幸福の追求とダイバーシティ エクイティ&インクルージョンの推進 | 差別・ハラスメントの禁止 |
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安全で働きやすい労働環境の整備 | ||
強制労働・児童労働の禁止 | ||
結社の自由・団体交渉権の尊重 | ||
2 | イノベーションを支えるテクノロジーとデータの倫理的な利活用 | テクノロジーの発展が生み出す人権侵害の回避 |
プライバシーの保護と表現の自由の尊重 | ||
3 | 人権に配慮したサービス・商品の提供 | サービス・商品の提供における人権の尊重 |
誰もが使いやすいサービス・商品の実現 | ||
地域社会との調和とサプライチェーン上の人権侵害の排除 | ||
気候変動の進行による人権への負の影響の回避 |
救済への取り組み:苦情処理メカニズム
KDDIでは、事業活動による人権への悪影響を低減・防止し、人権尊重への取り組みを推進するため、幅広いステークホルダーから相談・申告を受け付ける窓口を設置しています。
万一、人権侵害が認められる事例が発生した場合は、迅速かつ真摯に対応する体制を整備しています。
KDDI、KDDIグループ会社の従業員などを対象に、人権問題を含む企業倫理や法令遵守への違反行為などについての相談または申告を受け付ける窓口である「企業倫理ヘルプライン」と社外の専門カウンセラーによる「セクハラ・人間関係ホットライン」を設置しています。「企業倫理ヘルプライン」については社内窓口および外部専門家と連携した社外窓口を通じて、常時、メールや電話で相談や申告を受け付けています(多言語対応窓口あり)。
さらに、職場の悩みなどの相談窓口として社員相談員による「社員相談センター」、人事本部社員による「ハラスメントホットライン」を設置しています。
また、お取引先さまに対しては「KDDIグループ持続可能な責任ある調達ガイドライン」において、強制労働や非人道的な扱い、児童労働、差別の禁止などを明示して理解を促し、実践をお願いしており、KDDIおよびKDDIグループ会社のお取引先さまの従業員などを対象とした申告窓口として「お取引先さま向けヘルプライン」を設置しています。
すべてのステークホルダーが相談・申告でき、いずれの窓口においても、相談者のプライバシーや通報者の保護に十分配慮し、匿名での申告も受け付けています。また「公益通報者保護法」にのっとり、相談・通報したことを理由に不利益な扱いを受けないよう守秘義務を徹底し、相談者・申告者の保護に努めています。
なお、人権への影響を引き起こした、または人権への影響を与えたことが確認された場合、KDDIは影響を受ける当事者を救済することを約束します。
KDDIグループカスタマーハラスメントに対する方針
KDDIグループ人権方針で掲げている重要人権課題「安全で働きやすい労働環境の整備」に対する取り組みを一層強化するため、「KDDIグループカスタマーハラスメントに対する方針」を策定しました。カスタマーハラスメントに適切に対応することにより、引き続きお客さまの期待に応え、よりよいサービス・商品の提供に努めます。
従業員への啓発活動
KDDIおよび国内グループ各社は、「KDDIグループ人権方針」「KDDI行動指針」に基づき、役員研修、新入社員入社時研修、各階層へのコンプライアンス研修において、人権への意識啓発を行っています。KDDIは、ビジネスと人権に関するeラーニング研修やハラスメント防止に関するセミナー(全ライン長対象)のほか、「ハラスメント防止ガイドブック」のイントラネット公開などの啓発活動を実施しています。
人権リスクの改善
人権リスクの緩和計画
2023年度 | |
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人権リスク緩和のプロセス | [1] リスクマネジメント活動による各拠点でのセルフチェック |
[2] セルフチェック結果から潜在リスクのある拠点を抽出し、現状調査を実施 | |
[3] 潜在リスクのある拠点における人権リスクへの是正措置を確認 | |
[4] 対象拠点が人権を尊重した職場環境を整備 | |
人権緩和計画のある拠点数 (2023年度) |
44拠点 |
実施された取り組み | 各拠点へのヒアリング、全社でのE-learning研修、社内イントラでの情報発信 |
人権リスクの救済・是正措置
2023年度、2件発生のハラスメントに関して、救済・是正措置を行いました。
具体的には以下の通りとなります。
- 被害者に対する不利益がないように事実関係の調査を行い、社内規定に従って適切な対応を行いました。
- 全従業員に対してハラスメント防止研修を実施しました。