安全で強靭な通信環境の提供
KDDIのアプローチ(ネットワーク品質の管理・向上)
いつでも、どこでも、快適に携帯電話・スマートフォンおよび固定電話・固定データ通信をご利用いただける通信環境を提供することは通信事業者の使命です。携帯電話の基地局や固定電話の交換機といった通信インフラの品質管理・向上から次世代ネットワークの構築まで、一つひとつ真摯に取り組むことで安心・安全な通信サービスを提供していきます。
ネットワークサービス品質管理体制
KDDIは、光ケーブルや基地局、伝送交換設備などの通信設備を多数保有し、全国に設置したネットワークセンターなどの運用部門で保守・管理を行っています。
全国の通信状況は東京、大阪に設置している2つのオペレーションセンターにおいて24時間365日体制で集中監視しており、障害が発生した際には適切な通信制御を行うとともに、全国の保守部門と連携して復旧措置を行います。サービス品質に関しては、組織横断のマネジメント体制のもとで、独自に定めた厳しい品質管理基準に従い、分析・改善を繰り返すことで、常に高品質で安定した通信サービスの提供に努めています。
さらにKDDIは、電気通信設備の容量設計、機能冗長化、設備の分散配置を行い、機能安全の考えに基づく作業手順を確立し、年間2万件におよぶ訓練を実施しています。
ネットワーク中断状況の頻度と期間
KDDIは、ネットワーク障害やメンテナンスなどにより、お客さまにご不便をおかけする通信・回線状況が発生した場合には、ホームページの「障害・メンテナンス情報」ページにてお知らせしています。
サービスエリアの拡大(基地局の整備)
KDDIは、「命・暮らし・心をつなぐ」を合言葉に24時間365日、安定した通信・通話環境の提供を使命とし、auの4G LTE 通信網(800MHzプラチナバンドほか)に加え、全国の5G通信網の構築に着手して、より快適な通信環境の提供を目指しています。5Gは低遅延・大容量の最先端な通信環境として多くのお客さまからご期待いただいており、全国展開をさらに加速していく計画です。また、KDDIは日本で初めてSpaceX社が提供する非静止衛星通信を利用した衛星通信「Starlink」サービスの導入を図っており、高速・大容量通信をau基地局のバックホール回線として活用、山間部や離島でのau携帯電話での高速インターネット通信の実現に繋げます。
さらに、混雑した場所や空港、商業施設、イベントホールなどの屋内対策も進めており、スマートフォンや携帯電話を安心してご利用いただけるよう今後も努めていきます。
基地局設置と地域の皆さまへの対応
KDDIは、携帯電話・スマートフォンをご利用のお客さまへ安定した通話・通信環境を提供し、豊かで安全、便利な暮らしの一助となるために、エリア品質改善や新しいサービスへの対応に必要となる基地局の設置を全国各地で行っています。安全で確かな設計と施工を行うために、基地局設置の際には、電波法、建築基準法など、各種関連法令ならびに各自治体の条例、指導要綱などを遵守しています。設置工事は、十分な実績を持つ指定工事会社によって、万全の安全管理体制を確立して実施しています。また、設置工事の際、近隣の皆さまへ工事車両の通行や騒音などによるご迷惑をおかけすると思われる場合や、基地局に関するお問い合わせなどをいただいた場合には、当該基地局の概要や設置工事の内容などに関するご説明を行い、基地局の設置に、ご理解とご協力をいただけるよう努めています。
電波の安全性について
KDDIのアプローチ(方針)
KDDIは、日本国内で提供する携帯電話端末および基地局に関する電波の安全基準として、電波法令の規定を遵守し、電波防護指針を下回る電磁波レベルで運用しています。
体制
総務省では、より安全に電波を利用するために、「電波防護指針」を策定し、この指針に基づく規制を導入しています。この電波防護指針は、世界保健機関(WHO)が支持している国際的なガイドラインと同等であり、世界各国の研究結果により安全な範囲とされる数値をもとに十分な安全率を見込んで定められたものです。この指針値を満たせば安全性が確保されるというのがWHOなどの国際機関における専門家の共通認識となっています。
KDDIは、電波法に定められた電波防護指針や建築基準法など、各種関係法令ならびに各自治体の条例に基づく手続を遵守して基地局を設計・施工するとともに、設備の保守・点検を定期的に実施して、基地局から発射される電波の安全性に懸念が生じないよう、細心の注意を払って運用しています。また、地域住民の皆さまには、基地局設備から送信される電波は、日本の電波防護指針で定められている電波防護基準値を遵守していることをご説明しています。
携帯電話端末においても、電波法令に定められた電波の強度および電波の人体吸収量に対する許容値を遵守したものをご提供しており、ホームページ上で情報を開示しています。
電波の安全性を確保するための研究について
KDDIは、2002年11月より株式会社NTTドコモ、ソフトバンク株式会社と共同で、携帯電話の電波が生体に与える影響を評価するため、ヒト由来の細胞を用いて実験を行いました。2005年には一部の実験結果について中間報告を行い、2007年に「細胞レベルおよび遺伝子レベルでの電波の生体への影響は確認されなかった」という最終報告を行いました。この研究は、電波が細胞構造や機能に影響を与えてガン化するという主張を否定する科学的証拠の一つになるもので、基地局からの電波の安全性について改めて検証できたといえます。
また一般社団法人電波産業会(ARIB)電磁環境委員会が行っている、携帯電話の電波の安全性に関する調査・研究活動にほかの携帯電話事業者と共に参画し、積極的な対応を行っています。調査・研究活動の詳細については、電磁環境委員会のホームページ「くらしの中の電波」にて情報を開示しています。
今後も、携帯電話の電波が人体や医療機器などへ及ぼす影響に関し、関連団体などで実施される研究・調査・実験に積極的に関わっていきます。なお、電波の安全性に関する国内外の研究動向などについては、当社ホームページなどで関連の情報を提供するとともに、皆さまから電波の安全性などに関するお問い合わせをいただいた場合には、十分な説明を行いご理解いただけるよう努めます。
KDDIが所属および研究に協力している団体
所属 | 一般社団法人電波産業会 電磁環境委員会および電波環境協議会 |
---|---|
所属 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 NICT/EMC-net 人体の電磁界ばく露評価研究会 |
所属 | IEC/TC106 高周波国内委員会 基地局周辺電磁界評価法ワーキンググループ |
研究協力 | Mobi-Kids Japan(携帯電話の健康影響調査研究) |
快適なご利用環境の提供「電波サポート24」
KDDIは、お客さま一人ひとりへのきめ細かな品質改善の取り組みとして、au 携帯電話をご利用のすべてのお客さまを対象に、電波に関するお困りごとのサポートサービス「電波サポート24」を提供しています。
このサービスは、お客さまからご自宅の電波改善依頼のお申し込みをいただいてから24時間以内に訪問調査のご連絡を行い、後日、電波サポーターがお客さまのご自宅にお伺いして、電波調査および電波改善機器(「auフェムトセル」「auレピータ」)の設置などにより、電波環境の改善を行うサポートサービスです。「ご自宅」だけでなく、「屋外」や「オフィス・飲食店」などの改善要望も受け付けています。また、ご利用環境やお客さまのご要望に合わせ、機器配送による対応も実施しております。
2022年度は、訪問および機器配送により、約1.4万件の電波環境改善策を提案しました。
今後も、auで良かったと思っていただけるよう、お客さまに寄り添ったサービスの提供、通信エリアの改善に努めていきます。
なお、「電波サポート24」はUQ mobile、povoをご利用のお客さまにも提供しています。
次世代・高速通信に向けての考え方
スマートフォン・携帯電話などの通信を支えるモバイルネットワークは、時代やライフスタイルの変化に合わせ、第1世代(1G)から第4世代(4G)まで進化してきました。お客さまに、いまよりもさらに高速で安定した通信サービスを提供し、ICTネットワーク・インフラストラクチャの変革を飛躍的に進展させるため、KDDIは第5世代移動通信システム(5G)の研究開発、活用に取り組み、2020年3月26日より「au 5G」のサービス提供を開始しました。
5Gは、高速・大容量通信に加え、低遅延、多接続を実現するネットワークです。スマートフォン・携帯電話をはじめ、あらゆる“モノ”がネットワークにつながることで、新たなサービスの創出や社会課題の解決など、Society5.0(創造社会)の実現に貢献していきます。
KDDIの中期経営戦略(2022-24年度)では、事業戦略を「サテライトグロース戦略」と位置付けました。本格化を迎える5Gをセンターに置き、通信事業の進化と、通信を核とした注力領域であるDX(Digital Transformation)、金融、エネルギー、LX(Life Transformation)、地域共創(CATV等)を拡大していきます。
サテライトグロース戦略の成長のカギとなるのは「5G通信」です。KDDIは、あらゆるシーンに通信が溶け込むことで、多様なパートナーとともに新たな価値が生まれる時代を目指します。
5G通信の基盤であるエリア構築にあたっては、より多くのお客さまに快適にご利用いただくため、生活導線に沿ってエリアを強化し、日本全国に拡大しております。
2023年4月13日からはauのお客さま向けに5G SA(スタンドアローン)サービスの提供を開始しました。5G SAは、コア設備や基地局なども含めて5G専用の技術と設備で構成した5Gサービスです。5G SAにより、5Gの高速・大容量の通信に加え、将来的にネットワークスライシングなどの機能を活用した新たなサービスを利用できるようになります。
KDDIは、通信が溶け込む時代に最適な通信基盤・IoTの運用管理ノウハウをさらに進化させ、パートナーとともに新たな価値を創造してまいります。将来的には、5Gプラットフォームを活用し、ネットワークスライスにより業界ごとに適したソリューションを提供し、お客さま企業のDXを加速していきます。
5Gに向けた実証実験
デバイスの進化、IoTの普及などにより、モバイルネットワークにはこれまでの想定を大きく超える性能が要求されています。KDDIは、高速・大容量に加え、多接続・低遅延が可能になる第5世代移動通信システム(5G)の提供を通じて、業種・業界の垣根を超えたビジネスの可能性を追求し、パートナーとともに実証実験に取り組んでいます。
次世代の社会基盤インフラとなる5Gを積極的に展開し、さまざまなパートナーとの共創によるビジネス開発、スタートアップ企業の斬新なアイデアや先進的なテクノロジーを取り入れたオープンイノベーションによって、新たな体験価値を創造するとともに、5Gを地域共創事業でも積極的に活用していきます。
当社は、5Gの特長を生かしたサービス提供に向けて、商用環境でスタンドアローン構成の5G(5G SA)通信試験を2021年9月から開始し、2022年2月からは法人企業様向けのサービス提供を開始しました。5G SAの本格化とともに新たな価値提供の場が拡大します。ネットワークスライシングによりユースケースに応じた安定通信が可能となり、オープン化や仮想化によりネットワーク運用にも進化がもたらされます。
2023年には放送事業者とともに、5G SA商用ネットワークでSLA保証型ネットワークスライシングを活用した地上波放送の番組制作活用の実証試験に成功しました。本実証では、従来と比較し簡易な設備構成で、安定的に中継可能であることを確認しました。これにより今後、映像制作・中継の幅が広がることが期待できます。これらの技術は、ネットワークスライスの本格展開に向けてさらに進化させると共に、お客さまとのビジネスの発展に貢献していきます。
5G SAサービスの提供に向けた取り組み
海外渡航時のご利用環境の提供
1953年3月の国際電信電話株式会社(KDD)設立以来、70年以上の国際電話サービスで培った海外通信事業者とのパートナーシップを活かし、海外でも安心してauのスマートフォン・携帯電話をご利用いただけるよう、160以上の国・地域でデータ通信を定額で使える「世界データ定額」サービスおよび音声サービスを提供しています。
「世界データ定額」サービスにおいては、海外渡航前に日本国内でご予約いただくことで、海外現地での利用開始操作が不要で、より安価な料金でご利用いただける「早割」コースを2020年2月から提供開始しました。
KDDIは海外渡航時にも安心して、快適に通信サービスをご利用いただける環境の提供に今後も取り組んでいきます。