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福井県小浜市「鯖、復活」養殖効率化プロジェクトの今
2017年にはじまった「鯖、復活」養殖効率化プロジェクトの今。
2年後の2019年、どんな進化を遂げているのか。次の一手とは。
今までの取り組み
小浜市では、近年漁獲量の減った地元産の鯖の復活、かつての街の賑わいを取り戻そうと、難しいとされる鯖の養殖への挑戦-「鯖、復活」養殖効率化プロジェクト-に取組んでいます。
KDDIは、地元の自治体、学術機関、企業と産学官が連携するこのプロジェクトに2017年より参画しています。
出荷尾数、3倍に増加
2017年のプロジェクト開始から出荷尾数は3倍に増加しています。いけすの数を増やし販路を拡大することで、2019年にはついに1万尾を超えました。酒粕を餌に混ぜることで「小浜よっぱらいサバ」と名付けられた鯖は県内はもちろん、関東、関西に出荷され、ブランドサバとしての知名度も拡大しています。
当初は市直営の養殖事業でしたが、2019年1月から地元住民らが発起人となって設立した田烏水産株式会社に事業を移譲し、民間が主体、かつ地元本位の事業としてますますの拡大が見込まれています。
AIを活用し、さらにおいしい鯖へ! -KDDIの役割-
2019年からは、養殖事業のさらなる効率化を目指して新たな取組みが始まりました。
これまで、生育環境を見える化するためIoTでつながったセンサーを設置し、いけすの水温、酸素濃度、塩分を自動測定し、漁師さんによる給餌記録をクラウド上で管理することで、給餌計画の立案に活用してきました。今後は、蓄積されたデータをAIを使って分析することで、環境が鯖の生育に与える影響を明らかにし、飼育方法を高度化することを目指しています。
養殖事業の最適化を目指して
さらに、KDDIと協働する地元の福井県立大学では新たに、自発給餌システム (注2) を用いた給餌量管理と、水中カメラによる魚体サイズ推定 (注3) に取り組んでいます。
魚が「食べたいときに食べたいだけ」餌を食べられる仕組みにより魚の摂餌行動を明らかにし、これまで行われていなかった養殖現場での成長管理を行うことで、労務の削減、魚へのストレス軽減により、鯖をさらにおいしく、効率よく育てる養殖事業の最適化モデル創出を目指しています。
担当者さまインタビュー
2017年から今までの成果に対しての感想
微生物の研究者として2017年に酒粕入りの餌の試作などに取り組み、その後養殖そのものに携わるようになって今に至っています。その中で、KDDIさま、福井県立大学さまと出会え、今や第一次産業全体にとって不可欠になりつつある情報技術の応用へのトライをさせていただいており、研究を志す者としても刺激的な日々を過ごしています。
今後の課題
生産現場を効率化させることを、品質・市場競争力の向上に結び付けていくことで、サバ養殖事業を次世代に引き継いでいけると考えています。KDDIさま、福井県立大学さまと共に具体的な目標を定めつつ、IoTやAIの応用研究を進めていきたいと考えています。
KDDI担当から
KDDIが2017年より本プロジェクトに参画してから3年目になりますが、鯖、漁業の世界は奥深く、いまだ現地を訪れ関係者の皆さんと言葉を交わす度、毎回、新たな発見、気づきがあります。
2019年からは、徳島県海陽町のカキ養殖の現場でもIoT導入を開始し、小浜市の事例を参考にした取り組みは他地域にも広がりつつあります。
漁師さんの培った経験とノウハウ、先端技術であるIoTが掛け合わさることで、自然、生き物を相手に人間に出来ることの幅を広げ、養殖漁業をより効率化し漁業を将来にわたって持続可能な産業にすることが、我々の目指す姿です。
「美味しい魚が食べ続けられる未来を実現したい」の一念で今後も現地の皆さんと一体となりチームでの鯖養殖に取り組んで参ります。
続く「復活」
ブランドサバとしての確立
出荷される養殖鯖は鯖街道でつながる京都の酒粕をえさに混ぜていることから「小浜よっぱらいサバ」と命名されています。2019年のぐるなび調査では、養殖サバ独特の生臭さがなく刺身でもおいしいブランドサバとして全国ブランドサバ知名度ランキング6位、養殖鯖としては2位に選ばれました。
社会科の資料集に掲載
「つくり育てる漁業」の代表例として本プロジェクトが小学5年生向け社会科資料集に掲載されました。
また、小浜市では、3月8日を「さ (3) ば (8) の日」としており、市内小学校では「小浜よっぱらいサバ」が給食で振る舞われます。小浜の鯖は「ソウルフード」として地域で親しまれています。
掲載: 日本標準 社会科資料集5年
2020年4月1日発行
自治体さまプロフィール
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