知的財産マネジメント

KDDIは、知的財産をはじめとする無形資産を重要な経営資源と位置付け、サステナビリティ経営の実現に向けた知的財産活動を推進しています。

1. 通信を核としたイノベーションの推進

当社は、相互接続性の必要な通信技術を協調領域と位置付けて標準化を推進する一方、サテライトグロース戦略(5G通信、DX、金融、エネルギー、LX、地域共創(CATV等))のサービス分野については競争領域として差別化を図る「オープン&クローズ戦略」を推進しています。
標準化については、これまで培った通信技術、経験を基に5G/Beyond 5Gの研究成果の標準化を進めるとともに知的財産の取得を強化しています。
サテライトグロース戦略については、短期と中長期のビジネスモデルを想定し、それぞれのビジネスモデルにおける競争力・差別化につながる知的財産を戦略的に取得しています。
また、KDDIのIoT累計回線数は、社会インフラ(コネクティッドカー、電力やガスのスマートメーターなど)とグローバルの領域で大きく伸長し、2022年12月にKDDI単独で3,000万回線を突破し、国内ではトップシェアになっています。これは、約20年の運用実績において培った商品開発および保守管理などのノウハウが大きく寄与しています。今後もサテライトグロース戦略の実現のため、イノベーションをさらに推進していきます。

累積保有特許件数とパテントスコアの推移

累積保有特許件数とパテントスコアの推移
  • パテントスコアは、株式会社パテント・リザルトのBiz Cruncherを使用し、KDDI作成。年度単位ではなく、年単位にて算出

サテライトグロース戦略における特許事例

  • povo:特許技術により、データや通話をトッピング(追加)できるスマホプランを提供(特許7076934号)
  • スマートドローン:特許技術により、仕様の異なるドローンごとに最適なドローン操作画面を生成(特許7116235号)

2. ブランド価値の向上

KDDIでは、“お客さま・社会にとってどのような存在になりたいか”を「Tomorrow, Together」というブランドメッセージとして定義し、つなぐチカラの進化で、お客さまやパートナー、社会とともに、未来へ向かって持続的に発展・成長していくという思いを表現しています。ブランドメッセージを体現するコーポレートブランド活動として、「KDDI VISION 2030」実現に向けた取り組みを発信するオウンドメディア「KDDIトビラ」、ブランド体験施設「KDDI MUSEUM」「GINZA 456 Created by KDDI」などのさまざまなお客さま接点を通じて、KDDIに対する共感や期待を強化しています。
また、事業ブランドauでは、サービスの魅力を多様な接点で伝え、ブランド想起やブランドイメージの向上を実現しています。auのCM「三太郎」シリーズでは、ブランド価値を親しみやすくお伝えし、「2022年度 銘柄別CM好感度ランキング」(CM総合研究所)の「BRAND OF THE YEAR 2022」にも選出され、CM好感度No.1ブランドとして8年連続の受賞となっています。今後もさらなるコーポレートブランドの価値向上を図ります。

3. 事業共創のためのパートナーシップの深化

「サテライトグロース戦略」では、KDDIの強みである5Gとシナジーのあるサービスの拡充を進めています。サービスの拡充には、多様なパートナーの皆さまとのコラボレーションが必要となるため、パートナーシップの深化を図っています。
例えば、通信以外のBtoC向け新規事業・サービスは、過去5年間で30件以上の商用化を実現しており、これらの多くは大企業やスタートアップなどのパートナーとの事業共創の成果です。

BtoC向け新規事業・サービス(累積)

BtoC向け新規事業・サービス(累積)
  • グラフの内訳は、各事業・サービスが属するサテライトグロース戦略の領域

こうした事業共創を創出するためのプラットフォームとして、法人のお客さまと新規ビジネスを共創する「KDDI DIGITAL GATE」、大企業連合でスタートアップの成長を支援し事業共創を目指す事業共創プラットフォーム「KDDI ∞ Labo」、KDDIグループがスタートアップの成長を支援するコーポレートベンチャーキャピタル「KDDI Open Innovation Fund」などがありますが、こうしたプラットフォームについても新規事業を創出するための重要な無形資産と位置付けています。
今後も事業共創のためのパートナーシップの深化を図っていきます。

各事業共創プラットフォームの取り組み状況

KDDI DIGITAL GATE 大企業との共創事業を含むDX案件 88件(2018年の設立から2022年度まで)
KDDI ∞ Labo スタートアップ388社が大企業77社(大企業連合)とビジネスマッチング(2022年度実績)
KDDI Open Innovation Fund スタートアップ134社に出資(2023年7月7日時点)

4. KDDIグループの知的財産活動の強化

新規事業の創出と事業競争力の強化には、共創相手であるグループ会社やスタートアップの成長が不可欠との考えから、グループ会社や出資先スタートアップの知的財産活動(発明発掘、特許侵害調査、IPランドスケープなど)の支援を推進しています。
こうした支援の取り組みが認められ、2019年度に知財活用企業(オープンイノベーション推進企業としては初)として「知財功労賞」(経済産業大臣表彰)を受賞しました。
今後も新規事業の創出と事業競争力の強化のために、KDDIグループの知的財産活動の強化を図っていきます。

グループ会社・出資先スタートアップへの知財活動支援

グループ会社・出資先スタートアップへの知財活動支援

知的財産活動の支援先(グループ会社・出資先スタートアップ)の企業数推移

知的財産活動の支援先(グループ会社・出資先スタートアップ)の企業数推移
  • グラフの内訳は、各事業・サービスが属するサテライトグロース戦略の領域