マテリアリティ4
ガバナンス強化による
グループ経営基盤強化

提供価値6 KDDIグループ全体の経営基盤強化

KDDIグループ全体のガバナンス強化による強固な経営基盤の確立を通じて、社会・環境価値を創出する

強み
  • 企業理念、KDDIフィロソフィの理解浸透、KDDI行動指針の遵守による高い倫理観の維持
  • 高度なセキュリティ技術によるお客さまプライバシーの保護徹底
24.3期の主な成果

サステナビリティ中期目標の進捗

グループ全体の情報セキュリティ強化を推進。重大事故ゼロ継続、先進技術取り組み件数23.3月期7件、24.3月期12件、26.3月期23件目標。

24.3期の取り組み事例

※ 所属・内容等は取材当時のものです

安心・快適なデジタル社会を支える
―KDDIの「プライバシーガバナンス」

KDDIは2020年、お客さまのプライバシー保護を統括する専門組織を設置しました。情報漏えいや盗難のリスクを回避する情報セキュリティ対策に加え、プライバシーガバナンスの強化に乗り出した背景には、KDDIのサービスに対するお客さまの信頼・信用を高いレベルで維持する狙いがあります。

お客さまのパーソナルデータを適切に取得・管理し、有効活用につなげる上で中心的な役割を担っている技術が、「同意管理(Privacy Policy Manager:PPM)」のシステムです。このシステムはクラウド型サービス「KDDI IDマネージャー 同意管理機能」(KDDI PPM)として提供しています。

PPMを使うことにより、ユーザーは安心してサービスの利用を始めることができ、サービス提供側も、ユーザーの同意に基づくかたちで安心安全にパーソナルデータの活用が推進できます。

さらに、KDDI PPMはデータ分析・活用の基盤と容易に連携させることができ、ユーザーによる同意内容に基づいてデータを抽出し、分析をかける作業も合理化できます。

KDDI PPMの法人による活用イメージ

KDDI社内でも、PIA(Privacy Impact Assessment、プライバシー影響評価)の実施に加え、新規サービスにおいてもお客さまによる同意内容をリアルタイムにデータ分析・活用の基盤に反映させ、同意が取得できているデータに対してのみ、分析・活用を図るというプロセスが出来上がっています。これにより、お客さまの同意のないデータを分析・活用してしまうミスが回避でき、パーソナルデータの活用を巡るお客さまの安心感、信頼につながっていきます。

経営戦略本部 Data&AIセンター 
樋口 裕貴

Beyond 5G/6G時代の高速通信に
対応した暗号技術の研究開発

私たちが日常的にインターネットを利用する際、その内容のほとんどが暗号化され、プライバシーが保護されます。

現在、AES※などの標準技術を使用しており、最大で30Gbps程度の速度で暗号処理が行われています。一方で、モバイル通信やIoT機器で利用される現在の5G通信速度は最大10Gbps程度ですが、Beyond 5G/6Gでは通信速度が100Gbpsに達する見込みです。そのため、暗号化処理の速度を向上しないと、Beyond 5G/6Gの通信性能が十分に発揮できなくなります。この課題を解決するため、KDDI総合研究所では新しい暗号方式「Rocca-S」を開発しました。

Rocca-Sは、2024年7月時点で世界最速の2Tbpsを達成しています。暗号の世界では構造を変えるだけで速度性能が大幅に変わるため、最適な暗号構造を見つけることが重要です。Rocca-Sでは、1,300万パターンもの中から最適な暗号処理の組み合わせを選択することで高速化を実現しています。これにより、Beyond 5G/6Gにおけるデバイスとサーバ間のプライバシー保護が実現可能になります。

  • AES(Advanced Encryption Standard):Wi-Fiやインターネットなどの通信データの保護に標準的に用いられている暗号方式

Beyond 5G/6G環境でのRocca-S暗号化通信

暗号の設計では、安全性が何よりも重要です。また、性能と安全性を両立することは非常に難しい課題です。Rocca-Sの研究開発において、膨大な量の暗号構造の中から最適な暗号構造を見つける工程は非常に困難でした。今後は、Rocca-Sの国際標準化に向けて取り組み、KDDIの暗号を6G時代の標準暗号として、世界中で幅広く活用していただくことを目指します。
引き続き、通信技術のさらなる進化や信頼性の向上に貢献できる研究開発を推進していきます。

KDDI総合研究所 セキュリティ部門
 仲野 有登(左)
 福島 和英(右)

提供価値7 人権の尊重

あらゆる事業活動において人権を尊重するとともに、サプライチェーンでの人権侵害を撲滅し、社会の持続的成長に貢献する

強み
  • KDDIフィロソフィをベースとした経営による、人権を尊重する企業文化
  • 責任ある調達活動の実施による持続可能なサプライチェーンの構築
24.3期の主な成果

サステナビリティ中期目標の進捗

人権を尊重した事業活動を推進。人権侵害の恐れがある高リスク取引先の対応率24.3期75%から25.3期以降100%を維持目標。
人権を尊重した事業活動を推進。人権侵害の恐れがある高リスク取引先の対応率24.3期75%から25.3期以降100%を維持目標。

24.3期の取り組み事例

※ 所属・内容等は取材当時のものです

リスクマネジメント活動への
人権リスク組み込みによる
人権影響モニタリング

KDDIグループでは24.3期よりリスクマネジメント活動に人権リスクを組み込むことによる人権影響のモニタリングを実施しています。具体的には、KDDIグループ人権方針に掲げる重要人権課題の各項目について、自社の事業活動における人権リスクの有無や改善状況を、各拠点における自己評価に基づきモニタリングするものです。

また、心身不調の予兆者の早期発見、適正な勤務管理の徹底、健全で安心な職場環境の構築を目的とした全社員面談の実施、取引先に対するサステナブル調達アンケートの実施により、全社およびサプライチェーン全体での人権尊重活動を推進しています。これらの人権尊重活動は、人権部会(半期ごとに開催)にて実効性の評価を行います。25.3期においては、各組織の取り組みをより正確に評価できる運用とすることでモニタリングの高度化を目指します。

リスクマネジメント活動での人権影響のモニタリングは、人権担当者だけでなく各組織において人権リスクを認識してもらうきっかけになる重要な取り組みだと感じています。KDDIとしてAIやデータの利活用を推進すると同時に、テクノロジーの発展で起こりうる新たな人権リスクへの対応も進め、安定的に事業活動が行える環境維持に努めていきます。

サステナビリティ経営推進本部
 サステナビリティ推進部
 三室 志帆

サステナブル調達活動の推進による
人権リスクの把握と改善

サプライチェーンにおける人権等のリスク把握と改善のため、取引先向けにサステナブル調達アンケートを実施しています。24.3期からは、日本電信電話株式会社、ソフトバンク株式会社と連携してアンケートを標準化し、3社共通のSAQ(Self-Assessment Questionnaire:自評価調査)として各社のサプライヤーエンゲージメント活動に取り入れています。

KDDIグループでは24.3期、重要な一次取引先に対してアンケートを実施し、目標回収率90%に対して、95%の高い回答率を得ました。
人権リスクの把握にあたっては、アンケートにより取引先における人権関連規程の整備や救済措置としての苦情処理メカニズムの整備状況などを確認しています。その結果、高リスクと判断された取引先には、個別のヒアリングによる詳細確認や改善提案による支援など是正対応を実施しています。情報開示の重要性を理解いただくことや取り組み改善に向けた継続的なフォローアップにより、取引先における人権デューデリジェンスのPDCAサイクルの自走を支援しています。

25.3期からは通信事業者間の連携をさらに強め、3社共通の取引先向けサステナビリティハンドブック、温室効果ガス自社排出量の可視化ハンドブックの提供の他、合同での取引先監査も計画しています。
今後もサプライチェーン上の社会的責任を果たし、持続可能な調達活動を推進していきます。

当社は人権に関する方針・規程が整備されていない取引先に対し、対話や支援を通じて人権意識の底上げを図り、サプライチェーン全体でのリスクの排除に努めています。取引先の人権デューデリジェンス実施状況に応じて、当社のノウハウの共有や支援を行うことにより改善へ導いています。今後も取引先との双方向のコミュニケーションを行いながら、サプライチェーン全体のサステナビリティ向上を目指していきます。

購買本部 購買統括部
 山中 厚子(左)
 志津田 翔一(中)
 新谷 陽一郎(右)