2009年3月期決算説明会 (質疑応答)
質問者1
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- プレゼン上で「チャレンジ2010」について触れていないが、アップデートはしないのか? 2011年3月期の売り上げ4兆円、営業利益6,000億円および固定通信事業の黒字化はどうなるのか?
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「チャレンジ2010」の売り上げと利益目標達成は残念ながら不可能だと考えている。策定時からさまざまな状況変化があるにせよ、当初見通しに誤りがあったと認めざるを得ない。したがって今回は、2011年3月期での売り上げ4兆円、営業利益6,000億円の目標は取り下げることにしたが、固定通信事業の黒字化は堅持する。来期 (2011年3月期) 以降、移動通信事業は売り上げ、利益の大幅な増加が難しいが、固定通信事業はいったん利益が出るようになった場合の増収増益効果は大きい。
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- 株主還元に関し、現状はキャッシュが必要な時期との見解だが、設備投資の今期 (2010年3月期) 見通しは減少しており、増やすことは可能ではないのか? また、LTE導入までに一段落ち着いた際の設備投資水準はどのくらいになるのか?
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配当については、前期 (2009年3月期) のフリー・キャッシュ・フロー (以下FCF) がマイナスとなっており、今期も割賦債権が増加するので決して大きな数字にはならない。したがって、前期は11,000円、今期についても据置させていただいている。配当性向20%は守るが、現時点で25%、30%と言明するには時期尚早である。なお、来期以降の設備投資は、これから精査していく段階であり、来期以降の正確な見通しは立てていない。しかしながら、いずれは減価償却費の範囲内に収まると見ている。
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- 「チャレンジ2010」の取り下げに際して、計画の見直しは発表しないのか?
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2011年3月期は1年後であるため、現段階で来期見通しをお話するのは時期尚早である。
質問者2
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- 現行800MHz帯設備の耐用年数を変更 (9年定率 → 4年定率) し、加速償却をさらに進めたことによる前期の減価償却費の増加額は? また現行800MHz帯設備とひかりoneホーム100設備の減損損失が今期以降に与える効果はどのくらいか?
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現行800MHz帯設備は、2012年7月に停波するのに併せて、今回耐用年数を9年から4年に変更している。これに伴う前期の減価償却費の増加は100~200億円の水準。なお、前期は特別損失を合計で827億円計上しており、この大半は現行800MHz帯設備とひかりoneホーム100設備などの減損損失である。いずれも今期以降の減価償却費減少につながるものの、今期については現行800MHz帯設備の耐用年数の変更による増分により、前期に対する増減影響は軽微となる。したがって現行800MHz帯設備の減価償却費減少の効果は来期 (2011年3月期) からと見ている。なお、ひかりoneホーム100設備に関する効果は今期から出てくる。
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- 前期実績および今期見通しの設備投資が減っている理由は?
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設備投資において、各種コスト削減を進めている効果が出ている。特に基地局単価が減っており、今期も基地局の建設数が前期比で増加しているものの、単価低減の効果もあり、設備投資額は減少すると見ている。
質問者3
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- 今回配当性向を20%維持としているのはなぜか? 高水準の設備投資、分割払い導入による割賦債権の発生などによりFCFが厳しいとの事だが、バランスシートは非常に健全である。また「チャレンジ2010」の前提が成長に向けての再投資が第一であり、それゆえの配当性向20%だったのではないか?
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「チャレンジ2010」を策定した時点では、移動通信事業のトップライン (売り上げ) も伸びる前提であり、通信料と端末価格を分離させたビジネスモデルの導入に伴う現在の売り上げ減、CF悪化の状況は予測していなかった。FCFが厳しい状況において、配当性向を引き上げることはできない。なお、現時点で申し上げられるのは、配当性向20%を割ることはしないという点である。
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- 3月末の端末在庫水準は低下した一方で、今期の販売手数料単価が高止まっている印象を受けるが、もう少し減少しないのか?
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社内的には販売手数料をもう少し下げていきたいと考えている。しかしながら、他社が旧モデルの端末だけでなく、一部新しいモデルの端末の価格も下げており、競争対応上、出さざるを得ないのも事実である。また端末も1,000万台は販売しないと、メーカーも厳しくなるため、この販売台数の水準は維持したい。ある程度利益を犠牲にしたとしても販売していかなければならないと見ているが、その一方で現在の販売手数料単価水準が妥当とは考えておらず、減らしていかなければならない。
質問者4
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- 今後の戦略に関する方向性を教えてほしい。改めて中期計画を策定するとしたらどのような姿になるのか?
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中期計画のリバイスは必要だと考えているが、いつ発表できるかは未定である。なお、移動通信事業における通信料収入 (ARPU×契約数) の増加は厳しいので、例えばコンテンツビジネスなどの通信料以外の収入を伸ばしていく。これに加えて、立ち上がったばかりだが、モバイルWiMAXのUQコミュニケーションズやじぶん銀行の事業拡大による売り上げ、利益の成長を図っていく。固定通信事業の利益率改善は十分可能である。アクセス回線ビジネスとは、基本料を継続的にお客さまからいただくものなので、いったんブレークイーブンに達した後は売り上げ・利益共に伸びていく。なお、海外子会社でのデータセンター事業などの海外分野は、コンテンツビジネスに次ぐ売り上げ伸び率で、利益面でも黒字であるため、期待している。
質問者5
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- 先ほどの質疑応答で、端末は1,000万台販売しなければとの話があったが、その理由は? 販売代理店が疲弊し、販売網が維持できなくなり、お客さまとの接点が弱まることを避けるためか?
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端末の販売台数が1,000万台を割っても、販売代理店の運営に支障はないと見ている。それよりも、2012年7月に現行800MHz帯が停波するのに際し、新800MHz帯や2GHz帯に対応してない端末を保有する方に対する機種変更が必要となることが大きい。したがい、2012年7月に大掛かりな取り組みを避ける意味でも1,000万台の端末販売は必要となってくる。
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- 移動通信事業の販売手数料単価の今期見通しが36,000円と、分離プラン導入前と変わらない水準の一方で、純増数は前期横ばいとなっている今回の見通しの意図を教えてほしい。
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現在は競争対応上、やむを得ない面もあるものの、販売手数料単価は分離プラン導入の際に最も恐れていた状況になってきている (収入減少にもかかわらず販売手数料単価水準は変わらない状況)。今期については、ある程度の販売手数料を使いながらも、まずは一定の純増数は確保していきたいと考えている。
質問者6
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- KDDIは現在、企業ライフサイクルのどの段階の位置にあると認識しているのか? また配当性向引き上げに言及できるのはいつごろか?
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社内に対しては、収益構造が大きく変化しており、この1、2年はコスト構造を変えなければならないと言っている。ここまで売り上げが落ちる経験をしたことがなく、収益構造が変わった今、ひと踏んばりしなければ次のステージに行くことはできない。なお、成長性がなくなった場合に、資金を株主還元に回していく基本姿勢は従来から何ら変わっていない。「チャレンジ2010」策定時からは想定外の状況となっており、特に成長が鈍化した際にFCFが減る想定はしていなかった。成長が鈍化した場合は、通常、利益とFCFはいずれも高まるものである。FCFが厳しいのはここ1、2年の問題と見ているが、現時点で配当性向引き上げの約束はできない。
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- NTTドコモも販売手数料を出してはいるものの、総販売台数の2割程度しか対象にしていない。その一方で、KDDIの販売手数料単価を見ると高コスト体質になっているのではないか?
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前期は、KCP+の遅れもあり端末競争力が見劣りし、販売手数料に頼っていた面が大きい。販売手数料単価を下げるのは端末競争力を上げていくことと同義であり、まずは端末・サービス向上が必要である。端末では、春モデルや新ブランド「iida」と改善してきていると見ている。実際にソニーエリクソン製のサイバーショットケータイは値引きなしでも売れている。高コスト体質をいつまでも続けるつもりはない。
質問者7
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- 在庫は12月末の210万台 (注) に比べ、3月末で169万台 (注) と減少しているが、今期はもう少し減少するのか?
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3月末の在庫水準はまだ多いと見ている。なぜならメーカー側との関係もあり、本来4月、5月納入だったものを3月までに前倒しで納入した影響が含まれている。したがって、今後の在庫は減少すると見ている。
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- 今後の端末競争力の観点で、今夏以降の端末商品力は向上するのか?
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端末競争力の改善が急務であったため、高橋常務が4月から端末・サービスに特化した対応を行っている。前期は高機能や機能特化型の端末を追求し、手応えを感じている。今期は発売から最後に売り切る所までを考えると、ミドルレンジの端末強化が重要である。新ブランド「iida」は従来のau design projectのようなコンセプトモデルだけでなく、廉価版も含めて取り組んでいく。また今期の端末調達単価は40,000円を維持した形で売り切ることで、販売手数料単価のもう一段の引き下げを図っていきたい。なお、現在、来春までの端末ラインナップは固まっているが、自信を持ったものを提供できると考えている。
質問者8
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- 4Qの端末調達単価が上昇しているが、販売手数料との関係は? またミドルレンジの端末を投入していくとの事だが、今後の端末開発の考え方・方向性を教えてほしい。
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端末調達単価は4Qで44,000円、通期で41,000円。今後は機能だけではない端末も発売していく。なお、開発は、商戦期毎にポートフォリオを考えており、例えば、夏/冬では機能性を高め、春は新たな機能追加は行わないなどのやり方も検討している。
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- 2月に試験サービスが始まったUQコミュニケーションズのモバイルWiMAXは、KDDIの移動通信事業や固定通信事業 (主にFTTH) と重複しないのか?
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モバイルWiMAXはPCが中心となるため、携帯端末との重複は想定しづらいが、今後、携帯とPCの中間的な市場が創出された場合については何とも言えない。なお、モバイルWiMAXはADSL並の速度であり、どちらかといえば固定通信の方が重複する面があるものの、当社はFTTHにシフトしてきており、問題ないと見ている。
質問者9
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- 前期に固定通信事業では減損損失による特別損失を計上しているが、来期での固定通信事業黒字化に向けて、今期さらなる特別損失計上はあるのか? また来期の固定通信事業黒字化は今期に何かしらの特別損失計上を前提としたものなのか?
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固定通信事業では前期にひかりoneホーム100設備の減損を実施した。現在、抜本的なコスト構造の見直しを進めている中で見えてきたのは、アクセス系ではなくコア系のメトロコアネットワークの採算の悪化である。この部分に関しては追加の特別損失に加えて、追加費用が発生する可能性もある。したがって来期の固定通信事業黒字化に対してはプラスマイナスゼロになるかもしれない。来期黒字化に向けてはまずは基本的なコスト削減を図っていきたい。
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- 販売手数料は「競争環境を見ながらの対応」とコメントされているが、他社の販売手数料水準が前期に比べて落ち着いた場合、KDDIの販売手数料単価の水準も見通し値より下がると考えて良いのか?
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難しい問題と認識している。現時点では、お示ししている利益が担保できる範囲でまずは販売に注力していく。お示ししている利益を下げてまで販売手数料をつぎ込むつもりはない。
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- 攻めに転じたとしてもKCP+や新ブランド「iida」導入による端末調達単価低減効果による販売手数料削減により、見通し水準の販売手数料単価36,000円は切れるのではないか?
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販売手数料単価の水準はあくまでも市場を見ながら判断していく。現状での急激な契約シェア改善は難しいが、シェアを伸ばせると判断した際には積極的に取り組んでいくつもりである。したがって販売手数料単価の水準は状況精査を行い判断するので、現時点で今期見通しより下がるとは申し上げられない。
質問者10
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- 現在の株価水準をどのように考えているのか? 2002年3月ごろの20万円レベルの株価だった際はもう少し情熱に溢れていたように思うが、今回の決算発表からは機関投資家として手掛かりとなるメッセージがまったくない。何か手掛かりとなるようなメッセージがほしい。
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一つは既存事業における構造改革であり、この1年でしっかり取り組んで、利益の出る体質に変えていきたい。もう一つはUQでのモバイルWiMAX、じぶん銀行、コンテンツビジネス、海外事業などの伸びざかりの分野のさらなる拡大である。売り上げ、トップラインを伸ばす事は今期できていないが、来期以降はしっかり伸ばしていくとともに、利益面の改善をやり遂げたいと考えているので、期待していただきたい。
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- プレゼン資料21頁に「マルチキャリアRev. A」の記載があるが、これはNTTドコモのLTE対抗なのか? 狙いは?
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「マルチキャリアRev. A」はLTE対抗ではなく、現行Rev. AとHSDPAの間にある差を改善するもので、むしろLTEまでのつなぎとした位置づけになる。「マルチキャリアRev. A」導入によって、速度と周波数の利用効率の両面の向上が図れ、かつ大きな設備投資を要さない。なお、本件は、現在内容を精査中であり、詳細は改めてお話したい。第一四半期ですぐというのは難しいが、中間決算やその後にはある程度の事はお話できると思う。また、「マルチキャリアRev. A」は当社だけではなく、海外の事業者とも協議しており、効果的なものを出していけると考えている。LTEについては、NTTドコモが2010年に導入とのお話もあるが、当初はデータカード型になるのではないかと見ている。当社が導入時期を2012年ごろと言っているのは、新800MHz帯のエリアを拡げた上で、当初から10MHz幅で一気にやりたいと考えているからである。
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