COLUMN: KDDIの競争力の源泉「マルチネットワーク」
2014年7月現在
KDDIの競争力の源泉「マルチネットワーク」
KDDIは、自社の「マルチネットワーク」を活用したデータオフロードの推進により、増加するモバイルデータトラフィックを効率的に収容し、高品質な通信サービスの提供と、効率的な設備投資を両立します。
モバイルトラフィックの拡大とデータオフロード
スマートフォンの普及に伴いモバイルデータ通信量は加速度的に増加しており、KDDIの直近のスマートフォン1台あたりのデータトラフィックは月間2.7GBと、前年比で42%増加しています。周波数に限りがあるモバイルインフラだけでトラフィックを吸収することは、もはや困難な状況です。
KDDIは、モバイルと固定通信の両方のネットワークを持つ強みを生かした「データオフロード」を推進しており、これにより、直近のスマートフォン1台あたりのデータトラフィックのうち、57%のトラフィックを固定ネットワークへオフロードすることに成功しています。
Wi-Fi HOME SPOTとau Wi-Fi SPOT
日本では、住宅エリアは深夜時間帯、ビジネスエリアは昼休みおよび夕方の時間帯に、それぞれトラフィック量がピークとなる傾向にあります。
この特性を踏まえ、家庭に固定ブロードバンド環境を持つスマートフォンユーザーには、無償で「Wi-Fi HOME SPOT」を貸出し、家庭内でのデータトラフィックを固定ブロードバンド回線にオフロードする施策を進めています。
また、屋外については、お客さまの生活動線上に公衆Wi-Fiスポットである「au Wi-Fi SPOT」を効率的に設置し、auスマートフォンのユーザーであれば、無料でWi-Fiサービスが使える仕組みを導入しています。これにより、24時間発生するモバイルデータトラフィックを効率的に収容し、設備投資の効率化を図っています。
プラチナバンドにおけるLTEの積極展開
2012年9月のLTEサービス導入以降、お客さまに快適な通信環境を提供するため、まずはベースとなる800MHzプラチナバンドにおけるエリア拡充を進め、国内通信事業者で最大となる、実人口カバー率99%をいち早く達成しました。さらに、より高速で安定したネットワークの提供に向けて、KDDIでは次の取り組みを行っています。
キャリアアグリゲーション (CA)
当社は、LTEの次世代高速通信規格「LTE-Advanced」の技術である「キャリアアグリゲーション」を、日本で初めて導入しました。「au 4G LTE」を提供する800MHz帯と2.1GHz帯の2つの周波数帯を束ねて使うことにより、受信最大速度を150Mbpsに高め、安定した高速通信を実現できることが特徴です。周波数を有効活用し、LTEネットワーク全体のリソースを効率化することで、これまでは一部地域のみの提供であった受信最大150Mbpsの対象地域を一気に全国に広げることが可能となりました。150Mbps対応基地局数については、2015年3月末までに20,000局 (2014年3月末時点: 約700局) まで増やす予定です。
WiMAX 2+
キャリアアグリゲーションとWiMAX 2+のダブル搭載により、LTEネットワークにおける実効速度No.1を目指す
当社は、2014年夏以降に発売するスマートフォンおよびタブレット (一部機種を除く) において、この2つの次世代通信ネットワークを搭載する戦略を開始しました。電波の強さや回線の混雑状況などに応じて最適なネットワークが自動選択されることで、より安定した高速データ通信が可能になるとともに、「au 4G LTE」から「WiMAX 2+」へのデータオフロードによるネットワークコスト抑制効果を見込んでいます。
通信速度の向上、安定した高速通信の実現およびネットワーク全体の効率化を通じてLTEネットワークにおける実効速度No.1を目指し、他社との差別化を図っていきます。
2020年代に向けたネットワークの方向性
今後は4K/8Kの超高精細映像やウェアラブルデバイス、さらにはビックデータの利活用なども見込まれており、通信ネットワークの重要性は一層高まることが予想されます。
また、2020年代には、モバイルネットワークは現在の第4世代 (4G) から第5世代 (5G) に移行し、さらなる高速通信が実現すると考えられます。
5Gでは、高周波数帯を利用することで超高速通信が可能となる一方、基地局は無線LANのように小セル化し、基地局につながる固定回線が大幅に増加すると見込まれます。
KDDIは、この基地局回線コストの増加に対し、自前で固定通信設備を持つ強みを最大限に生かしながら、5G時代においても競争力の維持・向上を目指していきます。